OKR の設定方法

成功している企業を見ると、それはその企業のビジネスの核となるアイデア、つまりコアアイデアのおかげだと考えがちです。Intel はマイクロチップを発明し、Netflix はオンデマンドの動画ストリーミングサービスの草分けであり、Google は近代的な検索エンジンを構築しました。でもアイデアだけではそこまでの成功は実現しません。

ちぐはぐしたスタートアップ企業を業界のトップ企業に成長させるものは、元のアイデアではなく、その実行方法であることがよくあります。

たとえば、Google は検索エンジンの代名詞的な存在ですが、それは Larry Page 氏と Sergey Brin 氏が真新しく素晴らしいアイデアを持っていたからではありません。Google は実に、インターネットの黎明期に登場した 18 個目の検索エンジンでした。Google が競合他社を超えることができた理由は、Page 氏と Brin 氏が並外れたフォーカスと透明性をもって実践したビジョンの実行方法にあったのです。

Google が掴んだ成功を振り返った Page 氏は、同社に成功をもたらした主な要因として、Andy Grove 氏が提唱した OKR (目標と主要な結果) を挙げています。

「OKR のおかげで、私たちは一度ならず、10 倍の成長率を達成した」と Page 氏は 2018年に Doerr 氏との共著『Measure What Matters 伝説のベンチャー投資家が Google に教えた成功手法 OKR』で書いています。「"世界の情報を整理する"という、大胆不敵なミッションの達成が見えてきたのも、OKR の功績だ」

[記事: OKR とは?]

目標を設定することは、本当に意味のあることなのでしょうか?簡単に言うと、答えは「イエス」です。この目標を設定する手法を使っている組織は、プロジェクトや取り組みの実行力向上による恩恵を継続的に享受しています。明確な目標があれば、素晴らしいアイデアを効果的により良いビジネスへと変えることができるのです。

目標の導入はハードルが多いものですが、必ずしも複雑ではありません。必要なのは一貫性、熱意、計画です。目標を単なる名案から持続的で長期にわたる実践的なマネジメントシステムへと変える方法をご紹介します。

ステップ 1: 事業に合ったルールを設定する

OKR は基本構造が柔軟に設計されているため、ほぼすべての目的に当てはめられます。OKR を融通が利かない枠組みと捉え、既定のメソッドから外れないようにする組織も多いのですが、これは失敗への近道です。

目標設定の手法を導入する前に、社内における OKR の役割について、基本的なルールを設定することをおすすめします。これらのルールは目標がチームや組織でどのように機能するかを定義するものです。具体的には、設定の頻度、チェックインプロセス、そして目標の作成という 3 つの要素を考慮する必要があります。

  • 設定の頻度: これは単純に、目標を設定する頻度を指します。私たちの経験上、年 1 回の頻度で目標を設定すると、戦略の柱となり、最も効果的です。しかし、動きの速い組織の場合は、半年ごとや四半期ごと、あるいは 1 か月ごとなど、目標の設定頻度をもっと頻繁にすることもできます。
  • チェックインプロセス: これは進捗を更新してレビューするためのスケジュールで、これも組織によって最適なスケジュールは異なります。目標が大きくて進行が緩やかなら、2 週間ごとや月 1 回のチェックインで十分でしょう。しかし、目標が小さく、進行が速い場合は、もっと頻繁にチェックインを行う必要があります。
  • 作成: 基本的には、トップダウン (経営陣が目標と主要な結果の両方を設定する)、ボトムアップ (個々の従業員が目標と主要な結果の両方を設定する)、およびハイブリッド (経営陣が目標を設定し、個々の従業員が主要な結果を設定する) という 3 種類の基本的なモデルがあります。最適なモデルは会社の規模と構造により異なります。

ステップ 2: 会社全体の目標を共同で作成する

プログラムの基本的なルールを設定したら、組織全体にフレームワークをロールアウトする準備は完了です。OKR は目標 (O) と主要な結果 (KR) の略称です。「[目標]を目指し、達成度を[主要な結果]によって測定する」のように 1 行で要約できるものにしましょう。

まず、組織のトップレベルの目標を共同で作成することから始めます。これらは今後 1 年間の戦略の柱となり、会社のミッションの成功につながる、重要で本質的な活動です。組織全体の関係者からアイデアを集め、経営幹部による綿密な分析により絞り込みます。

しかし、提案内容が制御不能にならないよう気を付けてください。さまざまな視点を持つ人々が会話に多く参加するほど、目標の数は瞬く間に膨れ上がります。

会社全体の目標として優れている例は次のとおりです。

できるだけ頻繁に、検証可能で、明確に測定できるように目標を設計します。目標サイクルが完了したときに、各目標を達成できたかどうか、はっきりとした結論を下せる必要があります。

ステップ 3: 会社全体で目指す主要な結果を設定する

会社全体の目標を決定したら、達成へ向けた進捗を追跡する方法を考える必要があります。ここで主要な結果を設定します。

主要な結果を作成するためには、SMART の手法を使ってみましょう。SMART とは、5 つの単語の頭文字をとったものです。

  • Specific (具体的): 具体的に何を目指しているのか?
  • Measurable (測定可能): 主要な結果を達成したかどうか、どのようにして評価するのか?
  • Achievable (達成可能): この主要な結果は、無理なく達成できるものか?ストレッチゴールであっても、達成可能なものでなくてはなりません。
  • Realistic (現実的): この主要な目標は、使えるリソースと時間で現実的に達成できるものか?
  • Time-bound (期限がある): この主要な目標には、明確なタイムラインと終了日があるか?

