従業員エンゲージメントの向上は、チームの生産性や企業全体の成果を左右する重要な要素です。しかし、職場では「やりがいを感じない」「会社とのつながりが薄い」と感じる従業員は少なくありません。
この記事では、「従業員エンゲージメントとは何か」という基本から、「重要性」「エンゲージメントの測定方法」「実際にどのように向上させるか」までを、わかりやすく解説します。
マネージャーや人事担当者が、自社の課題を見直し、従業員のやる気や定着率を高めるための実践的なヒントを得られる内容になっています。チームの信頼関係を築き、成果につなげましょう。
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多くの企業が、給与や福利厚生だけでは従業員のモチベーションを維持できないことに気づき始めています。では、どうすれば社員が自ら考え、動き、組織とともに成長していけるのでしょうか?
そのカギとなるのが「従業員のエンゲージメント向上」です。
エンゲージメントの高い職場では、離職率の低下、生産性の向上、従業員同士の信頼関係の構築が実現します。しかし実際のところ、何から始めればよいかわからず、対策が後回しになっている企業も多いのが実情です。
この記事では、従業員エンゲージメントの基本的な考え方から、種類、メリット、測定方法、具体的な施策までをご紹介します。
従業員エンゲージメントとは、従業員が仕事や職場に対して感じる「つながり」「やる気」「主体性」を指します。
これは、単なる従業員満足度や定着率とは異なり、自分の仕事に意味を見出し、チームや会社の目標に共感して行動する姿勢が含まれます。エンゲージメントの高い従業員は、自信を持って業務に取り組み、チーム内で積極的にアイデアを共有し、困難な課題にも前向きに挑戦します。
日本の職場でも、単なる業務遂行から一歩進んだ「当事者意識を持った働き方」が求められており、「従業員エンゲージメント向上」は重要課題として扱われるようになっています。
その実現には、マネージャーやリーダーの関わりが欠かせません。
部下の仕事をただ管理するのではなく、「何のために働くのか」を共有し、一人ひとりの意欲を引き出す環境づくりが求められています。
従業員エンゲージメントの意味は、業績アップのためにハードワークを強いることではありません。エンゲージメントとは、従業員が自分の仕事にやりがいと目的を感じ、主体的に取り組める状態を指します。
そのための取り組みは、単にモチベーションを高めるのではなく、不明確な目標、心理的な疲弊、過剰なプレッシャーといった障壁を取り除くことから始まります。たとえば、チームが自分の役割を理解し、安心して意見を出せる環境が整っているかは、エンゲージメントに大きく影響します。エンゲージメントが高い状態では、従業員が「仕事量=価値」だと感じることや、生活を犠牲にしてまで働こうとする傾向は弱まる傾向にあります。
つまり、エンゲージメントの向上は、成果とウェルビーイングの両立を目指すものなのです。
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かつて日本企業では、「終身雇用」や「年功序列」といった制度のもと、愛社精神や忠誠心が自然と醸成されてきました。しかし近年では、少子高齢化による労働力不足やキャリア観の多様化により、従業員と企業の関係性は大きく変化しています。
こうした背景の中で、企業が持続的に成長するためには「エンゲージメントの重要性」を改めて見直す必要があります。 従業員エンゲージメントが高まれば、社員は単なる労働力ではなく、企業理念に共感し、自らの役割に意味を見出す “パートナー” として組織に貢献するようになります。
エンゲージメントが高い従業員は、次のような特徴を持っています。
自ら課題を見つけ、前向きに改善提案を行う
困難な状況でも粘り強く取り組む
チームや顧客との信頼関係を重視する
組織の方向性やビジョンに共感し、愛着心を持って働く
このような従業員が増えることで、企業の業績や組織の一体感、顧客満足度の向上にもつながります。一方で、エンゲージメントが低い状態では、離職率の上昇や職場の分断、イノベーションの停滞といったリスクが高まります。
つまり、エンゲージメントの向上は、従業員の満足度や働きがいを高めるだけでなく、企業そのものの競争力を高める鍵でもあるのです。
従業員エンゲージメントには、いくつかの異なる側面があります。どの領域でエンゲージメントを高めたいのかを明確にすることで、より効果的な取り組みが可能になります。ここでは、日本の職場でも重視される 4 つの種類をご紹介します。
企業理念や経営ビジョン、組織文化に共感し、組織の一員であることに誇りや目的意識を持つ状態です。
このエンゲージメントを高めるには、透明性のある経営方針の共有や、企業の価値観に沿った行動の促進が重要です。
直属の上司との関係性が大きく影響します。信頼できるフィードバックやサポート、成長を支援する姿勢がエンゲージメントを高める要素です。
