DX とは?定義から課題、成功事例、ツール導入まで完全ガイド

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2025年8月11日
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概要

DX とは何か、その定義から、日本における歴史的背景や他の類似用語との違い、必要とされる理由、直面する課題、進んでいる業界および遅れている業界の特徴、推進のポイント、具体的な導入事例までを網羅的に解説します。

これから DX 推進を検討する企業担当者はもちろん、既に取り組み中の方にも役立つ実践的な知識とヒントをご覧ください。この記事を読めば、DX の全体像と成功に向けた具体的なアクションが明確になります。

更新: この記事は、DX が進んでいる業界と停滞している業界に関する記述を含め、2025年 8月に更新されました。

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DX の推進が叫ばれる中、IT 化や業務効率化を図っても、業務フローが属人化し、既存システムやレガシーシステムが足かせになっている企業は少なくありません。情報共有の難しさやブラックボックス化、人手不足といった課題に直面する今、DX とは何かを正しく理解し、IT 技術やデータ活用を通じて組織全体の変革を進めることが求められています。経営戦略として DX をとらえる視点が、これからの競争力を左右するのです。

DX とは?

DX とは「Digital Transformation (デジタルトランスフォーメーション、デジタル変革)」の略で、スウェーデンのウメオ大学教授エリック・ストルターマン氏が 2004年に提唱した概念だとされています。彼は DX を「IT の浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させること」と定義しました。

日本国内での DX への注目は、2018年の経済産業省による『DX 推進ガイドライン』の公表をきっかけに一気に高まりました。このガイドラインでは、DX を次のように定義しています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのもの、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

この定義は、単なる IT システムの導入や業務の電子化ではなく、DX 人材の育成、データ活用、顧客体験の向上、そして新規事業の創出まで含む、より広範な概念であることを示しています。たとえば、クラウドサービスや RPA、IoT、人工知能 (AI) の活用は、リアルタイムでの意思決定や業務の可視化に寄与し、中小企業を含む多くの企業の課題解決に役立っています。

なお、近年よく聞かれる「DX 化」という表現ですが、「Transformation (変革)」という言葉自体に変化の意味が含まれるため、通常は「DX」で十分です。

DX と似た用語: 違いを解説

デジタル技術の浸透に伴い、「デジタイゼーション」「デジタライゼーション」「IT 化」など DX と混同されやすい用語が多く使われます。それぞれの違いを理解することで、DX 推進の本質が見えてきます。

デジタイゼーションとの違い

デジタイゼーション (Digitization) は、アナログ情報や物理的なものをデジタルデータに変換することを指します。たとえば、紙の書類をスキャンして電子データにしたり、アナログテレビを液晶テレビに置き換えることが該当します。部分的に既存の業務や製品をデジタル化する段階であり、DX の全体像とは異なります。

デジタライゼーションとの違い

デジタライゼーション (Digitalization) は、デジタイゼーションで得たデジタルデータや技術を活用し、業務プロセスやビジネスモデル全体をデジタル化および最適化することです。例えば、デジタル化した写真をスマートフォンで共有できる仕組みを作ったり、デジタル技術で顧客体験や事業の仕組みを革新します。DX 実現に不可欠な段階といえます。

IT 化との違い

IT 化は、主に社内業務の効率化やコスト削減を目的に、IT システムやクラウドサービスを導入することを指します。例えば、紙の顧客名簿をデジタル化しクラウドで共有することです。IT 化は DX の基盤であり手段の一つですが、DX は組織文化やビジネスモデルの変革も含む広範な概念であるため、IT 化を目的化してはなりません。


DX 実現には、業務プロセスの可視化や情報共有を促進する IT ツールの導入が不可欠です。使いやすいツールでチームの連携を強化し、働き方改革や業務効率化を進めましょう。まずは無料トライアルに登録して、DX 推進の第一歩を踏み出しましょう。

