プロジェクト管理における関係者の分析とその重要性

2021年1月6日
プロジェクト関係者の記事のイラスト

あなたのプロジェクトをアカデミー賞にノミネートされた映画としましょう。アカデミー賞に選ばれ、ステージに上がって大事なスピーチをしなくてはならないとしたら、誰に感謝を述べますか?

プロジェクト管理では、その人々がプロジェクト関係者と言えるでしょう。あなたのプロジェクトに関係があり、何らかの形で貢献した人たちです。仕事をする人も、仕事を承認する人も、誰かのためにやっている仕事なら、その相手もプロジェクト関係者になり得ます。プロジェクト関係者は全員重要です。

意外なことに、プロジェクト関係者の特定は、アカデミー賞の受賞スピーチを準備するよりも難しいことがあります。それを解決するのが関係者の分析マップです。関係者の分析マップを作成することで、プロジェクトの関係者を簡単に特定し、管理できます。この記事では、関係者の分析マップを作成し、プロジェクトのインパクトを高める方法をご紹介します。

プロジェクト管理における関係者とは?

プロジェクト関係者とは、あなたが取り組むプロジェクトに影響を与える人々、またはプロジェクトから影響を与えられる可能性のある人々です。関係者は個人の協力者から上級役員まで、組織のさまざまなレベルから集まりますが、プロジェクトに関わる人は全員重要です。毎日のプロジェクト進行に直接関与していないとしても、その結果によって影響を受ける関係者もいます。

関係者の分析マップとは?

関係者の分析マップとは、関係者のインパクトと関係者の関心という 2 つの重要な側面に基づいて、プロジェクト関係者と彼らがプロジェクトに与える可能性のある影響を特定する方法です。関係者マップは、どの関係者がプロジェクトに与える影響が大きいまたは小さいか、また、どの関係者が自分の仕事により高いまたは低い関心を持っているかを理解するのに役立ちます。これにより、プロジェクトに関わるすべての関係者と、彼らにとって最適な方法で効果的にコミュニケーションをとることができます。

関係者管理とは?

マップの作成後に、プロジェクト関係者とのコミュニケーションを図るのが関係者管理です。関係者管理を行うことで、タスクレベルのアップデート、定期的なプロジェクトのステータスレポート、大規模なプログラムの概要など、適切なタイミングで適切なレベルの情報を関係者と共有することができます。

プロジェクトの関係者管理で重要なのは、コミュニケーションプランの作成です。コミュニケーションプランでは、メール、メッセージ、ワークマネジメントプラットフォームなど、関係者がいつどのチャネルを使うべきか、異なる詳細をどのくらいの頻度で伝えるべきか、各チャネルの責任者は誰か、などを明確にします。

記事: 明確なコミュニケーション計画が意外なほど重要な理由

プロジェクト関係者を特定するには

大まかにいえば、ほとんど誰でもあなたのプロジェクトの結果の影響を受ける可能性があるでしょう。しかしプロジェクト管理では、プロジェクト関係者とは、何らかの立場でプロジェクトの意思決定プロセスに関わっている人々のことを指します。これは、プロジェクトの成果物を承認する重要な関係者であることもあれば、ポイント A から B に達するための仕事を担当するチームメンバーであることもあります。ターゲットオーディエンスの人々もプロジェクト関係者です。なぜなら、あなたが下す決定の影響を一番受けるのはターゲットオーディエンスだからです。

要するに、プロジェクト関係者は自分にある簡単な質問をしてみるだけで特定できます。それは、「この仕事がその人に影響するか?」です。答えがイエスなら、その人はプロジェクト関係者と言えるでしょう。

記事: プロジェクト管理のメリットとは?

