7 つの戦略計画モデルと計画プロセスをスタートするのに便利な 8 つのフレームワーク

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2022年1月21日
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概要

ビジネスの 3~5 年先の予定を決定するには、戦略計画が欠かせません。適切な戦略計画モデルとフレームワークがあれば、新たな機会を発見し、リスクを特定し、戦略計画を作成することにより、組織が成功を手にするチャンスを高めることができます。この記事では、最も人気の高いモデルとフレームワークをご紹介し、それらを組み合わせてビジネスに最適な戦略計画を作成する方法についてご説明します。

戦略計画を作成したい、もしくは更新したいという方、この記事ではまさにその方法を解説していきます。戦略計画モデルとフレームワークは、便利なものがいくつもあります。そのうちのいくつかを組み合わせた方がいい場合も多いですが、そのすべてを使用することはできませんし、そうするべきでもありません。

戦略計画は、ビジネス目標を達成するのにとても重宝するツールです。しかし、このツールは、会社の新しい優先事項や市況の変化を反映させるために、更新が必要になる場合があります。既存のモデルを使うのなら、すでに作成されているロードマップを活用するとよいでしょう。選択するモデルによって、あなたの組織にとっては何が一番効果的なのかについて知識を深めたり、それまでは知らなかった強みと弱みを発見したり、競合他社をしのぐ方法を見い出したりできます。

この記事では、最も一般的な戦略計画モデルとフレームワークを取り上げ、それぞれの適切な用途について説明します。また、それぞれの使い方やモデルとフレームワークの効果的な組み合わせに関するヒントもご紹介します。

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戦略計画モデルとフレームワークの違い

まず最初に、これは 1 つしか使えないというものではありません。使用する戦略計画モデルとフレームワークの数は、多くても、少なくても構いません。

組織が戦略計画段階にあるとき、まずは適用したいと思うモデルを 1 つか 2 つ選択するとよいでしょう。そうすると、戦略計画プロセス中に実行するステップの基本的なイメージがはっきりします。

戦略計画モデルとフレームワークの違い

モデルを選ぶ際、戦略計画フレームワークは道具箱の中の道具として考えてください。多くのモデルでは、まず最初に SWOT 分析を行ったり、ビジョンやミッションステートメントを定義することになっていますが、目標によっては、戦略計画プロセス全体を通じて複数の異なるフレームワークを適用した方がいい場合もあります。

Asana で目標を設定し、達成する

たとえば、シナリオベースの戦略計画を使用するのであれば、最初に SWOT 分析や PEST (または PESTLE) 分析を行い、現状をもっと詳しく確認することもできますが、特定した弱みの 1 つが製造プロセスに関係するものだとしたら、制約理論を適用することによってボトルネックを解消し、リスクを軽減するということができるでしょう。

両者の違いがわかったところで、次は 7 つの戦略計画モデルと、それらと一緒に使用される最も一般的な 8 つのフレームワークについて詳しく解説していきます。

7 つの戦略計画モデル

1. 基本モデル

戦略計画の基本モデルは、会社のビジョン、ミッション、ビジネス目標、そして価値観を確立するのに適しています。このモデルは、チームが目標を達成するための具体的なステップをまとめ、順調に目標に向かって進めるよう進捗をモニタリングし、問題が発生した場合にすかさず対処するのに役立ちます。

戦略計画は初めてという方には、この基本モデルをおすすめします。その後、必要に応じて他のモデルも採用することにより、ビジネス戦略を調整したり、書き直したりできます。それでは、この戦略計画モデルがメリットとなるビジネスの種類とこのモデルの適用方法について見て行きましょう。

こんな組織におすすめ:

  • 小さな会社や組織

  • 戦略計画の経験をほとんど、または全く持たない会社

  • リソースの少ない組織

ステップ:

  1. ミッションステートメントを書く。計画チームを招集して、ブレインストーミングセッションを開きます。このステップの早い段階で集められるアイデアが多ければ多いほど、分析フェーズは楽しくなり、やりがいも感じられるようになります。

  2. 組織の目標を特定する明確なビジネス目標を設定することは、チームのパフォーマンス高め、モチベーションにもプラスとなります。

  3. 目標の達成を助力する戦略をまとめる。目標を達成するにはどのようなステップが必要かを自分の中で確認し、それらを長期、中期、短期の目標に分割します。

  4. 上述した各戦略を導入するためのアクションプランを作成する。アクションプランがあると、チームはモチベーションを維持でき、組織は目標に向かってアクションを実行していけます。

