説得力のある企画書の書き方とコツを解説 (無料テンプレート紹介付き)

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2024年4月23日
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概要

企画書 (提案書) とは、スケジュール、予算、目的、目標など、関係者がプロジェクトについて知っておくべき情報をまとめた文書です。この文書には、プロジェクトの詳細をまとめ、アイデアを売り込み、関係者からプロジェクトへの賛同を得られるような内容を盛り込まなければなりません。この記事では、説得力のあるプロジェクト企画書の作成方法をご紹介します。

更新: この記事は、企画書を書くときに役立つフレームワークに関する情報を加えて、2024年 4月に改訂されました。

どんなプロジェクトにも誕生秘話はあるかもしれませんが、創造神話のように「光あれ!」と宣言してリソースが現れ、プロジェクトが始まるわけではありません。プロジェクトを進めるためには、まずチーム内の意思決定者や外部の関係者に提案し、そして企画書を提出しなければなりません。

企画書はエレベーターピッチのようなもので、プロジェクトの内容を凝縮して効率的に伝える文書です。しかし、思いついたアイデアをやみくもに書いただけでは相手を説得できないでしょう。そこでこの記事では、企画書作成を 6 つのステップに分け、順を追って解説します。企画書の書き方は提案書の書き方とも類似しているので、チェックしてみてください。また、説得力のある仕上がりにするためのコツも紹介するので、今後に役立てましょう。

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企画書とは?

企画書とは、新規プロジェクトや新商品を開発するときに作成する文書です。そこにはアイデアを明記するだけでなく、具体的なスケジュールや予算、目標、目的など、関係者が知っておくべきことをまとめます。

プロジェクト提案書とは?

なぜ企画書を作成するのか?

企画書を作成する目的は、次のとおりです。

  • 外部資金を確保する

  • 会社のリソースをプロジェクトに割り当てる

  • 関係者の賛同を得る

  • 勢いと期待感を生み出す

企画書と提案書の違い

企画書は提案書とも呼ばれます。厳密には、提案書は大まかな方向性を示すもの、企画書は具体的なアクションプランを盛り込んだもの、という違いがあります。そのため、実際にプロジェクトを始動させるために必要なのは、企画書となります。

主に顧客とシェアする文書を提案書ということが多いですが、前述のとおり、提案書の書き方は企画書の書き方ととても似ているので、提案書作成にもこの記事を参考にしてみてください。

企画書とプロジェクト憲章の違い

企画書はプロジェクトの立ち上げフェーズで作成されますが、計画段階で作られるのが、プロジェクト憲章です。この 2 種類の文書の違いは、その目的です。前者の主な目的は関係者を説得することですが、プロジェクト憲章はプロジェクトの目的を定めた参考資料で、企画書が承認されないとそもそも作成できません。

企画書とビジネスケースの違い

最後に、ビジネスケースとの違いも確認しましょう。ビジネスケースもプロジェクト憲章と同じく、企画書の後に作成される文書です。企画書によってプロジェクトが承認された後、プロジェクトの追加資金を確保するために作られるのが、このビジネスケースです。

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企画書の種類

企画書には 6 種類あります。それぞれに異なる目的があるので、これらの形式を理解しておくと実際に作成する際に役に立ちます

プロジェクト提案書の種類
  • 募集型: これは、RFP (提案依頼書) に応じて送付されるものです。RFP は、プロジェクトの詳細を発表し、適格なチームに入札を依頼するものです。このタイプの企画書では、他の企業と競合することになるため、徹底的なリサーチと説得力のある文章を書く必要があります。

  • 非募集型: RFP のない、つまり誰からも頼まれていない状態で一方的に送る文書です。この場合、他の企業やチームと競合することはありませんが、提案先の関係者があなたを必要としているかどうかわからないため、説得力のある文章を書く必要があります。

  • 非公式: クライアントから非公式に依頼を受けて作成する企画書のことです。これは正式な RFP ではないので、ルールはあまり具体的に決まっていません。

  • 更新: 契約更新書とは、既存の顧客に、契約を延長してもらうために送付します。このタイプの企画書の目標は、チームがクライアントのために生み出した過去の成果を強調し、将来的に成果を生み出せると説得することです。

