あなたが活用していない最善の対立解決戦略

寄稿者 Julia Martins の顔写真Julia Martins2021年4月20日00
facebooktwitterlinkedin
対立解決戦略 Asana 記事バナー画像

チームのリーダーは、チーム全員が職場でありのままの自分を出せるよう、オープンでインクルーシブな環境を築く役目を担います。このような職場の文化を育むためには、チームのコラボレーションを奨励することやチーム活動の時間を設けることなど、さまざまな戦略があります。しかし、2 人のチームメンバーの間で対立が発生した場合には、どのように対処すればよいのでしょうか?

仕事における対立解決は、非常に困難な場合があり、特に初めての場合にはなおさらです。それでも、多くの場合には、率直に対処することが、当事者全員が「自分はサポートされ、理解されている」と感じられる最善の方法です。

対立が発生した際に、余計な干渉をせず、チームメンバー同士で解決する機会を与えた方がよいように思えるときもあるでしょう。しかし、対立を放置すると、わだかまりからギスギスした仕事環境につながりかねません。それを防ぐために、対立解決のテクニックを使ってさまざまな視点からの歩み寄りをサポートすれば、困難な対人トラブルも全員にとっての成功体験に変えられます。

これまで職場における対立に対処したことがない方も、ご安心ください。この記事では、コンシャスリーダーシップ (意識的リーダーシップ) の実践例を通じて、対立解決スキルをわかりやすく習得できます。それにより、実際に対立が生じても、チームをサポートするために最適なツールがあるという自信を持って対処できます。

対立解決とは何か?

簡単に言えば、対立解決とは、オープンで、誠意に満ち、インクルーシブな職場を実現するために、職場における対立を解決するためのプロセスです。2 人以上のチームメンバーの間で対立が生じた場合には、職場向けの対立解決戦略を使えば、全員が「自分はサポートされ、理解されている」と感じられます。対立解決戦略は、両当事者にとって納得できる解決策を見出すための手段となります。

対立解決の方法を習得することは、優れたリーダーシップのカギとなる要素です。自分の役割を前向きに受け入れ、積極性を発揮すれば、仕事上の対立に対処し、意見の食い違いや誤解に起因する大きなトラブルの発展を未然に防げます。対立の芽に早めに対処すれば、オープンで誠意に満ちた職場の文化を維持できます。

記事: 仕事における対立が発生したときの対処法

対立と意見不一致の違い

ここで言う「対立」は、意見の不一致とは意味が異なります。意見の不一致は、よいチームワークと健全なコラボレーションにむしろ欠かせない要素です。オープンで誠意あるコミュニケーションを奨励することは、チームによるコラボレーションの一環として欠かせません。チームメンバーが他のメンバーの意見に反対するとき、意見を共有し、最適な解決策を一緒に見出すために、仲間として活発に議論し合えるような雰囲気が存在することを示します。すなわち、ちょっとした意見の不一致には望ましい効果があるのです。

それでは、対立が問題化するのは、いつの時点においてなのでしょうか?意見の不一致が対立に変わるのは、1 人以上のチームメンバーが、職場で不安を感じ、ありのままの自分でいられなくなるときです。たとえば、意見の不一致がわだかまりになったり、意見の不一致がきっかけでチームのより大きな問題が表面化したり、といった場合があります。こういったケースでは、対立解決戦略を使えば、対立の原因をより深く理解し、チームと一緒に解決策を見出せます。

対立と断絶の違い

本人たちが意識しているか否かに関わらず、チームメンバー同士は絶えずコラボレーションを行っています。常に行われているこのコラボレーションの結果、チームメンバーの間には、自然なつながりが形成されます。そして、それは一緒に仕事をし、オープンにコミュニケーションをとり、問題解決を行う能力を生み出します。

2 人のチームメンバーの対人間の対立は、そのつながりを断絶させる場合があります。明確なコミュニケーションがとれていた 2 人以上のメンバーの関係が、何らかのものに阻まれるようになる状態です。この不和の原因は対立ですが、真の問題は断絶です。断絶は、コラボレーションや明確なコミュニケーションを行えない状態であることを意味します。断絶を解決するには、対立を解消する必要があります。

