プロジェクトマネジメントオフィス (PMO) が共同作業を促進し、サイロを減らす方法

寄稿者 Julia Martins の顔写真Julia Martins2021年6月2日00
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どんな組織も、成長の過程でチームのやり方が変わってくるものです。たとえば、マーケティングチームがチーム全体の作業開始や作業調整のために独自のクリエイティブブリーフのテンプレートを使っているとしましょう。一方で、製品チームはしっかりとしたリクエスト受け付けプロセスを開発することにしました。こういったプロセスを導入することでマーケティングチームと製品チームはそれぞれ大事な仕事をこなすことができますが、この 2 つのチームが共同作業を行う場合はどうすればいいのでしょうか?どのテンプレートを使って、どのプロセスで進めればいいのでしょうか?

そんなときに真価を発揮するのが、プロジェクトマネジメントオフィス (PMO) です。PMO はチームのプロセスを標準化し、組織全体のベストプラクティスを整理することで効率と効果を高めます。この記事ではプロジェクトマネジメントオフィスの役割を紹介し、あなたのチームに PMO が必要かどうかを判断するお手伝いをします。

プロジェクトマネジメントオフィス (PMO) とは?

プロジェクトマネジメントオフィス (PMO) は、主要なプロセスや戦略的イニシアチブの実行方法の定義など、組織のプロジェクトマネジメントのベストプラクティスを設定し、管理します。PMO はプログラムマネジメントオフィスと呼ばれることもあり、社内チームである場合もあれば、外部のサポートシステムである場合もあります。

PMO ってどういう意味?

PMO とは、プロジェクトマネジメントオフィスの略です。

PMO ってどういう意味?

PMO とは、プロジェクトマネジメントオフィスの略です。

PMO は組織全体または特定の部門における、ビジネスに不可欠な企画・運営プロセスを定義、統一、確立、そして継続することで、部門間コラボレーションをサポートし、組織内の混乱を減らします。一般的には、製品やサービスの構築や提供方法を部門規模や会社規模で定義するのも PMO の役割です。

PMO は共通サービス組織であり、多くの場合他のチームの仕事を促進したり、実現したりする中心的なサポートチームの役割を果たしています。たとえば、小規模な組織では 1 つの PMO チームが全部門のプロジェクトマネジメントのベストプラクティスを統一していることがあります。一方で、さまざまなシステムが存在し、部門間コラボレーションの少ない大規模な会社の場合は、PMO が各部門の中に組み込まれていることもあります。 

社内 PMO と社外 PMOの違い

社内 PMO とは、プロジェクトの成功をサポートする社内チームのことです。社内 PMO は組織内のすべてのプロセスを収集して統一し、ベストプラクティスを確立する常設チームです。ベストプラクティスを確立した後も、組織の成長に合わせてトレーニングの提供、ガイドラインの更新、ベストプラクティスの継続的な統一などを行い、チームのサポートを続けます。

一方、社外 PMO とは、会社のベストプラクティスの作成をサポートする代理店やコンサルティング会社のことです。社外 PMO は通常、顧客企業のプロセスの聞き取りを行い、最適なベストプラクティスを提案します。社内 PMO とは異なり、社外 PMO はそのベストプラクティスの実行を担当したり、組織のサポートを継続して行うことは通常ありません。

どちらのタイプの PMO に投資すべきかは、組織のニーズによって異なります。しかし、一般的には社内 PMO の方が組織の長期的なサポートに適しています。そこでこの記事では、社内 PMO の役割、責任、課題、メリットについてご説明します。

PMO として働くメンバーは?