プロジェクトの影響を受ける人の中には、発言の機会を持たない人もいることに注意しなくてはなりません。この記事でも取り上げる主要関係者とは、プロジェクトの結果に対する発言権を持つ人々のことです。誰が主要関係者であるかを知ることは、関係者との関係改善や、重要人物からの賛同の獲得につながります。

あなたのプロジェクトに関係しうる 2 種類の関係者

プロジェクト関係者には大きく分けて 2 種類あります。社内の関係者と社外の関係者です。関係者は誰かと考えたとき、まず思いつくのはおそらく社内の関係者でしょう。直属の部下から経営幹部まで、あなたのプロジェクトに関与する人なら、会社の誰もがこれに当てはまります。一方社外の関係者とは組織外の人々です。顧客やエージェンシー、請負業者、ユーザー、投資家、サプライヤーなどの外部の協力者がこれに当たります。

社内の関係者の種類

社外の関係者の種類

  • 顧客

  • 請負業者

  • 下請け業者

  • ユーザー

  • 出資者

  • サプライヤー

関係者の分析を行うメリット

優れた関係者はプロジェクトに多くの利益をもたらします。プロジェクトの計画段階では、関係者がプロジェクトの向かう先を判断するためのガイドとなります。社内の関係者はプロジェクトの予算やリソース管理計画作成の助けとなります。社外の関係者を把握することは、プロジェクトスコープとプロジェクト目標の設定に役立ちます。プロジェクトが始まると、優れた関係者は計画に対する支持を集め、問題が起こるとサポートし、チームのやる気を維持してくれます。

プロジェクトの関係者を明確に理解することにより、賛同を得て、より効果的にプロジェクトを遂行することができます。また、関係者の分析を行うことで、以下のことが可能になります。

  • より多くのサポートとリソースを得る

  • 特に経営陣の関係者に対するプロジェクトの可視性を向上する

  • プロジェクトサイクルの下流でのコストを増やす障害を防ぐ

  • 適切なチャネル、適切なタイミングでのコミュニケーションを行う

  • 適切なレベルの情報を関係者と共有する

関係者の分析マップを作成する 4 つのステップ

プロジェクト関係者を特定し管理することで、プロジェクトの成功に大きく近づきます。主要関係者がプロジェクトに賛同することで、支援を得ることができ、そのサポートはプロジェクトライフサイクル上で重要となり得ます。一方、協力的な関係者がいなければ、プロジェクトが途中まで進んでから関係者の協力が必要になることがあり、変更や不必要なリスクの原因となります。これを防ぐために、関係者の分析マップを効果的に作成するための 4 つのステップをご紹介します。

ステップ 1: 関係者を特定する

各関係者の要望を管理する前に、まずはプロジェクト関係者が誰であるかを知る必要があります。社内と社外の関係者両方を考慮するようにしましょう。誰がプロジェクト関係者であるかを判断するには、以下の質問を自分に問いかけてみましょう。

  • このプロジェクトを気にかけている人は誰か?

  • このプロジェクトの影響を受ける人は誰か?

  • このプロジェクトに影響を与える人は誰か?

  • このプロジェクトを承認 / 拒否できるのは誰か?

関係者の把握が難しければ、RACI 図や関係者一覧を作成して、関係者は誰なのか、なぜ重要なのか、プロジェクトにどんな影響を与えるのかを把握してみましょう。ステップ 2 に進む前に、最後にもう一度確認しましょう。以下のことを自分に問いかけてみてください。

  • リソースマネージャーやプロジェクトポートフォリオマネージャーなど、他に把握しておくべき社内の関係者はいないか?

  • 主要なプロジェクトリーダーやマネージャーは全員関係者に入れたか?

  • このプロジェクトの結果の影響を受ける社外の関係者の見落としはないか?

