プログラムマネジメントの完全ガイド

Julia Martins 寄稿者の顔写真Julia Martins2020年12月22日00
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複数のプロジェクトを同時に管理していると、お手玉芸を辛うじてしのいでいるのと同じような気分になります。お手玉を地面に落とさずにいるには、お互いに依存し合うさまざまなイニシアチブの全体像を把握しながら、個々のプロジェクトの作業を管理しなければなりません。プロジェクト管理 (プロジェクトマネジメント) を使えば、チーム全体で足並みを揃えて透明性を高めることができ、複数のプロジェクトを管理することのストレスを抑えることができます。その一方で、管理するプロジェクトが相互につながっている場合は、プログラムマネジメントを行った方がより適切に対処できます。

プログラムマネジメントを適切に実施すれば、類似のイニシアチブの優先度設定や管理が行いやすくなります。このガイドでは、プログラムマネジメントについて知っておくべき事柄をすべて解説しますので、すぐに導入していただけます。

プログラムマネジメントとは?

プログラムマネジメントとは、関連する複数のプロジェクトを同時に管理することをいいます。プログラムマネージャーは、プログラム全体のリソース管理計画を立てることに貢献し、プログラム内の相互につながるプロジェクトを成功に導くほか、プロジェクトの目標の照準を企業の全体目標に合致させます。

心当たりがあるという方、ひょっとしたらすでにプロジェクト管理ではなくプログラムマネジメントを導入しているかもしれません。しかし、現在のプロセスにプログラムマネジメントがどう合致するのかわからないという方は、他の類似の手法との比較をご覧ください。

プログラムマネジメントとプロジェクト管理の違い

プロジェクトは、特定の目標を達成するための一連のタスクであり、プロジェクト管理は、チームの仕事を計画、管理、実行するプロセスです。プロジェクト管理ソフトウェアを使用すれば、透明性が高まり、チームのコラボレーションも改善されるため、チームはスムーズにプロジェクト管理を行えます。

一方のプログラムは、ビジネスの戦略的な目標を達成するための一連のプロジェクトです。たとえば、企業が 1 つの四半期中にリリースするすべての機能は、それぞれに専用のプロジェクトが設けられる場合でも、プログラムとして扱われます。プログラムマネジメントは、会社の目標に照準を合わせた、長期的で相互に依存し合うイニシアチブを管理するプロセスのことをいいます。プログラムには関連するさまざまなプロジェクトが含まれ、その一つひとつにプロジェクトマネージャーが割り当てられる場合があります。プログラムマネージャーとプロジェクトマネージャーの違いについて詳しくは、こちらの記事をお読みください。

プログラムマネジメントとプロジェクトポートフォリオ管理の違い

プロジェクト管理とプロジェクトポートフォリオ管理は非常に似ていますが、管理対象のプロジェクトの種類が異なります。プログラムマネジメントでは、プログラムの中にあるプロジェクトは相互に関連しており依存し合うことが多々あります。たとえば、その年にリリースを予定している新機能のプロモーションに向けたマーケティングキャンペーンをすべて盛り込んだものが 1 つのプログラムと考えられます。これらの機能は、そのすべてが相互につながっているため、プロジェクトポートフォリオ管理ではなく、プログラムマネジメントに分類されます。一方、たとえば 1 つの四半期またはその年に予定されているすべてのマーケティングイニシアチブがポートフォリオの一例です。それぞれのイニシアチブが互いにつながっているかどうかは無関係です。チームは、プロジェクトポートフォリオ管理ソフトウェアを使い、こういったプロジェクトを追跡し、関係者とインサイトを共有できます。

プログラムマネジメントとプロダクトマネジメントの違い

プロダクトマネジメントは、社内における新製品開発のことを指します。プロダクトマネージャーは、ユーザーの意見を入手することから、製品を無事にリリースすることまで、製品を成功に導くことを担うチームリーダーです。

また、プログラムには、新製品など、あらゆる種類のイニシアチブを含めることができます。翌年の製品開発プロジェクトを管理するためのプログラムマネジメントのプロセスを作成することもできます。個々の製品開発プロジェクトには、専属のプロダクトマネージャーが割り当てられますが、プログラム全体の監督は、1 人のプログラムマネージャーが務めます。

プログラムマネジメントとワークマネジメントの違い

プログラムマネジメントは、プロジェクト管理の 5 つのフェーズやプロジェクトポートフォリオ管理と同様に、ワークマネジメントのサブセットとして位置づけられています。ワークマネジメントとは、プロジェクトや進行中のプロセス、ルーチンのタスクなど、組織のワークフローを調整する包括的な手法で、チームが目標を達成するために必要な透明性を提供します。ワークマネジメントでは、組織内のすべてのレベルにおいて、従業員、作業、チームを上手にコーディネートし、すべての従業員が必要な情報にアクセスできるようにすることに重点が置かれます。ワークマネジメントソフトウェアを使用すれば、組織全体の計画、プロジェクト、プロセスをコーディネートできます。