[記事: よりよい SMART な目標作成のためのヒントと実例]

主要な結果は挑戦し甲斐のあるものでなくてはなりません。確実に成功するとわかっていると、それに向かって努力しないからです。他の企業と同じく、Asana では OKR の第一人者であり、著名な投資家でもある John Doerr 氏のアドバイスに従い、各期間における主要な結果の 70% を達成することを目指しています。それ以上を達成できる場合、計画が慎重すぎたことがわかります。

[記事: 達成可能な目標を設定する 3 つの方法]

各主要な結果において、KR の達成、一部達成、達成失敗のそれぞれの意味について共通認識を持つようにしましょう。結果を期間終了後に測定することで最大限の効果が得られます。また、成功の意味を明確にしておけば、チームは経時的に目標設定プロセスを洗練し、調整することができます。

Step 4: チームと個人で目指す主要な結果を設定する

この目標設定の手法を最大限に活用するには、会社の目標が組織全体に行き渡り、個々のチームや個人の仕事の指針となる必要があります。

目標を設定しても、四半期またはその年が終わるまでその目標を再確認しないという会社がとても多く見られます。しかし、目標が日々の仕事につながっていないと、仕事の照準がずれ、チームが目標を達成するモチベーションを失ってしまうという状況が起こりやすくなります。逆に、調査によると、自分の仕事が組織の目標にどう貢献するのかを理解している従業員は、モチベーションが 2 倍も高いことがわかっています。

したがって、社内で適切な目標を設定するには、日々の仕事を会社全体の目標に確実につなげる必要があります。これを簡単に行う方法の 1 つに、ハイブリッドの目標を使用するという方法があります。このアプローチでは、エグゼクティブレベルのチームが会社の目標を設定し、個々のチームが主要な結果を設定します。チームに独自の KR を設定する自主性を与えると、そのチームは、最高の成果を上げるにはリソースと努力を何に注ぎ込めばよいのかをより深く理解することができます。

ステップ 5: 仕事を進めながら目標を追跡する

組織の目標と主要な結果を定義したら、その目標を達成するためにあなたやチームが取り組むべきプログラムやプロジェクトを選ぶ番です。

目標を設定するメリットの 1 つは、組織全体で優先順位設定をスケーリングできることです。目標を、それを達成するために成すべき仕事と結びつけることによって、目標への進捗を報告し、達成を妨げる可能性のある問題に対処しやすくなります。

組織の目標と日々の仕事をつなげることはまた、従業員の仕事へのモチベーションを維持します。誰でも自分の仕事に意義があるのか知りたいものです。それを示す最善の方法が、それぞれの仕事を全体の目標とつなげることです。日々の業務がビジネスの展望の中にどう位置づけられるのかを理解すると、従業員にベストを尽くそうという意欲が生まれます。

[記事: OKR のメリットを最大化する]

目標の進捗情報は定期的に確認する必要があります。目標をスライド資料やスプレッドシートで設定するのではなく、会社の目標と主要な結果を簡単につなげる目標設定プラットフォームに投資しましょう。そうすることで、各チームは自分たちの仕事が会社の目標をどのように前進させているのかを知ることができます。

ステップ 6: プロセスを改善する

計画していたサイクルが終了しても、まだ終わりではありません。すぐに次のサイクルに入る前に、チームに、立ち止まって自分たちの主要な結果について評価させてください。個人も、自分が担当する主要な結果を責任をもって評価し、その評価について説明する簡単なレポートを書く必要があります。

すべての KR を達成できなくても大丈夫です。実際、すべての KR を達成するチームは目標設定に慎重過ぎた可能性があります。Asana では、KR の 70% を達成することを目標にしています。

全員が主要な結果の評価を行ったら、マネージャーはその結果を集め、目標の中に組み込みます。OKR を設定する多くのメリットの 1 つは透明性です。マネージャーは目標の評価を行ったら、総合的な結果を組織全体に共有することをおすすめします。

評価が完了したら、そのサイクルで何がうまくいかなかったかを掘り下げ、何が成功したかを記録します。これで、今後のサイクルでは強みをそのまま生かし、弱いところを補強できます。目標や主要な結果のいずれかを達成できなかった場合は、チームで検討会を開き、反省と学びの機会にします。

目的地だけでなく、その道のりにも注目しましょう

目標を設定する際に注目すべきことは、目標サイクルの終了時に仕事を完了させられるかどうか、ということだけではありません。むしろ、OKR を設定するということは、目標の考え方、仕事と会社の目標をつなげる方法、そして最終的に最も野心的なプロジェクトに照準を合わせて実行する方法を定義するフレームワークを構築しているのです。

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