  • 継続: 関係者にプロジェクトの開始を知らせるために送る文書です。関係者を説得するのではなく、プロジェクトに関する情報を提供することがその目的となります。

  • 補足: 継続企画書と同様に、すでにプロジェクトに参加している関係者に送られるものです。このタイプでは、関係者にプロジェクトの開始を知らせると同時に、追加のリソースをリクエストします。このような文書を使って、関係者にプロジェクトへの貢献度を高めるよう説得しましょう。

企画書に合う口調や内容は、どのような提案をするかによって異なります。プロジェクトの目標に合わせて作成するようにしましょう。

記事: 概念実証 (POC): 実現可能性の実証方法

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企画書の書き方: 6 つのステップ

企画書を作成するには、まずはじめに構成を組み立てなければなりません。規定の書式やフォーマットがない場合、構成は自分で考える必要があります。ここでは企画書の書き方を 6 つのステップに分けて紹介するので、参考にしてみてください。

プロジェクト提案書の書き方

ここで紹介する手順は、種類を問わず、ほとんどのタイプに当てはまるものです。ただし、読み手やターゲットが誰かによって内容をカスタマイズすることも忘れないようにしましょう。以下のアウトラインを参考にして、自分が書いた企画書に重要な要素が含まれているかどうかを確認してください。

1. エグゼクティブサマリーを書く

エグゼクティブサマリーは、タイトルのすぐ後に続く、企画書の導入部です。レポートの要約やエッセイの序文のように、このセクションでは、今後の展開を要約し、関係者に読み進めてもらうように説得力のある文章を書きましょう。プロジェクトの複雑さに応じて、エグゼクティブサマリーは 1 段落または数段落で構成されます。

エグゼクティブサマリーに含まれる内容は、次のとおりです。

  • プロジェクトが解決しようとしている問題

  • その問題に対してプロジェクトが提供する解決策

  • プロジェクトがもたらすインパクト

これらの項目については、後半で詳しく説明するので、エグゼクティブサマリーでは簡単に触れるだけにしましょう。

2. プロジェクトの背景を説明する

このセクションでは、プロジェクトの背景を説明します。参考文献や統計、グラフを使って、あなたが取り組んでいる問題には価値があると、読者を説得しましょう。

盛り込むべき質問は以下のとおりです。

  • 現状分析

  • プロジェクトが取り組む問題やコンセプトの概要

  • この問題についてすでに知られていることとは

  • これまでにこの問題に取り組んだ人はいるのか、どのようなリサーチが行われたのか

  • これまでのリサーチでは、なぜこの問題にしっかりと取り組まなかったのか

現状分析をするときは、SWOT 分析などのフレームワークを使用しましょう。また、このセクションでは、解決したい問題があなたの組織にどのように直結するかを説明することもできます。

3. 解決策を提示する

前項で提示した問題に対し、ここでは解決策を示します。プロジェクトのアプローチをより詳細に説明しましょう。

具体的には以下のような項目があります。

これらの項目をすべて盛り込む必要はありません。プロジェクトスコープに応じて項目を決めるとよいでしょう。このセクションでは、提案した解決策を実現するために必要なことをすべて説明するので、企画書の中で最も長く、最も詳細なセクションとなります。

4. プロジェクトの成果物と目標の定義

プロジェクトの成果物を定義することは、プロジェクト企画書を作成する上で重要なステップです。関係者は、製品、プログラム、技術のアップグレードなど、プロジェクトの最終的な成果物を知る必要があります。このセクションでは、関係者が企画書に目を通した際に、自分たちのリソースがどこに使われるのかを確認できます。