同じ職場で働く仲間との関係性や信頼感も、仕事のやりがいや満足度に直結します。チームビルディングの場や、協働プロジェクトによる相互理解の促進が効果的です。
自分の担当する仕事そのものに対して、ワークエンゲージメント、つまり「やりがい、責任感、成長の実感」を持てているかという視点です。業務内容の意味づけやスキルアップの機会が、このエンゲージメントに影響します。
記事: チームのエンゲージメントを高める 16 のマネジメントテクニック従業員エンゲージメントを高めるには、チームの連携とタスク管理が重要です。Asana は、コミュニケーションと進捗管理を一元化し、業務へのエンゲージメントをサポートします。まずは無料で試して、チームの変化を実感してみましょう。
無料で Asana を試す組織を動かしているのは従業員一人ひとりです。従業員が仕事にやりがいとつながりを感じることで、チームへの貢献意欲が高まり、企業の業績向上や持続的な成長につながります。特に少子高齢化による労働力減少が進む日本では、優秀な人材の確保と定着が企業経営の重要課題です。
従業員エンゲージメントを重視すると、以下のようなメリットが得られます。
エンゲージメントの高い従業員は自分の仕事に意義を感じ、組織への帰属意識や愛着心を強めます。その結果、離職率が大幅に低下し、中小企業においても採用やオンボーディングプロセスにかかるコストや時間の削減につながります。Gallup の調査では、エンゲージメントが高い企業は離職率が最大 43% 低いと報告されています。
従業員が職場でつながりを感じ、やりがいを持つことは、心の満足度を高めるだけでなく、ワークライフバランスの改善にも寄与します。満足度とエンゲージメントの相関は高く、従業員が健康的に働ける環境は、長期的に組織の活力を維持します。
つながりとやりがいを持つ従業員は、より高い生産性を発揮します。調査によれば、生産性は約 18%、収益性は約 23% 向上するケースもあります。さらに、エンゲージメントの高いチームは、顧客満足度の向上や製品およびサービスの品質向上にもつながり、中小企業の競争力強化に寄与します。
従業員エンゲージメントは、単なるモチベーション施策ではなく、従業員一人ひとりが企業理念に共感し、自身の役割を理解することで育まれます。日本の多くの企業にとって、これからの組織成長のカギとなる重要な要素なのです。
従業員エンゲージメント戦略を立てる前に、まずは現状の把握が欠かせません。そのために、四半期ごとにパルスサーベイ (意識調査) を実施し、定期的にチームのエンゲージメント状況を計測しましょう。これにより、何がうまくいっているのか、どこを改善すべきかを具体的に見極められます。
パルスサーベイは大企業だけでなく、中小企業でも徐々に導入が進んでおり、手軽に社員の声を集めることが可能です。重要なのは調査結果を活用し、職場環境の改善やマネジメント強化につなげることです。
世界的に利用されている Gallup の Q12 調査は、以下の 12 の設問でエンゲージメントを測ります。回答者は「強くそう思う」から「まったくそう思わない」までの 5 段階で回答します。
職場で何を期待されているのか理解している。
適切に仕事をする上で必要な資料と機器がある。
職場には、自分の能力が活きる仕事をする機会がある。
過去 7 日間で、優れた成果に対して正当な評価を受けた、または褒められた。
上司、または同僚は人として私を大切にしてくれていると思う。
職場には成長を応援してくれる人がいる。
私の意見は職場で重視されている気がする。
会社のミッションや目的のおかげで、自分の仕事が重要だと感じている。
仲間や同僚は良い成果を上げるために努力している。
職場に信頼できる同僚がいる。
過去半年の間に、職場の同僚から進捗状況について尋ねられた。
直近の 1 年間で、学び、成長する機会が職場にあった。
Gallup の調査によると、チームのエンゲージメントにおけるばらつきの約 70% はマネージャーの影響によると言われています。つまり、従業員エンゲージメントを向上させる鍵は人事部門だけでなく、現場のチームリーダーが握っているのです。今回は、チームリーダーとして今すぐ取り組める 10 の施策をご紹介します。
Asana の調査では、自分の仕事が会社のビジネス目標につながっていると理解している従業員は、やる気が倍増することが明らかになっています。仕事の重要性を伝えるためには、OKR (目標と主要な結果) を活用しましょう。
会社が掲げる大きな目標に対して、チームや個人の具体的な主要な結果を設定することで、日々の業務が組織の成功に直結していることを実感できます。例えば、人事なら「第一四半期に 12 名採用する」という目標を、各メンバーに「3 名ずつ採用する」という個別の目標に分解します。こうした仕組みが従業員のモチベーションを高めるのです。