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DX はなぜ必要なのか

テクノロジーの進化に伴い、新たなビジネスモデルやスタートアップが続々と市場に登場し、競争環境はますます激化しています。経済産業省は、2025年を超えた先に待つ「2030年の壁」を警告し、DX を推進しなければ今後さらに大きな経済損失や競争力の低下が避けられないと指摘しています。

2030年までに DX 実現が遅れる企業は、以下のような課題に直面する可能性が高まります。

  • デジタル競争で後れを取り、新たな価値創出が困難になる

  • システム維持費の増加による技術的負債の拡大

  • IT 人材不足によるシステム障害やデータ消失リスクの増大

  • ペーパーレス化やテレワークなど働き方改革の遅れ

  • ビッグデータや生成 AI など最新技術の活用機会を逃す

さらに、新型コロナウイルスの影響で加速した働き方の変化に対応し、コスト削減や生産性向上を図るためにも、DX 推進は不可欠です。IPA (情報処理推進機構) も補助金制度を活用し、中小企業の DX 実現を支援しています。

これらの変化を捉え、組織全体の業務プロセスや経営戦略を見直すことで、新たな価値を創出し、持続的な競争力の確保につなげましょう。

記事: 自治体 DX とは何か?スムーズに推進するためのヒントを紹介 (事例付き)

DX の歴史: 提唱から日本における普及までの歩み

近年ではビジネスの重要課題として定着した「DX (デジタルトランスフォーメーション)」ですが、その考え方は意外にも 20年ほど前から存在しています。ここでは、DX という言葉が生まれた背景から、日本における政策の動き、企業導入の広がりまでを時系列で振り返ります。

2004年: DX 概念の誕生

スウェーデンのウメオ大学教授エリック・ストルターマン氏が、初めて「Digital Transformation (DX)」という言葉を用いて「IT の浸透が人々の生活をあらゆる面でより良く変えていく」ことを提唱。まだこの頃は、主に生活者視点での変化に焦点が当てられていました。

2010年代前半: 企業のデジタル化が加速

スマートフォンの普及やクラウドサービスの進展により、企業でも本格的に IT システムやデータ活用への関心が高まります。この頃には、IoT、人工知能 (AI)、ビッグデータなどの技術が徐々に実用段階に入り始めました。

2018年: 「DX レポート」発表と「2025年の崖」警鐘

経済産業省が「DX レポート」を発表。日本企業が老朽化したレガシーシステムに依存している実態や、DX 推進の遅れによって「2025年以降、最大 12 兆円の経済損失が生じる可能性がある」とする「2025年の崖」問題を警告。ここから、政府主導での DX 推進が本格化しました。

2020年以降: 新型コロナウイルスとテレワークの普及

パンデミックをきっかけに、テレワークやペーパーレスなどの働き方改革が急速に進み、DX の必要性がより広く認識されるようになります。多くの企業が IT ツールの導入、業務プロセスの可視化、クラウドへの移行に取り組み始めました。

2022年: デジタル庁が本格稼働

日本政府によるデジタル改革の中心的組織として「デジタル庁」が本格的に始動。官民を問わず、DX の取り組みを国全体で推進する体制が整い始めました。

2025年〜2030年: DX 実現の鍵と次なる課題

「2025年の崖」問題を越えられるかが DX の成否を左右するターニングポイントとされています。IPA (情報処理推進機構) や経済産業省は引き続き DX の重要性を発信しており、今後は DX 人材の育成、生成 AI や RPA の利活用、そして新しい価値の創出が問われていくでしょう。


DX は一足飛びに実現できるものではなく、業務プロセスの可視化と改善から始まります。経済産業省や IPA の各種レポートでも指摘されているように、既存業務の棚卸しと、それを支える IT ツールの導入は DX 推進において極めて重要です。

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DX の課題

経済産業省の「DX レポート」や IPA の調査によれば、日本企業の多くは DX に取り組んでいるものの、いまだ明確な成果を挙げられていないケースが少なくありません。その背景には、次のような課題があります。

