OKR と KPI は、どちらも目標管理手法ですが、目標達成に向けたサポートの形が異なります。OKR は目標設定のフレームワークであり、KPI は目標の達成度合いを追跡するものです。この記事では、これらのフレームワークのメリットを組み合わせて、パフォーマンスを向上させる方法をご紹介します。
更新: この記事は、OKR と KPI の違いに関するさらに詳しい記述を含め、2025年 4月に改訂されました。
OKR と KPI は一見すると、一見するとただのアルファベットの羅列に見えるかもしれませんが、実は「最終目標」の達成に向けて、組織全体の方向性とエンゲージメントを高めるために欠かせないフレームワークです。効果的な目標の設定は、チーム全員のモチベーションを維持し、やりがいのある環境を作ります。また、その目標に対する進捗状況を把握することで、課題の早期発見や成果の共有、成功の祝福までは可能になります。
そこでこの記事では、OKR (目標と主要な結果) と KPI (重要業績評価指標) の違いを明確化し、それぞれの特徴や活用法をまとめます。両者のメリットを活かし、ときには組み合わせながら、戦略的にビジネス目標を設計、運用しましょう。
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OKR (目標と主要な結果、Objectives and Key Results) は、ビジネス目標と、それを達成するために実行できる測定可能な一連の方法を組み合わせたものです。OKR は、長期的なキャリア目標、四半期ごとのチーム目標、個人的な目標など、多くの目的に使用できます。
OKR を設定する際には、次の形式に従って文章を作成しましょう。
[主要な結果] に基づき測定される [目標] を達成する。
ここで言う「目標」とは、簡単に達成できるものであれ、遠大なものであれ、達成を目指すゴールのことです。「目標」の例を見てみましょう。
顧客維持率を向上する
ウェブサイトのコンバージョン率を向上する
クオリファイドリード (品質が保証された見込み客) を獲得する
一方「主要な結果」は、目標達成に向けて計画する測定可能な指標です。主要な結果は、各目標に対して複数設定することができます。ここで言う「主要な結果」は、KPI とは異なり、必ずしも定量的である必要はありません。「主要な結果」の例は次のようなものです。
ポイントプログラムを導入する
ウェブサイトに良質なコンテンツを追加する
CRM ソフトウェアをアップグレードする
OKR のフレームワークは柔軟ですが、企業の OKR は他部署やチームメンバーの OKR と連携することでより効果を発揮します。Asana の調査によると、34% のチームメンバーが、自分の仕事が企業全体のミッションとどのように結びついているかを理解できれば、仕事に対するモチベーションが高まると回答しています。チームメンバーのモチベーションが高まれば、仕事もはかどり、目標達成率も向上します。
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KPI (重要業績評価指標、Key Performance Indicator) とは、ビジネス目標やプロジェクトを追跡し達成度を測るための、定量的な成功指標です。組織のビジョンや戦略とのつながりを意識して KPI を設定することで、意味のある行動指針となります。
KPI は、プロジェクト、プログラム、その他企業のイニチアチブの進捗確認と評価に役立ちます。ただし、KPI それぞれ達成したい目標によって変化します。たとえば、SNS キャンペーンと IT プロジェクトでは目的も性質も異なるため、同じ KPI を使うのはおすすめできません。ビジネス目標とのつながりを意識しながら、各イニシアチブに最適な指標を選ぶことが重要です。
効果的な KPI を設定するには、以下のような要素を備えているかを確認しましょう。
KPI を設定したら、イニシアチブの実行期間を通じて継続的にモニタリングし、進捗確認を行うことが必要です。進捗が想定どおりなのか、遅れているのか、あるいは改善が必要なのかを判断し、柔軟に見直していきましょう。
プロジェクト管理ツールを使用すると、KPI の管理方法を効率化でき、プロジェクトの関係者間でリアルタイムに情報を共有できます。これにより、長時間の進捗会議に頼ることなく、全員が目標に対する現状を正確に把握できるようになります。
OKRとKPIは、どちらも目標管理に欠かせない手法ですが、その役割と使い方には明確な違いがあります。
OKR は企業やチーム、さらには一人ひとりの個人の目標にも活用できる柔軟なフレームワークですが、企業ではより大胆でアグレッシブな目標に OKR を使うことが多いようです。とはいえ、BHAG (社運を賭けた大胆な目標) よりは野心的でない方がよいでしょう。何年も続く OKR もありますが、ほとんどの場合、一年以内が最も適した長さです。そうしないと、OKR は徐々に大きくなり、対処が難しくなります。
一方、KPI は目標達成に向けたパフォーマンスを定量的に測る指標です。KPI は、ビジネスの健全性を継続的に評価したり、成長パターンを追跡したり、特定の施策の効果を判断したりと、よりシンプルかつ具体的な数値を通じて成果を確認するのに適しています。たとえば、マーケティングキャンペーンの成果測定や、進捗の遅れたプロジェクトの問題点を発見および修正する際にも役立ちます。さらに、古い取り組みの方向転換や将来の戦略見直しなど、KPI は継続的な改善活動にリンクする重要な役割も担います。
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通常、目標設定のプロセスは、ブレインストーミングを行い、OKR の「O」にあたる全体の目標 (Objectives) を定めるところから始まります。そしてその目標を達成するための「実行可能なステップ」(主要な結果) を設定します。OKR の設定が完了したら、進捗を定量的に追跡するために、必要に応じて各 OKR に KPI を紐づけると効果的です。
OKR と KPI は併用することもできますが、単独でも活用できます。たとえば、顧客満足度の向上が目標であれば、カスタマーサービス担当者を増員し、カスタマーレビューを記録することが主要な結果となるでしょう。このような OKR は定量化できないので、KPI によるサポートは必要としません。
