プロジェクト計画は、プロジェクトに関連するすべての仕事を整理し、順調に進めるために不可欠なものです。優れたプロジェクト計画は、目標や予算からマイルストーン、コミュニケーションプランまで、必要なすべての作業を 1 か所で開始するのに役立ちます。プロジェクトを成功に導く計画を作成して時間を節約し、悩みの種を減らしましょう。
プロジェクト計画は、プロジェクトの目標を果たすために、チームが達成する必要のある主要な要素を示した青写真です。プロジェクト計画には、プロジェクトのスケジュール、スコープ、成果物に関する情報を含み、メンバー全員がアクセスできるプラットフォームで作成すると便利です。プロジェクト計画をワークマネジメントシステムで作成すると、仕事の計画、追跡、報告をすべて 1 か所で行えます。
プロジェクト計画をいまいち理解できいないという方のために、プロジェクトの他の要素との相違点を説明します。
プロジェクトスコープとは、プロジェクトの規模と境界を定義するものです。プロジェクト計画の一環として、プロジェクトスコープの概要をまとめ、それをプロジェクトのすべての関係者と共有する必要があります。スコープがいつの間にか広がってしまうのではないかと心配な方は、プロジェクトの進行中に、プロジェクト計画に含まれる事前に定義されたスコープを再度確認すれば、仕事を無理なく進めることができます。
プロジェクトスケジュールはプロジェクト計画に含まれる要素の 1 つです。プロジェクト計画全体には、関係者、目標、マイルストーンなど、他の主要な要素も含める必要があります。
アジャイルプロジェクトマネジメントは、チームが仕事を反復的かつ共同的なコンポーネントに分割するためのフレームワークです。アジャイルフレームワークはよくスクラムおよびスプリント手法と合わせて実行されます。どのプロジェクトでもそうですが、仕事を始める前にプロジェクト計画を立てておくと、アジャイルチームにメリットとなります。
プロジェクト計画によってプロジェクト全体の準備が整います。プロジェクト計画がないと、全体的なプロジェクト管理プロセスの最初の重要なステップが足りません。明確に書かれたプロジェクト計画を作成すれば、すべての関係者がプロジェクトの方向性や自分の責任を把握でき、プロジェクトが実際に始まる前に必要なリソースが揃っていることを確認できます。
また、プロジェクト計画があれば、プロジェクトの実行を先導する責任者は、これから起こりかねない潜在的な課題をプロジェクトの計画段階で予測できます。プロジェクトマネジメント協会の研究によると、プロジェクトの計画はプロジェクトの成功と強い相関を示しています。優れた計画を作成すれば、よりよい成果につながるということです。つまり、計画段階をマスターすれば、プロジェクトの効率性と結果も向上するということです。
明確なプロジェクトマネジメント計画を作成するには、同時進行するすべての要素を追跡する手段が必要です。どのようなプロジェクトを計画するにしろ、プロジェクト計画には以下の要素が必要になります。
それぞれの項目がどういうものかわからない場合は、以下の説明をお読みください。
プロジェクト計画に取り組むことには、チームや会社が最終目標を達成することなど、何らかの理由があるはずです。しかし成功を測定する方法がなければ、目標を達成したかを知ることはできません。
すべてのプロジェクト計画には求める結果を明確に設定する必要があります。目標を特定すれば、プロジェクト計画の根拠を明確にできるだけでなく、メンバー全員が共通認識を持ち、求める結果を実現することに集中できます。また、ある調査によると、自分の仕事が会社の目標にどう貢献するのかを知っている従業員はモチベーションが 2 倍も高いことがわかっています。それにも関わらず、従業員のわずか 26% しかそれを把握できていません。それは、たいていの目標設定が実際の仕事から離れた場所で行われるからです。プロジェクト計画の中で目標を定義すれば、チームの仕事をプロジェクトの目標に直接つなげることができます。
一般的に、プロジェクトの長期目標 (goals) は中期目標 (objectives) よりも上位にあります。プロジェクトの長期目標を書くときは、プロジェクトが成功したら何が起きるのか、プロジェクトがビジネスの全体目標にどう合致しているのかをまとめましょう。一方で、中期目標を書くときは、プロジェクトの終わりまでに実現したい具体的な成果物に焦点を置きます。
プロジェクト計画は、プロジェクトの中期目標を通じて、チームが長期目標を達成するために必要な方向性を提供します。長期目標を計画書に直接組み込んでおけば、プロジェクトの最終目標をいつでも確認できます。プロジェクトスコープを定義するときや、プロジェクトスケジュールの概要をまとめるときなどは、長期目標を再度確認し、仕事が主な目標の達成を支えるものであることを確認しましょう。
