SWOT 分析とは?やり方と作成のヒントを紹介 (具体例付きテンプレート)

寄稿者 Alicia Raeburn の顔写真Alicia Raeburn
2024年2月14日
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概要

SWOT 分析とは、特定のプロジェクトや全体的なビジネスプランについて、その強み、弱み、機会、脅威を特定する手法です。チームが戦略的に計画を立て、市場のトレンドを先取りするツールとして活用されています。この記事では、SWOT の枠組みを一つずつ解説し、その作成方法を具体例とともにご紹介します。

更新: この記事は、SWOT 分析の目的に関するさらに詳しい記述を含めて 2023年 7月に改訂されました。

競合他社と差をつける方法をお探しですか?それなら、SWOT 分析を用いて経営戦略策定を行いましょう。自社の強み、自社の弱み、機会、脅威を特定する SWOT 分析は、事業戦略プラニングに有効なツールです。

この記事では、外部の機会や内部の強みを探す場合に活用できる SWOT 分析のやり方をご紹介します。SWOT 分析の例も挙げるので、参考にしてみてください。

SWOT (スウォット) 分析とは?

SWOT 分析とは、ビジネスや特定のプロジェクトにおいて、強み、弱み、機会、脅威を特定するために用いられる手法です。SWOT 分析は、中小企業や非営利団体から大企業まで、さまざまな組織で広く利用されていますが、個人的にも仕事上でも利用することができます。

「SWOT 分析」なんて読む?

SWOT 分析は日本語で「スウォット分析」と呼ばれます。また「スワット分析」と表記されることもあります。

その活用の場はさまざまで、ブランドの事業計画やスタートアップ企業の経営戦略、経営資源の最適化など大きなものもあれば、個々のマーケティング戦略などでも利用されている手法です。

SWOT 分析はシンプルかつ競合機会を見出すのに役立つ強力なツールです。このフレームワークを使うと、市場のトレンドを先取りしながら、チームやビジネスの改善に取り組むことができるようになります。

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SWOT 分析の 4 つの構成要素とは?

SWOT (スウォット) 分析の「SWOT」は、強み (Strengths)、弱み (Weaknesses)、機会 (Opportunities)、脅威 (Threats) の頭文字をとったものです。組織の成長を適切に計画するためには、この 4 つの要素をそれぞれ検証することが重要となります。そこで、分析が必要になるのです。

強み (Strengths)、弱み (Weaknesses)、機会 (Opportunities)、脅威 (Threats)

SWOT のフレームワークを合わせて分析すると、現在の状況と次のステップに進むための方法をより詳細に浮き彫りにすることができます。それでは、それぞれの用語をもう少し掘り下げて、改善点の特定にどのように役立つかを考えてみましょう。

Strengths (強み)

SWOT における「強み」とは、パフォーマンスが優れている社内の取り組みを指します。SWOT 分析で言う強みとは、外部の競争力と比較した場合の自社の技術力の高さやノウハウの豊かさ、顧客数の多さなどです。これらの領域を調べることで、何がすでに有効に機能しているかを理解することができます。そして、効果があるとわかっている手法 (強み) を、チームの効率向上など、他にサポートを必要としている領域で活かすこともできます。

自社の強みを調べる際には、まず次のような質問を自分に問いかけてみましょう。

  • 得意なことは何か?

  • この組織のユニークな点はどこか?

  • ターゲット層は、この組織のどこが好きなのか?

【SWOT 分析の例】強み

カスタマーサービス: 自社カスタマーサービスは NPS スコア 90 という点数から、競合他社と比較しても世界トップクラスと言える。

Weaknesses (弱み)

SWOT における「弱み」とは、標準や期待を下回っている社内の取り組みを指します。たとえば、自社の苦手としている分野や予想以上にコストがかかってしまっている事業、時代遅れのシステムなどが SWOT 分析で言う「弱み」です。成功と失敗の基準を作るためには、弱みの前に強みを分析するのがおすすめです。社内の弱みを把握することで、ビジネスやプロジェクトの改善に着手することができます。

強みを調べるのと同様に、弱みの特定を始めるために、まず自分自身にいくつかの質問を問いかけてみましょう。

  • どの取り組みがうまくいっていないのか。また、その理由は?

