目標 (ゴール) とは達成可能な成果であり、一般的に広範かつ長期的なものです。一方、目的 (オブジェクティブ) とは全体的な目的を達成するために必要な、測定可能な行動を定義するものです。この記事では、チームの戦略作りの材料となる 2 つのコンセプト、目標と目的の違いをご紹介します。
更新: この記事は、目標と目的の違いや具体例に関する情報をさらにわかりやすくまとめて、2023年 2月に改訂されました。
チームリーダーとして望ましい結果を得るためには、目標と目的をしっかり設定することが不可欠です。企業の大きな目標から小さな毎日の目的まで、目標や目的を設定することは、チームが競合他社に差をつけるのに役に立ちます。
ところで、目標と目的の違いは把握していますか?両者は、具体的にしなくてはいけない行動が異なり、全体的な計画を達成するために重要なのは、プロジェクトポートフォリオに目標と目的の両方を取り込む方法を理解することです。
この記事では、目標と目的の主な違い、それぞれのテクニック、そして日常業務に取り入れる方法をご紹介します。
まずは両者を定義し、目標と目的の違いを考えてみます。
目標 (ゴール) は達成可能な成果で、一般的に広範かつ長期的なもの
目的 (オブジェクティブ) は全体的な目標を達成するために必要な短期的で測定可能な行動を定義したもの
目標と目的は違う意味の言葉ですが、プロジェクトに取り組む際には、しばしば一緒に使われます。というのも、この 2 つは、プロジェクトを計画し、実行するために必要不可欠なものだからです。どちらも、望ましい結果に到達するために測定可能なステップを設けます。KPI (重要業績評価指標) や OKR (目標と主要な結果) など、成し遂げようと目指す細かな結果が含まれます。
電子書籍をダウンロード: Asana の OKR 設定作戦ブックOKR テンプレートを作成目標には大きく分けて、次の 3 種類があります。
期限のある目標
成果重視の目標
プロセス重視の目標
この 3 種類の目標には、それぞれ焦点を当てる優先事項があり、どれもその目標特有の最終結果につながります。納期が厳しい場合のプロセスの更新など、3 つをすべて目標に盛り込むこともあります。
どの種類の目標を設定するにしても、重要なのは、その目標が SMART であることです。
SMART とは、Specific (具体的)、Measurable (測定可能)、Achievable (達成可能)、Realistic (現実的)、Time-bound (期限がある) の頭文字をとったものです。これらの特徴は、明確で達成可能な目標を設定するのに役立ちます。
それでは、3 つの目標について詳しく見ていきましょう。どのようなケースでそれぞれの目標を設定するべきか、おすすめのケースもご紹介します。
期限のある目標は、タイミングよく行動を起こすことに焦点を当てます。つまり、期日や達成目標日の設定が重要になります。これにより、チームが何を目指すべきかを全体的な視点から明確にすることができます。
期限のある目標には、具体的なタイムラインが結びついていなくてはいけません。一般的に、このタイムラインは長期的で実行可能な期限で、企業のビジネス計画につながるものです。この種類の目標は、チームが優先度の高い、急ぎの行動を実行するのに役立ちます。
期限のある目標がおすすめのケース:
チームが、決められた時間内に結果を出さなければならない場合。
成果重視の目標は最終結果に焦点を当てます。具体的な期日に重点を置くのではなく、成果重視の目標は、何よりも行動を達成することを目指します。
成果重視の目標を設定している場合、望ましい成果を望ましい品質で達成するために、必要に応じて期日を延期することもあります。この種類の目標は、通常、成長に関する目標やリソース配分計画など、大局的な行動や企業の重要なマイルストーンに使用されます。
成果重視の目標がおすすめのケース:
チームに達成しなくてはいけない具体的な結果があり、必要に応じて期日を調整できる場合。
記事: 初めてのリソース管理ガイドプロセス重視の目標は、新しい内部システムやプロセスを実現することに重点を置きます。この種類の目標は、具体的な結果に焦点を当てるのでなく、作業とその達成方法を優先します。
この目標は、最も効果的なプロセスを実現することで、チームの効率を高めます。
プロセス重視の目標がおすすめのケース:
チームが効率を高めるために、社内に新しいプロセスを導入する場合。
目的には大きく分けて、次の 3 つの種類があり、それぞれにタスク達成に関する独自の視点が備わっています。
戦略的目的
戦術的目的
運用上の目的
大きな目標の達成には、上記の目的が重要な役割を果たします。ここでは、それぞれの目的がどのように計画に取り込まれるか、どのような場面でどの目的を設定するべきなのかをご紹介します。
戦略的目的は、意図に応じて、プロジェクトの全体像を描くのに役立ちます。
チームは戦略的目的を使って、会社全体の大きな目標に沿った成果物を製作できます。戦略的目的は、チームメンバーがプロジェクトの方向性を明確に理解し、プロジェクトの意図と全体的なタイムラインについて認識を合わせるのに役に立ちます。
