この記事では、工数の基本的な概念から、算出方法、効果的な管理手法、さらに実務で活用できる代表的なツールまでをわかりやすく解説します。
工数は、プロジェクトの進行管理やリソース配分、業務効率の最適化に欠かせない重要な指標です。この記事を読んで、プロジェクトマネジメントの精度を高めるための工数管理スキルを身につけましょう。
更新: この記事は、工数管理で使われるツールに関する記述を含めて 2025年 6月に改訂されました。
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工数とは、ある業務やプロジェクトを完了させるために必要な作業量を、時間と人数で表したものです。製造業を中心に用いられている概念で、作業時間 (プロジェクトが完了するために必要な時間) と携わる人数 (プロジェクトに必要な人数) を掛け合わせて算出されます。たとえば「5 人で 2日かかる作業」は「10人日 (にんにち)」と表されます。
これは単なる労働時間の合計ではなく、作業の進捗やリソース配分、納期の見積もりに直結する重要な指標です。
製造業や建設業、システム開発などの現場で広く使われてきた考え方ですが、近年ではプロジェクトマネジメントやタスク管理の精度向上にも活用され、テレワーク環境下での生産性管理にも欠かせないものとなっています。
Asana では、タスクの担当者や納期、見積もり工数を紐づけて可視化でき、リアルタイムでの作業の進捗確認や工数入力の一元管理が可能です。タイムライン (ガントチャート) やワークロード管理機能を活用することで、不測の事態に備えたバッファ (余裕枠) の確保や人員配置の最適化もスムーズに行えます。
Asana のワークロード機能について詳しく見る工数管理とは、プロジェクトに必要な作業時間や人員を把握し、無駄や偏りのないよう最適に配分する管理手法です。工数管理は、プロジェクト全体の作業量を見える化を促進し、結果的に作業の効率化、生産性向上を実現させます。
特にプロジェクトマネージャーにとって、適切な工数管理は重要なスキルのひとつです。なぜなら、工数を正しく把握・調整することで、過剰なリソースの投入や人手不足といった問題を未然に防ぐことができるからです。結果として、プロジェクトの進行がスムーズになり、業務の遅延や品質低下を防ぐことにつながります。
さらに、工数の見える化が進めば、業務全体のバランスを把握しやすくなり、作業の無駄を減らして業務効率化を実現できます。加えて、近年は労働時間の適正管理がより重要視されており、実際の作業状況をリアルタイムで確認しながらチーム全体の負荷を調整することも求められています。
こうした背景の中で、勤怠管理システムやプロジェクト管理ツールを活用し、工数データをもとにした意思決定が不可欠になってきているのです。
工数は、プロジェクトやタスクにかかる総作業量を示す指標で、作業時間と作業人数を掛け合わせて算出します。ここでは、基本的な工数の計算方法と、知っておきたい単位について解説します。
工数 = 作業時間 × 作業人数
例えば、1 時間の作業を 3 人で行った場合、工数は 3 人時間 (3 人 × 1 時間) となります。
このように算出した工数は、プロジェクト進行の計画や工数見積もり、タスク管理の基礎データとして活用されます。Excel やプロジェクト管理ツールを使って工数を細分化し、リアルタイムで作業の進捗や勤怠管理システムのデータと連携させることで、より正確な工数入力と効率的な人員配置が可能になります。
工数の計算方法を理解したら、次に押さえておきたいのが「単位」です。工数は主に以下の 3 つの単位で表されます。
人時 (にんじ)
人日 (にんにち)
人月 (にんげつ)
それぞれの単位の意味と使い方を詳しく見ていきましょう。
人時は、1 人が 1 時間の作業でこなせる作業量を 1 で表した単位です。読み方は「にんじ」で、「マンアワー」や「M/H」とも表示されます。
たとえば、1 人で 2 時間かかる作業なら「2 人時」、5 人で 3 時間かかる作業ならば、その作業量は「15 人時」となります。