効果的な目標を設定する方法エンゲージメントが高い従業員は、自分の役割と責任、仕事の進め方を明確に理解できています。逆に役割が不明瞭だと、仕事が複雑化して時間を浪費し、燃え尽き症候群につながることもあります。
Asana では、担当者と業務内容を詳細に文書化し、社員全員がアクセスできるようにしています。これにより、誰がどのタスクを担当しているかが一目でわかり、効率的に仕事が進みます。マネージャーとしても、メンバーの役割を明確にし、仕事の混乱を防ぐことが重要です。
従業員の長所を重視するマネージャーのもとでは、強いエンゲージメントが生まれやすいと調査結果が示しています。メンバーそれぞれの個性や能力を認め、長所を活かせる環境を作りましょう。
具体的には、得意分野に集中できる仕事の配分や、長所に関するフィードバックを定期的に行うことが効果的です。営業チームを例に、外向的なメンバーが顧客対応を担当し、内向的なメンバーが調整業務を担うような役割分担も有効です。
従業員が成長や学びの機会を感じられないと、やる気が低下してしまいます。Culture Amp の調査によると、約 80% の従業員が学習の機会があればモチベーションが向上すると答えています。
マネージャーは、定期的な面談を通じて成長目標を設定し、具体的なアクションプランを立ててフォローしましょう。四半期ごとや半年に一度の成長面談が効果的です。
マネージャーとの良好な関係は、従業員のエンゲージメントに大きく影響します。定期的な 1対1 の面談を行い、アクティブリスニングを実践してメンバーの話を丁寧に聞くことが重要です。
また、メンバーごとに動機付けのポイントは異なるため、個別に適したアプローチを心がけましょう。さらに、従業員からのフィードバックを積極的に求め、それを行動に移す姿勢が信頼構築につながります。
記事: よいマネージャーの条件とは?チームを成功に導くために実行できる 11 個のヒントチームの一体感が強いほど、従業員はつながりとやりがいを感じやすくなります。リモートワークが増える中、対面での交流機会が減ったため、意図的にチームビルディングを行うことが重要です。
月 1 回のコーヒーチャットや定期的なチームミーティング、アイスブレイク質問、部門横断プロジェクトへの参加推奨など、様々な施策を取り入れてみましょう。
組織の価値観が従業員の個人の価値観と一致すると、職場へのエンゲージメントが高まります。企業の価値観は、仕事の進め方やコラボレーションの基盤となる重要な原則です。
Asana では「自分にも他人にも誠実でいる」という価値観を掲げ、誰もが安心して自分らしく働ける環境づくりに努めています。自社の価値観を明確にし、チーム全体で共有しましょう。
従業員の意見が尊重されていると感じると、仕事に対する自信ややる気が格段に上がります。ミーティングで積極的に意見やアイデアを求め、得たフィードバックは具体的なアクションにつなげることが大切です。
こうしたボトムアップの意思決定は、従業員の主体性を高め、チーム全体のエンゲージメント向上に寄与します。
記事: フィードバックとは?行うときのコツと注意点を解説世界中の従業員の約 62% がインポスター症候群 (自分の能力に対する不安) を感じています。これが原因で自信が持てず、仕事でリスクを取れないことがエンゲージメント低下につながります。
マネージャーは明確な期待値設定やメンター制度、コミュニケーション計画の整備などで、メンバーの不安を軽減しましょう。定期的に状況を確認し、必要に応じてサポートを提供することも効果的です。
Asana の調査では、世界のナレッジワーカーの 80% が過労を感じ、燃え尽き症候群になるのではないかと不安を持っています。ストレスはやる気の大敵です。
マネージャーはメンバーのワークロードを調整し、休暇取得や適切な休憩を推奨して、持続可能な働き方を促しましょう。自らが率先して休む姿を見せることも、同じ行動を促す上で有効です。
これらのエンゲージメント向上施策を実践するには、チームのタスク管理や目標の可視化、情報共有の仕組みが欠かせません。Asana を使えば、目標の見える化や業務の明確化、社内コミュニケーションの促進をひとつのツールで実現できます。
チーム内で効率的にコミュニケーションを取るには?従業員エンゲージメントの基本から測定方法、メリット、そして実践的な改善施策までを包括的にご紹介しました。
エンゲージメントは一過性の取り組みではなく、組織全体で継続的に向き合うべき課題です。働きやすい職場環境を整え、従業員一人ひとりがやりがいを持って業務に取り組める状態を作ることが、結果として生産性向上、人材定着、業績アップにつながります。
そのためには、エンゲージメントサーベイの活用や、人事評価制度の見直し、社内コミュニケーションの改善など、現場に根差した具体的な施策が必要です。
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