  5. 計画の効果をモニタリングし、柔軟に変更していく。どの戦略計画でも同じように、会社が効果的に戦略計画を導入できているか、またどのように調整すればより優れた結果を出せるかを綿密にモニタリングすることが重要です。

2. 課題ベースのモデル

目標ベースの計画モデルとも呼ばれていますが、基本的には戦略計画の基本モデルを拡張したものです。よりダイナミックなモデルで、より包括的な計画の作成を目指す企業にとても人気があります。

こんな組織におすすめ:

  • 基本的な戦略計画を立てたことのある組織

  • 一層包括的な計画を求めている会社

ステップ:

  1. SWOT 分析を行うSWOT 分析を実施して、組織の強み、弱み、機会、脅威を評価し、戦略計画のフォーカスとすべき要素をより詳しく把握します。SWOT 分析の行い方は、後ほど戦略計画のフレームワークのセクションで説明します。

  2. 主要な課題や目標を特定、優先順位を付ける。SWOT 分析の結果を基に、戦略計画のフォーカスとすべき事柄を特定し、優先順位を付けます。

  3. こうした課題や目標に対処するメインの戦略を立てる。このプロセスをできる限りシンプルにするために、一番優先度の高い目標や課題に対処する包括的な戦略を 1 つ作り上げることを目指しましょう。

  4. ミッションとビジョンに関するステートメントを更新または作成する 会社のステートメントが新しい、もしくは更新された戦略に合致していることを確認しましょう。組織の価値観をまだ定義していない場合は、このタイミングで行うとよいでしょう。

  5. アクションプランを作成する。組織の目標、リソースのニーズ、役割、責任に向けた取り組みに役立ちます。

  6. 年次運用計画を定める文書を作成する。このモデルは、戦略計画の導入プロセスを毎年繰り返し行った場合に一番効果を発揮するため、年次の運用計画を使用して、次回に向けて目標、進捗、機会をまとめておくことをおすすめします。

  7. 一年目の運用計画にリソースを割り当てる初年度の戦略計画を導入するのに資金が必要な場合も、専任のチームメンバーが必要な場合も、このタイミングで必要なすべてのリソースを割り当てます。

  8. 戦略計画をモニタリングして改良する。学んだ教訓を運用計画に記録することにより、その内容を後で再度確認し、次回の戦略計画段階に向けて改良することができます。

課題ベースの計画は、1 年ごとに (課題が解決された後はより少ない頻度で) 繰り返し実行できます。計画は、常に組織にとって最適なものであるよう、実行されるたびに更新していくことが重要です。

このプロセス全体を毎年繰り返す必要はありません。それを実行する時点での優先事項に集中しましょう。

3. 整合モデル

このモデルは、戦略的整合モデル (Strategic Alignment Model: SAM) とも呼ばれるモデルで、人気の高い戦略計画モデルの 1 つです。ビジネス戦略と IT 戦略を組織の戦略的目標に整合させるのに役立ちます。

整合戦略計画モデルを適用するときは、重要な 4 つの観点を考慮する必要があります。

  • 戦略の実行: モデルを推進するビジネス戦略

  • テクノロジーのポテンシャル: ビジネス戦略を支える IT 戦略

  • 競争のポテンシャル: 新しい製品やサービスを作り出せる IT の新たな可能性

  • サービスレベル: 組織内で最高の IT システムを作ることに専心するチームメンバー

戦略計画は、このすべての条件を満たすことが理想ですが、何らかの妥協が必要になるでしょう。

以下に、整合モデルを使って戦略計画を作成する方法とこのモデルが適している会社の種類を紹介します。

こんな組織におすすめ:

  • 戦略を微調整する必要がある組織

  • 会社のミッションと整合性がとれない原因を探りたい会社

  • 目標の再評価を行いたい、または成長の妨げとなっている箇所を改善したい会社

ステップ:

  1. 組織のミッション、プログラム、リソースに加え、サポートが必要な領域をまとめる。これらの定義をはっきりさせるまで、ステートメントやアプローチは改善できません。