技術的負債と老朽化システム

多くの企業が抱えるのは、長年使い続けてきたシステムがブラックボックス化し、刷新に踏み切れないという問題です。これにより、業務の可視化や他部門とのデータ連携が進まず、変化への対応が遅れる状況に陥ります。こうした状態は「技術的負債」と呼ばれ、DX 推進を大きく阻む要因となっています。

IT 人材の不足とノウハウの外部依存

DX の推進には、テクノロジーと業務の両方に精通した人材が必要ですが、社内に十分な知見が蓄積されていない企業が多く、外部ベンダーへの依存が続いています。IT 部門のリソース不足や属人化により、社内での改善と改革が進みにくいという課題も顕在化しています。

記事: 社会人基礎力とは?人生 100 年時代に求められるスキルを解説

経営層の実行支援と組織の巻き込み不足

近年、経営層の DX への理解は進んでいるものの、現場とのギャップや実行支援の仕組みづくりが不十分なケースも目立ちます。トップダウンの指示だけでなく、戦略の「見える化」と従業員への共有、部門横断の巻き込み体制が必要です。

記事: VUCA の時代を生き抜くために必要なスキルとは?

DX を推進するポイント

こうした課題を乗り越えるために、企業は次のような観点から DX の取り組みを進めることが重要です。

業務の標準化とプロセスの可視化

属人化した業務を整理し、プロジェクトやタスクの進行状況を「見える化」することで、業務効率が格段に上がります。Asana のようなクラウド型のワークマネジメントツールを活用することで、進捗管理、情報共有、部門間連携がスムーズになります。

デジタル人材の育成と組織内教育

外部依存から脱却するには、社内でデータ利活用と IT 活用のスキルを持つ人材を育成することが不可欠です。社員研修やリスキリングプログラムを通じて、デジタルリテラシーを高める動きが各社で加速しています。

公的支援や補助金の活用

中小企業や地方企業にとって、DX を進める際のコストは大きな壁となります。そのため、「IT 導入補助金」などの公的支援制度を有効活用することがポイントです。経済産業省では、対象事業や申請方法が公開されています。

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DX が進んでいる業界と遅れている業界

DX の進展度合いは業界によって大きく異なります。テクノロジーの導入が早く、業務プロセスのデジタル化やデータ活用が進んでいる業界と、レガシーシステムが根強く残り、変革が遅れている業界が存在します。

DX が進んでいる業界

  • IT、通信業界: もともとデジタル技術が中心の業界であり、クラウドサービスや AI、ビッグデータの活用が進んでいます。

  • 金融業界 (フィンテック): オンラインバンキングやモバイル決済、ブロックチェーン技術の導入が活発で、顧客体験の向上に注力しています。

  • 製造業: IoT やスマートファクトリーの導入により、生産工程の可視化やリアルタイムデータの分析を実現し、効率化と品質向上を図っています。

  • 小売や物流業界: EC の拡大やデジタル在庫管理、物流の自動化が進み、顧客の購買体験が変革されています。

DX の進展が遅れている業界

  • 建設業: 依然として属人的な業務が多く、ペーパーレス化や IT ツールの活用が遅れています。安全管理や現場のデジタル化が課題です。

  • 農林水産業: IT システムの導入が進みにくく、デジタル技術の活用が限定的です。規模の小さな事業体が多いことも影響しています。

  • 一部の中小企業: 特に人材不足や予算面の制約から、DX の推進に必要な IT ツールやデータ活用が難しいケースがあります。

業界ごとの特性や課題を理解し、それに合わせた DX 戦略を立てることが、成功の鍵となります。

DX 成功事例に学ぶ: 課題解決から具体的成果まで

DX は単なるデジタル化ではなく、業務プロセスや働き方そのものを変革する取り組みです。ここでは、実際に DX を進め、業務改善や組織の最適化に成功した 3 つの事例をご紹介します。