成果物を定義する際には、以下の内容を含める必要があります。

プロジェクトの問題点や解決策を示すことは重要ですが、成果物を定義できると、関係者がプロジェクトをイメージしやすくなります。

5. 必要なリソースをリストアップする

問題点、アプローチ、ソリューション、成果物の概要が明らかになったところで、取り組みを達成するために必要なリソースについて詳しく説明しましょう。

このセクションでは、以下の内容を記載します。

  • プロジェクトの予算: プロジェクトの予算には、製品を作るために必要なものから、広告の価格やチームの給与まで、あらゆるものが含まれます。プロジェクトを実現するために必要な予算項目は、ここに記載します。

  • コストの内訳: このセクションでは、プロジェクトに特定のリソースが必要な理由をリサーチする必要があります。そうすることで、関係者は自分たちのリソースが何に使われているかを理解することができます。この内訳は、予期せぬコストを軽減するのにも役立ちます。

  • リソース配分計画: リソース配分計画の概要として、必要なリソースをどこで使用するかを説明しましょう。たとえば、プロジェクトを完成させるために 5 万ドルが必要だと判断した場合、その資金を給与、技術、材料などに配分する予定であると説明します。

うまくいけば、この時点で関係者をすでに納得させ、提案した企画内容に賛同してもらっているはずです。だからこそ、必要なリソースを文書の最後に取っておくことは、賢い戦略的行動なのです。

6. 結論を述べる

最後に、説得力と自信に満ちた結論でプロジェクトの企画書を締めくくります。エグゼクティブサマリーとのバランスを考え、結論も簡潔にまとめることが重要です。プロジェクトが取り組む問題と、その問題を解決するための解決策をシンプルに示しましょう。このセクションでは、プロジェクトのインパクトも強調できますが、従来のエッセイと同様に、関連のある情報以外は含まないようにして、必要性の高い情報だけを入れましょう。

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効果的な企画書を書くためのコツ

上記の手順に従えば、企画書に必要な要素はすべて揃います。しかし、読者である関係者や担当者の賛同を得るためには、その人々を納得させるスキルが必要です。ここでは、説得力のある企画書を書くためのコツをいくつか紹介します。

  • オーディエンスを理解する

  • 説得力を持たせる

  • シンプルに仕上げる

  • リサーチをする

  • 企画書のテンプレートを活用する

それぞれの項目について、詳しく見ていきましょう。

オーディエンスを理解する

企画書を書く際には、オーディエンス (=関係者) のことを常に念頭に置きましょう。この文書の目的はプロジェクトの詳細を提示し、オーディエンスを獲得することです。そのために、こちらの考え方を押し付けるだけではなく、読み手の立場に立って作成することが、成功する企画書を書くテクニックのうちのひとつと言えます。たとえば、児童書出版社向けに新しい編集ツールを作る場合、関係者が親であるかどうかを判断し、相手の感情に訴えかけて製品に賛同してもらうのが賢明でしょう。

説得力を持たせる

企画書では、説得力が重要です。なぜなら、読者が企画書を読み、それに応じて行動を起こしてくれるかどうかが重要なポイントになるからです。読者がプロジェクトに興味を持たなければ、あなたを助ける気にはならないでしょう。たとえば、いくら編集ツールについて説明しても、それが提供する多くの機能、顧客へのメリット、業界へのポジティブな影響について言及していなければ、読者は「なぜこのプロジェクトに関心を持たなければならないのか」と疑問に思うはずです。

シンプルに仕上げる

問題点、アプローチ、解決策を詳細に説明する必要はありますが、企画書は複雑にしすぎてはいけません。たとえば、提案した編集ツールのプロジェクト計画を説明する際に、エンジニアがどのようなコードを使用して、各機能を動作させているかを説明する必要はないのです。

リサーチをする

企画書成功の鍵を握るのは、徹底的なリサーチです。オーディエンスが疑問を抱かないように、信頼できる資料、事例、統計、図表などを用いて、問題と解決策を裏付ける準備をしましょう。提案したプロジェクトを裏付けるリサーチを徹底的に行っていれば、読者を納得させ、もし質問を投げかけられても答えることができるはずです。