  • 改善できる点はどこか?

  • どんなリソースがあればパフォーマンスを改善させることができるか?

強みと弱みを分析するには、内部環境をしっかり把握することが不可欠です。組織の内側を正しく分析し、ビジネスチャンスを得るきっかけにしましょう。

【SWOT 分析の例】弱み

インターネット取引の認知度: マーケティング予算の不足によりウェブサイトの認知度が低く、モバイルアプリの取引件数も減少し続けている。

Opportunities (機会)

SWOT における「機会」とは、既存の強みと弱みに加えて、組織を競合他社よりも有利な立場に置くこととなる、外部環境の取り組みから生まれます。その内容は、改善したい弱みや、最初の 2 段階の分析では特定できなかった点などさまざまです。

機会を見つけるには複数の方法がありますが、まずは次の質問に答えてみましょう。

  • どんなリソースがあれば弱みが改善するか?

  • 自社のサービスに市場とのギャップはあるか?

  • 当社の今年の目標は何か?

【SWOT 分析の例】機会

マーケティングキャンペーン: ネット取引の認知度を上げるため、YouTube、Facebook、Instagram に広告を出す。

Threats (脅威)

SWOT における「脅威」とは、問題を引き起こす可能性のある点を指します。内部環境による弱みとは異なり、脅威は外部にあり、一般的に自分ではコントロールできないものです。パンデミック化した新型コロナウイルス感染症の流行や自然災害、競争環境の変化なども「脅威」に含まれます。

外部環境による脅威を特定するために、いくつか質問を問いかけてみましょう。

  • 業界のどのような変化が懸念されるか?

  • どんな市場トレンドの兆しがあるか?

  • 競合他社が当社を上回っているポイントは何か?

記事: リスクマネジメントの基本と 6 つのステップを徹底解説

【SWOT 分析の例】脅威

新たな競合他社: 来月中に新たなネット取引の競合他社が始動予定であり、自社ユーザーの減少が懸念される。

SWOT 分析の目的は?

SWOT 分析の目的とは、内部環境と外部環境を分析し、改善点やビジネスチャンスを見つけることです。

このフレームワークを使って自社の「強み」となる部分は強化し、弱みとなる部分はリスクマネジメントにつなげていくなどの戦略を立てることができます。つまり、戦略の基盤となる部分なので、プロセスの改善やビジネス戦略立案をする前に SWOT 分析を行うことがおすすめです。

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SWOT 分析が重要な理由

SWOT 分析は競合分析と似ていますが、内部要因と外部要因の両方を評価するという点で異なります。機会と脅威を中心とした重要な領域を分析することで、チームを成功に導くために必要な理解や知識を得られます。

SWOT 分析が重要な理由

SWOT 分析が役立つのは組織単位だけではありません。個人の SWOT 分析では、リーダーシップスタイルやコミュニケーションスキルなど、自分の人生の中で改善が必要な領域を調べることができます。どの目的で使用する場合でも、SWOT 分析には以下のメリットがあります。

1. チャンスを見極める

SWOT 分析最大のメリットの 1 つは、成長の機会を見極めることです。改善したいと思っていても、どうやって始めればいいのかよくわからないスタートアップ企業やチームにとって、この分析は最適な出発点となります。

機会は、競争力を高めるために製品を多様化するなどの外部要因や、チームのワークフローを改善するなどの内部要因など、さまざまな方法で得られます。いずれにしても、機会を生かすと、チームの成長につながります。

2. 改善点を特定する

既存のプロジェクトを改善することも、成長を続けるための確実な方法です。SWOT 分析で弱みと脅威を特定することで、よりよいビジネス戦略立案への道が開けます。

最終的には、失敗から学ぶことが成功への近道なのです。効率化できる部分が見つかったら、チームメンバーと協力してアクションプランを練りましょう。そのためには、効果があるとわかっていることを利用し、会社の強みを生かしていくことが大切です。