OKR や KPI に加えて、目標管理のフレームワークには KGI (Key Goal Indicator) や MBO (Management by Objectives) もあります。KGI は最終的な成果やゴールそのものを示す指標で、KPI や OKR の目標が KGI の達成につながるように設定されます。一方、MBO は、上司と部下が合意した目標に基づいて業績を評価する手法で、人事評価や報酬制度と強く結びついているのが特徴です。OKR は組織全体の方向性やエンゲージメントに重点を置くのに対し、MBO はより個人の達成度に焦点を当てます。目的に応じて使い分けることが効果的です。
企業が大局的な OKR を設定した場合、それを部門別や個人別の OKR に小分けすることで、目標をより達成しやすくできます。また、このような OKR の構成を作ることで、全員の OKR が主な目標につながるようになります。
たとえば、SaaS (サービスとしてのソフトウェア) を販売している会社の OKR が「業界のマーケットリーダーになること」だとします。そのためにあなたは、会社の経営陣と協力して、この目標を達成するために実行可能な方法を、部門に応じていろいろと考えることになります。この例では、「業界のマーケットリーダーになる」という会社の OKR を支える 2 つの OKR として、現在のウェブサイトの改善 (製品チーム) と顧客の獲得 (マーケティングチーム) が挙げられます。この場合、マーケティング部門と製品部門は、それぞれ別の OKR で会社の OKR をサポートすることになります。これには、新しいウェブサイトの開発やオンライン集客キャンペーンの実施などが含まれます。
会社の目標: SaaS 業界のマーケットリーダーになる
主要な結果 1: ウェブサイト 2.0 版を公開する
主要な結果 2: 第 3 四半期に 1,000 人の新規顧客を獲得する
マーケティングチームの目標: すべてのデジタルプラットフォームでターゲット層へのリーチを広げる
主要な結果 1: Facebook、LinkedIn、Instagram で有料広告キャンペーンを設定する
主要な結果 2: ウェブサイトや SNS に掲載する良質な SEO コンテンツを作成する
製品チームの目標: パフォーマンスの高いウェブサイトを開発する
主要な結果 1: プロダクトバックログを利用して現在のウェブサイトをデバッグする
主要な結果 2: デザイナーと協力して、ウェブサイトのレイアウトを刷新する
それぞれの部門内では、チームメンバーが部門の OKR をサポートする個々の OKR を作成できます。これらの小さな目標は、ウェブサイトのコーディングやコンテンツ開発などのタスクに適用されます。
KPI が効果を発揮するためには、4 つの要素が必要です。これらの構成要素には、測定可能な目標、目標達成に設ける期間、モニタリングに使われるデータソース、およびモニタリングの頻度が含まれます。
生産能力や新規インバウンドリードなど、ターゲットの指標だけが記載されている KPI をよく見かけます。しかし、4 つの要素による背景情報がなければ、なぜ対象の指標をモニタリングするのか、どのように測定するのかさえも、明確になりません。
次に、部門別に分類された KPI の例をご紹介します。これらの例には、それぞれ上記の 4 つの要素が含まれています。
セールス部門の KPI の例:
第 4 四半期末までに 20 件の新規インバウンドリードを獲得する。顧客関係管理 (CRM) ソフトウェアを使用し、毎週進捗を確認する。
第 4 四半期にリードのレスポンスタイムを平均 2 日短縮する。レポートソフトウェアを使用して、リードのレスポンスタイムを毎日追跡する。
マーケティング部門の KPI の例:
第 4 四半期にリードあたりのコストを 0.50 ドル削減する。プロジェクトを計画するたびに、リードあたりのコストを計算する。
第 4 四半期に新規顧客を 100 人獲得する。プロジェクト管理ソフトウェアを使用して、顧客基盤の継続的な状況を記録する。
プロジェクト管理の KPI の例:
第 4 四半期に生産能力 85% 以上を維持する。Asana ワークロードを使用して、毎週の生産能力を追跡する。
第 4 四半期にすべてのプロジェクトで 10% 以上の投資収益率 (ROI) を達成する。Asana を使用して、プロジェクト予算の見積もりと実際のプロジェクトコストを追跡し、ROI を計算する。
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OKR と KPI のどちらを選ぶ際に「正解」や「不正解」はありません。どのフレームワークが適しているかを決めるには、自分の意思をはっきりさせる必要があります。現在のプロジェクトや過去のイニシアチブを改善したいのであれば、KPI が最も適しています。KPI を使うと、指標をニーズに応じてカスタマイズし、リアルタイムで進捗を確認できます。
会社が大きな目標の達成を目指している場合は、OKR の方が適しています。その大きな目標を、組織内の誰もが参加できる実行可能な要素に小分けできます。また、OKR を活用すると、チームのモチベーションを維持しながら目標に向かえます。
OKR と KPI のどちらか 1 つを選ばなければいけないというわけではありません。この 2 つのフレームワークを組み合わせて目標を設定し、測定すると、最適な業績を実現できます。
記事: 目標管理制度 (MBO) とは?手順、メリットとデメリットOKR と KPI は成功の測定に役立ち、成功に対する期待感を高めます。また、これらのパフォーマンス管理手法を活用すると、チームのモチベーションが高まり、全員が重要なことに集中できるようになります。
ワークマネジメントソフトウェアにイニシアチブと業績評価指標を入力すると、チームメンバーは自分の仕事が会社の全体像とどのように結びついているかを明確に把握できるようになります。こうすることで、結果として、社内で起こる対立を減らし、組織内でチームの足並みを揃えられます。
Asana で目標を設定し、達成するA: はい、OKR と KPI は併用可能です。OKR で目指す目標と主要な結果を定め、進捗をKPIで数値的に追跡することで、効果的な目標管理が実現できます。