企画書のテンプレートを活用する

どんなに優れた企画書を提出できても、作成するのに膨大な時間を費やしていては非効率的です。プロジェクトはそれぞれ独自のポイントがあるにせよ、基盤となるものは同一であることが多く、企画書に含まねばならない項目も似ています。そこで、企画書のテンプレートを作って、活用しましょう。

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企画書作成時に役立つフレームワーク

読み手に納得してもらえるような企画書を作るために、以下のようなフレームワークを使いましょう。企画書の作り方で一般的に人気にあるフレームワークは以下の 3 つです。

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具体的な企画の内容やゴールを整然と明記するために有効なフレームワークです。以下の項目に答える形式でまとめていきます。

  • Who: 誰が実施するのか (主体となるチーム、ステークホルダー)

  • What: 何を実施するのか (目的や成果物、企画内容)

  • When: いつ実施するのか (時期やスケジュール)

  • Where: どこで実施するのか (場所やプラットフォーム、市場)

  • Whom: 誰に実施するのか (ターゲット)

  • Why: なぜ実施するのか (課題や背景、現況)

  • How: どのように実施するのか (手法や方法)

  • How much: いくらで実施するのか (予算、コスト)

3C 分析

3C 分析は、Company (自社)、Competitor (競合)、Customer (顧客) の 3 つの要素を分析するフレームワークです。外部環境分析が可能なこの 3C 分析は、現在自社が置かれている状況を把握するために用いられます。

自社の強みや弱み、顧客のニーズ、競合他社の動向を分析し理解することで、市場環境を把握し、競争力を高めるための企画を立てることができるでしょう。企画書を作成するときも、3C 分析に基づけば、説得力のあるものができあがります。

SWOT 分析

SWOT 分析は、Strengths (強み)、Weaknesses (弱み)、Opportunities (機会)、Threats (脅威) という 4 つの要素を分析するフレームワークです。自社やプロジェクトの内部要因と外部要因を考慮する子のフレームワークを使えば、自社の有利な環境や、逆に不利な要素などまでを整理して提示できます。

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企画書はプロジェクト管理ツールを使って強化する

企画書の書き方と 6 つのステップ、書くときのコツを紹介しました。新しいことを始めるには、まずそのアイデアを関係者に示し、新規プロジェクトとして承認してもらわなければなりません。解説したテクニックも参考にして、その第一歩となる企画書を説得力のあるものに仕上げましょう。

優れたプロジェクト提案書や企画書には、チームのコラボレーションが必要です。適切な管理ツールやグループウェアを使用すれば、チームはコミュニケーションをとり、情報を共有し、1 つの共有文書で共同作業を行えるので、おすすめです。

プロジェクトの情報を一箇所にまとめておけば、必要なときに簡単にデータにアクセスすることができます。企画書は、よく整理され、適切に計画されたプロジェクトから生まれます。効果的に作成するなら、プロジェクト管理ソフトウェアを有効活用しましょう。


Asana なら、企画書をテンプレート化することで生産性と効率性を上げることも可能です。過去のノウハウを応用し、それをベースにすれば、デザインや盛り込む内容に毎回四苦八苦しないで優れた企画書を仕上げられます。

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企画書に関するよくある質問

Q: 企画書とは何ですか?

A: 企画書とは、新規プロジェクトや新商品を開発するときに作成する文書で、具体的なスケジュールや予算、目標、目的など、ステークホルダーが知っておくべきことをまとめたものです。

A: 企画書は、プロジェクトやアイデアの概要を共有し、関係者に理解と承認を得るために作成される文書です。また、社内リソースを確保する目的も含んでいます。

A: 企画書には、プロジェクトの概要や背景、目的、成果物、リソースなどを含めます。より説得力のある企画書を書くためのステップは、本記事の『企画書の書き方: 6 つのステップ』をご覧ください。

A: 企画書を書くときは、明確かつ簡潔に示すことを心がけます。読み手の理解と承認を得ることが企画書作成の目的なので、そのためにも、読みやすさと明確さは重要です。詳しくは本記事の『効果的な企画書を書くためのコツ』をご覧ください。

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