3. リスクを特定する

リスク登録を行っていてもいなくても、懸念材料になる前にリスクを特定することは極めて重要なことです。SWOT 分析を行うことで、リスクの意思決定プロセスに関与する可能性のある実行可能なアイテムを常に把握することができます。

また、SWOT 分析に加えて、外部環境分析に役立つ別のフレームワークを活用すれば、さらに効果的です。2 つご紹介するので、参考にしてみてください。

  • PEST 分析: 政治、経済、社会、技術という 4 つの要因のマクロ分析を行うフレームワーク。潜在的なリスクを事前に把握するのに役立ちます。

  • ファイブフォース分析: 代替品の存在や業界内競争など、5 つの脅威を分析するフレームワーク。新規参入や新製品のリリース時などに活用したい手法です。

記事: 7 つの戦略計画モデルと計画プロセスをスタートするのに便利な 8 つのフレームワーク

SWOT 分析のテンプレート

SWOT 分析の最も一般的な作成方法は、強み (Strength)、弱み (Weakness)、機会 (Opportunities)、脅威 (Threats) を視覚的に表現することです。この形式は SWOT マトリクスと呼ばれています。SWOT マトリクスは、通常、1 つの正方形を 4 つのマス目に分割するように構成されています。これを SWOT 分析のテンプレートとして活用します。

SWOT マトリクスは、情報を収集し、意思決定に至った経緯を記録するのに適しています。後で参照するのに便利なだけでなく、発生したパターンを視覚化するのにも適しています。

それでは、それぞれの要素で前述した具体例をまとめ、実際に SWOT 分析の例を見てみましょう。

SWOT 分析の例

上段に内部環境の強みと弱み、下段に外部環境の機会と脅威を並べるのが、基本的な SWOT 分析のテンプレートです。それぞれ左側にはプラス要因、右側にはマイナス要因を置くのも一般的です。このマトリクスを正確かつ効果的に使うと、組織の強みと弱みの評価に役立つツールとなります。マトリクスが完成すると、見つけた機会をどうやって実際に実行するかに集中できます。

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SWOT 分析のやり方

SWOT 分析はさまざまな方法で行うことができます。会議でアイデアをボードに書き出すのが好きなチームもあれば、正式な SWOT マトリクスを作成するのが好きなチームもあるでしょう。どのような方法で SWOT 分析を行うにしても、計画過程をクリエイティブにすることで、新しいアイデアが生まれ、よりユニークな解決策に行きつくはずです。

SWOT の 4 つの要素を挙げたら、ひとつひとつを個々に分析するのではなく、各項を掛け合わせて分析してみましょう。クロス SWOT 分析と呼ばれる手法です。たとえば、強みと機会をクロスさせれば、どう自社の強みを使って機会を活かすかを具体的に考えられます。また、弱みと脅威をクロスさせ対策を取れば、マイナスの影響を最小限に抑えることができるはずです。

クロス SWOT 分析のやり方は?

SWOT 分析の構成要素を掛け合わせて戦略の方向性を定めるのが、クロスSWOT分析です。そうすることで、次のようなポイントを見出すことができます。

・強み × 機会: 自社の強みをどうやってビジネスチャンスに活かすか (積極化戦略)

・強み × 脅威: 自社の強みを用いて、どうやって脅威を避けるか (差別化戦略)

・弱み × 機会: ビジネスチャンスを得るために、どの自社の弱みを改善すべきか (改善戦略)

・弱み × 脅威: 脅威を最小限に抑えるためにはどうすればいいのか (防衛、撤退)

SWOT 分析は項目をリストアップすることが目的ではなく、内容をしっかり議論して、実際の戦略に落とし込んでいくことが大切です。

SWOT 分析のコツ

SWOT 分析のコツ

SWOT 分析を徹底して正確に行うには、いくつかのコツがあります。たとえば、チームワークを高められるような人員を集めてチームを組む、時間を有効に使うために事前に準備をする、アイデアの選び方を工夫する、などです。それでは、SWOT 分析に役立つコツをいくつかご紹介します。

