WBS とは?効率的にプロジェクトを管理する方法

寄稿者 Alicia Raeburn の顔写真Alicia Raeburn2022年11月11日
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概要

この記事では、プロジェクトを階層的に分解して整理する手法「WBS」について解説します。WBS を作成するときに役立つ詳細な例も紹介するので、次のプロジェクトの際に参考にしてみてください。

更新: この記事は、WBS とガントチャートとの違いに関する記述を含めて 2022年 11月に改訂されました。

プロジェクトマネージャーにとって、担当プロジェクトの目標を定め、メンバーに作業を割り振ることは非常に重要な仕事のひとつです。そのために有効なのが「WBS (作業分解構成図)」と呼ばれるツールで、大きな作業 (プロジェクト) を小さな作業に分解し、プロジェクトの見える化を促します。WBS は進捗管理にも非常に役立ちます。

この記事では、WBS の作成方法、含める内容、そして仕事にどう応用できるかについて、例をご紹介します。WBS はガントチャートやかんばんボード、カレンダーなどのフレームワークを使って視覚的に図示できるので、ワークフロー管理ソフトウェアと組み合わせて、効率的なプロジェクトマネジメントを行いましょう。

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WBS とは?

WBS (work breakdown structure) は、プロジェクトを階層的に整理する手法です。日本語では作業分解構成図や作業分解図とも呼ばれます。WBS では、成果物を副成果物に分解し、キーとなる従属関係のアウトラインを作ります。そうすることで、プロジェクト全体を視覚化することができます。

WBS はすべて、以下のパートで構成されています。

プロジェクトマネージャーは、WBS を使用して複雑なプロジェクトスコープを分解し、プロジェクトと従属関係にある成果物を可視化します。WBS を使ってプロジェクトを見える化することで、チームメンバーは単なる To-Do リストをこなすのではなく、視覚的にプロジェクトを捉え作業に取り組むことができるわけです。

プロジェクトの中には必要な業務や全体のプロジェクトタイムラインに基づいた段階を複数含んでいるものもあるでしょう。成果物を細分化していく WBS は、そういったプロジェクト作業の階層構造を効果的に整理することができるのです。

記事: より効果的なプロジェクト計画をわずか 7 つのステップで作成

WBS のメリットは?

プロジェクトマネジメントに欠かせないツールとして認識されている WBS には、以下のような具体的なメリットがあります。

  • プロジェクトの全体像が把握しやすい

  • チーム全体でプロジェクトの進捗管理ができる

  • タスク抜けが起こりづらい

  • ノウハウとして蓄積できる

プロジェクトの見える化が促進される WBS では、プロジェクトメンバーや利害関係者が同じ認識でプロジェクトを進めていけるという大きなメリットがあります。一方で、過去の WBS は次へのノウハウとしても役立ちます。

WBS の種類は?

  1. 成果物ベースの WBS: 成果物指向型の階層的な作業分解方法です。簡単に言うと、プロジェクト全体の範囲を確認して、プロジェクト達成のために必要な成果物まで作業を分解していくことを意味します。このアプローチは、求められる成果が明確な短期プロジェクト、たとえば、年間収益レポートの作成などに最適です。

  2. 段階ベースの WBS: プロジェクトの段階を使用して、複数のタスクグループを収容するワークパッケージを作成し、作業を分解していく方法です。タスクグループはそれぞれ、ステージごとに完了されていきます。段階ベースの WBS は、求められる成果があまり明確でない長期的なプロジェクトに使用するとよいでしょう。たとえば、今後 3 年間で社員の定着率を 20% 向上させる、といった例が考えられます。

WBS とガントチャートの違いは?

プロジェクトマネジメントにおいて人気のあるフレームワーク「ガントチャート」ですが、しばしば WBS と混同されることがあります。

WBS は前述のとおり、複雑なプロジェクトを工程別、タスク別に細分化し、可視化するための構造図で、一般的にリスト形式をしています。一方のガントチャートは棒グラフを使ってプロジェクトを視覚的に表したもので、進捗管理や工程管理に役立ちます。WBS はガントチャートを使って視覚的に見やすくすることで、さらに効果を発揮します。

詳しくは下の『ガントチャート (タイムライン)』をご覧ください。

WBS の 3 つのレベル (階層)

WBS のレベル (階層) は、従属関係に基づいてタスクを分割する際に便利です。プロジェクトは千差万別のため、WBS のレベルも同様にまちまちです。中には深い階層の従属関係が不要なプロジェクトもあります。