  2. 社内プロセスのうち、うまく機能しているものとそうでないものを特定する。ボトルネックの原因となり、問題を引き起こしているプロセスや改善の余地のあるプロセスを特定します。そして、どの社内プロセスがビジネスに一番ポジティブなインパクトをもたらしているのか、優先順位を付けます。

  3. ソリューションを特定する。新しい戦略を作成するときは、該当するチームと協力し合い、そのチームの経験や現在の状況に関する観点を活かします。

  4. ソリューションを基に戦略計画を更新する。 戦略計画を更新し、それを導入することがビジネスの改善や成長につながるかどうかをモニタリングします。そうでない場合は、また製図版に戻り、別の新しいソリューションを基に戦略計画を更新する必要があるかもしれません。

記事: IT プロジェクト管理: マネージャーとそのチームへのガイド

4. シナリオモデル

シナリオモデルは、基本モデルや課題ベースのモデルなど、他のモデルと組み合わせて使うと効果を発揮します。このモデルは、特に、社外の要因も考慮する必要がある場合にとても重宝します。社外の要因としては、政府による規制やビジネスに影響し得る技術的な変化、人口統計の変化などが考えられます。

こんな組織におすすめ:

  • 社外の要因に基づく戦略的課題や目標を特定したい組織

ステップ:

  1. 組織に影響を与える外的要因を特定する。たとえば、人口統計や規制、環境などの要因を検討するとよいでしょう。

  2. 上述した要因が原因で組織に起こり得る最悪の事態について考える。自分のビジネスにとっての最悪の事態がどんなものかを把握できていれば、それに備えるための準備もしやすくなります。また、自分が想定したシナリオに似た状況が発生した場合は、そこで生まれるプレッシャーを軽減し、落ち着いて対応できます。

  3. 組織に起こり得る仮説的なシナリオをさらに追加で 2 つ特定し、それらについて話し合う。最悪の事態に加え、最良のシナリオと通常のシナリオも定義しておくとよいでしょう。前のステップで触れた最悪の事態を考慮した結果、組織の状態を改善しようという強いモチベーションが生まれることがしばしばあります。しかし、他の 2 つのシナリオについてディスカッションを行えば、ポジティブな側面、つまり会社がこれから手にする可能性のあるポジティブな機会に焦点を当てることができます。

  4. 戦略やソリューションの候補を特定して提案する。会社が 3 つのシナリオに対応する手段として考えられるさまざまな方法について、チームメンバー全員でブレインストーミングを行います。戦略の提案が終わったら、それぞれの戦略についてチームでディスカッションを行います。

  5. 組織内でよく取り上げられる検討事項や戦略を明らかにする。複数のチームメイトが類似のソリューションを提案するということは十分にあり得るため、チームとして一番のお気に入りを選択するか、一緒に新しいソリューションを考え出します。

  6. 一番あり得そうなシナリオと一番合理的な戦略を特定する。最後に、3 つのシナリオのうち、翌 3~5 年の間に発生する可能性が一番高いものはどれか、また自分の会社は起こり得る変化にどう対応すべきかについて分析します。

5. 自己組織化モデル

有機的計画モデルとも呼ばれる自己組織化モデルは、他のモデルの直線的なアプローチとは少し異なります。またこのメソッドは、かなりの根気が必要になります。

この戦略計画モデルでは、特定の目標を達成することよりも、学習と成長のプロセスに焦点が置かれます。有機的計画モデルは、継続的成長にフォーカスするものであるため、そのプロセスが終わることはありません。

こんな組織におすすめ:

  • 時間をたくさん費やす余裕のある大規模な組織

  • 共通の価値観、コミュニケーション、アイデアの共有を軸とした、より自然かつ有機的な計画手段を好むビジネス

  • 自社のビジョンを明確に理解している会社

ステップ:

  1. 組織文化の価値観を定義し、明らかにするチームは、組織の価値観を明確に理解していないと、ソリューションを意識しながらきちんと物事を考えることができません。

  2. 計画グループが持つ組織のビジョンを周知する。ビジョンを定義して、戦略計画プロセスに関与するすべてのメンバーに伝えます。そうすることにより、全員の考えを会社のビジョンと合致させることができます。

  3. 組織のビジョンを普段から実現させていくには、どのようなプロセスが役立つかについて話し合う。四半期ごとにミーティングを開き、組織をビジョンの実現に近づける戦略や戦術についてディスカッションを行いましょう。

