スマートキャンプ株式会社 取締役COO 阿部 慎平氏 取締役CFO 峰島 侑也 氏
スマートキャンプは、「Small Company, Big Business.」というビジョンを掲げて、2015年5月よりSaaS 支援プラットフォームの「BOXIL(ボクシル)」を展開しています。このビジョンは「ビジネス規模は、必ずしも組織の規模には比例しない。小さい規模の会社でも、大きなビジネスができるはずだ」という考えからきており、一人当たりの労働生産性が高い社会・会社を作ることを目的とし、日本全体の生産性向上への貢献を目指しています。
ボクシルでは、営業、マーケティングから会計、勤怠管理などさまざまな SaaS を比較し検討することができます。これらのツールを使いこなして生産性を高めてもらうために、BtoB サービスの紹介だけではなく、そのビジネス手法やハウツー、ビジネス現場で役立つ知識などの情報発信もしています。月間PV数は1200万以上あり、クラウド時代のビジネスメディアとして成長しています。この集客力で SaaS 提供企業へ広告枠を提供するメディア事業と、SaaS 企業のマーケティングや営業の効率化を支援する「BALES(ベイルズ)」も提供しており、主にこの2軸で事業を展開しています。
SaaS 企業は、ボクシルに掲載することで、ツールを探しに来ている見込顧客(リード)を獲得できます。また、このボクシルで獲得したリードをフォローしたり管理するプロセス(リードマネージメント)も支援しています。具体的にいうと、営業をマーケティングとインサイドセールス、フィールドセールス、そしてカスタマーサクセスに分けて、営業全体を効率化するお手伝いをコンサルティングやアウトソーシングで提供しています。
昨今、米国では一般的だったマーケティングオートメーションツールやCRMツールなどが日本国内においても広がりを見せており、デジタルを活用したより効率的な営業などが模索されています。しかし、SaaS 企業を含め多くの日本の企業は、営業案件の獲得に脈略のないテレアポなど不特定多数への非生産的なアプローチが依然として主流です。この課題を解決するべくコンサルティングやアウトソーシングで組織のプロセス自体を構築するお手伝いもしています。このように、スマートキャンプは、SaaS を探す企業とSaaS 企業のハブとなり、生産性向上を目的としたさまざまサービスを提供するプラットフォームです。
スマートキャンプ の組織構成としては、主にボクシルの広告営業に従事するマーケティングと営業チーム、BALESのコンサルティング・アウトソーシングを担うコンサルティングチーム、記事の企画や編集を行うメディアチーム、デザイナーを含めた開発チーム、会計や人事、総務などのコーポレートストラテジーチームから成り立っています。
Asana は、2018年の4月頃から本格的に導入しました。まずは、メディアチームで使い始めたのが始まりだったと思います。そこからあっという間に社内の全体に広がり、今ではさまざまな部門で使われています。私は、COOとして主にビジネスサイドを統括していまが、営業チームが、出稿案件を獲得してからマーケティングへ依頼するプロセスに問題を抱えていると耳にして、Asana の活用を提案してみました。その当時は、営業が案件を獲得するとGoogle スプレッドシートに詳細を記載して、Slack の出稿依頼用のチャネルで、出稿担当者に依頼するというオペレーションでした。しかし、出稿依頼が Slack 上で流れてしまい見逃されしまったり、いつ依頼したのか遡りづらいなど、Slack だけでは限界があり問題が発生していました。 そこで、Google スプレッドシートでの管理をやめて、Asana で出稿依頼の管理をすることにしました。まず、営業が Google フォーム上で必要な項目を記入すると、自動で Asana にタスクが作成されます。同時に、Slack 上でも依頼が来たことが通知されます。仕事のスピード感は大切にしているので、タスクが作られると同時にいつも見ている Slack にもお知らせが届くことは重要です。このように、Asana の連携機能を使うことで、営業がフォームに入れるだけで、自動で依頼業務が完了し漏れなく担当者に引き継がれる完璧なオペレーションに変更することができました。広告枠の出稿管理は、サービスIDや掲載箇所など必要な情報が多くミスが起こりやすい複雑な業務ですが、自動化することでミスや見落としのリスクを最小限にして、且つスピードを持って効率的に回せるように改善しました。
そして、同時期にそれ以外のチームでも Asana の利用が広がり、去年の2018年に有料プランへ移行して全社的に本格導入を始めました。ちょうど会社的にも、部門やチーム間でのタスク管理が課題になってきていました。というのも、2年前は13名程度だった社員は、ここ2年で急速に拡大し、正社員58名(アルバイトを含めると100名以上)になり、2019年4月現在、2年前に比べると4~5倍程度の規模になっています。特に去年1年で社員は2倍程度拡大しており、部門間のコミュニケーションに問題がでてきていました。
また、CFOの峰島は、Asana を使ってスマートなマネージメントを実現しています。彼はコーポレートストラテジー部門を統括しており、主にバックオフィス業務が多く含まれます。経理、財務、総務、情報システムなど業務は多岐に渡ります。ベンチャーではリソースが足りないのは常で、ほとんどの業務は、それぞれ専任の担当者が一人で回しています。一人ひとりが全く違うことをしているのを、峰島が統括しています。また、この部門の特徴としては、タスクのタイムスパンがとても長く、数ヶ月かかることが多い傾向にあります。これを少人数で回していると、常に気付いた時に、口頭や Slack などで進捗を聞くというコミュニケーションを取らざるを得ない状況でした。しかし、マイクロマネージメントになってしまう懸念があり、それはしたくないという思いがあったそうです。しかし、そのまま任せていると、実際にタスクが進んでいなかった時、長期に渡るタスクなだけにダメージが大きくなってしまいます。しかし、Asana で全てを管理することで、タスクの下にさらに細かいサブタスクも設定でき、かつそれぞれのタスクに期日を設定できます。仮に期日に間に合わなくなってしまったとしても、各担当者が自分で期日を調整して入れておいてもらうこともできます。マネージメントとしては、