記事: RACI 図のガイド (実例付)

ステップ 2 関係者の影響力や関心度を把握する

関係者のエンゲージメントが高いと、プロジェクトのレベルが一気に引き上がります。エンゲージメントを高めるためには、各関係者の影響力や関心度を明確にした関係者のマップを作成するのが一番です。このグリッドは、「権力と関心度のグリッド」や「関心度のマトリクス」と呼ばれることもあり、4 つの主要な関係者グループを視覚化するには最適な方法です。

主な関係者のグループには、以下の 4 つがあります。

  • 影響が大きく、関心も高い。おそらくプロジェクトの承認者やスポンサーがこれに当たるでしょう。社外では、密接なパートナーや顧客も含まれるかもしれません。これらの人々とは定期的に確認を取り、あなたの認識と相手の認識が一致していることを確かめましょう。プロジェクト期間中は、これらのプロジェクト関係者と積極的に連携していきましょう。彼らは、関係者チームの主要なプレーヤーと捉えられます。

  • 影響が大きく、関心は低い。こういった人々はあなたのプロジェクトの妨げにも助けにもなり得ますが、おそらくそうすることに興味がありません。離れた部門のパートナーや、会社の経営幹部などがこれに当たるでしょう。このような関係者にはプロジェクトの基本を把握してもらうようにし、必要な場合は影響が大きく関心も高い関係者に関係を取り持ってもらいましょう。影響力が大きく関心が低い関係者の仕事も、あなたの仕事の影響を受ける可能性があることを覚えておきましょう。その影響が予想だにしない事態として発覚することは望ましくありませんから。プロジェクト期間中は、これらのプロジェクト関係者に全体的な情報を提供することにより、プロジェクトの進捗に満足してもらえます。

  • 影響が小さく、関心は高い。特にプロジェクトの初期段階では、この関係者グループの承認は必要ないでしょう。それよりも、ステップ 4 でこれらの関係者に情報を共有することが重要です。プロジェクト期間を通して、これらの関係者には情報を提供するようにしましょう。

  • 影響が小さく、関心も低い。これらの関係者はあまり重要ではありません。仕事の規模と複雑さによっては、時折プロジェクトステータスレポートで情報を共有してもよいですし、プロジェクトの終わりまで連絡しなくてもよいでしょう。しかし、プロジェクト期間を通して、これらの関係者がより深く関わりたいと思うようになった場合には、必ず確認するようにしましょう。

ステップ 3: 関係者のニーズを理解する

現実的に、一部の関係者がプロジェクトの特定の要素に同意しないということはあり得ます。プロジェクトマネージャーとして、関係者のニーズと視点を理解し、プロジェクトの成功に悪影響を及ぼさないソリューションを考案するのはあなたの責任です。すべてをプロジェクト関係者が求めるとおりに行うのはあなたの仕事ではありませんが、そのニーズを聞いて、理解するのはあなたの仕事です。

時に「難しい関係者」と感じるような人は、あなたと優先順位が異なっているだけという場合があります。時にはあなたの仕事によって関係者の仕事に支障が出てしまうことさえあるでしょう。物事を相手の視点から見るように心掛けると、解決策を見つけやすくなり、状況を双方にメリットのあるものに変えることができます。

迷ったときは、相手の立場に立って考えてみましょう。以下を自分に問いかけてみてください。

  • 彼らは何を必要としているのか?

  • どのようなレベルのコミュニケーションを望んでいるのか?

  • 最も効果的なコミュニケーション戦略は何か?

  • これらの関係者に影響を与えるものや影響力のあるものはあるか?

  • 関係者の関心事をいかに正確に把握できるか?

ステップ 4: 関係者と常に情報共有する

関係者を特定し、関係者のニーズについて考えたら、次はプロジェクト計画セッションやキックオフミーティングに招待するようにしましょう。主要関係者も、あなたのプロジェクト憲章プロジェクト計画プロジェクト目標プロジェクトスコープを承認する必要があります。

プロジェクトの進行に合わせて、適切な関係者に変更や進捗情報を知らせるようにしましょう。プロセスを早期に文書化することで、可視性が高まるだけではなく、誤解が発生するリスクも減らせます。