ヒント 1: 内部要因を考慮する

内部要因とは、社内のプロセスから発生する強みや弱みのことです。これらは、結果をコントロールできるため、手段があれば解決しやすい傾向にあります。

内部環境分析を行い要因が見つかったら、以下の方法で改善を進めましょう。

  1. 部署の関係者とミーティングを行い、現状をどのように改善するか、ビジネス計画を立てる。

  2. プロジェクト管理ツールなど、これらのプロセスを効率化できる新しいツールを調査・導入する。

内部要因の解決方法は、問題の種類によって異なります。複雑な改善計画であれば、複数の方法を組み合わせて使う必要もあるでしょう。いずれにしても、具体的なデータや数値を用いて、根拠ある分析をするようにします。

ヒント 2: 外部要因を評価する

外部要因とは、社内ではコントロールできないプロセスから生まれるものです。これには、競合他社や市場動向など、外部から組織に影響を与えているものが含まれます。

直接結果をコントロールできない外部要因の解決は簡単なものではありません。しかし、自分のプロセスを変えて、マイナスの外部要因を軽減させることはできます。以下の方法で、外部要因の解決に取り組みましょう。

  1. 市場のトレンドに対抗する

  2. 市場のトレンドを事前に予測する

外部環境をコントロールすることはできませんが、組織がどう対応するかはコントロールできます。そういった意味で、外部環境の分析は重要です。

たとえば、市場のトレンドに対抗しようとする場合を考えてみましょう。競合他社が自社製品を上回る新製品を市場に投入したとします。その製品を奪うことはできませんが、より優れた製品を発売して売上の減少を抑えることはできます。あるいは、市場のトレンドや今後のニーズを予測して、外部要因が発生したときに備えておきましょう。そうすることで、外部要因による影響を最小限に抑えることができます。

ヒント 3: チームでブレインストーミングを行う

革新的なアイデアを生み出すために行うブレインストーミングには、チームワークがとても効果的です。さまざまな部署からチームメンバーを招待すると、社内の各部署からアイデアが集まります。参加者が多すぎると、集中力や参加率が低下する可能性があるので、招待するメンバーの数には注意してください。10 人前後で集まると、生産性の高いブレインストーミングセッションが行えるはずです。

あらゆる仕事を管理できるワークマネジメントツール Asana なら、会議進行中に議事録をリアルタイムで取ることができます。今後のアクションアイテムやすぐにカバーしておきたいタスクなどはその場で作成し、担当者に割り振ることも可能。時間を最大限有効に使うために、Asana を活用しましょう。

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ヒント 4: クリエイティブなアイデアを求める

クリエイティブなアイデアを生み出すには、まずアイデアを募らなくてはいけません。そのためには、楽しいアイデアの出し方を工夫する必要があります。たとえば、匿名のアイデアをランダムに選んだり、明らかに悪い例を話し合ったり、チームビルディングゲームをしてチームの士気を高めたりするなど、さまざまな工夫を凝らすことができます。

ヒント 5: アイデアをランク付けする

楽しい時間を過ごした後は、出たアイデアをランク付けしましょう。この作業は、チームで行うことも、少人数のリーダーだけで集まって行うこともできます。そのためには、ひとつひとつのアイデアを話し合って、10 段階でランク付けするのが一番です。チームの能力と全体的な影響力に基づいて上位のアイデアに合意したら、ビジネスケースを作成して実行に移しましょう。

SWOT 分析 (スウォット分析) で成長計画を立てる

SWOT 分析とは何か、その作成方法と分析するときのコツについてまとめました。このフレームワークは、主要な強み、弱み、機会、脅威を特定するために使われる効果的な手法です。分析結果をチームメンバーと共有し、現在の状況と目指す方向性を理解することで、チームや組織として成長することができます。紹介した SWOT 分析のテンプレートや具体例など、今後の参考にしてみてください。

忘れてはならないのは、ちょっとした創造性とコラボレーションが大きな力になるということです。チームのモチベーションを高める 100 種類以上の名言で、常識にとらわれない発想をチームに促しましょう。

事業戦略を策定するのに有効なその他のツールとして、市場での優位性確保や競合他社との差別化を図る「バリューチェーン」についての記事もご覧ください。

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