アウトソーシング業務を正しく管理する方法

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2022年6月27日
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概要

この記事では、アウトソーシングとは何かを説明し、ビジネスやプロジェクトマネジメントにおける重要性と管理方法について解説します。生産性アップや業務効率化が期待できるアウトソーシングについて詳しく知り、正しい導入方法や管理方法を学びましょう。

ひとつのプロジェクト業務には多くのメンバーが関わり、利害関係者は複数になることがほとんどです。プロジェクトに関わるすべてのメンバーを集めたとき、全員が自社社員であるとは限りません。プロジェクト業務の一部を外部に委託することも多いでしょう。そのときによく聞かれるのが「アウトソーシング (outsourcing)」というビジネス用語です。

この記事では、アウトソーシングの意味やメリット、導入時のポイント、管理方法について紹介します。アウトソーシングと「派遣」「BPO」の違いにも触れるので、適切な業務委託を行えるよう、参考にしてみてください。

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アウトソーシングとは

アウトソーシングとは、社内業務の一部を社外に委託することです。日本語では「外注」や「請負」とほぼ同義で使用されています。「マネジメントの父」と呼ばれるピーター・ドラッカーはこの業務形態を活用することの重要性を説いたことでも有名で、トップマネジメント業務以外はすべてアウトソーシングでまかなうことが可能であるとしました。その言葉のとおり、昨今では人事業務やシステム開発、営業コンサルティングなど、多くの分野で導入する企業が増えています。

アウトソーシングと人材派遣の違い

アウトソーシングの意味を確認したところで、「人材派遣」との違いについて解説します。この 2 つの用語にはどのような違いがあるのでしょうか。どちらも外部サービスを活用するところで共通点はあるものの、アウトソーシングと派遣には明らかな違いがります。

アウトソーシングは組織外部に業務を委託し、委託先である外部組織が業務を行います。一方の人材派遣は、組織外部に人材リソースを依頼し、派遣会社はその組織へ人材を派遣。派遣されたスタッフが業務を行います。つまり、アウトソーシングの委託先は外部組織であるのに対し、派遣スタッフは人材リソースを依頼した組織内で働くことになるわけです。

アウトソーシングと派遣の根本的な違いは、指揮命令の所在であると言えます。前者の場合、委託された作業への指示や監督を行うのは委託先です。一方後者は、派遣スタッフが行う作業は委託元が指示することとなります。つまりアウトソーシング契約を交わした場合、委託元が実際の作業者に指示を行うことはできないので、注意が必要です。

アウトソーシングと BPO の違い

昨今、注目を浴びている業務形態に「BPO」が挙げられます。BPO は Business Process Outsourcing (ビジネス・プロセス・アウトソーシング) の頭文字をとったビジネス用語で、その名からもわかるように、アウトソーシングの一種です。 従来のアウトソーシングとの大きな違いは、その業務の幅広さで、単一で単発の業務を委託するのではなく、総括的で継続的な業務の委託がこの BPO となります。

たとえば、企業サイトにブログ記事を掲載することになったとします。現在ある人材リソースではカバーしきれないので、このブログ記事のコンテンツ検討や執筆、更新、メンテナンスなどのすべてを外部に委託する。これが、BPO です。

アウトソーシングのメリット

アウトソーシングの意味を把握したところで、そのメリットについて考えてみます。この業務形態を導入する企業が増えているのには、それ相応の利点があるからです。正しいアウトソーシングの活用には、次のようなメリットがあります。

人材不足の解消

メリットとしてまず考えられるのが、社内の人材不足を解消できる点です。この点はメリットでもあり、アウトソーシングが必要とされる理由でもあります。人手不足は若年労働人口の減少により顕著で、その問題を補う意味でもこの業務形態に注目が集まっているのです。

コストの削減

アウトソーシングの活用は、委託する側の人件費など、コスト削減にもつながります。社内で専門のチームや部署を新しく立ち上げるよりも、必要なときに必要なだけアウトソースするほうがより有効に経営資源を活用できるでしょう。

コア業務へ専念

企業にはそれぞれ、市場内で他社と競合するために強みとなる技術やスキルが求められます。しかし日々の仕事の中には、その分野の業務 (コア業務) 以外のものもあるでしょう。たとえば、とあるデザイン会社には優秀なデザイナーは大勢いますが、その中にマーケティングの知識がある人材はいないかもしれません。この会社の「核」となるのはデザイン業務です。マーケティングといった「ノンコア業務」を外部に委託することで、従業員はコア業務に集中することができます。それが最終的には、サービスの向上につながり、市場での競争力を高める結果になるでしょう。

専門性の高いノウハウの活用

アウトソーシングの大きなメリットのひとつが、外部の専門的ノウハウや知見を得ることができる点です。社内では不足している専門知識が、外部に業務委託することにより活用できるようになります。委託先はその専門のエキスパートなので、迅速かつ正確に業務を遂行してくれるでしょう。社内の人材リソースを使ってゼロから学ぶより、プロに任せるほうが断然生産的で効率的です。

アウトソーシングを正しく管理するためのコツ

BPO を中心としたアウトソーシング市場は今後も成長し続けるとの見通しで、適切で効果的なアウトソーシングの活用が、ビジネスの成功につながると言っても過言ではありません。そのために、この業務形態を正しく導入し、管理する方法を知っておくことが重要となります。

