「仕事のための仕事」が本来やるべき仕事の妨げとなる理由

寄稿者 Molly Talbert の顔写真Molly Talbert
2024年1月18日
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世界中のビジネスが急速に変化しています。リモートワークなどの柔軟な働き方の普及から、組織内のコミュニケーション手段まで、ほんの数年前と比べても働き方はいろいろな面で変化しています。これらの変化の筆頭に挙げられるのが職場での新しいコラボレーションの仕方や、それを簡単に行うための新たなツールとソフトウェアです。

しかし、管理を誤ると、変化やコラボレーションから期待する結果が得られないことがあります。

コミュニケーションとコラボレーションに使用するチャネルが急増する中で、通知の数やサイロ化するプロジェクトの数も際限がなくなっています。仕事量が増えるにつれ、情報は散らばり、役割と担当業務は曖昧になっています。私たちは仕事や他のメンバーとつながろうと努力する中で、他の問題をたくさん作り上げてしまい、それが仕事の現状を追跡するためだけの不要で面倒な仕事と化しています。

つまり、今日のナレッジワーカーは、大量の「仕事のための仕事」をこなすことで精一杯になっているのです。

「仕事のための仕事」とは?

「仕事のための仕事」とは一体何かと疑問に思っている方もいらっしゃるでしょう。1 万人を超える世界中のナレッジワーカーに対して Asana が実施した「仕事の解剖学」インデックスでは、「仕事のための仕事」を「意義がある仕事に取り組む時間を減らしてしまうアクティビティ。仕事についてのコミュニケーション、情報の検索、アプリの切替、優先事項の変更、仕事のステータスの追跡などを含む」と定義しています。

具体的には、1 日を通じて行うアクティビティのうち、市場分析やコーディングといった技術を要する仕事とは違うすべてのものをいいます。退屈な、時間を取られるだけの仕事であり、たいていの人たちはこれを仕事の付帯的な作業とみなしています。

Asana の「仕事の解剖学」インデックスによると、ナレッジワーカーは職場で 60% の時間を技術的な仕事ではなく、仕事のための仕事に費やしています。合計すると相当な時間を無駄にしていることになります。世界的にも、一年を通して、一般的なナレッジワーカーは不要な会議に 103 時間、重複する仕事に 209 時間、さらには、仕事について会話することに 352 時間も費やしています。

チームメンバーが得意とする技術を要する仕事ではなく、その場その場のタスクにこれほどの時間が空費されているため、チームと組織全体にネガティブな波及効果が広まっています。

仕事のための仕事が生産性に影響する理由

考えてみると、仕事のための仕事は単に勤務時間を長く、困難にするだけではないことがわかります。他の大切な仕事に費やす時間が減ってしまうので、その影響は数多くのプロジェクトが遅延する、期日に間に合わなくなる、時間を無駄に浪費するといった事態として現われます。

また、それは個人と組織が実際に大きなトラブルに見舞われることを意味します。

全体的に見ても、「仕事の解剖学」インデックスによると、ナレッジワーカーの大多数 (88%) は抱え込んでいるタスクの量が多すぎて時間的制限のあるプロジェクトや大きなイニシアチブが予定より遅れたり、見落としたりしたことがあると回答しています。

集中を削ぐものがたくさんあり、情報が複数の異なるリポジトリに保管されているという状況の中で、仕事の詳細を把握し続けることはほぼ不可能です。多くの組織はタスクの計画、整理、実行またはプロジェクトの管理を行うための適切なプロセスを持っていません。

個人的なレベルでは、仕事のための仕事は毎日の仕事量に大きく影響します。

「仕事の解剖学」インデックスによると、仕事のための仕事は仕事量の不均等や長時間労働を引き起こしていることもわかっています。遅くまで職場にいる主な理由としては、メールやメッセージの返信、予期せぬ会議、チームメイトから承認を得るための連絡、目標と担当業務の曖昧さなどが挙げられています。