製造業: テック長沢

テック長沢では、これまで見積作成や発注、製品の出荷といった製造業特有の多岐にわたる業務が、紙や Excel 、電話、対面でのやり取りなど、アナログな方法で進められていました。そのため、進捗の確認が人に依存し、担当者が不在の場合には業務が停滞するなどのリスクが顕在化。情報が属人化し、同じ内容を何度も確認する非効率な状況が続いていました。

Asana 導入後は、案件ごとにタスクが明確化され、チーム全体が進捗状況を一目で把握できるようになりました。タスクに担当者や期限が設定されることで、責任の所在が明確になり、確認作業の手間が大幅に削減。加えて、国内だけでなく海外の拠点ともタスクベースで連携できるようになり、国をまたぐプロジェクトでもリアルタイムでの情報共有が可能に。結果として、社内の業務効率が大きく改善し、社員同士の連携や意識も大きく向上しました。

IT 業界: チームラボ

多様な分野のプロジェクトを同時に進行するチームラボでは、個々のメンバーが自分の業務に集中しすぎるあまり、チーム全体の目標とのつながりが見えにくくなるという課題を抱えていました。プロジェクト単位では機能していても、組織としての方向性や成果の共有が曖昧になりがちで、モチベーションのばらつきやコミュニケーションの非効率にもつながっていたのです。

Asana の「ゴール」機能を活用することで、各メンバーが持つ目標が、チーム、部署、全社の目標と階層的に結びつき、個人のタスクが組織全体の成果と連動していることが可視化されました。これにより、「なぜこの仕事をしているのか」「誰にどんな影響を与えているのか」が明確になり、全体の動きの中で自分の役割を理解する文化が生まれました。プロジェクトの方向性を社内全体で共有できるようになり、メンバーの主体性も向上。組織の一体感と成果志向が、ツール導入によって自然に育まれています。

行政機関: 広島県福山市

広島県の福山市では、市役所内の 600 を超える事業の進行管理に課題を抱えていました。多様な部署が並行して業務を進めるなかで、情報共有が紙や口頭ベースに偏り、確認の手間や連携ミス、業務の重複といった非効率な状態が続いていたのです。特に、全体の事業進行状況を俯瞰的に把握することが難しく、意思決定にもタイムラグが生じていました。

Asana を導入したことで、すべての事業を一元的に管理できる体制を整備。各事業の目的や進行状況、担当者、期限などの情報が明確になり、誰がどの業務をどの段階で進めているかが庁内全体で共有されるようになりました。結果として、紙によるやり取りや口頭での確認作業が減少し、タスクの抜け漏れ防止やスムーズな引き継ぎが実現。情報の可視化と業務の見える化により、福山市全体の事業推進力が底上げされました。


これらの事例が示すように、業種や規模を問わず、DX の鍵を握るのは「情報の見える化」と「チームの連携強化」です。Asana は、煩雑な業務や部門間の分断を解消し、DX を現実的に推進するための土台を提供してくれます。

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まとめ: スムーズにデジタルトランスフォーメーションを推進しましょう

DX (デジタルトランスフォーメーション) とは何か、その定義やその必要性、推進時のポイントと課題について解説しました。紹介した IT 化との違いやデジタイゼーションとデジタライゼーションの定義も参考に、正しい DX 推進を目指しましょう。DX は一朝一夕で実現するものではありません。長期的な視点で取り組み、企業全体でのビジネス変革を目指しましょう。

コミュニケーションツールやファイル、データを一元管理し、事業の見える化にも効果的な Asana は、DX 推進に有効なマネジメントプラットフォームです。日々のワークマネジメントからスケジュール管理、プロジェクト管理まで、すべてをひとつの場所で行うことができます。「Asana を使用する企業の声」を参考に導入を検討してみてください。

DX に関するよくある質問

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