峰島は、毎朝 Asana を開けて、自分とチームのタスクで期日が近いものは必ず確認することを習慣にしています。同時に、コーポレートの定例ミーディングでは、Asana を見ながら今週のタスク確認をチームと実施しています。Asana 以前は、Slack でぱらぱらと進捗を会話レベルで確認してコミュニケーションを取っていたそうです。しかし、Asana は、タスクを曖昧にできない設計です。必ず担当者と期日を設定して、その進捗を追跡することができます。会話ではなく明瞭性を持ってタスク化して追跡し成果を出すことができます。
マネージメント側も自分のタスクを透明性を持ってチームに共有できるメリットもあります。Asana 以前は、例えば峰島は、個人向けのメモや情報の管理ツールで彼自身のタスクを管理していました。彼が依頼したと思っていたタスクが、実際にチームの担当者のタスクの中に入っているかは不透明でわかりませんでした。しかし、Asana で管理することで、チーム内で双方向でタスクを共有し紐づけられます。彼の依頼したタスクは、チームで一元管理されるのです。
また、Asana は、モバイルアプリがとても使いやすいと感じます。パソコン上と同じことができ、ちょっとしたメモやチェックにも使うことができます。私は、セミナーの登壇資料の骨子などを、電車などの移動中に下書きする際にも Asana を使っています。そして、オフィスなどでパソコンを開いて本格的に原稿を作る際に、参照しながら作れるのは大変便利です。以前は、他のメモアプリを使っていましたが、今は全て Asana に集約させ、Asana をメモがわりにも使っています。そうすることで、モバイルでは、まずは Asana を開くようになり、一層利用頻度が増しています。それも、モバイルでストレスなく使いやすいアプリだからだと感じます。
事業戦略についても同様で、Asana にメモを入れています。例えば、サービスごとの戦略をセクション機能を使って分けて作っていきます。このように戦略など「考える時間」は、通常の業務時間にはなかなか作ることはできません。しかし、Asana を使えば、移動時間を使ってメモのように整理して残していくことができます。人を待つ時間など隙間時間を有効に使えるようになりました。
「セクション分け」は、とても便利で管理しやすいと感じます。私は管理している領域が多岐に渡りますが、戦略、組織人事、ブランディングなど領域ごとにセクションを作り、その中にタスクを入れて、さらにその下に サブタスクを作るなどして業務を整理した上でメモを書いています。
「サブタスク」を作り「タスク」を分岐させていって、それぞれにメモを記載することができます。そうすることで、一覧(リスト式)で確認した際に、クリックすると詳細を確認でき、とても便利です。通常のメモツールだと、一覧性を持って記載しようとするとどんどん下にコンテンツが長くなり全体像を把握することが難しくなります。このように、
私は整理が好きで、日々新しい使い方を試しながら Asana を使いこなしています。例えば、セクションは、マイタスクのナビゲーションで簡単に表示することができるので、セクションに週を入れて、週次のタスク整理にも使えます。毎週月曜日に今週のセクションを作り、タスクを入れて今週やることを管理しています。また、タスクの粒度はポイントで、チームの中で徐々に最適化して揃えていきました。タスクに関する記載事項が多くなってしまうと、全体の記述が一目で確認できず見辛くなります。そういった理由で、もっと細かく「サブタスク」を作って分けるべきだったと後で気付いたときでも、「サブタスク」への情報の移行がスムーズにできる使い勝手の良さが気に入っています。
また、一つの業務でタスク一覧を最適化して作ることができると、次回から繰り返す業務の場合は、テンプレートとして登録することで、再起させて使うことも楽にできます。例えば、弊社では SaaS アワードを2019年から開催していますが、一度出来上がった Asana 上のオペレーションは来年以降も同様に使うことができます。Asana でオペレーションを構築し、その定着にも活用でき生産性の向上に貢献できていると感じます。
私はコンサル出身ですが、初めてのプロジェクトは2年間に渡る大きなプロジェクトのスケジュール管理のようなものでした。大きなプロジェクトのタスクを洗い出し、関連部署にどのようにふるか、外部業者との連携も含め、期日などすべて整理する複雑でミスの許されない仕事でした。その当時は、Eメールと Excel で全て管理していました。何か進捗があるたびに情報を更新しメールでお知らせするなど、Excel のバージョン管理が大変でした。
しかし、今は クラウドの時代になり、そして Asana があります。例えば、
全社的にAsana を使い始めて1年足らずですが、特に教育することなくここまで使いこなせるようになっています。今では、新入社員が入ると必ず Asana の ID が付与されるほど、スマートキャンプにとって、Asana はなくてはならないツールになっています。今年も社員の拡大はまだまだ続きます。より一層 Asana の機能を使いこなすことで、大きなチームに成長しても生産性を最大限にして成果をあげるチームワークを作っていきたいと思います。日本企業の生産性向上をミッションにする私たちが、まずはお手本になっていきたいと思います。
2019年4月
メンバーの意識をまとめ、チーム力を底上げしたSansanのイベント部門が挑むプロセス改革
チームを超えて業務スピードがアップ。 新組織が挑んだ時間価値の最大化
チームの目標と個人の業務を「Asana」でつなぐ チームラボの成長組織マネジメント
「マジカミ」開発会社が”隔週で約30件の施策をリリース”できる秘策