対立解決スキルを習得する

対立解決スキルの習得は継続的なプロセスです。この記事を読んだだけでは、あるいはワークショップを受講するだけでは、対立解決スキルをマスターすることはできません。そしてそれは、決して悪いことではないのです。あらゆる対人スキルがそうであるように、対立解決スキルも、培い体得するためには、時間を要します。対人スキルを培うことは、将来に投資するためのプロセスなのです。対立解決について学んで将来の成功の土台を築けば、対立が実際に発生したときに、その知識を生かして対処できます。

対立解決のプロセスの際には、誰もが最善を尽くしていることを忘れないように心がけましょう。どのような状況でも、先入観を排して柔軟な心で対応し、チームにもそうするよう推奨しましょう。よい質問をし、理解するために耳を傾ければ、エンパシー (他者の心情をくみ取る能力) を自然に発揮できます。それにより、すべての当事者に共通する何らかの思いや立場を見出し、問題の解決策を導き出せます。

記事: 仕事の在り方が変わるシンプルなテクニック

これは、必要に応じて上司や人事部門の力を借りることも恐れる必要はないことを意味します。自分だけで対処できる範囲を超える対立が発生した場合、助けを求めることが最善策であることもあるのです。対立解決のプロセスの際に最も重要なことは、チームメンバーの成功をサポートすることである点を常に心に留めておきましょう。そしてその「成功」の形は決まっていません。

コミュニケーションと対人スキルのベストプラクティス

どの対立のタイプ (または対立解決のタイプ) にも共通して役に立つ対人コミュニケーションのベストプラクティスが複数あるので、ぜひこれらを身に付け、チームに対しても習得を奨励しましょう。対立解決のスキルと同様に、対人コミュニケーションのスキルの習得にも、時間がかかります。これらのベストプラクティスを対立の場面で意識的に実践すれば、チームと一緒に解決策を導き出しやすくなります。

主語を「私」にする「アイ・メッセージ」を奨励する

アイ・メッセージとは、「〇〇さん」や「あなた」など、相手を表す言葉を主語とする代わりに、「私」を主語とする話し方です。「私は~」という言葉で発言を始めることは、自分自身の体験に根差して語ることを意味します。それにより、自分の主観を他者に投影するコミュニケーションパターンを避けられます。

たとえば、チームで行ったブレインストーミングの会議で自分が出した案が、ブレインストーミングの議事録に記録されなかったとします。その場合、相手に「あなたは、会議で私の案を認めてくれませんでした」と述べる代わりに、「私は、自分の案がブレインストーミングの議事録に加えられなかったとき、悲しい気持ちになりました」と述べます。後者は、他者の行動を投影せず、出来事が自分の心にどう影響したのかを説明する発言です。

意図と影響の区別の仕方を身に付ける

「意図」と「影響」の違いを理解すれば、自分の行動を相手の視点から見つめられます。意図とは、行動または発言を行った本人の意思です。一方、影響とは、その対象となる側の相手が感じることです。対立解決のプロセスの際には、意図と影響の両方を理解することが大切です。

たとえば、あなたのプロジェクト計画の構成をチームメイトが大幅に変更したと想定しましょう。その行動の「意図」は、プロジェクト計画の情報を整理することだったかもしれません。しかし、あなたの許可を得ずにこれが行われたことで、あなたはショックを感じました。それが「影響」です。あなたがショックを感じる本人であるため、最終的には「影響」の方が大きな意味を持ちますが、それでも当初の「意図」を理解すれば、チームメイトの視点についても手掛かりを得ることができ、今後のコミュニケーションを向上できます。

ストーリーではなく事実を語る

事実対ストーリー」はコンシャスリーダーシップのテクニックです。「事実」とは実際に起こったことです。すなわち、ビデオカメラのレンズに捉えられるものです。一方、「ストーリー」は、その事実に対するあなたの個人的な解釈です。