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プログラムマネージャーの役割と責任

プログラムマネジメントプロセスでは、さまざまな役割と頭字語が使用されます。組織の新しいプログラムマネジメントプロセスを作成するだけであれば、すべての役割と担当業務を使用する必要はないかもしれまれんが、それぞれの定義とプログラムにおいて各役割が担当する業務について知っておくことは大切です。

プログラムマネージャー

プログラムマネージャーは、関連する一連のプロジェクトを担当します。プログラムのイニシアチブが会社の目標に沿っていることを確認するのが主な担当業務の 1 つです。プログラムマネージャーは、プログラム内のプロジェクトの進捗情報を頻繁に確認し、戦略的な目標や事業目標との整合性がとれていることを確認する必要があります。

優れたプログラムマネージャーは以下も行います。

  • プログラムに対しエグゼクティブの同意を得る

  • 上司からの指示や部下に対する指示を管理する

  • プログラムに首尾一貫した意思決定をもたらす

  • プログラム全体のリソース管理計画を立てる

  • リスク登録簿を作成してリスクを軽減し、機会を活かす行動をとる

FAQ: プログラムマネージャーになるには認定を受ける必要がありますか?

プログラムマネージャーの認定プログラムは数多く存在しますが、最も有名なのは、Project Management Institute (PMI) によるプログラムマネージャー認定です。しかし、プログラムマネージャーになるには、プログラムマネージャーの認定が必須であるというわけでもありません。

プログラムマネージャーの認定を受けるの方は、プログラムマネジメントをキャリアパスとして真剣にとらえていることを示すために認定を受けます。認定を受けることで、給与アップやプログラムマネージャー関連の職に就くチャンスが高まることもあります。

スポンサーまたはスポンサーグループ

スポンサーは、プログラム組織の最上級メンバーです。予算や成果物、また必要であれば関連するビジネスケースなど、プログラムの主要な要素を承認したり、許可したりするのはスポンサーの担当業務です。また、スポンサーは、プログラムそのものやエグゼクティブから同意を得ることも支援します。最後に、シニアレスポンシブルオーナー (SRO) を任命するのも、スポンサーの仕事です。

Senior Responsible Owner (SRO)

SRO はスポンサーに任命されます。スポンサーグループを代理して意思決定を行うことが仕事であり、プログラムの目的を達成させることも、最終的には SRO の責任となります。プログラムに充てる予算など、高額の資金の承認はスポンサーが行う一方で、さまざまなチーム予算や社内の財務チームから資金を調達するのは SRO の担当です。

加えて、SRO はプログラムマネージャーと緊密に協力し合い、プログラムの照準が事業目的と戦略的に合致していることを保証します。プログラムを実現させるのはプログラムマネージャーの仕事ですが、プログラムと組織内の上級関係者の戦略的な足並みを維持するのは、SRO が担当します。

Business Change Manager (BCM)

BCM の主な責任は、利益実現プラン、つまりプログラムによって測定可能な価値が組織に付与されていることを確認するためのプロセスを作成し、実行することです。プログラムマネージャーは SRO と一緒にプログラムの成果を定義、達成する一方で、その成果が活用されることを保証するのは BCM の責任となります。

プロジェクト管理の 4 つのメリット

すでに複数のプロジェクトを管理されている方なら、今すでに行っていることと、プログラムマネジメントにそれほど大きな違いがあるのか、と疑問に思われているかもしれません。その答えは、ずばり「あり得る」です。すべてのチームに必要とは言えませんが、プログラムマネジメントには主に 4 つのメリットがあります。

1. プロジェクトをビジネスの戦略的な目標につなげる

プログラムマネジメントとそれに関連する役割や担当業務は、関連するプロジェクトを事業の戦略的な目標につなげるのに役立ちます。プログラム内の複数のプロジェクトをコーディネートできるだけでなく、プログラムマネージャーは全体像を得ることができます。つまり、プログラム内の各プロジェクトを全体的な視点から見ることができます。プログラムマネージャーは、各プロジェクトの目標をプログラムの目標に紐づけ、プログラムの目標の照準を会社の目標や OKR に緊密に合致させることができます。

2. プロジェクトの相互依存関係を見る

プログラムマネージャーは複数の関連するプロジェクトを担当するため、プロジェクトの相互依存関係を視覚化したり、発生する問題の優先度を判定したりしやすい立場にあると言えるでしょう。多種多様なプロジェクトを管理する場合は、依存関係があったとしても、各プロジェクトを個別に見ていたのでは、それらの依存関係を視覚化するのは困難な場合があります。プログラムマネージャーは、目標 (この場合なら会社の戦略的な事業目標) にフォーカスを定められるほか、プログラムの現状を把握することもできます。関連するプロジェクト全体で作業をリアルタイムにコーディネートする手段として、プログラムマネジメントに勝るものはありません。

3. リソースの割り当てを簡素化する

プログラムマネージャーは、プロジェクト間の相互依存関係を視覚化し、管理する以外にも、リソースの割り当て管理の簡素化および合理化も行えます。プログラム内のすべてのプロジェクトや各プロジェクトの相互関係のインサイトを持つプログラムマネージャーは、必要なリソースが従業員の時間であっても、予算の引き上げであっても、新しいツールやソフトウェアであっても、どのプロジェクトにどのリソースが必要なのかを、誰よりも的確に見極めることができます。