トップマネジメント以外はすべてアウトソーシングの対象であると説いたドラッカーも、安易な使用には警鐘を鳴らしました。ここでは、アウトソーシングを導入、管理するときに考慮するポイントや注意点をチェックしましょう。

委託業務を精査する

まず大切なのが、どの業務を外部委託するのかという点をしっかりと検討することです。安易に「自社リソースでは無理なので外部に委託する」と決定してしまうと、長期的に考えたとき、結果的にマイナスに働いてしまうこともあります。

アウトソーシングの可否を検討する際には、そもそもこの業務形態を導入する状況にあるのかを判断する必要があります。以下のような点に考慮して、正しく判断しましょう。

  • アウトソーシングを検討している技術やノウハウは、社内で蓄積すべきものではないか?将来的に必要となる技術や知識であるならば、外部委託ではなく自社に専門部署を設置することもひとつの可能性として検討されるべきです。

  • 既存の人材リソースや部署で補える業務ではないか?委託しようとしている業務が自社リソースで補えるならば、そこにアウトソーシングを導入することは非効率的で、望ましくありません。

  • 委託を検討する業務はビジネスの柱となる分野ではないか?先述のとおり、アウトソーシングはノンコア業務に導入すべきであり、ビジネスの柱となるコア業務は社内で行うべきです。

社内のリソース管理や情報管理が正しく効率的に行われていれば、精査を容易に行うことができます。どの部署がどのような案件に取り組み、どのような技術や知識を持って実行しているのかをすべてのメンバーが把握できる状況が望ましいでしょう。そのためには、ビジネスを見える化できるワークマネジメントツールの使用がおすすめです。

要件を明確にする

特に BPO の場合、委託業務を明確にすることが非常に重要となります。アウトソーシングでは、委託する側と委託先の関係が深く、強固になることがほとんどです。ひとつのビジネスやプロジェクトを作り上げるメンバー同士が信頼し合うシチュエーションはプラスとなりますが、馴れ合いは禁物です。「ついでにこの作業もお願い」などと安易に依頼するのは、結果的に関係を悪化させる要因になる恐れもあります。委託する業務はしっかり明確化し、あいまいさを省きましょう。追加でアウトソーシングを考えている場合は、その都度正規の方法で依頼するようにします。委託の依頼プロセスをマニュアル化してしまえば、効率的でしょう。そのためには、作業テンプレートが豊富に用意されているツールの導入を検討しましょう。

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リスク対策を講じる

業務を外部委託するということは、重要な情報やデータを社外の組織と共有することです。その中には個人情報や機密情報など、扱いに注意が必要なケースもあるでしょう。こういった情報管理の徹底は必須です。正しいセキュリティ対策などを講じることはもちろん、プロジェクトが始まる前にはリスクマネジメントもしっかり行いましょう。

任せきりにしない

社内では補えない専門的業務をアウトソースとはいえ、その業務は委託側企業のビジネスの一部です。そのため、委託先である外部組織の業務内容や細かい情報も、委託側がしっかりと管理していなければなりません。もしプロジェクトレベルの案件であれば、委託する業務やタスクはプロジェクトの一部となります。委託先の業務遂行を把握し、ときには改善をリクエストすることも、委託側のプロジェクトマネジメントの責務です。いくら専門チームにアウトソーシングするとはいえ、任せきりにしないようにしましょう。

円滑なコミュニケーション

前項と関連するポイントとして、アウトソーシングを依頼する側とされる側の正しい情報共有が挙げられます。定期的な進捗報告はもちろん、何かトラブルが発生したときの連絡方法やワークフローの共有など、双方の円滑なコミュニケーションを心がけるようにします。

職場でのコミュニケーションはチームやグループのコラボレーションを促進するのに大切な要素です。アウトソーシングという外部とのコラボレーションを行うときには、スムーズな意思伝達の重要性がより大きくなってきます。定期的にミーティングを実施したりと、従来の方法を用いるのと同時に、非同期コミュニケーションの活用など、効率的な方法も取り入れましょう。

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進捗報告やフィードバックの場はひとつのツールを使用することが有効です。コミュニケーションや情報シェアを行う場を一元化して、スムーズに行えるようにします。テンプレートなどが豊富な優れたワークマネジメントツールなら、さらに効果的でしょう。

アウトソーシングを正しく活用して成功に導く

アウトソーシングとは何か、そのメリットや正しく管理するコツ、アウトソーシングと派遣との違いも紹介しました。アウトソーシングは仕事の生産性や効率性の向上に役立ちますが、管理の仕方を間違うと、そのメリットを十分に活かしきれません。委託業務を管理するのは委託する側だということを常に忘れないようにしましょう。

アウトソースする側とされる側の円滑なコミュニケーションとコラボレーションを実行するためには、アウトソーシングを適切に管理できる Asana のようなワークマネジメントツールを使用することが大切です。ワークフローやフィードバックをシェアしたり、必要なデータや成果物を置いておく共通の場を設けることで、アウトソーシング業務の管理を正しく、効率的に行いましょう。

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