WBS には、主に 3 つの従属関係のレベルがあります。ただし、WBS によってはレベルがそれ以上にも以下にもなる場合があります。各レベルは親タスクに結びついており、親タスクを完了するために必要な業務が従属関係によって整理されています。

作業分解構成図のレベル

WBS の最上層に位置する 3 つの従属関係を見てみましょう。

レベル 1: 親タスク

WBS のレベル 1 は、親タスクが含まれるため、プロジェクトを最も簡易的に示したものになります。これは通常、プロジェクトの目標と一致します。

たとえば、プロジェクトチームがウェブサイトデザインのリニューアルに取り組んでいるとします。その場合の WBS のレベル 1 は次のようになります。

  • ウェブサイトのデザインを刷新する

ご覧の通り、シンプルで一目瞭然です。レベル 1 は、基本的な目標、すなわちプロジェクト管理のさまざまなフェーズの第一段階に当たります。この目標を達成するために必要な業務は、レベル 2 や 3 に登場します。

記事: 効果的なプロジェクト目標の書き方 (実例付)デザイン計画用の無料テンプレート

レベル 2: 従属関係とタスク

ここから、プロジェクトのスコープに応じて分解構成図は少し複雑になっていきます。WBS のレベル 2 には親タスクのサブタスクが含まれます。これを従属関係ともいいます。

先の例に従って、ウェブページのデザインを刷新するために必要なタスクを見ていきましょう。

  • クリエイティブなブレインストーミングセッションを行う

  • ブランドのガイドラインを見直す

  • メッセージングフレームワークを作成する

  • ロゴのデザインをリニューアルする

  • 新しいトップ写真を追加する

レベル 1 より少し詳細になりましたが、レベル 2 はまだ、プロジェクト目標の達成に必要な従属関係の概要に過ぎません。

レベル 3: サブタスク

WBS のレベル 3 では、前項の従属関係を、副従属関係という管理しやすい構成要素にさらに分解します。プロジェクトのライフサイクルの最下層に位置するこのステージでは、最も詳細なタスクを定義することになります。これらの実行可能なタスクが、必要な成果物すべてを完成させるための道筋をよりシンプルなものにしてくれます。

先ほどの例を取り上げて、新しいサイトデザインに使用できるレベル 3 のタスクをご紹介します。

  • ブランドカラーを選択する

  • ブランドのムードボードを作成する

  • UX デザイナーを割り当てる

  • モックアップデザインを作成する

  • モックアップをレビューし、承認する

  • ブランドの写真撮影のスケジュールを設定する

  • 写真のサイズ変更・編集を行う

ご覧のように、プロジェクトの目標を達成するための業務がかなり明確になりました。どれだけ具体的に視覚化したいかによって、さらにレベルを追加することもできます。

WBS の構成要素は?

基本的に WBS は、工程の階層を視覚的に整理した簡易的なプロジェクト計画です。つまり、WBS には、目標、成果物、タイムライン、主要な関係者といった、プロジェクト憲章に含まれる要素がすべて揃っていなくてはなりません。

作業分解構成図に含まれるもの

WBS を作成するに当たって、まず何を盛り込むかを知る必要があります。ここからは、WBS に含めるべき重要な要素を詳しく解説していきます。

WBS 辞書

新しくプロジェクトの WBS を作成するに当たっては、まず WBS 辞書から始めましょう。適切に作成された WBS は視覚的であるために、詳細な説明を書き込む余地がありません。そこで役立つのが、各タスクを詳細に説明した WBS 辞書です。辞書を作ることで、チームメンバーがさまざまなタスクの必要な詳細を簡単に把握できるようになります。

辞書を作成するのはプロジェクトマネージャーですが、各部門のチームメンバーの協力を求めることにもメリットがあります。そうすることで辞書の利便性が高まり、的確な詳細を記載できるようになります。

辞書に含めるべき項目の例:

  • タスク名: 明確でシンプルなものにします。

  • 説明: もう少し詳しく書きますが、それでも 1~2 文に収めましょう。

  • 成果物: ここでも、具体性が大切です。チームが出す成果に何が期待されているのかを明確にします。

  • 予算: 予想される出費です。いつまでに、何に、どれだけの費用が掛かるのかを説明します。

  • マイルストーン: プロジェクトのタイムライン上で、一連のタスクが完了する重要な瞬間です。

  • 承認: 承認を必要とするタスクがある場合、どのタスクなのか記します。

項目はいくつでも追加できますが、最も考慮すべきポイントは、タスクの達成に必要なプロジェクトの業務について、プロジェクトのチームメンバーが情報を見つけられるようなリソースを作成することです。

