効果的なプロジェクト目標の立て方 (実例付)

プロジェクトが終了したら、次にするべきことは何でしょうか?

プロジェクトは成功したのか。目標は達成できたのか。それともターゲットに到達しなかったのか。プロジェクト目標が何であるかを確認するシステムがないと、これらの答えはすぐにはわからないかもしれません。

プロジェクト目標を作成するのは難しいことではありません。しかし、プロジェクトの成功を評価しやすい、測定可能な手段となる目標を設定する必要があります。このガイドは、初めてプロジェクト目標を作成するお手伝いをし、あなたのプロジェクト管理スキルをパワーアップします。

プロジェクト目標とは何か?

プロジェクト目標とは、プロジェクトの完了までに何を達成するかという計画です。これには、成果物やアセットをはじめ、さらには効率やモチベーションの向上といったより漠然とした目標も含まれる場合があります。プロジェクト目標は達成可能で、期限があり、プロジェクトの終了時に測定できる具体的な目標である必要があります。

プロジェクト目標はプロジェクト管理の重要な要素です。プロジェクト目標がなければ、プロジェクトの前やその進行中にプロジェクトのゴールを伝える簡潔な手段もなければ、プロジェクトの終了後に達成度を評価する測定可能な方法もないことになります。

プロジェクト目標を決めるのは初めてという方のために、プロジェクト目標と、プロジェクト管理のその他の要素との相違点を説明します。

プロジェクト目標とプロジェクトゴールの違い

同じ意味で使っているチームもあるかもしれませんが、プロジェクト目標とプロジェクトゴール (長期目標) には明確な違いがあります。一般的に、プロジェクトゴールはプロジェクト目標よりも上位にあり、プロジェクトが成功したらどうなるのか、そしてそのプロジェクトがビジネスの全体目標にどう当てはまるのかの全体像を示すものであるべきです。

一方、プロジェクト目標はプロジェクトゴールよりも詳細で具体的です。ビジネスの目標に影響を与える可能性のあるプロジェクト目標も少なくありませんが、プロジェクト目標はプロジェクト終了時の具体的な成果物をより重視しています。

  • プロジェクト目標の例: 製品内でお客様がフィードバックフォームを見つけられる方法を、今後 2 か月以内で新たに 5 通り追加する。

  • プロジェクトゴールの例: エンジニアリングチームによる顧客フィードバックの受け取りと回答をより簡便にする。

プロジェクト目標とビジネス目標の違い

プロジェクト目標とは、その名の通り、個々のプロジェクトの目標や成果の指標です。プロジェクト目標は該当するプロジェクトに関連し、プロジェクトの成果を評価する際に、チームの目安になる具体性を持つ必要があります。

ビジネス目標は単独のプロジェクトよりも一回り大きな概念です。プロジェクト目標と異なり、ビジネス目標はビジネスを進行させ、スピードを増進させます。それは会社や部門全体の長期的なガイドラインでなければなりません。ビジネス目標は会社にとって四半期や 1 年間のゴールの指針となり、目標と主要な結果 (OKR) などの、チームが採用する目標設定メソッドに従って作成するべきものです。

  • プロジェクト目標の例: 今四半期末までに、会社の NPS (ネットプロモータースコア) を 62 まで上げる。

  • ビジネス目標の例: 業界のトップサービスプロバイダーになる。

プロジェクト目標とプロジェクト計画の違い

プロジェクト計画とは、プロジェクトのゴールや目標の実現に必要な、チームが達成すべき主なタスクなどの要素をまとめた青写真です。しかしプロジェクト計画にはプロジェクトの関係者、成果物、タイムラインなど他にもいくつか重要な要素が含まれていなければなりません。

プロジェクト計画を構想する前に、まずプロジェクト目標を作成することを考えましょう。というのは、プロジェクト目標によって成果物や成功指標などのプロジェクト計画のその他の要素が決まってくる可能性が高いからです。ただし、プロジェクト目標を作成したら、プロジェクト計画に含まれる形でその内容を関係者に共有することになるでしょう。

プロジェクト目標とプロジェクトマイルストーンの違い

「目標」と「マイルストーン」はどちらもプロジェクト内のターゲットであり、一見、同じもののようですが、プロジェクトマイルストーンは一般に、プロジェクト目標よりも規模の小さなものを指します。

プロジェクトマイルストーンとは、プロジェクトのタイムライン上の特定の達成事項を示すチェックポイントです。マイルストーンそのものは仕事を示すのではなく、一連のタスクが達成されたことや成果物の完成の記録です。プロジェクトマイルストーンは重要ですが、プロジェクト全体に関連するのはプロジェクト目標です。