社内プロジェクトマネジメントオフィスは、共通サービスチームです。通常、PMO のプロジェクトマネージャーは部門間パートナーとして、サポート対象である部門や組織全体のプロセスを統一します。PMO にはプロジェクトマネージャーやプロセスマネージャーに加えて、ビジネス戦略チームのメンバーも参加し、プロセスの統一だけでなく、プロセスの最適化や改善をサポートします。

3 つの PMO タイプ

社内 PMO には 3 つのタイプがあります。会社の状況やプロジェクトの管理状況、具体的なニーズに合わせてタイプを選びます。

  1. 支援型 PMO は、トレーニング、情報、サポートの提供に特化しており、あまり強制力はありません。支援型 PMO はプロジェクトに提案やシステムを提供しますが、それらを採用するかどうかは各プロジェクトマネージャーが判断します。

  2. 支配型 PMO は、プロセスを完全にコントロールすることで、全チームの足並みを揃えなければならない場合に最適です。支援型 PMO とは違い、支配型 PMO はガイドラインを統一し、プロジェクトマネージャーにそのガイドラインを遵守させます。きちんと遵守できているか確認するために、PMO がプロジェクトをレビューする場合もあります。

  3. 指示型 PMO は、プロジェクトマネジメントの要素を引き継ぎ、リソースの割り当てプロジェクトのリスク管理プロジェクトスコープの定義など、細かいプロジェクト計画のほとんどを担当します。実質的に大規模な取り組みのほとんどを PMO が運営するため、このタイプの PMO には最も多くの人員が配置されます。

プロジェクトマネジメントオフィスのメリット

PMO 部署を設けることの最大のメリットは、システムとプロセスを統一できる点にあります。チーム全員が一体となることで、部門間コラボレーションのハードルが下がり、より大きな成果を上げることができます。

システムとプロセスの統一は PMO の取り組みの中でも最も難しい点であると同時に、そもそも PMO が必要になる主な理由の一つです。チームや部門は時間とともに独自のプロセスを構築していきます。仕事をうまくこなしていくために、各チームはそれぞれ独自のルールや技術、プロジェクト管理ツールなどを導入していきます。しかし、それぞれのチームのニーズに合ったプロセスやツールしか導入していないので、すぐに情報のサイロ化や知識のギャップが発生してしまいます。

こういったサイロの放置は業務の非効率化につながり、部門間コラボレーションの難易度も上がってしまいます。

PMO の最初の仕事は、各チームの独自のプロセスを理解し、その情報を集約して、サポート対象である部門や組織のために統一された 1 つのプロセスを確立することです。このレベルのチェンジマネジメントの達成は難しいかもしれません。詳しくは、成功するチェンジマネジメントのプロセスを構築する 6 つのステップの記事をお読みください。

チームが最高の成果を出せるようサポートすること以外にも、PMO にはこんな仕事があります。

  • プロジェクトを企業戦略に沿う形で調整し、日々の仕事を会社の目標と結びつける

  • システムの統一を通して部門間コラボレーションを可能にする

  • 組織規模のプロジェクトマネジメントルールを確立する

  • リアルタイムの可視性と背景情報を全チームに提供する

  • 組織全体のプロジェクトマネジメントのベストプラクティスを開発、共有、モニタリングする

  • 新しいプロジェクトマネージャーのトレーニングや新しいプロジェクトマネジメントスキルの指導を行う

  • 組織全体のデータを統合し、民主化する

  • 業務の効率を上げる

  • リソースの利用率を高める

  • プロジェクトに費やす時間とコストを削減する

PMO の役割と責任

PMO は、会社全体のプロジェクト管理プロセスの統一をサポートします。チームにベストプラクティスやガイドラインを導入することにより、プロセスの統一を実現します。たとえば、以下のようなものを導入します。

プロジェクト管理のベストプラクティス

PMO の最初の仕事は、プロジェクトマネージャーやプログラムマネージャーを支援し、部門の違う関係者間の調整方法とプロジェクトの進め方を統一することです。PMO はプロジェクトの運用方法について、ガイダンスや手法、システム等を提供します。提供するものの例として、以下のようなものがあります。

説明責任、可視性、そして見つけやすさは、適切なプロジェクトマネジメントツールを使用することで得られるメリットです。
説明責任、可視性、そして見つけやすさは、適切なプロジェクトマネジメントツールを使用することで得られるメリットです。