できるだけさまざまな関係者を招待する必要がありますが、主要関係者を常に優先するようにしましょう。すべてのことについて、全員から承認をもらう必要はありません。迷ったときは、関係者分析マップに戻って、誰に情報を共有すべきかを確認しましょう。

関係者、たとえば影響や関心がとても高い関係者とは、予期せぬ課題に対処するため、頻繁に会ってプロジェクトについて議論するかもしれません。しかし、残りの関係者と最新の情報を共有するには、最近達成したマイルストーンや障害となっているもの、次のステップなどを知らせる定期的なプロジェクトのステータス更新の送信が有効です。通常は 2 週間ごと、または複雑なプロジェクトに取り組んでいる場合はより頻繁に更新を送ることをおすすめします。

記事: 効果的なプロジェクトステータスレポートの書き方

関係者の分析マップの落とし穴

関係者とのコミュニケーションに完璧なソリューションはありません。ただし、ここではよくある落とし穴と、それを回避するための方法をご紹介します。

境界線を引けていない

  • 問題点: 熱心なプロジェクト関係者がスコープクリープを起こしている。

  • 解決策: 変更管理プロセスを実装する。

時々、熱心なプロジェクト関係者が悪影響をもたらすことがあります。あなたがプロジェクトの計画や成果物の決定に多くの時間を費やしたにも関わらず、新しい成果物や新しいタイムライン、新しいバジェットなどのような意見がある関係者が多すぎると、すぐにプロジェクトが軌道から外れてしまいます。

関係者との境界を設けるのに最適な手段は、変更管理プロセスの実装です。プロジェクトスコープに対する変更案を提案、確認、承認するプロセスを用意することで、スコープクリープを心配せず、プロジェクトを動的かつ最新に保つことができます。変更管理プロセスには、次の 4 つの要素があります。

  1. プロジェクト関係者が変更リクエストを送信する。

  2. 主要関係者がリクエストを確認する。

  3. 変更を承認、却下、または保留する。

  4. 変更に従ってプロジェクトスコープや目標を調整する。

記事: スコープクリープの 7 つの主な原因とその防止策

関係者を追加しそびれてしまった

  • 問題点: 初期の関係者特定の段階で、このイニシアチブに高い関心を持っている関係者を追加し忘れていまった。

  • 解決策: 関係者を特定する段階に、プロジェクトチームを参加させる。

他部門の関係者を忘れてしまったり、思いついた関係者を関係者リストに追加したり影響力や関心度を計算したりするのを忘れてしまうこともあるでしょう。このようなミスはつきものですが、特に影響力や関心度の高い関係者については、できるだけ避けたいものです。

このような事態を避けるためには、関係者を特定するプロセスにプロジェクトチームを参加させるのが最善の方法です。チームでブレインストーミングを行い、各関係者を特定して分類し、リストから漏れないようにします。それでも確信が持てない場合は、マネージャーやプロジェクトスポンサーにリストを確認してもらい、含まれるべき人が抜けていないかどうかを確認してください。疑問があれば、質問しましょう!

早期に関係者を関与させることができなかった

  • 問題点: プロジェクトをすでに開始した後に関係者の分析を始めてしまった。

  • 解決策: 次回は、前もって関係者の分析マップを作成しておきましょう。

これは当たり前のことですが、含める価値があります。もし関係者を忘れてしまったら、次のプロジェクトのための学習機会としましょう。たとえば、プロジェクトのキックオフが終わるまで関係者のプロジェクト分析マップの作成を忘れていたとしたら、次回は必ずやるように自分に言い聞かせましょう。

関係者管理のカギは明確性

プロジェクトをスムーズに進めるには、関係者の期待がプロジェクトの成果物と一致していることを確認する必要があります。つまり、プロジェクト全体における明確性を高め、促進する必要があります。

これには、Asana のようなワークマネージメントツールの使用が最適です。ワークマネージメントツールは組織のあらゆるレベルの人々や仕事の調整に役立ちます。詳しくは、ワークマネジメントの紹介をお読みください。

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