ECRS とは何か?業務最適化へ向けた「改善の 4 原則」をわかりやすく解説

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2024年2月21日
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概要

この記事では、業務改善フレームワーク「ECRS」について、その意味やメリット、進め方などの基礎知識についてわかりやすく解説しています。ECRS の原則とは何か、どうやって業務改善につなげていくのかを知り、今後に役立てましょう。

新しい働き方や働き方改革が企業や組織にとって重要なポイントとなる昨今のビジネスシーン。貴重な時間を最大限有効活用するための生産性向上業務改善は、達成しなければならない課題だと言えます。そこで今回は業務改善のためのフレームワークとして知られる「ECRS」について解説します。ECRS とは何かを知って、業務の最適化を目指しましょう。

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ECRS とはどういう意味?

ECRS とは、Eliminate (排除)、Combine (統合)、Rearrange (順序入れ替え)、Simplify (簡素化) という英単語の頭文字を取り作られたビジネス用語で、日本語では「イクルス」と呼ばれます。

ECRS はこの 4 つの要素を順番に検証し、業務から無駄な部分 (ムリ、ムダ、ムラ) を取り除いていく手法です。この 4 つのポイントを「原則」として考えることから、「改善の 4 原則」や「ECRS の 4 原則」などと呼ばれることもあります。主に生産管理や製造の現場、たとえばトヨタなどで浸透していましたが、実際はさまざまな業種や部門、部署で活用できる考え方が根底にあるフレームワークとして、現在では多種多様なシーンで導入されています。

ECRS “改善の 4 原則”

では 4 つの原則について、詳しく見ていきましょう。ECRS の進め方は、これから紹介する 4 つの原則を順番に実践していくだけです。

Eliminate (排除、取り除く)

まずは現状の業務の流れやワークフローを客観的に見て、不要なものがないかを検証し、洗い出しましょう。「取り除く」もしくは「除去する」ステップです。

ただなんとなく慣習で業務の間に挟んでいた報告書作成や承認リクエスト、定期的な会議など、本当に必要かどうかを問いかけます。排除したときに影響が出る業務がないかどうかを確認し、大丈夫なようなら削除、もしくは省略しましょう。

ECRS の原則、第一項目目に挙げられるこの「排除」のステップは、実は最も重要だと言われるポイントです。というのも、この「排除」が上手くいけば、直接的なコスト削減につながるからです。その業務を行っていたメンバーの人件費だけでなく、そこで費やされていた時間も節約することが可能となり、大きな業務効率化がもたらされます。


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Combine (統合、結びつける)

二つめのステップは、Combine です。元々は複数の業務、タスクだったものをひとつにまとめ、プロセスが複雑化するのを防ぐ原則です。

業務を見返してみると、内容が似たものがありませんか?そのような類似性のあるタスクをひとつにまとめれば、無駄な手間を省くことができます。たとえば、出席メンバーがほぼ同じ会議が週に複数回開かれていませんか?それを 1 回で済ませることができれば、時間と手間の大きな節約となります。

このステップで、一体化できる業務を探すうちに、分けたほうが効率よく進むだろうタスクが見つかるかもしれません。もしそのような業務があるなら、分離しましょう。一人の担当者が行っていた業務は、もしかしたら二人で担当したほうが効率よく進む場合もあるかもしれません。そのようなケースを見つけ、改善するのも、この「Combine」で行います。

Rearrange (順序入れ替え、再整理する)

3 つ目の原則は「Rearrange」です。この原則は、業務の作業順序や担当者を変更したり交換したりといった再整理を検討します。

A→B→C の順番で行っていた業務プロセスを A→C→B と順番を変えただけで作業効率がアップするケースも存在します。順番だけでなく、その業務を行う担当者や行われる場所など、入れ替えたり交換したりすることで効率化できないかどうかを検討してみましょう。

製造業の現場でよく行われるのが、機材や設備の配置換えです。オフィスワークの場合でも、たとえばデスクの配置を変え、特定のチーム同士のコミュニケーション活性化を図ったりといった再配置も可能でしょう。生産性が上がるだけでなく、コミュニケーションの質が上がることでコラボレーションがさらに活発になることも期待できます。

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Simplify (簡素化、単純化する)

ECRS 最後の原則は「Simplify」です。日本語では簡素化や単純化、簡易化と呼ばれるこの原則では、複雑化したプロセスや業務がないか洗い出し、よりシンプルに調整できないかを検討します。

たとえば、毎日の日報作成に時間が取られているなら、ワークマネジメントソフトウェアのようなデジタルツールを導入して、作業の自動化を目指しましょう。テンプレートを活用して、作業をマニュアル化し、業務の標準化を図るのも有効です。業務改善だけでなく、品質の安定化や作業が属人化するのを防ぐ効果もあります。


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ECRS のメリットとは

ECRS フレームワークを導入するメリットとは、何でしょうか?前項で挙げたものも含め、一覧にまとめてみます。

  • 業務を見直すことで改善できる

  • 業務の質が向上する

  • コストを削減できる

  • 業務の属人化を防止する

  • 不要なトラブルを回避できる

  • 新たな課題を発見できる

  • コミュニケーションが活性化する

  • 働きやすい環境が整う

この ECRS は、とりわけ新規事業、スタートアップ企業には必須の原則だと言われます。その理由は前述したメリットがあるからで、とくに不要なコストを削減したり、限られたリソースで生産性を最適化したりといった効果が期待できることが大きいと言えます。

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ECRS を効果的に実践するコツ

では ECRS はどのように実施すればより効果的なのでしょうか?ECRS フレームワークの効果を最大限引き出すためのヒントをご紹介します。

大きな規模で実施する

ECRS は少人数チームで導入してももちろん効果があります。しかし、さらに大きな規模、もしくは全社規模で一斉に行うことで、ビジネスに大きく影響を与えるような効果を期待できるようになります。

業務改善と効率化は、組織規模で取り組むべき課題です。そこで、従業員の認識を統一するためにも、経営戦略に取り入れることで、個人レベルやチームレベルでそれぞれが個々に行うのではなく、さらに大きな単位で改善を目指すことが可能になります。

目的を明確にする

ECRS フレームワークを用いるときは、その目的を明確にしましょう。「業務を改善すること」は目的ではありません。改善することで何を達成したいのかが具体的に定まっていないと、そこまでのプロセスも曖昧になります。「XXのプロセスを改善し、〇〇かかっていた作業を△△にまで短縮する」などといった具体的な目的を掲げるようにしましょう。

ツールを採用する

ECRS に対応できるツールを導入することも、この手法が効果的に働くためのコツとなります。削除したり統合したタスクをステークホルダー全員に効率的に周知させたり、メンバー間のコミュニケーションを最適化できるツールを選んで採用してみましょう。


メールやチャット、スプレッドシートなど、異なる場所に情報を点在化させるのではなく、一か所に整理整頓することで、業務効率は向上します。クラウド型ワークマネジメントツール Asana に情報を集約して、業務効率化を始めましょう。

チーム内で効率的にコミュニケーションを取るには?

まとめ

ECRS とは何か、その意味と 4 つの原則、導入のコツをご紹介しました。

ECRS は製造業だけでなく、サービス業や営業などでも十分に有効なフレームワークです。業務改善と仕事の生産性向上を目指し、最適な方法で導入してみましょう。

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