8 つのステップでビジネスリスクを未然に防ぐコンティンジェンシープランを作成

寄稿者 Julia Martins の顔写真Julia Martins2021年4月23日00
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概要

コンティンジェンシープラン (緊急時対応計画) とは、チームや組織のバックアップ戦略のことです。たとえば、重要な顧客を失った場合や、ソフトウェアサービスの障害が 3 時間を超える場合にどのように対処するかなど、想定外の事象により当初の計画が崩れたときにどのように対応するかを定めたものです。想定外の事態が発生しても、チームがすぐに行動を起こし、仕事を軌道に戻せるように効果的なコンティンジェンシープランを作成しましょう。この記事では具体的な手順をご紹介します。

期待をかけた計画の失敗を望む会社はありません。しかし、予備計画も準備しておけば、どんな事態にも万全な準備態勢で臨めます。二重の対応策として綿密な予備計画を立てておけば、予期せぬ事象にも効果的に対応し、できる限り迅速に復旧を図れます。

コンティンジェンシープランは、緊急事態に対応し、事業の継続を維持するための先を見越した戦略です。この記事では、想定外の事象に備えてコンティンジェンシープランを作成する方法に加え、ビジネスの健全性を守る復旧戦略を構築する方法を解説します。

コンティンジェンシープランとは何か?

コンティンジェンシープラン (緊急時対応計画) とは、ビジネスに重大または致命的な影響を及ぼす想定外の事象により当初の計画が崩れたとき、組織がどのように対応するのかを定める戦略です。コンティンジェンシープランを正しく実施すれば、リスクを緩和し、可能な限り迅速にビジネスを復旧できます。

自然災害に対するコンティンジェンシープランの方がなじみがあるかもしれません。一般に、企業や政府が洪水、地震、竜巻などが発生した後の災害復旧に備えたコンティンジェンシープランを策定しています。

しかし、ビジネス上のリスクに対するコンティンジェンシープランも、それに劣らず重要なのです。たとえば、主要な競合会社 2 社が合併したり、重要な顧客を失ったりした場合の対処方法をコンティンジェンシープランで策定できます。より小さなリスクでも、放っておけば影響が広く波及するような出来事に備えたコンティンジェンシープランも作成できます。例として、ソフトウェアサービスの障害が 3 時間を超える場合などが考えられます。

ビジネスを守るコンティンジェンシープランとプロジェクトのリスク管理計画の違い

プロジェクトのリスク管理は、プロジェクトレベルのリスクを特定し、モニタリングし、それに対応するためのプロセスです。プロジェクトのリスク管理は、プロジェクトの計画プロセスを開始する際に適用し、のちに発生する可能性があるリスクに備えます。これを行うためには、プロジェクトの潜在的なリスクを特定し、モニタリングするために、リスク登録簿を作成します。リスクが発生した場合には、リスク登録簿を使用すれば、そのリスクに未然に対処し、可能な限り迅速にリスクを解消できます。

コンティンジェンシープランも、リスクを特定し、解消するための手段である点で、プロジェクトのリスク管理計画と似通っています。しかし、コンティンジェンシープランには、複数のプロジェクトを通じて発生するリスクや複数の部門に影響が及ぶリスクを含めることが必要です。コンティンジェンシープランを作成するには、ビジネス全体に関わる大きなリスクを特定し、それに備えます。

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コンティンジェンシープランを作成するための 8 つのステップ

コンティンジェンシープランは、組織のさまざまな階層において作成できます。たとえば、チームリーダーであれば、自分のチームまたは部門向けにコンティンジェンシープランを策定できます。一方で、会社の経営陣は、組織全体に影響を及ぼしうる事態に備え、会社を守るためのコンティンジェンシープランを作成する必要があります。

コンティンジェンシープランを作成する際には、個々のリスクの確率と深刻度を必ず評価しましょう。そして、計画を作成したら、マネージャーや部長の承認を得ましょう。そうすれば、緊急事態の発生時に、承認を待つ必要なく、チームとしての対応をすぐに開始し、迅速にリスクを解消できます。

1. リスクの一覧を作成する

リスクを解消するには、まずリスクを特定する必要があります。最初のステップとして、会社に影響を及ぼしうるあらゆるリスクの一覧を作成しましょう。コンティンジェンシープランは、会社全体、部門、プログラムなど、組織のさまざまな階層で策定できます。あなたが対処を担当するリスクの範囲と影響度に合わせてコンティンジェンシープランを作成することが重要です。

コンティンジェンシープランの作成は大規模な取り組みなので、主要な関係者と共にブレインストーミングを開催し、潜在的なリスクを特定、検討しましょう。ブレインストーミングに招待すべき関係者が定かでない場合には、関係者の分析マップを作成し、関与が必要なメンバーを特定しましょう。