6. リアルタイムモデル

この流動的なモデルは、仕事環境のすばやい変化への対応に追われる組織に役立ちます。リアルタイムモデルには、成功のレベルが 3 種類あります。

  • 組織レベル: 組織レベルでは、機会やトレンドに応じて戦略を立てます。

  • プログラムレベル: プログラムレベルでは、特定の結果や環境の変化に対応する方法を定める必要があります。

  • 運用レベル: 運用レベルでは、社内のシステム、ポリシー、従業員について調べることにより、会社に合った戦略を構築します。

競合他社に対するアドバンテージを見い出すのは、容易なことではありませんが、成功を手にするには絶対に欠かせません。組織固有のアセットや強みであれ、サービスやプログラムの優れた提供の仕方であれ、成功を手にするには、業界の競合他社から差別化できるということが重要になります。

こんな組織におすすめ:

  • 変化する環境にすばやく反応しなくてはいけない会社

  • 組織の戦略との整合性をとるのに役立つ新しいツールを求めている会社

ステップ:

  1. ミッションステートメントとビジョンステートメントを定義する。会社のミッションステートメントやビジョンステートメントを考案する中で行き詰まりを感じることがあれば、他社のものを見てみましょう。Asana のビジョンステートメントをご覧になれば、何らかのアイデアが浮かぶかもしれません。

  2. 競合他社の戦略や市場の傾向を調査、理解し、知識を深める。業界の競合他社を何社が選び、そうした企業が成功を手にした方法について調べます。どのようにして失敗や困難を乗り越えたのか?どのような困難に直面したのか?それは市場でよくあるシナリオか?競合他社について徹底的に調べて知識を深めましょう。

  3. 外部環境について調べる。この時点で、リアルタイムモデルとシナリオモデルを組み合わせて、コントロールできない脅威や機会に対応するためのソリューションを探ることができます。

  4. 社内のプロセス、システム、リソースについて SWOT 分析を行う。チームが考慮する必要のある外部要因に加え、会社の社内環境およびさまざまなシナリオに対応する準備がどの程度整っているかを確認することも重要です。

  5. 戦略を立てる。 SWOT 分析の結果についてディスカッションを行い、組織、プログラム、運用の各レベルにおける成功を実現するためのビジネス戦略を作り上げます。

  6. プロセスを繰り返す。新しい戦略が組織にもたらす効果をモニタリングし、必要に応じて計画プロセスを繰り返すことにより、最高の結果を出し、競合他社の先を行くことも可能となります。

記事: 戦略プランを支える重要成功要因 (CSF) の活用法

7. インスピレーションモデル

この最後の戦略計画モデルは、組織の目標達成を目指すチームにインスピレーションとエネルギーを与えるのに最適です。また、企業が合併または買収された後に、ビジネス戦略を従業員に紹介したり、再度説明したりする場合にとても便利な手段でもあります。

記事: チェンジマネジメントとは?成功するチェンジマネジメントプロセスを構築する 6 つのステップ

こんな組織におすすめ:

  • ダイナミックで、インスピレーション溢れるスタートアップ文化を持つ会社

  • クリエイティブプロセスを再び活性化させるためのアイデアを求めている組織

  • 迅速なソリューションと戦略の転換を求めている会社

ステップ:

  1. 組織の画期的なビジョンについて話し合うためにチームを招集する。このプロセスに召集できるメンバーが多ければ多いほど、たくさんのインプットを集められます。

  2. 社運を賭けた大胆な目標とアイデアについてブレインストーミングを行う。ばかばかしいと思われそうなアイデアでも、躊躇せずに提案するようチームに働き掛けることは、2 つのメリットをもたらします。良くないアイデアを提供してしまうのではないかという懸念を緩和するのと、より重要なメリットとして、チームが常識的な考えをしなくてはいけないと感じていたら、思いつかなかったであろう天才的なアイデアや提案にたどりつく可能性がある、というメリットがあります。

  3. 組織のリソースを評価する。会社に新しいアイデアを導入できるだけのリソースがあるかを調べます。リソースが足りない場合は、戦略を少し変更するか、リソースをもっと割り当てる必要があります。