  • プロジェクト目標の例: バーチャルイベントの参加登録の最終日 (6月 23日) までに、20,000 件の予約を獲得する。

  • プロジェクトマイルストーンの例: 2021年 6月 8日: 近日実施予定のバーチャルイベントのウェブページプロモーションを稼働。

プロジェクト目標とプロジェクト成果物の違い

プロジェクト成果物とはプロジェクトの完了時に完成させたいアセットです。たとえばマーケティングキャンペーンなら、成果物は新しい広告やウェブページなどになります。通常、プロジェクト目標は成果物を定義するものであり、成果物よりも範囲が広くなります。

プロジェクト目標では成果物を特定する他に、そこから得られるメリットや結果の定義も行います。これは特に、こうしたメリットや結果がプロジェクトゴールやビジネス目標のより大きな計画に関わるためです。

  • プロジェクト目標の例: 顧客の他社乗り換え率を年度末までに 1% 未満に減少させる。

  • 成果物の例: すべての休眠顧客を対象に顧客復活 (ウィンバック) キャンペーンを立ち上げる。

プロジェクト目標のメリット

明確なプロジェクト目標を持つことで、プロジェクトで何を目指しているのかが把握しやすくなります。プロジェクト目標なしでは、プロジェクトの成功や失敗を判断する簡単な方法もなく、次のプロジェクトでの改善策も計画できません。

チームメンバーは、自分の仕事がより大きなプロジェクトゴールや会社のゴールにどう貢献するのかを明確につかんでいないと、モチベーションや集中力が下がってしまいます。Asana ゴールのレポートによれば、自分の仕事が会社のゴールにどう貢献するのか、はっきり理解しているナレッジワーカーはわずか 26% に過ぎません。確かにプロジェクト目標は会社のゴールではありませんが、個人の仕事をプロジェクトの仕事、そして会社のゴールにつなげる中間ステップになります。

プロジェクト目標を明確に定義することで、チームメンバーは自分の仕事を一貫した方法で評価し、足並みが乱れた場合には、照準を合わせ直すことができます。プロジェクト目標は、チームが正しい方向に進み続けるための羅針盤だと考えましょう。

SMART なプロジェクト目標を立てるための 5 つのヒント

SMART (スマート) とは普通、知力があることを指しますが、ここでは SMART なシステムを意味します。SMART とは明確で達成可能な目標を確実に立てるために役立つヒントの略語です。SMART な目標は、あらゆる種類のチームによって、特にプロジェクト管理の中でさまざまに活用されます。SMART とは次のことを表します。

  • Specific (具体的)
  • Measurable (測定可能)
  • Achievable (達成可能)
  • Realistic (現実的)
  • Time-bound (期限がある)

SMART なプロジェクト目標を設定すれば、チームにとって役に立つ明確な目標を確実に立てることができます。以下ではその方法をご説明します。

1. プロジェクトの開始時にプロジェクト目標を設定する

プロジェクト目標をプロジェクトの結果の指針として使用するには、プロジェクトの開始時に設定して、それに基づいてプロジェクトを進める必要があります。前述のように、プロジェクト目標は、同じくプロジェクトの開始時点で作成するべきプロジェクト計画の主要な要素です。

2. 目標設定のプロセスにプロジェクトチームを参加させる

賛同メンバーが多いほど、プロジェクト目標は成功しやすくなります。プロジェクト関係者がプロジェクト目標を明確に理解していれば、プロジェクト目標以外のプロジェクト計画や、プロジェクト中に発生する仕事に最大限効果的に取り組むことができます。

3. 簡潔かつ明快なプロジェクト目標のステートメントを作成する

初めてプロジェクト目標を作成する場合、あらゆる詳細を記載したくなるものです。しかし、可能であればプロジェクト目標は短くまとめるようにしてください。プロジェクトの結果を導くステートメントだと考え、長さは 1 行か 2 行程度にします。プロジェクト予算や関係者などの追加の情報はプロジェクト計画の中に含めます。

4. 確実にコントロール可能な目標にする

ここで SMART の略語が役立ちます。明確に定義されたプロジェクト目標を作成するには、SMART の枠組みに従う必要があります。これによって、プロジェクトは具体的な成功の指針がある、現実的でコントロール可能なものとなります。特に次の点に注意します。

  • 具体的 プロジェクト目標のステートメントは、現在チームが取り組んでいるプロジェクトに明確に言及している必要があります。プロジェクトの結果に直接結びつかない、漠然としすぎたプロジェクト目標を立てないようにします。

  • 測定可能 プロジェクトの終了時に、プロジェクトを明確に振り返り、プロジェクトが成功だったのかを判断する手段が必要です。プロジェクト目標は、パーセンテージの変化や具体的な数のアセットといった明確に測定できるものにします。