2. 深刻度と確率に基づきリスクを評価する

すべてのリスクに対してコンティンジェンシープランを作成する必要はありません。まずリスクと潜在的な脅威をすべて洗い出した上で、関係者と共に各リスクの潜在的な影響度を特定しましょう。

各リスクは、「リスクが実際に発生した場合の影響の深刻度」、そして「リスクが発生する確率」の 2 つの判定基準に基づき評価しましょう。リスク評価段階では、各リスクに深刻度と確率を割り当てます。その際、高・中・低に分類することを推奨します。

3. 重要なリスクを特定する

各リスクに深刻度と確率を割り当てたら、どのリスクへの対処が最も重要なのかを関係者と共に検討します。たとえば、確率と深刻度が共に高いリスクについては、当然コンティンジェンシープランを作成する必要がありますが、確率と深刻度が双方とも低いリスクについては、コンティンジェンシープランはおそらく必要ないでしょう。

コンティンジェンシープランの要不要を何に基づき判断するかは、関係者と一緒に決めましょう。たとえば、深刻度は低くても、確率が高いリスクに対する計画は作成しますか?深刻度が高くても、確率が比較的低いリスクについてはどうでしょうか?

以下に、各種のリスクがビジネスに及ぼしうる影響、そしてコンティンジェンシープランを作成する際に想定できるシナリオを紹介します。

  • 深刻度 [高] 確率 [高]深刻度 [中] 確率 [高]。これら 2 種のリスクについては、綿密なコンティンジェンシープランを作成しましょう。リスク発生時に備えて緩和計画を用意し、できる限り早く通常業務を再開できるようにしましょう。

  • 深刻度 [高] 確率 [中]。この種のリスクについても、コンティンジェンシープランを作成しましょう。発生の確率は減っても、実際に発生した場合には、業務に重大な影響が及ぶ可能性があります。最悪のシナリオを未然に防ぐために計画を策定すれば、より迅速に想定外の事象に対応できます。

  • 深刻度 [高]、確率 [中]。この種のリスクについても、コンティンジェンシープランの作成が必要です。しかし、作成を完了した際に誰と共有すべきかという点でのみ、上記のリスクと異なります。上記の計画ほど緊急性が高くないので、共有する関係者の数も減らすことを検討しましょう。

  • 深刻度 [中] 確率 [中]深刻度 [低] 確率 [高]。この種のリスクについては、コンティンジェンシープランを作成することを検討しましょう。大人数の関係者会議で大掛かりなコンティンジェンシープランを策定する必要はありません。しかし、確率が高いリスクについては特に、その発生に備え、対処方法について大まかな予備計画を立てておくことは、先を見越した戦略として賢明です。

  • 深刻度 [中] 確率 [低]深刻度 [低] 確率 [中]深刻度 [低] 確率 [低]。この種のリスクについては、コンティンジェンシープランの作成は不要です。これらのリスクは、発生する可能性が低い上、発生しても会社の機能への影響はあまりありません。しかし、定期的にこれらのリスクを確認し、深刻度と確率に変化がないか評価を実施しましょう。

4. 最大級のリスクに備えてコンティンジェンシープランを作成する

重要なリスクとして特定した各リスクに対し、それぞれ別個のコンティンジェンシープランを作成しましょう。コンティンジェンシープランの一環として、リスクを説明し、リスクが発生した場合のチームの対処方法についてブレインストーミングを行いましょう。各計画には、通常業務を再開するために必要な手順をすべて含めましょう。

コンティンジェンシープランには、以下の情報を含めましょう。

  • 計画を実行に移す引き金となる誘因

  • 緊急対応

  • 参加者と報告先

  • 主要な責任分担 (必要に応じて RACI 図を含める)

  • 対応のタイムライン (即時の対応、より長期的な対応)

たとえば、潜在的な人員不足の可能性が高確率かつ深刻なリスクであると想定しましょう。その場合、通常業務に大幅な影響が及ぶことになるので、コンティンジェンシープランを準備する必要があります。チームメンバーの専門技能はそれぞれ異なるので、同時に 2 人以上がチームを離れれば、チームの責任分担に支障が生じます。このリスクを見越したコンティンジェンシープランには、後任を採用するまでの期間中に誰にプロジェクトを任せるか、専門技能のタコツボ化を防ぐためにチーム内の文書共有をどのように改善するか、などといった項目を含められます。