人日は、1 人が 1 日の作業でこなせる作業量を 1 とした単位で、読み方は「にんにち」です。一般的には「人日」と呼ばれますが、分野によっては「人工 (にんく)」と呼ぶケースもあるようです。
人日はたとえば、10 人で 5 日かかる作業ならば「50 人日」、100 人で半日かかる場合も「50 人日」となります。
人月は、1 人が 1 か月を費やしてこなせる作業量を 1 として表す単位です。読み方は「にんげつ」で、プロジェクト全体の工数の見積もりや人員配置計画でよく使われます。
人月の計算も「作業時間 × 人数」で行われます。たとえば、10 人で 3 か月かかるプロジェクトなら、その工数は「30 人月」、100 人で半年かかるなら「600 人月」となります。
クラウド型プロジェクト管理ソフトウェア Asana は、単なる工数管理ではなく、生産性と効率性を追求する工数管理ツールとして機能します。仕事の全体像を可視化しながら、チームの仕事量を管理できます。
作業時間と必要な人数で求められる工数ですが、工数がすでに出ている場合は、そこから必要な作業時間もしくは人数を導き出すことも可能です。
【必要な人数を産出する場合】工数 ÷ 作業時間: たとえば、10 人月のプロジェクトの納期が 2 か月後だとすると、10 ÷ 2 = 5 で、5 人の従業員が必要であることがわかります。
【必要な作業時間を産出する場合】工数 ÷ 人数: 逆に、工数を人数で割ると、作業を完了するための必要な作業時間がわかります。
プロジェクト全体の工数を求める場合はどうすればいいのでしょうか?たとえば、1 年という期間で進められたプロジェクトを、最初の 3 か月は 5 人で、その後は 10 人で行ったとしましょう。すると工数計算は「3 か月 × 5 人 = 15 人月」と「7 か月 × 10 人 = 70 人月」となり、それを足した総和「85 人月」がこのプロジェクトの工数となるわけです。
プロジェクトを円滑に進めるために、SaaS型プロジェクトマネジメントツールを活用しましょう。WBS 作成や工数管理もできる Asana なら、すべての仕事を 1 か所に整理できるから、業務効率が向上します。
Asana でプロジェクトを計画するメリットプロジェクトは計画段階で工数を算出しておくことが重要です。では、具体的にどんなメリットがあるのでしょうか?工数の有用性と活用方法を見ていきましょう。
工数はプロジェクト費用の見積もりに不可欠な指標です。予算の妥当性を裏付けるデータとして活用され、取引先との納期交渉にも具体的な根拠として提示できます。
工数管理を正しく行うことで、プロジェクトの遅延や過剰な人件費なども浮き彫りとなります。正確な工数管理はプロジェクト全体のコスト管理に大いに役立つうえ、企業の利益最大化にも貢献します。
工数から必要な人員数と作業時間が算出できるため、プロジェクトのスケジュール管理も効率的に行えるようになります。これにより、計画的な人員配置やガントチャートの作成がスムーズに進み、プロジェクト管理が円滑になります。
工数管理を行えば、プロジェクトの進捗状況をしっかりと把握することができます。作業量を表す工数を管理することで、メンバーのワークロードも見える化し、負担のかかりすぎや作業が遅れている箇所の特定もスムーズです。
すべての仕事を管理するプラットフォーム Asana では、メンバーの仕事量を可視化し、バランスよく配分することができます。Asana のワークロードについては『Asanaの使い方:ワークロードを使った仕事量の調整方法』をご覧ください。
チームやプロジェクトのリソース管理は、毎回ゼロから行っていては非効率的です。テンプレートを使って効率化しましょう。くり返し作業を自動化するには、Asana のリソース管理テンプレートが便利です。
リソース管理テンプレートを作成工数は、人員の能力 (スキル) がほぼ同じで、しかも従事する人数に正比例して作業スピードが早くなることを前提としている概念です。しかし実際には、この前提条件が整わないこともあるでしょう。工数を使うときは、その点をしっかりと理解した上で計算を行います。
