ブラックボックス化とは、業務の内部が、外部の人から分からない状態のことを指します。DX 化を推進するにあたって、内部が分からないと、具体的になにをどのようにデジタル化していけばいいのか分からなくなります。ブラックボックス化が引き起こす問題や実際の解決策について以下では紹介します。
「業務のブラックボックス化」という言葉を耳にしたとき、どんなイメージを抱きますか? 中身や判断基準が見えない謎の黒い箱。実際にそんな組織の状態を表した言葉になります。
この記事では、業務のブラックボックス化が一体何なのか、なぜ起こるのか、そしてそれをどう解決していくべきかについて解説していきます。
業務とワークフローを全社の目標につなげ、明確な方向性と大きな成果を組織全体に広げましょう。
業務のブラックボックス化とは、特定の業務プロセスや判断基準が、一部の担当者以外には理解できない状況です。アウトプットを優先することで、ドキュメント化や手順共有が滞り、内部メンバーが実情を把握できなくなってしまいます。
例えば、業務が忙しく、資料が未整備のまま案件対応を先行させていたとします。新人が来て、業務を説明したくても資料がどこにあるか分からず、業務の流れが分からないまま、その場その場で業務をこなしている状態もその一例です。
もしくは部署ごとでのコミュニケーションは活発ですが、別部署と連携を取る必要があるときに、専門知識の差や判断基準の違いから、お互いを理解できないこともあるでしょう。
作業を進めたいのに歩み寄れず、結果的に業務が停滞することもあります。こんな状態もブラックボックス化によるものです。
結果として、作業のための作業が増えてしまうこともあります。
2030年問題や2050 年問題などによる環境的、地理的、経済的問題を解決するために政府や各企業がデジタル社会に向けて奮闘しています。しかし DX 化 (デジタルトランスフォーメーション) を進めるにあたって、ブラックボックス化が問題となっています。
経済産業省が 2020年12月に共有したレポートでは、既存システムが老朽化、そしてブラックボックス化していることにより、DX 化における業務を行えない状態であることを懸念しています。
複雑なシステムを使いこなせない、全社横断的なデータ活用が進まない、などの課題が指摘されています。
DX 化するために、まずはブラックボックス化を解消しようという動きが起きているわけです。
ブラックボックス化が起きる要因は、共有不足による滞りです。以下ではブラックボックス化が起きる 6 つの要点について説明しています。
業務の内容が難しいと、担当者以外の人が理解するのに時間がかかります。また専門性の高さから、担当者がどのように説明すればいいのか分からず、言語化できずに内容が伝わらないこともあります。
ある程度の専門知識がある別部署の人材の雇用や、社内でのセミナー開催などで、問題は解消できます。
業務の効率性を上げるために活用した機能やツール、手法などが多くあり、それによって全体像がつかみにくくなることでも起きがちです。
把握していないツールや内容などが増えていき、何から手をつければいいのか分からなくなります。
ツールや機能を統合する場合、今までの情報を移行する必要があり、一手間が必要です。
別の担当者へ引き継ぐときに、情報をすべて後任に共有しておらず、理解度に差が起きることによりブラックボックス化は起きます。
例えば、前担当者のみが知っていた情報を社内では知らないまま業務を進め、手探りで進めた結果、ブラックボックス化が起きる可能性はあります。
引き継ぐときにはマニュアル化を徹底するなど、しっかりと引き継げるようにする仕組みが必要です。
仕事が忙しいと、毎度情報をまとめる時間や他社員に共有する時間が持てず、断片的な情報が蓄積し、共有するのが難しくなるのもブラックボックス化にあたります。
定期的に社内で話す時間を設けることで解決できます。
どこに情報を保存し、共有するのかが決まっていないため、個々で異なる場所や方法で共有し、結果として情報が分散しているのもブラックボックス化の要因です。
皆が情報を残し、共有する習慣をつけるためにも、情報共有の仕方に関して指示が必要です。
ブラックボックス化は、単なる 「状態」 で終わらせられるものではありません。具体的には以下のような問題を引き起こします。
特定の担当者しか業務内容を理解していないため、その人が休んだり、異動したり、退職したりすると、業務が完全にストップしてしまうリスクがあります。属人的であることは、企業にとって非常に脆弱な状態です。
特にレガシーシステム (古いシステムや技術) がブラックボックス化している場合、障害時の復旧の難しさやセキュリティリスクの増大など、様々なリスクを背負うこととなります。
業務の中身が分からないため、リードタイムが悪化します。非効率な手順が温存され続ける、問題が発生した際に原因究明に時間がかかるなど、全体の業務効率が低下します。
新しいメンバーが加わっても、手探りで一から学ぶしかないため、立ち上がりに時間がかかり、組織全体の生産性が落ちてしまいます。結果的にコストも増大し、競争力の低下にも繋がります。
業務プロセスが不透明なままだと、品質管理も困難になります。特定の担当者の裁量に依存するため、人によって品質にばらつきが生じたり、ヒューマンエラーが起きやすくなったりします。