Asana がオーストラリア、アメリカ、イギリスで 6000 人のナレッジワーカーに対して実施した以前の調査では、回答者の 80% がバーンアウト寸前であると回答しました。従業員の 4 分の 1 にとって仕事量の偏りの悪化がストレスの第一の理由であり、82% の回答者はストレスを感じると労働意欲の低下を感じると話しています。

仕事とコラボレーションの量を増やすことが必ずしも生産性と満足感を向上させるわけではないことがわかりました。しかし、この記事は問題提起だけでは終わりません。

仕事のための仕事を減らし、大切な仕事に取りかかりましょう

仕事のための仕事は世界的な問題ですが、その対策方法はあります。

不満やストレスの多くは、明確さと整合性の欠如から生まれます。「仕事の解剖学」インデックスによると、組織の年度目標を把握している人はわずか 43% で、自分の仕事が会社にどう貢献するのかを知っている人はわずか 46% であることがわかっています。

目標の全体像に合わせてメンバー全員の足並みを揃えることは、毎日の仕事を確実にスムーズに進めるためには欠かせません。自分の仕事がどのように経営レベルの目標につながるのかがわからないと、やる気を維持して価値のある仕事をするのは難しくなります。

Asana では、見える化のピラミッドを使って社内のすべての従業員が仕事の全体的な構造を把握できるようにしています。これにより、製品ロードマップであれ、事業プランであれ、長期目標と短期目標が結びつきます。ピラミッドの頂上はミッションであり、すべての決断の指針となります。その下は、戦略、会社全体の目標、部門の目標、四半期の目標、個別のプロジェクト、そしてタスクと続きます。タスクは日常の仕事であり、仕事の時間の大半を占めます。しかし、これらはすべて最終的にミッションにつながるものであるため、メンバー全員が会社の全体的な目標にどのように貢献しているのかが明確になります。

メンバー全員が足並みを揃え、戦略的なイニシアチブと会社のミッションとのつながりを理解したら、テクノロジーを見直し、プロセスを妨げるのでなく、推進するかたちで使用する必要があります。

今日、一般的なナレッジワーカーは毎日 10 個の異なるアプリを使います。使用するアプリの数が多ければ多いほど、集中できないと感じたり、仕事を先延ばしにしていると感じる時間が長くなります。ワークマネジメントプラットフォームで仕事を整理し、メンバー全員で 1 つのシステムを使用することは、すばやく仕事をこなし、成功を手にする多くの会社に必要不可欠となっています。

ClassPass が明確性を得た方法

フィットネスプログラムの検索と予約を簡単にできるようにする急成長中の ClassPass では、25 人で構成されるマーケティングチームが年間 200 件を超えるキャンペーンを担当し、ブランドの知名度の向上と利用者数の拡大に取り組んでいました。しかし、これらのキャンペーンを大きなスケールで、かつすばやく実行することは容易なプロセスではありませんでした。

マーケティングチームはキャンペーンのコラボレーションにメール、チャット、スプレッドシートという不便な組み合わせを使い、その結果として以下が生じていました。

  • 信頼できる情報源と期日の説明責任の欠如

  • 絶え間なく進捗確認が必要であった

  • 情報がサイロ化し、文書もメールのスレッドの中に埋もれてしまっていた

  • 統一できたはずの仕事リクエストが重複していた

Asana 導入を機に、同社は多くのアプリケーションの使用を取りやめ、コラボレーションを 1 か所で行うようになりました。この結果、チーム会議を 25% 削減、チームの効率を 20% 改善し、キャンペーンを 30~40% すばやく制作できるようになりました。

ブランドの知名度と登録数をアップさせるという会社全体の目標を全員が目指し、さらにはテクノロジーを効率よく活用することにより、ClassPass は仕事を大幅に整理し、チームの悩みの種であった仕事のための仕事を取り除きました。

従業員は、より高次のミッションとのつながりを実感でき、仕事を氾濫させるツールではなく自分の力となるツールを使えれば、より効率よくコラボレーションを行い、仕事量を上手に管理し、すばやく決断を下せるようになります。その結果がすべてを物語るでしょう。

仕事の解剖学インデックスをダウンロードして詳しく見る。

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