プロジェクトガバナンス

プロジェクトガバナンスとは、プロジェクトのライフサイクルの中で行われる意思決定の枠組みです。たとえば、情報の保管場所や情報にアクセスできるメンバー、チームのコラボレーション方法など、プロジェクトそのものの詳細や、プロジェクト管理の 5 つのフェーズなどのベストプラクティスやその他のプロジェクト管理手法などがこれに含まれます。また、プロジェクトガバナンスは組織によるプロジェクトのサポート方法を大まかに統一します。この場合は PMO がプロジェクトガバナンスのルールを確立し、長期的または短期的な企業目標に貢献するプロジェクトに組織が確実に投資できるようにします。

データに基づくレポート

PMO はベストプラクティスの確立に加えて、幹部チームにとっての分析パートナーとしての役割も果たします。PMO は主な質問を設定し、分析アプローチを決定し、同意を得ます。そしてデータの要約を行い、必要に応じてアクションプランを作成します。PMO は、プロジェクトの成果を効果的に評価するためのレポート機能を提供します。こういったレポートによってプロジェクトチームはデータに基づいた決定を下し、ビジネスリスクを軽減することができます。

別々に追跡していたワークフローは 6 個ほどありましたが、Asana のおかげでそれらを結びつけ、相互のつながりを確認し、スプレッドシードでは気付かなかった依存関係に気付くことができたので、とても満足しています。
別々に追跡していたワークフローは 6 個ほどありましたが、Asana のおかげでそれらを結びつけ、相互のつながりを確認し、スプレッドシードでは気付かなかった依存関係に気付くことができたので、とても満足しています。

戦略プランニング

戦略プランとは、組織が目指すものと、どうやってそこに到達するのかを示す 3 ~ 5 年間のロードマップです。プロジェクトマネジメントオフィスは、この戦略プランの作成とモニタリングも担当していることがよくあります。たとえばこんな仕事があります。

そして PMO はこの戦略プランがプロジェクトレベルで浸透するようにします。具体的にはこんな仕事があります。

記事: RACI 図のガイド (実例付)

情報の共有

チームが自分たちのために情報やフォルダー、ツールなどを設定するとき、他のチームメンバーがどうやってその情報にアクセスするのかは考慮されていません。このような情報の分断は、手作業や重複作業の原因となります。実際に、平均的なナレッジワーカーは文書の検索、進捗の確認、仕事に関するコミュニケーションなどの「仕事のための仕事」に、勤務時間の 60% を費やしています。

PMO の仕事の一つは、このような情報のサイロを減らすことです。サイロはたとえばこんな方法で減らすことができます。

  • 主要な情報がまとめられた、信頼できる唯一の情報源を作る

  • チームメンバーの望ましいコラボレーションのベストプラクティスを確立する

  • 情報の保管と共有に関するセキュリティ対策の基準を策定する

  • 情報を定期的に更新する責任者の割り当てとモニタリングを行う

  • 誰が何をいつまでにやるのか全員が把握できるようにして、重複作業を減らす

仕事がバラバラで相互の依存関係も不明確だと、すべてが最優先事項のように感じられてしまいます。そんな感覚がストレスや不安の原因になってしまうのです。
仕事がバラバラで相互の依存関係も不明確だと、すべてが最優先事項のように感じられてしまいます。そんな感覚がストレスや不安の原因になってしまうのです。

ツールの導入とメンテナンス

プロセスを統一する上で重要なのは、全員が同じツールを使っていて、その使い方を知っていることです。もし、まだチーム全員が同じワークマネジメントソフトウェアを使用していていないのであれば、PMO がチェンジマネジメントプロセスと新しいツールの導入を推進し、使用状況をモニタリングし、トレーニングを促したり、可能な範囲でプロセスを自動化したりします。

ワークマネジメントツールの選択に役立つ完全ガイド

リソース管理

リソース管理とは、プロジェクト完了のためにチームのリソースを計画し、スケジューリングするプロセスのことです。ここで言うリソースとは、機材や資金から技術ツールや社員のキャパシティまで、あらゆるもののことを指します。