戦略的目的がおすすめのケース:
チームが、目的を会社全体の目標につなげようとしている場合。
記事: ビジネス目標の設定: 成功するビジネスへの最初の一歩戦術的目的が焦点を当てるのは、短期的な成果物とそのタスクが生み出す結果です。
この種類の目的は、戦略的な情報を収集するというよりは、短期的なタスクと長期的な目標の両方が生む結果を分析し、それぞれを将来的な意思決定の材料として役立てるものです。
戦術的目的がおすすめのケース:
チームが、短期的な成果物が多い複雑なプロジェクトに取り組んでいる場合。
運用上の目的も戦術的目標と同じように短期的ですが、運用上の目的に関する、アクション重視で達成可能なタスクに焦点を当てるという点で異なります。
この種類の目的は、タスクのスケジュールを整理し、さまざまな部門を連携させることで、毎日、毎週、毎月の目標に貢献します。
運用上の目的がおすすめのケース:
短い反復作業を得意とし、詳細な指示を好む大規模なチーム。
目標と目的は似ているので、実際に例をいくつか見てみると理解しやすいでしょう。成長に関する目標から測定可能な目的まで、目標と目的の両方が必要となる場面はたくさんあります。
長期計画を立てるなら、最終的な目標の照準を企業のミッションステートメントと価値観に合わせるべきです。このような目標は、幅広く、数か月から数年にわたる長期的な取り組みですが、SMART な目標のフレームワークに従って、測定可能で実行可能でなくてはいけません。一方、目的は、具体的な行動で、短期間で実行するものです。複数の目的が集まって 1 つの目標となります。
Asana で目標を設定し、達成するAsana については『1 分でわかる Asana』動画をご覧ください。
次に、目標と目的が、異なるものでありながらも、切っても切れない関係にあることを示す 3 つの例をご紹介します。
この例では、マイルストーンを使うブランドの目標をご紹介します。
目標: 今後 3 か月以内に、地域の団体に貢献し、コミュニティ重視のブランドの柱につながるような新製品や新サービスを立ち上げること。
目的: 木村さんが顧客調査の結果に基づいて、現地での製品研究を開始する。
この例では、目標と目的の両方が SMART な目標のガイドラインに沿っており、具体的で測定可能な KPI が設定されています。
この例では、具体的な KPI が設定された成長に関する目標をご紹介します。
目標: 12月にブログのコンバージョン率を 10% 向上する。
目的: 12月に、新商品を 15% 割引で販売するメールマーケティングキャンペーンを実施する。
具体的なプロジェクトの成果物や意図する結果を盛り込まれているので、目標も目的もわかりやすくなっています。また、どちらも会社の大きな目標に関連していることがよくわかります。
この例では、効率の向上に焦点を当てた目標を見ていきます。
目標: 第 4 四半期に手動作業によるオンボーディングのエラーを 30% 削減する。
目的: 第 3 四半期末までにビジネスプロセスオートメーション (BPA) を導入し、第 4 四半期までにワークフローのエラーを削減する。
測定可能な目的を盛り込み、長期目標を適切に定義し、計画を立てましょう。
記事: ビジネスにおける効率と効果の違い: チームに両方が必要な理由目標の測定は必ずしも複雑なものではありません。目標を設定する際に具体的な指標を盛り込みましょう。この指標は、プロセスのどの時点でも簡単に測定できるものでなくてはいけません。
職場における目標と目的を測る際に重要なのは、以下の主要な要素を測定することです。
データポイントを分析する
過去のパフォーマンスを測定する
構成図に従う
それでは、それぞれの項目について詳しく見ていきましょう。
データを活用して、KPI が達成されているかどうかを測ることができます。コンバージョン率、トラフィック値、新規ユーザー数など、関連するパフォーマンス指標を確認しましょう。また、特定のリーダーやビジネスオーナーとこれらの情報を共有することで、透明性の高いコミュニケーションを確保できます。
データに加えて、過去のパフォーマンスを振り返り、現時点と比べて改善されたかどうかを把握することも大切です。特に、この要素が重要になるのは、チームが社内システムの更新や新規追加などを含む効率化を図るプロセス重視の目標に取り組んでいる場合です。
計画や構成図をうまく活用すると、情報を整理し、タスクを順調に進めることができます。仕組みには、毎週行うチームミーティングのようなシンプルなものや、個人のタスクと依存関係を細かく記載した作業分解構成図などの徹底したものを取り込めます。
目標と目的の違いをまとめてご紹介しました。
目標と目的はどちらも、新しいビジネスの成果を達成するために重要な役割を果たします。どちらかが欠けてしまうと成立しないので、チームが目標と目的の両方を正しく実行に移せるようにしましょう。
幅広い目標から具体的な目的まで、適切な戦略を立てれば、チームはさらなる高みを目指せます。目標や目的の設定、そして達成に役立つツールをお探しの方は、目標設定ソフトをお試しください。進捗の分析からコミュニケーションの調整まで、Asana がお手伝いします。