たとえば、チームメイトとタスクの納期について合意した後、そのチームメイトがそのタスクを期限内に完了できなかったと想定しましょう。その場合、チームメイトの納品が合意した期限に間に合わなかったことが「事実」です。反面、あなたが想像するのは、チームメイトがあなたの時間を軽んじたり、この成果物をないがしろにしているという「ストーリー」かもしれません。そのストーリーは、あなたにとっては現実感があるかもしれませんが、期限に間に合わなかった理由とは異なるかもしれません。他のたくさんの仕事に圧倒された状態だったために、タスクへの対応漏れが発生したのかもしれません。または、愛犬の急病で獣医に駆け付ける必要があったのかもしれません。どんなに推測を重ねても真実はわからないのです。

事実とストーリーを区別すれば、早まった誤解や憶測を避けられます。また、特定の対立状況に関する事実とストーリーを共有すれば、その対立状況に対する自分自身の視点も言葉にすることができ、真実に基づき率直に語り合えます。

対立解決にクリアリングモデルを使う

Asana では、対人コミュニケーションとコラボレーションの向上を実現するために、コンシャスリーダーシップグループのトレーニングを導入しています。コンシャスリーダーシップの一環として、自分自身の気持ちや感情を認めてから解放することをチームと一緒に実践できます。最初は抵抗感があるかもしれませんが、チームのリーダーとして、全員がありのままの自分を見せられる安全なスペースを率先してつくることが大切です。自分の気持ちを包み隠さず認めることは、オープンでクリエイティブなスペースの実現につながります。普段の自分からは考えられなくても大丈夫です。以下に初めてでも実践できるステップを一歩一歩解説します。

コンシャスリーダーが使うテクニックの 1 つに、クリアリングモデルがあります。クリアリングを実践すれば、断絶を乗り越え、関係を修復できます。クリアリングモデルの主要な理念は、自分が正しいという立場を固守することをやめ、自分の行動に責任を持つことです。

クリアリングモデルは、2 人の当事者が直接活用することで効果が最大化されます。チームのリーダーとして、チームにクリアリングモデルを教え、対立や断絶が発生した場合にメンバーがそれをすぐに活用できるよう準備することを推奨します。

動画: クリアリングモデルの使用方法

クリアリングモデルのメリット

対立解決戦略にはさまざまなものがありますが、Asana ではクリアリングモデルを使っています。その理由は、このモデルが断絶の解決とコラボレーションの回復を重視するものだからです。クリアリングモデルは、以下の点においてとりわけ優れた効果を発揮します。

  • 断絶の代わりに、心を開き、好奇心を持って接しあうことを奨励する

  • 指示ではなく開かれた質問 (決まった正答がなく、自由な答えを引き出すための質問) をする

  • 対話を使って断絶を解決する

  • チームの実践と習得を支える秩序を提供する

  • 自分の行動に責任を持つことを重視する

  • 正当な視点や解決策が複数あることを認める

クリアリングモデルを使用する前に

クリアリングモデルは、すべての状況に対する完璧な解決策ではありません。クリアリングモデルの使用を開始する前に、まず両当事者が、自分は正しいという立場から自身を解放し、「自分は正しいという立場よりも、きずなを尊く思う気持ちの方が強いと心から断言できますか」という質問に答えられるかを確認しましょう。

チームメンバーが、その質問に対して、心から「はい」と答えられるようになるまでには、ある程度時間がかかるかもしれません。コンシャスリーダーシップのカギは、自分のありのままの感情を存分に感じ、その感情を生かしてよりよい意思決定を行うことです。Asana の組織有効性 & コーチング担当リーダーである Joanna Miller によると、人は時に自分は正しいという立場から自身を解放できないことがあるそうです。