PMO のリソース管理は、組織の規模によって異なります。小規模な組織であれば、PMO が直接リソースをプロジェクトに割り当てる役割となるかもしれません。大規模な組織では、PMO がリソース管理計画のシステムや、スコープクリープを防ぐための変更管理プロセスなどの構築を行うこともあります。企業レベルでは、キャパシティ計画やリソース予測なども含まれます。

一元管理ツールがないと、混乱が生じます。誰が何に取り組んでいるのかは尋ねないとわからず、尋ねてもその時点での答えしか得られません。物事の動くスピードが速いので、現在の状況と今後の状況を確認できるように、すべてがリアルタイムで更新される場所が必要でした。
一元管理ツールがないと、混乱が生じます。誰が何に取り組んでいるのかは尋ねないとわからず、尋ねてもその時点での答えしか得られません。物事の動くスピードが速いので、現在の状況と今後の状況を確認できるように、すべてがリアルタイムで更新される場所が必要でした。

用語の統一

チームが部門を超えていかにうまくコミュニケーションを取り、コラボレーションするかがチームが効果的に働くカギです。PMO の役割の一つは、異なるチーム間の既存のプロセスをチェックして、それらのプロセスを統一することで、よりスムーズな部門間コラポレーションを可能にすることです。これには、必要に応じて用語を統一したり、価値観を共有したり、健全な組織文化をサポートしたりすることも含まれます。

継続的なトレーニング

すべてが決まって動き出したら、PMO の最後の役割は新しいプロジェクトマネージャーを育成し、新しい取り組みをサポートするためのトレーニングセッションを継続的に開催することです。たとえば、チームや会社全体の重要業績評価指標 (KPI) を設定するためのトレーニングセッションや、プロジェクト内の対立の解決方法に関するウェビナーなどを開催します。

記事: あなたが活用していない最善の対立解決戦略

PMO が必要かどうか

PMO を設立することは、まったく新しいチームを設立するようなものです。場合によっては、企業全体を横断するチームになることもあります。PMO は非常に役立つ価値ある組織ですが、作るのには時間がかかります。

以下に当てはまる場合は、PMO が有効な可能性があります。

  • 仕事がサイロ化されていて、チームの共同作業が難しい

  • プロセスにまとまりがないように感じる

  • 情報が失われやすい

  • 最近組織の規模が急激に成長している

  • 組織改革を計画していて、そのためのチェンジマネジメントを始めたい

このうち当てはまるのが 1 つか 2 つだけの場合は、他の戦略を試してみましょう。

  • 仕事の状況を俯瞰してすべての取り組みを一か所でモニタリングしたい場合は、プロジェクトポートフォリオ管理をお試しください。

  • 企業レベルのセキュリティや情報システム管理を確立したい場合は、企業プロジェクト管理をお試しください。

  • チームが継続的に改善しながら成功するために必要な構造を作りたい場合は、リーンまたはアジャイル手法をお試しください。

  • 会社規模の指標や、日々の仕事がどのように会社の目標に結び付いているかを明確にしたい場合は、目標管理ソフトウェアをお試しください。

PMO チームの実現

全員が同じ方向に向かって進めるように PMO チームがサポートすることで、チームは何をすべきで、なぜそれが重要なのか、どうすれば達成できるのかを理解できます。PMO が必要だと感じられるなら、まずは現在各チームがどのように働いているかを調査することから始めましょう。現状を理解することが PMO 設立の第一歩です。すべての情報が集まったら、そこからベストプラクティスを定義して部門間コラボレーションを促進しましょう。

現状を理解するために、まずはワークマネジメントから始めてみましょう。ワークマネジメントを行うと、リソース管理、仕事と目標の関連付け、プロジェクトの進捗報告や可視性アップをはじめとした、PMO チーム設立の準備に必要なさまざまな要素を上手に管理できます。

ワークマネジメントソフトウェアについてもっと知りたいですか?Asana を使って組織のあらゆるレベルで仕事を調整する方法をご覧ください。

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