6 つの明確なステップに分割したプロジェクトのリスク管理プロセス

Julia Martins 寄稿者の顔写真Julia Martins2021年1月29日00
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プロジェクトのリスク管理プロセス - ヘッダー画像

プロジェクトは、効果的な計画と管理が実施されている場合に一番順調に進むことは、周知のとおりです。自分のプロジェクト管理スキルを伸ばしたり、効果が実証済みのプロジェクト管理戦略を取り入れたりすることが、役に立つことはもちろんです。しかし、どんなに入念に計画されたプロジェクトにも、リスクは必ず存在します。

プロジェクトのリスクを防ぐ最も効果的な方法は、リスクを直視し真っ向から対処することです。何が起こるのか不確実な場合にも、事前に計画を練っておけば、緊急時にも、不用意な状態で混乱の嵐に巻き込まれるのではなく、プロジェクトチームを安全な方向に誘導できます。リスク管理計画を作成したことがなくても、過去のプロジェクトで予想外のリスクにより悪影響を被った経験がある方は多いと思います。この記事では、その経験を繰り返さないための秘訣を紹介します。プロジェクトのリスク管理に関する知識を深めつつ、以下の 6 つの簡単なステップで、自分のプロジェクトに最適なリスク管理計画を構築しましょう。

プロジェクトのリスク管理とは?

プロジェクトのリスク管理とは、あらゆるプロジェクトの潜在的なリスクを事前に特定、分析し、そのリスクに対処することを指します。「プロジェクトのリスク」とは、プロジェクトのスケジュールの遅延、予算への過剰な負担など、プロジェクトのパフォーマンスを低下させる何らかの要因により、プロジェクトの成功に影響を及ぼすおそれがあるものをすべて指します。

効果的なリスク管理を実施すれば、プロジェクトのライフサイクルを通じて、潜在的なリスクに未然に対処し、リスクを軽減し、予算と目標に沿って順調にプロジェクトを進められます。

どんな時にプロジェクトのリスク管理を検討すべきでしょうか?

プロジェクトのリスク管理は、問題の発生後に始動するものではなく、事前に取り組むものであり、理想的には、プロジェクト計画段階で実施します。それにより、潜在的なリスクとその影響を早めに特定し、プロジェクトを通じてそれらのリスクをモニタリングできます。そして、予期しない状態で危険に見舞われることがないよう、問題化に備えてリスクを絶えず監視できます。

自分のプロジェクトでも、リスク管理が本当に重要なのでしょうか?

実は、リスク管理を必要としないプロジェクトも存在します。たとえば、プロジェクトが比較的シンプルなプロセスからなる場合には、潜在的なリスクについてブレインストーミングを行い、リスクに対処するために、チームメンバーと簡単な話し合いを一度行うだけで十分かもしれません。対象範囲が狭く、工数が少なく、外部のリソース投入 (予算、労力など) を要さず、過去に問題なく完了できた経験があるプロセスなども、リスク管理を要さないかもしれません。

反面、複数部門のプロジェクト関係者や重要なリソースが数多く関与する複雑な取り組みでは、プロジェクトのリスク管理計画が活躍することが予想できます。工数や労力を多く投入する場合、大きな投資額を準備する場合などには、リスク管理計画を用意しておけば、プロジェクトスコープを遵守し、最終的には、プロジェクトを成功させることができます。

記事: プロジェクト管理における関係者の分析とその重要性

プロジェクトのリスクを管理するための 6 つのステップ

プロジェクトのリスク管理とは、簡単に言えば、潜在的なリスクを特定し、事前に対策を計画し、モニタリングすることを指します。すべてのプロジェクトで問題が発生するとは限りませんし、何事もなく終わる可能性もあるでしょう。一方で、リスクの評価と管理を事前に実施すれば、あらかじめ準備体制を整えた上で、問題発生時には迅速に是正できます。それにより、プロジェクト目標をすべて期限内に、予算に沿って達成できます。

