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銀座 日東コーナー 1948のスタッフ

1948年創業 銀座の老舗洋食レストランが、 アナログな世界をDX化し経営をV字回復

結果

社員、アルバイト、外注業者などとの抜け漏れのないタスク管理

あらゆるプロジェクトのタスクを可視化し、誰もが抜け漏れなく実行でき、進捗が一目で確認できるようになった

プロモーションやメニュー開発など積極的な施策展開が可能に

顧客のペルソナに合わせた新しい施策やメニュー開発の企画から実行までをスピーディかつ適切に行えるようになった

飲食店のDX化により新たな事業領域を実現

コロナ禍でもデジタルプロモーションを強化し効率的にアプローチできた経験を活かし、地元の飲食産業を活性化させるための活動も展開できるようになった

日東コーナー logo
地域日本
会社の規模1 - 99人
業界食品 / ホスピタリティ
主な機能
automation iconルールproject-view iconプロジェクトビューform iconフォームreporting iconレポートダッシュボードmobile iconデスクトップアプリとモバイルアプリ
主な連携
Slack のロゴ
Google Workspace のロゴ

東京・銀座の老舗洋食レストラン「銀座 日東コーナー 1948」の歴史は、戦後間もない1948年に銀座の地で貿易業の再開から始まりました。物資の乏しい時代に貿易事業で培った幅広い商流を活かして銀座の地から社会を明るくすることを目的に洋風飲食店「銀座 日東コーナー 1948」(以降、日東コーナー)が産声を上げました。新型コロナウイルスの影響により多くの飲食店が経営的な打撃を受ける中、日東コーナーがAsanaを活用しどのようにV字回復を遂げたのかをご紹介します。

新型コロナの影響で激減する売上

戦後、日本の欧米文化の発信地となった銀座の街が目まぐるしく変化するなかで、日東コーナーは著名な財界人をはじめ、歌舞伎役者やその関係者など洋食を楽しむ多くのお客様に愛され続けていました。しかし、突如として新型コロナウイルスが世界を襲いました。街から人が消え、度重なる緊急事態宣言や時短要請により同店では数百を超える予約がキャンセルされるという悪夢のような事態が経営を圧迫しました。

日東コーナー 5代目店主 竹田大作氏(以降、竹田氏)は、当時を次のように語ります。

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戦後間もない頃から銀座の街の洋食店として新しい文化・価値観を発信し続けてきた当店ですが、新型コロナウイルスの影響によりかつて類を見ないほどに売上は激減しました。当初は、頭が真っ白になり何も手がつけられない状況でした。しかし、小さいながらも先代たちが守り続けてきたこの店、日東コーナーを愛してくれているお客様、そして私を支え続けている家族のためにも、この襷(たすき)を私で途切れさせるわけにはいかないという熱い思いが強く芽生え始ました”

飲食業立て直しのための「日東コーナー流」戦略

飲食店は以前と違い、美味しい料理を提供し続ければ繁盛するというものではありません。美味しい料理を追求し提供し続けることはもちろんですが、優れた顧客体験を提供する使命があります。

「お客様の笑顔は街の笑顔であり私たちの喜びです。少しでも多くのお客様に、おいしい料理と一緒に、楽しい時間を過ごしてもらえることが飲食店のゴールです。私が下を向いていたら、その根本的なゴールが損なわれることになります。新型コロナウイルスには絶対に負けない、前を向こうと決心しました」と竹田氏は述べます。

銀座 日東コーナー 1948  5代目店主 竹田大作 氏

竹田氏は、店舗をさらに進化させることを目標に基本方針を策定するところから開始しました。

基本方針:

  1. 新型コロナウイルスに関する衛生対策

  2. フードロス対策と徹底的なコスト削減

  3. コミュニケーションの強化とタスク管理の徹底

  4. 新たなビジネス領域の模索

詳細を確認していきましょう。

新型コロナウイルスに関する衛生対策

普段から食品衛生管理を徹底していた同店ですが、新型コロナウイルス感染症への対応は飲食店の責務であると考えました。具体的な対策として、社員やアルバイトの健康管理に加えて、日本フードサービス協会や関係省庁から提供された新型コロナウイルス感染症対策の「基本的対処方針に基づく外食業の事業継続のためのガイドライン」などを参考に店舗運営を徹底しました。本来であれば席数を多く取りたい飲食店ですが、同店では衛生管理の観点に加えて、顧客体験を良くするために席を間引いて広い空間を楽しんでもらえるようにしました。