  4. リソースとブレインストーミングで得たアイデアを両立させる戦略を立てる。極端なアイデアは、すばらしいチャンスへと発展する場合がありますが、大きなリスクを伴う場合もあります。アイデアと戦略の方向性は、きちんと両立させましょう。

記事: 29 個のブレーンストーミングテクニック: 創造力を引き出す方法

それでは、最も一般的な戦略フレームワークを詳しく見ていきましょう。

8. SWOT 分析フレームワーク

人気の高い戦略計画フレームワークの 1 つである SWOT 分析は、機会のある領域とリスクを特定するのにとても効果的な最初のステップであり、成長を遂げると同時に脅威への対応に備えることができる戦略計画を作成するのに役立ちます。

SWOT は、Strengths (強み)、Weaknesses (弱み)、Opportunities (機会)、Threats (脅威) の頭文字をとったものです。以下は、その一例です。

SWOT 分析の例

9. OKR フレームワーク

会社の目標を設定することは、戦略計画を立てる上で重要になります。そこで登場するのが、OKRです。

OKR は、Objective and Key Results (目標と主要な結果) の略です。この目標設定フレームワークは、組織が目標を設定し、達成するのに役立ちます。チームの作業を組織の大局的な目標につなげる目的で使用できるやや総体的なアプローチを提供してくれます。チームメンバーは、自分の個人的な作業が組織の成功にどう貢献するのかを理解すると、モチベーションが高まり、より優れた成果を挙げる傾向があります。

記事: OKR の設定方法

10. バランストスコアカード (BSC) フレームワーク

バランストスコアカードは、財務面のパフォーマンスにだけフォーカスするのではなく、より総体的なアプローチを望む企業に人気の戦略フレームワークです。1990 年代に David Norton 氏と Robert Kaplan 氏によって設計されました。世界中の企業が以下のような目的で利用しています。

  • 目標を伝える

  • チームの日々の作業を会社の戦略に合わせる

  • 製品、サービス、プロジェクトの優先順位を決める

  • 戦略的目標への進捗をモニタリングする

バランストスコアカードには、ビジネスにおける 4 つの主な観点が要約されます。

  1. 顧客またはクライアント。顧客やクライアントの価値観、満足度、維持率などを意味します。

  2. 財務。リソースを使用することの効果と財務面でのパフォーマンスを意味します。

  3. 社内プロセス。会社の質と効率を意味します。

  4. 組織のキャパシティ。組織の文化、インフラ、テクノロジー、人事を意味します。

戦略マップを使用すると、会社がどのように価値を生み出しているかを可視化し、それを伝えることができます。戦略マップは、戦略的目標間における因果関係を示すシンプルな図です。

バランストスコアカードフレームワークは、ミッション、ビジョン、価値観の要約から戦略計画の導入にいたる全工程に使用できる非常に優れたツールです。

Asana で自社の戦略マップを作成する場合は、Lucidchart のようなツールとの連携が便利です。

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11. ファイブフォース分析フレームワーク

リアルタイムの戦略計画モデルを使用しているなら、ファイブフォース分析をフレームワークとして適用すると非常に便利です。このフレームワークを使用すれば、市場参入する前に製品やサービスの競争優位性を調べることができます。

Michael E. Porter 氏が開発したこのフレームワークは、以下 5 つのフォース (競争要因) を認識し、モニタリングする必要があるとしています。

ファイブフォース分析フレームワーク
  1. 新規参入業者の脅威: 新しく市場に参入する業者が現れると、価格とコストにかかる圧力が増します。

  2. 業界内の競合他社: 競合他社の数が多ければ多いほど、市場で製品やサービスの価値を生み出すことが難しくなります。

  3. 売り手の交渉力: 買い手の選択肢が少ない場合や、別の売り手に切り替えることが高価である場合、時間がかかる場合、また困難である場合は、売り手の交渉力が高まります。

  4. 買い手の交渉力: 同じ製品やサービスが別の売り手からも入手できる上に、質がほぼ同じ、もしくは全く同じという場合は、買い手の交渉力が高まります。

  5. 代替品の脅威: 他の企業が市場のニーズをすでに満たしている場合、その企業と競い合うには、より質の高い製品またはサービスを作り出すか、質を下げずにより安価に提供することが必要になります。