次の 6 つのステップは、プロジェクトのリスク管理を初めて行う方でも簡単に実行できます。次回の自分のプロジェクトで実際にどんなリスク管理計画が可能なのかイメージしやすくするため、Asana において、ステップごとに、プロジェクトのリスク管理計画例も用意しました。

1. 特定する

プロジェクトのリスク管理プロセスを構築する上で、一番最初のステップは、プロジェクトの潜在的なリスク事象をすべて含むリストを作成することです。リスク事象とは、プロジェクトのスケジュール、予算、最終的な成功に影響を及ぼしうるあらゆる要因を指します。

プロジェクトのリスクを特定する方法はさまざまありますが、その内のいくつかを以下に挙げます。

  • 関係者に対するヒヤリングを実施する。 プロジェクトのリスクを特定する最善の方法は、関係者、リーダー、対象分野の専門家に質問することです。類似するプロジェクトを過去に経験したことがあれば、どんなリスクが発生したのか、どうすればそれを防げるのか尋ねましょう。似たプロジェクトを実施したことがないという回答でも、プロジェクトの重要リスクを見逃すことがないよう、必ず主要なプロジェクト関係者からの聞き取りを行いましょう。

  • プロジェクトチームと潜在的リスクについてブレインストーミングを行う。 プロジェクトチームは、毎日一緒にプロジェクトに取り組む仲間となるメンバーです。プロジェクトを始動する前に、どんな潜在的なリスクを想定しているのか、プロジェクトチーム全員の声を聞きましょう。プロジェクトにおける重大なリスクを特定するために、ブレインストーミングセッションの開催を検討してください。

  • 前提条件を記録し、正式に承認する。 「プロジェクトマネジメント知識体系ガイド」 (略称「PMBOK® ガイド」) によれば、前提条件とは、プロジェクトにおいて、今後現実となることを確信しているものの、実際にそれが事実であることは保証できない要素をすべて指します。プロジェクトにおいて、前提条件に基づく意思決定が、それと意識せずに行われている場合はよくあります。そのような意思決定を (前提条件を記録、検証しないまま) 行っている場合、プロジェクトのリスクに対し無防備な状態になります。現実であると確信している前提条件が、実際には事実でなければ、プロジェクトの土台が不安定になり、プロジェクトの成功が危うくなるおそれがあります。

  • チェックリストを確認する。 一般的なリスクを含むチェックリストが、チームまたは部門内で作成されていないか確認しましょう。それがない場合には、今後のプロジェクト成功を図るため、自分で作成を開始しましょう。

重要なリスク事象を特定したら、リスク登録一覧に記録しましょう。リスク登録一覧とは、その名の通り、プロジェクトのリスクをすべて記録するための専用リストです。リスク登録一覧には、特定したリスクに関し、以下の情報を含めましょう。

  • このリスク事象が実際に発生する確率はどの程度あるのか

  • 実際に発生した場合の影響と深刻度はどの程度か

  • チームのリスク対応計画は何か

  • 確率と影響度から考えて、優先度は何か

  • このリスクのオーナー (担当者) は誰か

後のステップで明らかになる情報もあるので、これらの回答が、現段階ですべてわからなくても大丈夫です。

プロジェクトのリスク管理、空白のリスク登録一覧

2. 分析する

リスクを特定したら、その確率、深刻度、対応計画を明らかにするために、各リスクの分析を行いましょう。プロジェクトのリスクの複雑性によっては、プロジェクトチームまたは主要関係者と共同で分析に取り組むことも検討しましょう。深刻度を判断するには、そのリスクがプロジェクト目標に及ぼしうる影響を検討します。スケジュールの遅延、予算の超過、成果物の品質低下につながる可能性はあるでしょうか?