フードロス対策と徹底的なコスト削減

一般的に飲食店は新鮮な食材を仕入れて、調理し、提供します。この仕入れの量やタイミングが飲食店運営の利益を大きく左右します。多くの食材を仕入れてしまうとフードロスにつながります。その反対に仕入が少ないと欠品してしまい顧客満足度が下がります。前述したとおり新型コロナ感染ウイルスによる度重なる緊急事態宣言により数百の予約がキャンセルされました。つまり新鮮さを失った食材を廃棄せざるおえない状況です。このことは経営を圧迫するだけでなくフードロスにつながります。

これらを打開するために同店では急速冷凍庫を導入することに決めました。

「高度なテクノロジーを搭載した最新の急速冷凍庫は、解凍しても美味しさを維持できるために以前から注目していました。しかし、この冷凍庫は数百万円もするため飲食店にとっては大きな出費となります。まずは強い経営基盤を作るために高価な冷凍庫を導入することにしました」

今、この急速冷凍の技術が飲食店の利益確保とフードロス対策で注目を集めています。食品内の水分が凍る温度帯はマイナス1℃~マイナス5℃と言われています。この温度帯を素早く通過させることができると氷結晶の成長を抑制し、食品の細胞破壊を防ぐことが可能になります。つまり、細胞がそのままになるために鮮度・風味・食感が維持され、冷凍前の美味しさ、品質を解凍時に再現できるのです。その一方で現状、急速冷凍庫は非常に高価なもので、なかなか導入できるものではありません。竹田氏は、さまざまな急速冷凍庫を「こんにゃく」や「豆腐」、「自店のメニュー」で何度も実験したと言います。こんにゃくなど、液体が固まってできたゲル状の食品は、冷凍するとスカスカになってしまうため実験に適しているのだそうです。このように竹田氏は急速冷凍のノウハウを積み重ねることに成功しました。

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急速冷凍庫の導入によりキャンセルなどによる食材廃棄などに対応することに成功しました。解凍しても味を損なわず新鮮なままですし、フードロス対策や利益を確保できる状態に整えられたのは当店にとって大きな収穫でした”
銀座 日東コーナー 1948の人気メニュー

コミュニケーションの強化とタスク管理の徹底

一般的に飲食店の従業員やアルバイトとのコミュニケーションは、開店前の朝礼などで行われます。同店においても以前は竹田氏が主体となり、対面形式で従業員やアルバイト、業者と密なコミュニケーションをとっていたと言います。しかし、コロナ禍において対面での意思疎通が難しくなっていたため、コミュニケーションが希薄化するだけでなく連携ミスも頻発し始めました。そこで、竹田氏は業者や在宅勤務者、チームとのコミュニケーションにZoom、リアルタイム性を求めるやり取りにSlack、タスクやプロジェクト管理にAsanaを導入することにしました。

「Asanaを導入する前は、タスクを俯瞰的に確認できる状態ではありませんでした。私が気づけば担当に聞くし、気づかなければ忘れられているということも少なからず存在していました。Asanaを導入したことで関係者全員がタスクを見落とすことなく状態を確認できるようになりました。また、活発な意見交換や経営が打ち出した計画の進捗を確認できるようになりました」と竹田氏は言います。

同店では、コロナ禍における売上拡大のためにWeb集客やソーシャルメディアへの積極対応、ライブコマースやオンラインショップの開店などのデジタルプロモーションを強化しました。また、リアルなプロモーションにおいてもユニクロとのコラボレーションTシャツや松屋銀座での「銀ぶらグルメ」企画、三越での「フードコレクション」企画などに参加しました。これらのプロモーションの企画から実施に至るタスク管理の全てをAsanaで緻密に行ったと言います。