それでは、チームメイトが自分は正しいという立場を優先した場合には、どのように対処すればよいのでしょうか?Joanna によれば、その選択をマイナスと見なす必要はないそうです。逆に、その知識を貴重なデータとして活用できます。チームメンバーは、なぜ自分は正しいという立場の方が大事だと感じるのでしょうか?これまでチームとのきずなを築けていなかったのでしょうか?このチームメンバーにもっと合う役割やチームはあるでしょうか?このチームメンバーが重視するものを理解すれば、本人にとって最適な解決策を一緒に見出せます。

クリアリングモデルの使用方法

クリアリングモデルは、チームとの関係の修復を目的とするコンシャスリーダーシップの戦略です。プロセスの各ステップをサポートするスクリプトもあります。

今回話を聞いた Joanna Miller に、クリアリングモデルを日々の実務で活用する方法をステップごとに解説してもらいました。クリアリングモデルの仕組みを説明するために、Joanna は、筆者と彼女の 2 人が当事者である状況を仮定しました。クリアリングモデルのスクリプトに基づくコミュニケーションで両当事者がその状況を解決に導く方法を以下に紹介します。

クリアリングモデルは、感情や脱線を最小限にとどめ、両当事者にとって最善の解決策を得るために、スクリプトに忠実に沿って実践されます。解決策を一緒に見出すことに合意してから、クリアリングを希望した当事者は、対処したい問題を相手に提示します。そして、事実、ストーリー、望みを説明した後、今度は聴き手がスクリプトに沿って応答と理解に臨みます。この両当事者のコミュニケーションは「クリアリング」と呼ばれます。

ダウンロード: クリアリングモデルの配布用資料

ステップ 0: 解決策を共に作成する

クリアリングモデルの実践を開始する前に、現時点において、両当事者がこの断絶を解決することに完全に同意していることを確認しましょう。そのために、この解決策は、両当事者の同意が必要な 3 項目により構成されています。

  • 私は好奇心を持つこと、そして自分は正しいという立場から自身を解放することにコミットします

  • 私はこの問題について 100% 責任を持つことにコミットします

  • 私は全当事者にとって勝利を意味する解決策を見出すことにコミットします

いずれかのチームメンバーがこれらの 3 つの問いに対し、心から「はい」と答えられない場合には、その答えが変わるまで、クリアリングモデルの対話を延期しましょう。チームメンバーが「はい」と答えられるときが訪れれば、それはマインドフルネス、オープンな姿勢、好奇心を持ってクリアリングに参加する心構えがあることを意味します。

ステップ 1: 相手との関係の大切さについて認識を表明する

この課題に実際に取り掛かる前に、クリアリングを希望した当事者が、相手との関係の大切さについて認識を表明することが必要です。仮にこの関係が大切ではなかったのなら、そもそもクリアリングのニーズが生じることもなかったでしょう。クリアリングを行うという行為自体が、相手との関係に敬意を表し、その価値を尊重するための手段なのです。

この時点で、クリアリングを希望した当事者は、相手とのこの大切な関係において、オープンなコミュニケーションをとれるようクリアリングしたい問題があることを明言します。その際の当事者の言葉は、次のとおりです。

  • 「あなたとクリアリングをしたいことがあります。私たちの関係は、私にとって大切なので、オープンなコミュニケーションをとりたいのです。これを行うためにこの場に来てくださったことに感謝します。」

ステップ 2: 事実を共有する

上述の通り、コンシャスリーダーシップでは、客観的に観察できることを事実と呼びます。事実とは、客観的な真実であり、両当事者が問題なく同意できるものです。

この時点で、Joanna は次のシナリオを例に使ってクリアリングモデルを説明しました。

  • 「事実を述べると、私たちは先週 2 人ともチーム会議に参加し、そこで私は新しいプロジェクトに向けた自分の案をいくつか発表しました。その際のあなたの反応は 1 言ずつの受け答えでした。」