目標を定義したら、成功の主な評価基準を設定し、目標の達成を測定できるようにしておきましょう。目標は期待する結果を示すものですが、その結果の達成に向かって仕事が順調に進んでいるかどうかを示す成功の評価指標が必要になります。これに一番便利な方法として、SMART (スマート) な目標を立てます。SMART な目標を立てれば、成功の評価指標をわかりやすく、測定可能なものにできるため、プロジェクトの終わりに目標を達成できたかどうかを簡単に確認できます。
たとえば、SEO の専門家を対象とした年次カンファレンスを 6月 22日から 3 日間連続で開催することがイベントの目標であった場合、少なくとも 1000 人の参加者を確保するということを、その目標の成功を判断する評価指標にすることができます。わかりやすく、測定可能な目標です。
プロジェクトを実行する際、大抵の場合はコラボレーターが関与します。プロジェクトマネジメントを計画する際、どのチームメンバーがプロジェクトに関わり、それぞれのメンバーがどんな役割を果たすかを整理しましょう。そうすることで、それぞれのタスクに対して誰が責任を持つかを決定でき (これについては後ほど説明します)、関係者にどのように関与してほしいのかを知らせるのに役立ちます。
このプロセスの中で、関係者に与えるさまざまな役割や担当業務を定義します。たとえば、プロジェクトの成功を担う直接的な責任者は誰にするのか?何かを最終決定する前に関与するべき承認者はいるのか?クロスファンクショナルチームのどのメンバーをプロジェクト計画に含めるべきか?計画に含める必要があるリスク管理の要因はあるか?などです。
誰がプロジェクトを進行させ、誰が決定を承認し、誰がプロジェクトに貢献するかを決定し、プロジェクトの進捗に合わせて誰に情報を伝達する必要があるのかを判断できるように、RACI 図のようなシステムを使うことを検討してください。
そして、すべての役割と関係者をまとめた後に、その文書をプロジェクト計画に含めます。計画を確定したら、プロジェクト計画は部門をまたいで信頼される唯一の情報源となります。
プロジェクトを実行する場合、大抵お金がかかります。コンテンツライティングにフリーランサーを採用したり、イベントにケータリングサービスを依頼したりと、ある程度の費用を支出することになるでしょう。
プロジェクト計画の一部として目標と関係者を定義したところで、今度はその情報を使って予算を立てます。たとえば、複数の部門が参加するクロスファンクショナルプロジェクトであれば、プロジェクトのコストは部門間で分担されるのか?イベントの参加者数や新規ユーザー数といった特定の目標指標がある場合は、提案した予算でその取り組みを実行できるのか?など。
プロジェクト計画の段階で (そして費用が発生する前に) 予算を確立しておけば、承認を得た上で、プロジェクトの実行段階で賢く経済的な決定をすることができます。すでに目標と関係者をプロジェクト計画の一部として確立しているので、その予算を適切に割り当てることが簡単になります。計画があればプロジェクトのどの部分にどのくらいの費用が必要かを判断でき、あとで突然費用が必要になることを防げます。
プロジェクトの計画で重要な部分は、マイルストーンや、達成する内容を示す具体的な目標を設定することです。マイルストーンには開始日や終了日は必要ありませんが、マイルストーンに到達すると、プロジェクトの実行において重要な成果を上げたことになります。マイルストーンは進捗を測定するのに使用します。たとえば、会社の新製品を開発中だとしましょう。試作品の完成というマイルストーンをプロジェクトタイムラインに設定すると、それまでの仕事の進捗を測定するのに役立ちます。
それに対してプロジェクトの成果物は、マイルストーンに到達したときに実際に成果として完成したものを指します。ここで使用されている製品開発の例では、試作品という成果物が出来上がったときにマイルストーンが達成されたことになります。Asana のプロジェクト計画用の無料テンプレートを使えば、成果物やマイルストーンを中心にプロジェクトを簡単に整理できます。そうすることで、チームのメンバー全員がプロジェクトスコープ内の仕事とチームが目指すマイルストーンに対し明確な可視性を得ることができます。
全体的な責任の説明を終えたところで、次は詳細に注目します。プロジェクト計画用のテンプレートで、まずはプロジェクトをタスクに細分化して、プロセスの見落とを防ぎましょう。大き目のタスクは管理しやすくするために、より小さなサブタスクに分割します。
次に、それぞれのタスクやサブタスクに、開始日と終了日を割り当てます。まとまりのあるプロジェクトタイムラインで、すべての仕事がどうつながるかを視覚的に確認できます。関係者を追加して、誰が何をいつまでに担当するかを綿密に計画しましょう。
