【属人化とは何か】解消するためのヒントを紹介

古田 弓恵の顔写真古田 弓恵
2024年3月13日
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概要

この記事では、ビジネスシーンにおける「属人化」について解説します。業務の属人化は回避すべきとはよく聞きますが、どういう意味なのでしょうか?なぜ、避けるべきなのでしょうか?万が一、職場で仕事の属人化が生じた場合は、どのように解消できるのでしょうか?この記事では、こういった質問にお答えします。

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属人化とは

ビジネスシーンにおける「属人化」とは、特定の業務やタスクの詳細、進め方、ノウハウなどを担当者だけが把握している状態のことを指します。

あるタスクについての質問に「それについては〇〇さんしかわからない」という返答をもらったことはありませんか?もしくは、そう返事をしたことはありませんか?このような状況は、まさに仕事の属人化が発生している状態にあると言えます。

属人化とスペシャリストの違いとは?

属人化とよく間違われやすいのが、スペシャリストです。スペシャリスト (専門家) は、特定の業務において、専門性を持つ人物を指します。

「この仕事は〇〇さんにしかできない」という状況ならば、それが属人化されている状況であるからなのか、それとも高い専門性があるスペシャリストが関わる仕事だからなのか、判断しづらいと思うかもしれません。

しかし、属人化とスペシャリストには大きな違いがあります。それは、業務の属人化が起こっている状況には「専門性」がないという点です。見極めるためには、まず業務が可視化されているかどうかを確認しましょう。スペシャリストの関わる仕事は、業務自体、またはそのプロセスの可視化が可能で、他のメンバーともしっかりと共有されています。一方、属人化のほうは、業務の実態が見えづらく、それを明確にしたら実は業務の専門性は低かったということも少なくありません。

記事: 見える化とは?意味、重要性、適切に実施するコツ、注意点を解説仕事を標準化するために企業全体で使えるテンプレートを紹介

属人化を回避すべき理由:属人化の問題点は?

業務の属人化が進んでしまうと、組織としてはデメリットとなるポイントがいくつかあります。一般的に「脱・属人化」がうたわれるのはこのためで、できるだけ業務フローやプロセスを見える化し、ひとつの業務が特定のメンバーに依存するのを避ける傾向にあります。

では具体的に、仕事で属人化が進行したときの問題点とはどのようなものでしょうか?属人化のデメリットをいくつか考えてみましょう。

担当者の負担が増える

特定のメンバーに完全に依存している業務がある場合、このメンバーの負担は増大します。代わりがいない状態なので、長時間労働が強いられるケースも発生するでしょう。

ボトルネックが生じる

業務の属人化が進むと、特定の担当者のスケジュールやスキルに依存してしまい、業務プロセスにボトルネックが生じてしまう可能性があります。その結果、そのメンバーの稼働状況が全体のプロセスや他のメンバーのタスクにまで影響を及ぼしてしまうリスクとなりかねません。そのような状況に陥ってしまうと、効率が低下し、迅速な業務遂行が困難となります。

顧客やニーズに対応できない

ひとつの業務を特定の従業員の知識や能力に完全に依存した状況を作っていると、その担当者が不在の場合に、顧客やユーザー、または市場の変化に十分に対応できなくなります。とくに顧客のニーズへの対応は迅速に行うべきですが、業務の属人化はそのスピードを遅らせ、結果的に市場での競争力低下を招く事態にもなり得ります。

製品やサービスの品質に差が生じる

属人化が発生している状況では、製品やサービスの品質に差が出てしまう場合もあります。成果物の品質がメンバーのスキルや知識に左右されていては、一貫性を保つこともできなくなり、品質管理の面でも支障をきたすことになります。こういった状況を改善しないままでいると、最終的には顧客満足度がさがったり、ブランドイメージの損傷が懸念されることになりかねません。

記事: 顧客管理: 新しい顧客を惹きつけ、満足度を維持する方法

引き継ぎがスムーズにいかない

個々の業務が特定のメンバーに完全に依存していると、その人物が異動したり、退職や産休や育休などで長期的にチームから離脱する場合、もしくはケガなど不測の事態で突如離脱する場合の引き継ぎが複雑になります。業務がしっかりと見える化された状態ならば、引き継ぎは決して難しい作業ではありません。しかし、属人化が進んでしまっている状態では、そのプロセスはなかなか進まず、スムーズに業務を引き継ぐことができなくなります。

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属人化がメリットとなるケース

企業が事業を進める上で「脱・属人化」は一般的に進めるべき対策ですが、業務の属人化にメリットがないわけではありません。リスクとデメリットを知ると同時に、メリットも把握し、属人化への知識を深めましょう。

個人のスキルアップにつながる

特定の業務をひとりで担当するため、その業務に関する知識や能力が高まり、結果的に個人メンバーのスキルアップにつながります。それは将来的に、メンバーのパフォーマンス向上と成長ももたらしてくれるため、利点であると言えるでしょう。

効果的なソリューションを提供できる

属人化は品質管理や工数管理の面でトラブルを起こす可能性のある事態ですが、視点を変えてみると、顧客のニーズにフレキシブルかつ効果的に対応できる可能性もあります。先にも述べたように、業務の属人化はその担当メンバーの個人スキルを向上させ、その結果成果物の品質も高めます。こういったメンバーが育ってくると、さまざまな顧客のニーズにも柔軟性を持って的確に対応できるケースも増えることになります。

会社の信頼度がアップする

上記 2 点の結果とも言えますが、属人化が進み、質の高い製品やサービスが提供できるようになると、ブランドイメージが向上し、会社の信頼度も上がります。「この業務は〇〇さんがいるから安心」や「〇〇さんが担当だから御社と契約する」など、社内外から評価されることもあるでしょう。

記事: アウトソーシング業務を正しく管理する方法

属人化の原因:属人化はなぜ起こるのか?