続いて、各リスクに対し、対応計画を練ります。対応計画は、必ずしも今すぐ行動を要するアクションアイテムではありません。将来的にリスクが実際に発生した場合、どのような手順により迅速にリスクを是正し、対策を実施するのか定めるものです。

プロジェクトのリスク管理、深刻度が設定されたリスク登録一覧

3. 優先度を決定する

リスクの優先度を決定するためには、次の問いを自分に向けてください。リスク登録一覧と分析結果に基づき考えたとき、リスクの内で、実際に発生する確率が最も高く、かつ発生した場合にプロジェクトへの打撃が最も大きいものはどれでしょうか?一番重要なのは、発生する確率、そして発生した場合の深刻度が高いリスクに対処することです。あらゆる潜在的リスクは、モニタリングと対処を要しますが、その中でも一番注意を払い、最も頻繁に確認すべきなのは、上記の問いから割り出される高優先度のリスクです。

プロジェクトのリスク管理、優先度が設定されたリスク登録一覧

4. 担当者を指名する

このステップは必須ではありませんが、推奨します。リスクがまだ実際に発生していなくても、早めにリスクオーナーを指名しておけば、チームの準備体制を整えられます。リスクオーナーは、リスクをモニタリングするだけでなく、リスクが実際に発生する可能性が高まった場合、リスク軽減計画の策定における責任者としての役割も果たします。

プロジェクトのリスク管理、リスク登録一覧

5. モニタリングする

この時点では、プロジェクトがすでに動き始めています。最終的なプロジェクト目標に向かって、計画通りに順調に進んでいれば、言うことはありません。しかし、その場合にも、思いもよらない痛い目に合うような状況に見舞われないよう、必ずリスクのモニタリングを積極的に続けてください。そのためには、以下を行います。

  • 定期的にステータス更新を送信しましょう。リスク管理は問題発生後ではなく、事前に取り組むものです。よって、プロジェクトチームとプロジェクト関係者の足並みが揃っている状態でも、油断は禁物です。

  • 非同期的なコミュニケーションを個々のリスクマネージャーと行ってください。各リスクオーナーは、対応を要する状況が起きていないか、自分が担当するリスクをモニタリングし続ける必要があります。プロジェクトマネージャーやチームリーダーは、各リスクオーナーと定期的に意識合わせを行い、すべて順調に進んでいるか状況を確認してください。

  • リスク登録一覧に常に注意を払い、更新情報がないか確認しましょう。リスク発生の可能性が変わったり、リスク計画が更新されたりした場合には、リスク登録一覧にその変更を反映する必要があります。他のプロジェクト管理文書と同様に、リスク管理計画も、チーム全員が認識を合わせるために実際に活用できる「生きた文書」として取り扱いましょう。

この段階では、コラボレーションも非常に重要です。潜在的な問題や新しいリスクに気づいたチームメンバーがいても、すぐに自分で注意の呼びかけができる立場ではないと感じるケースは多くあります。チームによるコラボレーションやオープンで正直なコミュニケーションが奨励される文化を育むことが大切です。

記事: チームによるコラボレーションの効率をアップさせる 10 個の簡単な手順

6. 対応する

リスクが現実となったら、対応策を実行するときです。不測の事態への備えとして準備したリスク登録一覧とプロジェクトリスク管理計画が、リスクに対応する上で力強い味方となります。

大事な留意点: リスク管理は、リスクを避けるために役立つことは確かですが、その第一目的はリスク防止ではありません。プロジェクトのリスク管理の目的は、リスクに備えて効果的な計画を準備しておき、不用意な状態でその打撃を受けることが決してないようにすることです。

次回の計画セッションで、プロジェクトのリスク管理を議題に取り上げましょう。

効果的なプロジェクトには、効果的な計画が存在します。そして、早期段階の計画策定プロセスにおいて、リスク管理は主要な役割を果たします。プロジェクトの要旨など、早期段階に作成されるプロジェクト計画文書には、必ずプロジェクトのリスク管理計画を取り入れるようにしましょう。そうすれば、チーム全員がリスク管理計画にアクセスし、リスクが発生した場合にも、最適な方法で積極的に対処できます。

プロジェクト計画のヒントをもっとご覧になるには、こちらでプロジェクト管理計画の作成方法についてお読みください。

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