プロジェクトの予算はプログラムレベルで供給されるので、プログラムマネージャーと SRO は協力し合ってどのプロジェクトにどのリソースが必要なのかを最適なかたちで割り出せます。1 つのプロジェクトチームが予定よりも早くに目標を達成することがあれば、プログラムマネージャーは、プログラム内の各プロジェクトがそれぞれの目標を確実に達成できるようにプロジェクトのリソースを配分しなおすことができます。

4. リスクと機会について共通認識を持つ

プログラムには数多くのプロジェクトがあるため、リスクと機会がともに増大することは想像に難くないでしょう。しかし、プログラムマネージャーは、プログラム内のすべてのプロジェクトの全体像を見れるため、より的確にリスクを回避し、機会を活かすことができます。

たとえば、プロジェクトのリスク管理の要素の 1 つにリソースの割り当てがあり、各プロジェクトチームのバランスがよく、十分な人員が配置されていることを確認する必要があります。プログラムレベルでは、プロジェクトの人員不足や予算オーバー、対応が必要な状態に陥るリスクを軽減するために、必要に応じたリソースの割り当てと再配分を行えます。

一方で、プロジェクトマネージャーは、プログラムが事業の戦略的な目標にどのようなインパクトを与え、どのように貢献するのかを理解しているため、プロジェクトの最終日を延ばしたり、追加の成果物を達成できるようにプロジェクト計画を変更したりする、新しい機会を特定できます。

Discovery Digital Studios が Asana を使って複雑なプロセスを俯瞰的に把握している方法

Discovery Inc. は、TLC や Animal Planet、Food Network など、大人気のエンターテインメントネットワークを運営する大手メディア企業です。同社の Digital Studios コンテンツチームは、毎月のように各種 SNS プラットフォームやコンシューマーアプリ向けに何千もの動画を制作しています。

コンテンツオペレーションディレクターの Mike Singer 氏のチームは、スプレッドシートやメールのスレッドを使ってコンテンツ制作の状況を追跡していました。開発中のすべてのコンテンツを一度に俯瞰しながら、各動画の制作プロセスに関する直前の詳細をそのステータスと一緒に取り込むことができる、共有プラットフォームを必要としていました。つまり、彼は、Asana のようなプログラムマネジメントツールを必要としていたのです。Asana のカスタマイズ可能なワークフローを使えば、複雑なコンテンツプロセスを定義し、関係者にチーム全体の成果を示すわかりやすく示し、個々のコントリビューターと社外のチームとのつながりを維持し、最新情報を周知することができます。

別々に追跡していたワークフローは 6 個ほどありましたが、Asana のおかげでそれらを結びつけ、相互のつながりを確認し、スプレッドシードでは気付かなかった依存関係に気付くことができたので、とても満足しています。

また、Discovery 社のコンテンツチームは、制作が進行中の動画を集めた特定のグループを俯瞰的に確認するのに、ポートフォリオを活用しています。たとえば、Food Network Kitchen アプリ用の料理教室プロジェクトからなるプログラムを追跡するために、新規のポートフォリオを作成し、関連するコンテンツのキャンペーンプロジェクトのステータスと配信開始日を管理するといったことができます。

また、チームは連携アプリを使い、すべてのツールに Asana をつなげています。Asana for Outlook の連携を使用すれば、受信トレイから直接アクションアイテムを Asana タスクに変換できます。どのメールでもコメントとしてタスクに追加できるため、受信トレイを整理された状態に保ちながら、重要な情報を保存することができます。Asana for Slack との連携を使用すれば、Slack のプラットフォームから直接プロジェクトの最新情報を確認し、コメントを追加し、新規タスクを作成できます。また、Zapier + Asana の連携のおかげで、チームはプロセスの多くを自動化し、時間の節約に成功しています。

この可視性があるおかげで、チームは仕事の所要時間を正確に予想できます。また、プロジェクトの進行が遅れている場合は、それに気付き、その原因を診断し、軌道に戻すということができます。すべての情報が一元管理され、合理化され、視覚化されているため、メンバー全員がより効率的に作業を行えます。

必要な情報がどこにあるのかわからない、というフラストレーションは一気になくなりました。私たちをストレスから解放してくれる企業文化の変革といっても過言ではありません。ワークフローがスムーズになったのは一目瞭然です。

Discovery Digital Studios のチームによる Asana の使用法に関する詳細は、ケーススタディの全文をお読みください

プログラムマネジメントでプロジェクトを戦略に結び付ける

プログラムマネジメントは、複数のプロジェクトを管理し、それらの照準を戦略的な目標に合致させるための総体的なアプローチです。複数のプロジェクトを管理していて、ぎこちないお手玉芸をしているような気分になることがあれば、各プロジェクトのつながりを示す全体像を提供してくれる、プログラムマネジメントをお試しください。

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