  • 達成可能 あなたのプロジェクト目標は、プロジェクト内での達成が無理なく望めるものでしょうか。この SMART なプロジェクト目標の「A (達成可能)」の要素は、プロジェクトのスコープ (範囲) に関連しています。スコープが非現実的であれば、プロジェクト目標もそうである可能性が高くなります。達成可能なプロジェクト目標がないと、スコープクリープや遅延、残業に苦しむことになりかねません。

  • 現実的 プロジェクト目標を作成する際、プロジェクトのリソースについて大まかに把握している必要があります。限られた期間と、該当プロジェクトのために使えるリソースの範囲内で達成できる目標を作成してください。

  • 期限がある プロジェクト目標は、プロジェクトのタイムラインがどれくらいの期間に及ぶのかを考えて設定する必要があります。SMART な目標を立てるには、プロジェクトに取り組むために使える時間を必ず考慮に入れます。

5. プロジェクトのライフサイクル中にプロジェクト目標の状況を確認する

自分の仕事が組織にどのように価値を追加しているかを理解している従業員は、モチベーションが倍増します。チームの足並みを揃え、モチベーションを高く維持するには、必ず、プロジェクト目標の状況を頻繁に確認し、従業員に情報をアップデートすることが必要です。プロジェクトステータスレポートには、プロジェクト目標を振り返るセクションを盛り込みます。現在のプロジェクトが順調か、要注意か、対策が必要かをチームと共有してください。こうすることで、プロジェクトチームは必要に応じて調整を行い、プロジェクト目標に最も貢献できる形で仕事を進められるようになります。

よいプロジェクト目標と悪いプロジェクト目標の例

プロジェクト目標の作成は簡単ではありません。プロジェクトのためにこうした目標をスムーズに作成できるようになるには時間がかかります。でもご安心ください。以下でご紹介する 3 通りのよいプロジェクト目標の例と悪いプロジェクト目標の例をチェックすることで、ご自身でもよいプロジェクト目標を作成できます。

例 1: ビジネスのプロジェクト目標
  • 悪い例: 新しいホームページを立ち上げる。

このプロジェクト目標には SMART の要素のうち 2 つが欠けています。この目標は測定可能、達成可能、現実的ですが、具体的でなく、期限がありません。いつホームページを立ち上げるのでしょうか?デザインの見直しのポイントは何でしょうか?

  • よい例; 4 例の顧客ストーリーとユースケースに着目した、新しいホームページアセットとコピーを作成する。第 2 四半期末までに、刷新した顧客目線のホームページを開設する。

このプロジェクト目標は SMART です。具体的 (新しいホームページアセットとコピーを作成)、測定可能 (刷新した顧客目線のホームページを開設)、達成可能で現実的 (4 例の顧客ストーリーとユースケースに注目)、期限あり (第 2 四半期末までに) のすべてを網羅しています。

例 2: 非営利団体のプロジェクト目標
  • 悪い例: 製造工程のサステナビリティを 5% 向上させる。

このプロジェクト目標は先ほどの悪い例よりも具体的ですが、いくつかの SMART の要素が欠けています。この目標は測定可能 (5%) ですが、「サステナビリティ」が何を意味するのか、製造工程をいつまでに改善すべきなのかが説明されていないため、具体的でなく、期限もありません。その結果、この目標が達成可能で現実的か、実際のところ判断できません。

  • よい例; 今後 12 週間で、事業に関わる廃棄物を 5% 減少させ、リサイクル製品の使用を 20% 増加させる。

ご覧のように、こちらのプロジェクト目標はずっと SMART です。具体的な目標があり、ゴールを測定する手段 (5% 減少、20% 増加) もあります。やや野心的な目標ですが、期限 (今後 12 週間で) があることで、達成可能かつ現実的なものになっています。

例 3: 個人のプロジェクト目標
  • 悪い例: 業績評価を改善する

意外なことに、ほとんどの個人的なプロジェクト目標は SMART ではありません。それは成功指標を内側、つまり自分自身に適用するのが難しいためです。しかし、個人的ゴールの改善と達成を確認するには、より明確なプロジェクト目標を立てる必要があります。

  • よい例; 2021年の 3月と 9月の業績評価で少なくとも 4/5 を獲得する。

このプロジェクト目標には、すべての SMART の要素が盛り込まれています。具体的で (少なくとも 4/5)、測定可能で (4/5)、達成可能かつ現実的で (4/5 と設定することで、予測不能なトラブルの余地を残しています)、期限がある (2021年) 目標になっています。

プロジェクト目標は立てるが吉

プロジェクト目標を設定することで、チームは明確性を得られ、仕事の足並みが揃い、より多くの業務をこなすことができます。ただし、プロジェクト目標は全体のプロジェクト計画の一部に過ぎません。プロジェクト計画段階で明確性を高め、チームの足並みを揃える方法について、詳しくはプロジェクト計画の作成についてのガイド記事をお読みください。

次のプロジェクト計画は Asana で作成しましょう。