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1つの企画には、仕入担当からコック、ホール担当、フォトグラファー、イラストレーター、Web担当、配送業者、ソーシャル担当など数多くの関係者が関与します。そして、多くのケースにおいてスケジュールの遅れは許されません。そのため私個人がボトルネックになることが懸念されていました(笑)。今ではAsanaのおかげで外部のステークホルダーなども巻き込みながら課題や進捗の確認が可能になりスムーズな店舗運営が可能になりました ”
銀座 日東コーナー 1948とユニクロのコラボTシャツ

新たなビジネス領域の模索

世の中の企業はアナログからデジタルへと大きくシフトしています。18世紀後半、英国の蒸気機関車の発明で端を発した産業革命により社会構造が大きく変化しました。その後も20世紀に入り電力の発明、中盤にはコンピュータの発明など、テクノロジーの進歩が私たちを取り巻く環境や社会を激変させています。21世紀のデジタル化されたインターネット社会では「場所」や「時間」の制約が取り払われ、これまでの「成功パターン」は、今日の「成功パターン」ではなくなりました。

その一方で、飲食店だけはデジタル化されない聖域、「場所」や「時間」に捉われた業態であると考えられていました。

「コロナ禍において生活様式は大きく変わりました。リモートワークが当たり前になり人々は家でご飯を食べます。大きな宴会や会合などは今後も少なくなるでしょう。そのような状況において“時間と場所の制約から解放される飲食店を目指したい”と思うようになりました」と、竹田氏は言います。

日東コーナーでは、飲食店特有の時間と場所の制約からの解放のためにインターネットを含むIT技術と冷凍技術をフルに活用する戦略に転換しました。具体的には自店のオンラインショップを立ち上げ、店内で最新型の急速冷凍技術を利用することで、職人の味をそのままにご自宅にお届けすることを可能にしました。商品は店内で空いている時間を利用して、バラエティー豊かな品揃えと素材のままの味わいを、包装から梱包、配送まですべて店内で完結させています。今では家族構成などペルソナに合わせたコース開発やメニュー開発などもAsanaで管理されています。その甲斐あって売上は右肩に上がり一時期のどん底が嘘のような状態になりつつあります。

「将来的には日本国内のみならず海外の食卓にも日東コーナーの伝統の味を届けたいと思っています」と竹田氏は付け加えます。

地域活性化への道のり

多くの飲食店が新型コロナの影響で元気を無くしました。竹田氏は日東コーナーの店主でありながら、銀座料理飲食業組合連合会(銀座料飲組合)の理事も務めています。竹田氏は常に地域に根ざしたいと考えており、銀座の発展が人々の幸せにつながるという信念があります。自身も大変な時期に銀座という土地に救われたことから、銀座に恩返しをしたいという熱い思いも秘めています。

例えば同店では、地域支援の一環でNPO法人キープ・ママ・スマイリングを支援しています。病気の子供を育てる親御さんは、付き添いや看病で体調不良や栄養不足、睡眠不足が多いという統計データがあります。日東コーナーは少しでも、そのような方々が元気になってほしいという願いからミールサポートで社会貢献をおこなっています。

また、日東コーナーが体験したDX化を少しでも銀座の飲食店に参考にしてほしいという思いから、通常は競合と思うような飲食店にも惜しげもなく今回の技術ノウハウを共有することに積極的に取り組んでいます。

「銀座の老舗レストランである「みかわや」さんを筆頭に、美味しいケーキで有名な「ピエスモンテ」さんなど徐々に日東コーナーが実践したノウハウを共有する基盤が整いつつあります。私は街が笑顔になれればそれで良いので、体験したノウハウの全てを共有したいと思っています」と竹田氏は言います。

飲食店のDXをAsanaが支える

飲食店における新型コロナウイルスの影響は多くの店舗にとってマイナスなものでした。しかし、日東コーナーにとっては、立ち止まり、考え、行動する良い期間となったのです。結果的に日東コーナーではデジタル化だけでなく、新たなビジネスを創出するというデジタルトランスフォーメーション(DX)を実現させることに成功しました。銀座の老舗洋食レストラン「日東コーナー 1948」の新たなステージをAsanaが支えているのです。

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