[記事: プロジェクトのタイムラインとスケジュールを作成して仕事を楽に行う方法]
ほとんどのプロジェクトには複数の関係者が含まれることを先ほどお話ししました。これは人によりコミュニケーションの方法が異なるということでもあります。プロジェクト計画では、その特定のプロジェクトで自分がその人の期待する作業内容をあらかじめ設定できます。チーム全員が現在の状況やプロジェクトの進捗、次に何が起こるかを把握する上で、コミュニケーションプランを設定しておくことは重要です。また、何らかの障害が起こった場合、それに対応するための明確なコミュニケーションシステムがすでに確立されていれば安心です。
コミュニケーションプランを作成する際に、以下の質問を自分に問いかけてください。
プロジェクト計画の他の要素と同様に、コミュニケーションプランもプロジェクト計画の中で簡単に確認できるようにしましょう。関係者と複数部門のコラボレーターは、プロジェクトの計画段階および実行段階でこういったガイドラインを簡単に見つけられる必要があります。
それでは、プロジェクト管理計画がどのようなものかを理解していただくために、マーケティングプロジェクトとデザインプロジェクトの 2 つの例をご紹介します。ご自分でプロジェクト計画を作成する際にご参照ください。
あなたが会社のコンテンツ責任者で、来年公開されるすべてのコンテンツ用にコンテンツマーケティングカレンダーを作成し、配信するのが役目だとしましょう。最初のステップはプロジェクト計画を作成することです。上の図と、下の説明のようになります。
コンテンツカレンダーを作成し、コンテンツの作成を実施することの目標は、エンゲージメントを 10% 向上させることであると設定します。成功の評価指標は、メールの開封率とクリックスルー率、会社の SNS のフォロワー数、コンテンツの検索順位とします。
このプロジェクトには 5 人のメンバーが参加します。
プロジェクト計画と 1 年分のコンテンツに使う予算は $50,000 です。
最初のマイルストーンは 1 年間のすべてのトピックを示すコンテンツカレンダーの作成を完了することです。成果物は共有が可能な実際のカレンダーです。マイルストーンと成果物はプロジェクトスケジュールにはっきりとマーキングしておきましょう。
以下のようにコンテンツカレンダープロジェクト計画のスケジュールを設定しました。
コミュニケーションプランの一環としてキックオフミーティングを行い、次に毎月の進捗共有ミーティングを行います。毎週のステータス更新を金曜の午後に送信します。プロジェクトに関連するすべてのコミュニケーションは、プロジェクト管理ツール内で行います。
この例では、会社のウェブサイトがついにリデザインされ、完全にリニューアルされることになりました。このプロジェクトでは大規模な仕事が必要となり、さまざまな関係者から高い期待が寄せられているため、詳細な計画が必要です。このプロジェクト計画の一例を以下に示します。
プロジェクト計画の全体的な目標は 1 年の終わりまでに会社のウェブサイトのコンバージョンを 15% 増加させることです。成功の評価指標は無料トライアルに登録する毎日の訪問者の数と、登録のコンバージョン率です。
新しいウェブサイトのリデザインの予算は $30,000 です。
リサーチ段階が完了し、Sophie がデザインとコンテンツ (成果物) のおすすめの作成方法を含む報告書を送信したら、最初のマイルストーンに到達します。
コミュニケーションプランには、すべてのタスク、コミュニケーション、アセットを 1 か所で管理できるプロジェクト管理ツールを使用すれば、すべての関係者が見つけやすくなります。仕事を始める前にキックオフミーティングを行い、それぞれのマイルストーンを達成した後にもミーティングを行いましょう。ステータス更新や、仕事リクエストの受信など、その他のコミュニケーションも、プロジェクト管理ツールで行います。
ClassPass のマーケティングオペレーション部門、シニアプロジェクトマネージャーの Kerry Hoffman 氏は、クリエイティブ、グロース、コンテンツの各チームが取り組むすべてのマーケティングプロジェクトを監督しています。以下は、彼女がプロジェクト計画を管理する際の 3 つの主要な戦略です。
[記事: ClassPass の Kerry Hoffman 氏に聞くクリエイティブ制作のベストプラクティス]
おめでとうございます。あなたはこれでプロジェクト計画のプロになりました。いくつかのステップを踏み、少し時間をかけ、色々と整理することで、無事にプロジェクト計画を作成することができます。
これからは、自分やチームの仕事を順調に進め、問題が起これば早期に対処できます。Asana のようなプロジェクト管理ツールを使って、プロジェクト計画のそれぞれのステップを自信を持ってこなしていきましょう。