ステップ 3: ストーリーを共有する

事実に基づき、個人的に推測するのがストーリーです。ストーリーは常に個人的なものであり、コンシャスリーダーシップでは、作り話として位置づけられています。しかし、だからといってストーリーが重要でないわけではありません。ストーリーは人間にとって世界と交わるすべであり、場合によっては非常に大事な役割を果たします。たとえば、大切な友人があなたに笑顔を見せるとき、あなたが自分の中で語るのは、自分に会えたことを友人が嬉しく思っているというストーリーです。ボディランゲージの解釈の仕方や非言語コミュニケーションの受け取め方もストーリーに含まれます。

クリアリングの際には、客観的な事実に対する自分の視点を述べるために、ストーリーを共有することが重要です。Joanna は次のように続けました。

  • 「あなたの受け答えが 1 言ずつだったのは、私の案がよくないと感じたからだというストーリーを私は作り上げました。」

ステップ 4: 気持ちを共有する

事実とストーリーは、特定の状況に対する人の気持ちに影響を及ぼします。気持ちを共有することは、事実とストーリーがあなたの心に及ぼした影響を共有することを意味します。

Joanna は次のようにクリアリングの対話の実演を続けました。

  • 「あなたが私のプレゼンに対してあまり興味がなさそうだったため、私は悲しみを感じています。そして、あなたがチームにおいて持っている影響力を私は認識してしているので、自分のプロジェクトが承認されないのではないかという恐れも感じています。」

ステップ 5: 望みを共有する

ステップ 5 は、相手に知ってほしいことを共有する機会です。望みを共有するといっても、相手にしてほしいことを共有するという意味ではありません。逆に、自分自身の責任として、相手に知ってほしい自分の思いを共有する機会です。

Joanna は次のようにクリアリングの対話の実演を続けました。

  • 「私にとってあなたの意見が貴重であることをあなたに知ってほしいです。」

ステップ 6: 断絶に至った経緯を説明する

ステップ 6 は、クリアリングモデルの内、最も重要な要素かもしれません。このステップは、断絶における自分の役割を認め、自分と相手の間で起こった出来事に対する自分の責任を認める機会です。ステップ 6 は、自分が断絶に至った経緯を共有する機会としてとらえましょう。

この想定例では、Joanna は次のように説明しました。

  • 「私がプレゼンを事前に確認いただけるようあなたと共有しなかったことが、この断絶の一因となりました。」

ステップ 7: 自分の投影内容を言葉にする (任意)

このステップは必須ではありませんが、一部のケースでは、相手に投影した自分の感情を言葉にすることが役に立つ場合があります。自分が投影した内容を言葉で言い表せば、自分が作り上げたストーリーが、いかに相手の行動よりも自分の人生経験に密接につながっているか確認できます。

クリアリングモデルの実演の際、Joanna は次のように述べました。

  • 「あなたを見たときに私の目に映る自分自身の嫌なところは、すぐに他者の案を批評するところです。」

次に、聴き手のスクリプトを紹介します。

クリアリングする当事者が事実、ストーリー、望み、断絶について共有し終わったら、今度は聴き手が応答し、対話を続ける番です。

クリアリングモデルを行う際、聴き手は理解するために聴くことが必要です。理解するために聴くことは、反射的傾聴 (リフレクティブリスニング) とも呼ばれることもあり、傾聴法 (アクティブリスニング) のテクニックです。反射的傾聴では、自分の意見を返すために聴くのではなく、聴き取った情報を繰り返すことにより、両当事者が同じ理解を共有した上で前に進めます。

ステップ 8: 聴き取った情報をパラフレーズする

この時点における聴き手の役割は、相手の話の内容を変更したり調整したりすることなく、聴き取った情報をそのまま繰り返すことです。パラフレーズは 3 つのステップから成ります。