原因が不明なまま問題が放置され、顧客からの信頼を失うような大きなリスクにもつながる可能性があります。
ブラックボックス化された業務は、それを知る担当者への負担を増大させます。質問が集中したり、休みを取りにくくなったり、最悪の場合、心身の不調を引き起こすこともあります。
これは個人だけではなく、組織全体のモチベーション低下にもつながります。
ブラックボックス化の解消は、DX 化を進めるうえで、以下のようなメリットを生みます。
特定の個人に依存せず、誰でも一定の品質で業務を遂行できるようになるため、急な人事異動にも柔軟に対応できるようになります。
また、業務プロセスが可視化されることで、非効率な部分や改善点が見つけやすくなり、継続的な業務改善が可能になります。これにより、生産性が向上し、コスト削減にもつながるでしょう。
ナレッジが共有されることで、新入社員の教育コストも削減でき、担当者個人の負担も軽減されます。より創造的で価値の高い業務に集中できるようになるため、従業員のエンゲージメント向上にも寄与します。
業務の進め方や進捗状況などが可視化されるため、人為的なミスが減るだけではなく、全体像を見て施策を考えることが可能です。結果的に DX 化の推進にも寄与します。
ブラックボックス化を解消する方法はいくつかありますが、Asana はその取り組みにおいて重要な役割を果たします。
Asana はワークマネジメント、および業務可視化ツールです。しかし、ただタスクを管理して、その通りに追うだけのツールではありません。
個人、チーム、組織と異なる単位での管理が可能 - すべての業務を階層構造上で繋げることができます。そのため全体的な進行を見ながら、異なる部署同士で業務を進めることが可能です。
連携できるツールが多い - Google Workspace や Microsoft 365、Notion など、多くのツールと連携して使用できます。異なるツールにある情報を Asana に一元化できます。
業務やタスクの見える化 - 責任の所在が明確になり、作業の抜け漏れや遅延、不正リスクを管理できるようになります。ワークフローシステムにより、申請や承認プロセスが自動化され、誰がどの工程でボトルネックになっているのかが明確になります。
毎日の仕事につながるチーム目標・企業目標は何かを明確にし、パフォーマンス向上を目指しましょう。Asana なら、各指標の達成度や達成状況を一目で把握し、チーム全体でシェアできます。
業務の可視化ツールとしては、以下のようなメリットも生みます。
定期的な情報共有と引き継ぎ - 新たなコミュニケーションの場として、情報共有がしやすくなります。
タスク形式で行動を促進 - タスクのマニュアル化や引き継ぎなどをフローチャートにし、チェックリストのような感覚でタスク管理ができるため、行動に繋がりやすいです。
業務の透明性が高まる - 今何をそれぞれ行っているのかが可視化できるため、複雑な業務も具体的に何を変更することで、効率性が上がるのかが分かりやすくなります。結果的に生産性向上に繋がります。
具体的に Asana では以下の動画のようなステップを取ることで、タスクを作成し、ブラックボックス化の防止に繋げることができます。
また Asana では、 AI を機能に取り込むことで、より組織の成長に繋がるツールへと進化しています。まずは Asana を試して、効果を確認してみてください。
Asana を無料で試す富士通 (情報通信技術) - 相関関係や優先順位など、プロジェクトの全体像を可視化できるようになったことで、30%の効率化を実現。データに基づいた意思決定ができるようになった。また、組織全体の知識と経験をツール上でライブラリー化することもできた。
三井住友信託銀行 (銀行) - 専門性が高く属人化しやすい資産管理業務のスキルやノウハウを Asana で可視化し、ナレッジ化。またコミュニケーションが活発になり、業務上の課題の共有や解決のための議論が生まれた。
銀座 日東コーナー 1948 (老舗洋食レストラン) - コロナ禍にスタッフとコミュニケーションを取るために導入。抜け漏れのないタスク管理を実現し、プロモーションやメニューなどにも積極的に企画から実行まで行えるようになった。
ほかにも Asana を用いたことで DX 化に繋がったという嬉しい声が上がっています。
【導入事例】 Asana を導入して企業はこう変わったAsana はあくまでもブラックボックス化を解消するための導入ツールであり、実施するためには社員一人一人の協力が不可欠です。
皆が DX 化、そしてブラックボックス化の解消に前向きで協力的な文化を作っていくことが大切です。それには実際に Asana やそのほか施策がどう業務を変えていくのかを説いていくことが、DX 化への第一歩となります。
業務のブラックボックス化は、組織にとって見えない負債のようなものです。しかし、その存在を認識し、適切な解決策を講じることで、持続可能で生産性の高い組織へと変革することができます。
マニュアル化、情報共有の仕組みづくりを Asana などのワークマネジメント基盤で標準化していくことが重要です。