5. コンティンジェンシープランの承認を得る

経営陣の関係者にコンティンジェンシープランを認識してもらい、その中に定めた行動指針に対し同意を得ましょう。チームレベルまたは部門レベルの計画を作成する場合には、このことが特に重要になります。コンティンジェンシープランの作成は、迅速にリスクに対応するための権限をチームに与えることを意味しますが、そのリスク対処方法が適切なものであるか確認が必要です。加えて、事前承認を得ておけば、緊急時にあわてて承認を求める必要がなく、適正な計画であるという確信を持ってその実行に専念できます。

6. コンティンジェンシープランを配布する

コンティンジェンシープランを作成したら、適切な関係者と共有しましょう。それにより、計画内容を全員が認識し、実際にリスクが発生した場合、可能な限り迅速かつ円滑に実行に移せるようにします。コンティンジェンシープランは、全員が必要に応じて簡単にアクセスできるように、信頼できる唯一の情報源に保管しましょう。

計画を配布するためのよい方法は、ワークマネジメントプラットフォームでプロジェクトを作成することです。それにより、計画を実行するための詳細な手順を全員と共有できます。

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7. コンティンジェンシープランをモニタリングする

コンティンジェンシープランは頻繁にレビューし、正確性を維持できているか確認しましょう。新規採用者や事業環境の変化などにより、新しいリスクや新しい機会が生じた場合には、その反映を検討しましょう。新しい役員がチームに加わった場合には、その新メンバーにもコンティンジェンシープランをレビューしてもらいましょう。

8. 必要に応じて新しいコンティンジェンシープランを作成する

特定したすべてのリスクに対してコンティンジェンシープランを作成しても、新しいリスクがないか確認するためにモニタリングを継続的に行う必要があります。新しいリスクを発見し、その深刻度と確率がある程度の高さに達する場合には、新しいコンティンジェンシープランを作成しましょう。また、計画を振り返ってモニタリングしたとき、一時は心配だったシナリオが発生する可能性が低くなっているか、発生してもその影響度が以前ほど大きくないことに気づく場合もあります。

コンティンジェンシープランを策定する際によくある落とし穴とその回避方法

コンティンジェンシープランは、通常業務を迅速に再開するための強力なツールです。コンティンジェンシープランの策定プロセスをできる限り円滑にするために、以下のよくある落とし穴に注意しましょう。

賛同と支持の不足

コンティンジェンシープランの作成は、多くの労力を要します。そのため、作成を開始する前に、経営陣の関係者からのサポートを得ることが必要です。計画作成中は、スポンサーと継続的に意識合わせを行い、主要なリスクがすべて含まれ、対処方法が十分なものであるかを確認しましょう。それにより、あなたのコンティンジェンシープランが、関係者にとっても支持できる取り組みになります。

「予備計画」という考え方に対するバイアス

一部の企業では、予備計画を考えることを避けるカルチャーが存在します。当初の計画にすべてをかけ、うまくいくようただただ祈る考え方です。しかし、先を見越して予備計画を立てる方法と比べ、このような考え方はリスクを解消しないばかりか、チームをより多くのリスクにさらします。

航海の際に、予期せず嵐に遭遇しないよう、天気予報を事前に確認することと同様です。晴天が突然嵐に変わることは 9 割方ないかもしれませんが、万が一に備えるに越したことはありません。コンティンジェンシープランを用意しておけば、想定外の事態が発生しても、会社がそれに対処するための準備が整い、可能な限り迅速に復旧できます。

1 回限りの取り組みで、その後は放置されるコンティンジェンシープラン

コンティンジェンシープランの作成は、多くの労力を要します。そのため、その大仕事を終わらせること自体が本来の目的とすりかわり、後はそれっきりになりがちな傾向もあります。これを防ぐには、定期的なリマインダーを設定し、必要に応じてコンティンジェンシープランをレビューし、更新しましょう。新しいリスクが生じたり、業務が変更されたりした場合に、コンティンジェンシープランを更新しておけば、緊急事態の発生時に最善の対応を実施できます。

コンティンジェンシープランの作成後に行うべきこととは?

コンティンジェンシープランの作成は、非常に労力を要することもありますが、それを使う必要が発生すれば、計画を立てておいてよかったと実感できます。しかし、しっかりとしたコンティンジェンシープランを作成することに加え、その計画を最新の状態に維持することが重要です。

先を見越して行動すれば、リスクを未然に緩和できます。そのためには、リスク発生時にコンティンジェンシープランの実行を担当することになるチームメンバーと十分にコミュニケーションをとり、計画を共有しましょう。ホコリをかぶったコンティンジェンシープランの文書を放置するようなことはせず、必要に応じて積極的に活用することが大切です!

計画を作成したら、ワークマネジメントプラットフォームなど、全員がアクセスできる便利な場所にそれを保管しましょう。コンティンジェンシープランを使用するときが訪れた際に、アクセスしやすい便利な場所にその計画が保管されていれば、チームは計画を迅速に実行に移せます。

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