1. 「今のお話から私が聴き取ったことを繰り返すと...」

これは、聴き手が、できる限り相手の話に忠実に、聴き取った情報を繰り返す機会です。Joanna との対話では、筆者はこれを次のように行いました。

  • 「今のお話から私が聴き取ったことを繰り返すと、先週のプレゼンの際、私の受け答えは一言ずつでした。あなたが自分自身に語ったのは、私があなたのプレゼンに対し無関心であるというストーリーだったため、あなたは悲しみと恐れを感じました。なぜなら、あなたは私の意見を尊重しており、私があなたの案を気に入らない場合、あなたのプロジェクト案が承認されない可能性が心配だからです。あなたが事前確認用の文書を共有しなかったことは、この断絶の一因となりました。あなたのストーリーは、他者のアイデアをすぐに批評するあなた自身の一部分の影響を受けている可能性があります。」

2. 「それで合っていますか?」

共有したら、聴き手は、自分が行ったパラフレーズが合っていたかを本人に確認する必要があります。合っていない場合には、Joanna はそれを調整したり、一部繰り返したりできます。

3. 「他に何かありますか?」

終わる前に、聴き手は、他に何かないか確認する必要があります。確認することにより、聴き手は、相手の気持ちや状況についてできる限り学びたいという前向きな姿勢と好奇心を示せます。

Joanna によると、その際に他に何もないことはほとんどないそうです。その理由は、言いたいことを完全に言い切らなかった場合もあれば、クリアリングモデルによりさらなるニュアンスが引き出される場合もあります。たとえば今回の対話で Joanna は、「他に何かありますか」という問いに対し次のように答えました。

  • 「はい、私が会議の議題を事前にチームと共有しなかったことも、この断絶の一因となりました。」

相手がさらなる情報を共有した場合には、それを繰り返した上で、そのパラフレーズが合っているか、そして他にまだ何かあるか尋ねます。以上のステップを言い残したことが完全になくなるまで繰り返します。

ステップ 9: 相手が「クリア」になったかを確認する

相手が追加したい情報をすべて共有し、あなたがその情報をすべて繰り返したら、最後のステップとして、話すべきことをすべて話せたか相手に確認します。これを行うには「心はクリアになりましたか?」と尋ねましょう。

クリアになっていないという返事であれば、「他に何かありますか?」と尋ねるステップに戻り、相手が気持ちを残らず共有できるまで続けましょう。

ステップ 10: 今後のステップについて認識を合わせる

クリアリングにより、対処が必要なアクションアイテムが明らかになる場合があります。将来断絶が再発しないよう、次のステップについて、必ず両当事者が合意し、理解できていることを確認しましょう。

たとえば、Joanna との対話後のアクションアイテムは、Joanna の提案を読み、2 営業日以内に詳細なフィードバックをメールで共有することです。

ステップ 11: クリアリングに対する感謝の気持ちを伝える

聴き手としての最後のステップは、クリアリングを行うために自分を招き、この問題を共有してくれたことに対し、相手に感謝の気持ちを伝えることです。クリアリングモデルの使用は両当事者の努力を要します。相手がクリアリングモデルのプロセスを開始したことは、自分は正しいという立場から自身を解放し、新しい関係を一緒に見出そうという心構えがあったことを意味します。

ステップ 12: 聴き手が問題を感じていれば、それに対処する

聴き手が問題を感じていれば、役割を逆転し、クリアリングモデルを再度使用できます。しかし、それを行う場合には、時間の間隔を最低でも 1 時間空けることを推奨します。後日まで待ってから問題に対処すれば、両当事者が完了したばかりのクリアリングを十分に内面化できます。また、以降のクリアリングにおいて、落ち着いた心構えで対話に臨めます。

職場における対立解決は決して容易くはない

たとえクリアリングモデルのような効果的なプロセスを使ったとしても、対立解決スキルの習得には、時間がかかります。スキルを習得することに加え、職場においてよいコミュニケーションを心がけましょう。そして、率直に建設的批判をしたり、それを受け止めたりするようチームを奨励し、チームのコラボレーションを常にサポートしましょう。これらの対策を職場において実践すれば、時の経過とともに、対立解決を以前より円滑に進められるようになるばかりでなく、対立が発生する確率を未然に減らせる可能性があります。

関連記事

記事

The Eisenhower Matrix: How to prioritize your to-do list