タスクの説明

タスクの説明には、タスク名と、目標に関する簡単な説明を入れます。WBS には詳細な説明を記載する余地がないため、追加情報は WBS 辞書にまとめましょう。

タスクの説明は、チームメンバーがタスクの内容を短時間で簡単に把握できるようにするものです。そのため、この段階ではまだそこまで詳細にこだわる必要はありません。

タスクの担当者

タスクの担当者は、責任の所在とコミュニケーションの両方の点で明記しておくべき重要な情報です。情報が見つけやすいほど、タスク達成までの時間が短縮されます。多くの場合、プロジェクトマネージャーがタスクの担当者ですが、タスクのタイプによっては、部門長や経営者も担当者になる場合があります。

プロジェクトの情報を探して時間を無駄にはしたくないものです。タスクの担当者を割り当てることで、プロジェクト関係者は適切な担当者に速やかに質問できるため、チームの生産性を向上できます。

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タスクの予算

必ずとは限りませんが、大規模な予算を要するプロジェクトは、タスクの予算を注意深く管理する必要があります。予算が守られているかを簡単に管理するには、タスクの予算上限を設定しておくと便利です。

予算の管理を行わないと、予想より支出が増え、利益率が下がってしまうことになります。全体予算だけでなく、個別のタスクのコストも必ず管理するようにしましょう。

完了日

目標とする完了日を把握することが重要なのは言うまでもありません。しかし、完了日の変更を念頭においておくことも大切です。

定められた期間を超過しているプロジェクトをいくつも管理するのは大変ですが、避けられないこともあります。スケジュール表やプロジェクト管理ツール内で各タスクを細かい作業に分割して、進捗を正しく管理しましょう。スケジュールの遅れをリアルタイムで把握できるため、締め切りの問題が重なって本来の完了日にプロジェクトが終わらないといった事態を回避できます。

タスクステータス

すばやく進捗確認をするためには、スケジュールの管理と合わせて、タスクのステータスを記録することも重要です。記録方法はいくつかありますが、「保留」「進捗中」「完了」といった用語を使用するのが一般的です。

これによってタスクの進捗を管理しやすくなるだけでなく、チームの生産性を俯瞰的に把握できます。たとえば、一部のチームがタスクを完了できないことが続くなら、根本的な問題が隠れている可能性があります。このように、チームの仕事量やコミュニケーションのつまづきが大きな問題に発展する前に、解決することができます。

記事: 効果的なプロジェクトステータスレポートの書き方

WBS の作り方

それではいよいよ WBS を作成しましょう。WBS は仕事の階層構造を視覚的に示すものであり、さまざまな作成方法があります。チームにとって最適な方法を選べるのが WBS の魅力です。

作業分解構成図の作り方

一般的に使用される視覚ツールには、ガントチャート (タイムライン)、かんばんボード、カレンダーがあります。使用しているソフトウェアごとに、少し違う機能もあるかもしれませんが、ここではこの 3 つのツールを紹介し、それぞれを使った WBS の作成方法を細かく解説します。

ガントチャート (タイムライン)

ガントチャート (タイムライン) には WBS に必要な機能が揃っており、カラフルに楽しく仕事を視覚化することができます。フローチャートガントチャートとも呼ばれる、タイムラインの機能をいくつかご紹介します。

  • 従来のスプレッドシートをインポートする

  • 進捗状況を追跡する

  • タスクを調整する

  • 従属関係によってタスクをつなげる

  • 期日の変更を調整する

  • タスクの担当者を割り当てる

  • 未スケジュールのタスクをまとめておく

  • 色別の管理を調整する

  • レベルごとにセクションで分類する

  • タスクの絞り込みやソート

WBS の作成を始めるには、既存のスプレッドシートのインポートや、タイムラインツールで直接作成するなど、さまざまな方法があります。タイムラインは、視覚的なレイアウトと機能の調整が自在な点が、かんばんボードとカレンダーとは異なります。プロジェクトをより可視化できるので、WBS とガントチャートは人気のある組み合わせです。