工数管理の注意点を考慮に入れつつ、上手な工数管理のコツをこちらでチェックしましょう。
チームメンバーにはスキル差があります。得意分野や苦手分野もさまざまで、作業スピードもそれによって左右されるでしょう。工数計算をするときは、その点をしっかり考慮することが必要です。数字だけに気を取られるのではなく、メンバーそれぞれの実力も頭に入れておきましょう。
プロジェクトの初期に出した工数をずっとそのままにしておくことはおすすめできません。どんなプロジェクトでも、大なり小なり変更事項や修正点があるように、工数も変化します。定期的なレビューと調整を行うことで、リアルタイムの作業の進捗把握やバッファ設定に役立て、柔軟な対応が可能になります。
工数計算の精度を高めるためには、過去のプロジェクトで出した工数を参考にしましょう。工数計算を正しく行うことは、プロジェクトの成功に関わる重要なタスクと言えます。過去の類似プロジェクトの工数を参考に、精度の高い工数計算を心がけます。
大きな作業を細かいタスクに分割し、工数を細分化することで、進捗管理がしやすくなります。細分化されたタスクはガントチャートやタスク管理ツールで管理しやすく、工数入力もリアルタイムで行えます。
実際の作業では予期せぬトラブルや遅れが発生することが多いため、工数計算には余裕を持ったバッファを組み込むことが重要です。バッファを設定することで、急な変更や不測の事態にも対応しやすくなり、過剰な残業や人員の急増を防げます。一般的には工数の 10% 前後を目安にバッファを確保し、スケジュールや人員配置に反映させるのがおすすめです。
作業効率や作業の進捗はチーム内の情報共有が鍵となります。定期的なミーティングや Asana などのプロジェクト管理ツールを活用して、リアルタイムに状況を把握しましょう。
「もっと効率よくプロジェクトを進めたい」「無駄な作業をしている気がする」「チームメンバーの足並みが揃わない」 。そんな悩みを Asana のプロジェクトマネジメント機能で解決しましょう。まずは無料でお試しください。
適切な工数の見積もりや管理は、プロジェクトの成功に欠かせない重要な作業です。効率的かつ正確に工数を把握するためには、適切なツールを活用しましょう。ここでは、代表的なツールを紹介します。
多くの企業で使われているエクセルは、工数の集計や計算、簡単なガントチャート作成に便利なツールです。カスタマイズ性が高く、テンプレートを使えば手軽に工数管理表を作成できます。ただし、リアルタイム共有や大規模プロジェクトの管理には限界があるので注意が必要です。
プロジェクト管理ツールは、タスクの担当者や納期、工数見積もりを紐づけて管理でき、進捗状況をリアルタイムで把握できます。ガントチャートやワークロード管理機能を持つものも多く、複雑なプロジェクトでもスムーズに管理可能です。
勤怠管理システムは、実際の労働時間や勤怠データをもとに工数を把握できるため、正確な工数管理に役立ちます。テレワークの普及に伴い、多様な勤務形態にも対応したシステムが増えており、労働時間の適正管理と工数管理の両方を実現します。
ビジネス用語「工数」とは何か、計算方法と使い方、管理に関するヒントをご紹介しました。効果的なプロジェクトマネジメントを行うのに工数管理は必要不可欠です。プロジェクトの成功、組織の利益をもたらすだけでなく、正しい工数管理を行えば、メンバーのバーンアウトを防ぐことができるので、結果的にはパフォーマンスの向上、生産性アップにもつながるでしょう。
工数管理は Asana のようなクラウド型の仕事管理ツールでマネジメントすることをおすすめします。Asana なら、日々のワークマネジメントを効率的に行えるだけでなく、プロジェクトの進捗管理や工数管理もスムーズに行え、チーム間のコミュニケーションも活性化します。
仕事を最大限効率化し、チームの生産性を上げるためには、Asana のプロジェクトマネジメント機能をお試しください。日々の業務と目標をつなげ、「誰が・何を・いつまでに行うのか」を可視化します。