業界の構造は、静的なものではないため、戦略計画が動的であればあるほど、市場での競争力が高まることを覚えておきましょう。

12. VRIO 分析フレームワーク

VRIO 分析フレームワークもまた、企業の競争優位性を評価することを意識して設計された戦略計画ツールです。VRIO は、Value (価値)、Rarity (希少性)、Imitability (模倣可能性)、Organization (組織) の略です。

これは、Jay Barney 氏が開発した資源ベースの理論です。このフレームワークを使って企業の固定リソースを調査することにより、企業がそのリソースを持続的な競争優位性に変換できるかどうかを調べることができます。 

固定リソースは、有形のリソース (現金、ツール、在庫など) の場合や無形のリソース (著作権、商標、組織文化など) の場合があります。市場に参入した後にこうしたリソースが実際に企業の役に立つかどうかは、以下 4 つのクオリティによって左右されます。

  • Valuable (価値): このリソースは、収益を増やすことにより、またはコストを減らすことにより、企業価値を生み出すか?

  • Rare (希少性): 使用しているリソースは稀なものか?それとも他の企業も使用でき、同じ製品やサービスを簡単に提供できてしまうものか?

  • Inimitable (模倣可能性): そのリソースは模倣できないもの、つまり代替できないものか?言い換えれば、そのリソースはどの程度ユニークかつ複雑なものか?

  • Organizational (組織): 企業のリソースの価値、希少性、模倣不可能性を活かせるだけの体制は整っているか?

業界の競合他社にして競争優位性を維持するためにも、企業のリソースが上述したすべてのクオリティを満たすことが重要になります。

13. 制約理論 (TOC) フレームワーク

リスクを軽減することや、ビジネスの痛手となり得る課題を発見することを理由に戦略計画プロセスを実施しているのなら、このフレームワークも活用してみましょう。

制約理論 (TOC)は、OKR や KPI の達成を目指す組織の邪魔をする制限要因やボトルネックを特定するのに便利な問題解決向けのフレームワークです。

その制約がポリシーや市場、リソースに関するものであっても、制約理論を適用すれば、潜在的な問題を解決し、課題に対応し、チームが利用可能なリソースを使って作業の質を改善できるようにすることができます。

14. PEST/PESTLE 分析フレームワーク

PEST 分析の意図は、SWOT 分析のそれと似ていますが、外部要因とソリューションにフォーカスする点が異なります。ビジネスの成功に結び付く外部要因を定義するのに役立つため、シナリオベースの戦略計画モデルと組み合わせて使うフレームワークとして重宝します。

PEST は、Political、Economic、Sociological、Technological の各要因の頭文字をとったものです。ビジネスモデルによっては、このフレームワークを拡張して、法的要因と環境要因も含めるとよいでしょう (PESTLE)。PESTLE 分析には、以下の要因を含めるのが最も一般的です。

  • Political (政治的要因): 税、貿易品の税率、対立

  • Economic (経済的要因): 利率、インフレ率、経済成長パターン、失業率

  • Social (社会的要因): 人口統計、教育、メディア、健康

  • Technological (技術的要因): コミュニケーション、情報技術、研究開発、特許

  • Legal (法的要因): 規制機関、環境規制、消費者保護

  • Environmental (環境要因): 気候、地理的位置、環境オフセット

15. Hoshin Kanri (方針管理) フレームワーク

Hoshin Kanri は、戦略的目標を伝え、導入するのにとても適したツールであり、組織全体で戦略計画プロセスに取り組む計画システムを指します。この用語は日本語の「方針管理」から来ており、ポリシー管理としても知られています。

この戦略計画フレームワークは、幹部チームが長期目標を定義することから始まり、それが社内の各チームメンバーに結び付けられ、そして伝達されるトップダウンのアプローチです。

進捗をモニタリングするための会議を定期的に開き、各チームメンバーの働きが会社の包括的な目標に合致するようにタイムラインを更新します。

戦略的目標にこだわりましょう

起業したての中小企業にとっても、何十年もの経験を持つ非営利団体にとっても、戦略計画は成功を目指すジャーニーに欠かせないステップの 1 つです。

チームが戦略的目標を定義、整理、かつ導入することを支援するツールをお探しの方、ぜひとも Asana におまかせください。目標設定に便利な Asana の機能を使えば、1 か所ですべてのチームメンバーをつなぎ、進捗を可視化し、目標に向かって前進していけます。

Asana で目標を設定し、達成する

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