[製品 UI] Asana で依存関係と期日を含めて整理したガントチャートプロジェクトのタイムラインビュー (タイムライン)
ガントチャートテンプレートを作成

かんばんボード

かんばんボードは、タスクを横長のタイムラインで整理するのではなく、数枚のボードを並べたようにデザインされています。かんばんツールは、次のような機能によってプロジェクトの進捗維持に貢献します。

かんばんボードも、WBS の作成に適したツールで、特に日常のリソース管理によく使用されています。このツールの長所の 1 つが、タスクの詳細を前もって確認できる点です。そのため、WBS 辞書を作成できない場合には、かんばんボードがおすすめの選択肢になります。

この方法で WBS を作成するなら、かんばんボードで仕事を階層化することから始めましょう。

かんばんボードテンプレートを作成

カレンダー

WBS 作成の 3 つ目の選択肢が、チーム用のカレンダーツールを使用することです。タイムラインやかんばんボードに比べると WBS に使用されることは少ないものの、プロジェクトを視覚化するには優れたツールです。また、大規模なプロジェクトでは、1 日単位、週単位、月単位でビューを切り替えられるため、非常に便利です。

カレンダーは WBS 作成に活用できる優れたツールで、他の 2 つのツールとは違った形でプロジェクトを視覚化します。カレンダーを使って WBS の作成を始めるには、既存のスプレッドシートをインポートするか、カレンダーツールで新しいプロジェクトを作成します。

記事: プロジェクト計画を視覚化する 3 つの方法: タイムライン、カレンダー、ボード

WBS の例

WBS を構成する要素と、WBS の作成方法について見てきたところで、今度は WBS の具体例をご紹介しましょう。どのツールで作成するかによって多少の違いはあるかもしれませんが、この例の階層構造やレベルをヒントにしてみてください。また、WBS のテンプレートを用意しておけば作成にも時間をとられることがなくなるのでおすすめです。

作業分解構成図の例

WBS の名前: ウェブサイトデザイン

説明: 新しいブランディングに基づき、インターネット上の旧ウェブサイトデザインを刷新する。

完了日: 2021年 9月 15日

予算: 50,000 ドル

レベル 1: 

  1. ウェブサイトのデザインをリニューアルする

レベル 2:

  1. ブランドのガイドラインを見直す (完了)

  2. メッセージングフレームワークを作成する (完了)

  3. ロゴデザインのリニューアル (進行中)

  4. 新しいトップ写真を追加する (保留)

レベル 3:

1. ブランドのガイドラインを見直す

  • ブランドカラー — 菊井 紗代

  • ブランドのムードボード — 菊井 紗代

  • UX のデザイン — 武川 智幸

2. メッセージングフレームワークを作成する

  • 見出し — 段田 勝也

  • ミッションステートメント — 段田 勝也

  • トーンのガイドライン — 段田 勝也

3. ロゴデザインのリニューアル

  • スケッチ — 川添 紀夫

  • モックアップ — 菊井 紗代

  • 最終デザイン — 菊井 紗代

4. 新しい写真の追加

  • 写真撮影 — 川添 紀夫

  • 写真編集 — 菊井 紗代

  • 最終選定 — 川添 紀夫

プロジェクトの規模や複雑さ、スケジュール、選択したソフトウェアによって、WBS の見え方は異なるため注意が必要です。いずれにせよ、こうした細かい業務内容の一つひとつが従属関係で結ばれ、プロジェクトの視覚的な階層構造を形作るのです。

チームに合った WBS を作成する

WBS とは何か、その種類や階層レベル、構成要素などの基本知識とともに、WBS の作り方について解説しました。WBS はテンプレートを利用すれば簡単に作ることができます。タスクの階層構造が視覚化されるおかげで、プロジェクトマネージャーやチームにもたらされるメリットは大きいでしょう。ワークマネジメントツールを使えば、視覚的に理解するタイプの人も、言語的に理解するタイプの人も、誰もが WBS を活用できます。Asana なら、リスト、ガントチャート、かんばんボード、カレンダーを簡単かつシームレスに切り替えられます。Asana を使って仕事のための仕事を減らしましょう。

働き方改革の促進や新型コロナウイルス感染症の流行によって、チームメンバーがオンラインでつながっているという状況も増えてきました。どのような状況下でもプロジェクトを正常にスタートからゴールまで導くには、信頼できるグループウェアの導入が鍵となってきます。コミュニケーションアプリとの連携サービスなどに優れたツールを選び、ビジネスを成功へと導きましょう。

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