では、そもそも業務の属人化とはなぜ起こるのでしょうか?属人化の原因をまとめます。

人材が不足している

まずは、人材不足の問題です。専門性の高い業務、たとえば研究開発といった部門と違い、総務や経理といった部門では、少数のメンバーで回しているところも少なくありません。こういった人手不足な状況では、たとえ小さなルールでも当人しか知り得ないという状況に陥るので、その結果業務は属人化する傾向にあります。そのルールを把握していなければ、業務フローはスムーズに進まなくなるのです。

業務に追われている

二つ目の原因は、業務過多です。各メンバーが多くの業務を担当し、余裕がない場合は、目の前の仕事をこなすことが精一杯で、業務効率化や標準化にまで気が回らないでしょう。その結果、ひとつの業務をひとりの担当者が常に担当することになるので、業務が個人に依存する状況になるのです。

記事: 業務の効率を改善する方法

属人化を解消するメリットがない

属人化には多くのデメリットがあり、一般的には解消すべきと言われます。しかし実際のビジネスシーンでは、特定のメンバーが特定のタスクを常にこなすことで、個人のスキルアップにつながったり、能力を上司やマネージャーから認められ評価されたりとメリットが目立つ場合も多いのもたしかです。そうなると、属人化解消の必要性を感じなくなり、属人化に拍車がかかることとなります。

仕組みが構築されていない

業務の属人化を解消し、知識やスキル、進め方、業務内容などの情報をメンバー間で効果的に共有するには、それだけの仕組みや体制が構築されていることが前提となります。それは、一斉メールでドキュメントを共有することではありません。常に全員の目に留まるところに業務マニュアルなど業務の標準化のためのツールがないと、メンバーは結局自分のやり方に頼ることが増え、属人化は解消しません。適切なガイドラインやシステムの導入が不可欠となります。

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属人化を解消するには?ヒントと対策

スムーズな業務の遂行に支障をきたしてしまう属人化。解消するためには、どのような対策を講じればいいのでしょうか。ここでは、属人化に対して行うべき取り組みとヒントをご紹介します。

業務全体を見える化する

まずは、業務全体を見える化することから始めましょう。どんな業務があって、誰が、どのようなスケジュールで行っているのかを明確に可視化します。細かく確認していくときに、簡略化できる工程や最適化できる箇所はないかもチェックしましょう。

業務の見える化に特化したプロジェクト管理ツールなら、効率的に業務フローを共有し、個々の担当者による依存を減少させながらコラボレーションを促進できます。


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ナレッジマネジメントを徹底する

属人化を解消するためには、組織内の知識、ノウハウを集約し、適切な方法で共有する仕組みが必要です。そこでナレッジマネジメントを徹底することで、各メンバーが持つ知識やスキルが組織全体で共有され、特定の担当者への依存が減ります。実用的なツールを活用して体系的にナレッジを蓄積し、それぞれが簡単にアクセスできる環境を整備しましょう。

さらに詳しくは、『効果的なナレッジベースを作成する方法』の記事をご覧ください。また Asana では、ナレッジマネジメントテンプレートを作成することもできます。

継続的に見直しを行う

属人化の解消は、一度行ったら終わりというわけではありません。継続的にプロセスを見直し、改善できる点や修正が必要な部分があれば、その都度行いましょう。そのためにおすすめなのが、PDCA サイクルを回すことです。定期的に見直しを行い、属人化していない状況を維持するようにしましょう。

効果的なワークマネジメントツールを導入する

仕事全体を可視化し効率的に管理するためには、ワークマネジメントツールの導入を検討してみましょう。

たとえば、チーム全体のタスク管理やコラボレーションをサポートするワークマネジメントツール「Asana」には、プロジェクト管理やスケジュール管理だけでなく、最適なコミュニケーション機能も含まれています。適切なツールを選定して導入プロセスを進めることができれば、仕事の効率性も向上し、属人化も克服できるでしょう。

まとめ

属人化の意味、メリット、デメリット、発生する原因や解消方法など、基礎知識をまとめました。

属人化は個々の経験やスキルに過度に依存し、業務のブラックボックス化を促進してしまう現象です。解消するためには、業務全体を見える化し、ナレッジマネジメントをしっかりと進めることが大切です。効果的なワークマネジメントツールを導入すれば、チームのコラボレーションも向上し、効率的かつ一貫性のある業務フローが実現するでしょう。属人化を解消することは、会社の持続的な成長と適応力向上につながる重要なステップであると言えます。

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Q: 属人化とは何ですか?

A: 属人化は、特定の業務が一個人に完全に依存してしまっている状態のことです。

A: 属人化を解消すべきとの考えが一般的な理由は、その特定の人物が欠けたときに、業務に支障をきたすためです。ボトルネックが生じたり、引き継ぎがスムーズにいかなかったりと、業務過程の非効率性につながります。

A: 属人化が発生する主な原因としては、人材の不足、業務過多、情報やデータ共有の仕組みの未構築などが挙げられます。また一方で、属人化している現状の利点だけを見てしまい、そのデメリットに気付かない場合もあります。

A: 属人化が解消されれば、組織やチーム全体の効率向上、一貫性の確保、知識共有の促進などが期待されます。

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