スクラムは初めてですか?ここから始めましょう。

Julia Martins 寄稿者の顔写真Julia Martins2021年1月11日00
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スクラムのイラスト

製品、エンジニアリング、ソフトウェア開発チームなどで働いている人なら、「スクラム」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。スクラムとは、短いサイクルを繰り返して迅速に開発チームのために作られたフレームワークです。スクラムプロセスは、連携して複雑な問題を解決するのに役立ちます。あなたが製品、エンジニアリング、ソフトウェア開発チームで働いていなくても、スクラムが役に立つ可能性があります。この記事では、スクラムとは何か、そしてどのように機能するのか、スクラムについて知っておくべきことすべてをご紹介します。

スクラムとは?

スクラムとは、チームのコラボレーションと、インパクトの大きな仕事の達成をサポートするアジャイルフレームワークです。スクラムフレームワークは、価値観、役割、そしてガイドラインの設計図を提示し、チームが反復と継続的な改善に集中できるようにします。

従来、スクラムは「スプリント」という通常 2 週間程度の作業セッションで行われます。各スプリントの終わりまでに特定の成果物を作成する必要があります。そして、それに加えてスクラムにはさらに 2 つのイベントがあります。「デイリースタンドアップ」は、その名の通り毎日 1 回行われます。デイリースタンドアップではチームが 15 分間話し合い、毎日の活動を調整します。2 つめのイベント「スプリントの振り返り」は、スプリント終了時に行われます。スプリントの振り返りは、「スクラムマスター」が主導する、チームでスプリントを振り返り、次回以降のスプリントに向けて調整する機会です。

スクラム、かんばん、アジャイルの違い

かんばんやアジャイルなど、他の手法の関連でスクラムについて耳にしたことがあるかもしれません。チームのコラボレーションや継続的な改善に関し、これらのフレームワークはそれぞれ独自の役割を果たしますが、リーン方式のフレームワークという枠組みの中ですべて密接に関連しています。以下ではそれぞれの特徴や違いを説明します。

アジャイルは、チームが継続的な改善を行うのに役立つプロジェクト管理手法です。アジャイルチームでは、チームが変化に対応し、不確実性に対処できるよう、反復的で段階的な開発が重視されます。スクラムとかんばんは、どちらもアジャイル方法論のひとつです。「アジャイル」は、それらの総称であると考えてください。

詳しく見る: 優れたアジャイル管理ツールでアジャイルプロジェクトを管理

スクラムは最も人気のアジャイル手法のひとつです。スクラムを使っているのなら、それはアジャイルチームだと言えます。しかし、スクラムフレームワークには他にもアジャイルな開発に役立つ役割やシステムがあります。スクラムでは、アジャイルと同様、チームは継続的な改善を目指します。しかし、どちらかと言うと方針やフレームワークを指すアジャイルとは異なり、スクラムはスプリントやスタンドアップ、振り返りなどの手段を通してチームが継続的に改善できる具体的な方法を確立するものです。

チームのスクラム用かんばんボード

かんばんフレームワークもアジャイルのひとつです。かんばんは、継続的なプロセスや仕事を管理する視覚的な手段です。かんばんツールを使えば、仕事が完了するまでの段階的な動きを視覚化できます。多くの場合、スクラムを使用するチームはかんばんボードで仕事を視覚化しますが、そうすることがスクラムフレームワークの条件というわけではありません。

記事: かんばんとスクラムの違いとは?

スクラムの歴史

現在の形の「スクラム」は、竹内弘高氏と野中郁次郎氏によって書かれた 1986年のハーバード・ビジネス・レビューの記事 The New New Product Development Game で初めて紹介されました。竹内氏と野中氏はラグビーから「スクラム」と名付け、「ラグビーのように、ボールがチーム内で受け渡され、チームがユニットとしてフィールドを進んでいく」ことだと説明しています。

そして 1995年に、スクラムは Ken Schwaber 氏と Jeff Sutherland 氏によって発表された Agile ManifestoSCRUM Development Process によってさらに発展し、成文化されています。

Schwaber 氏と Sutherland 氏による「スクラム」では、ソフトウェア開発におけるウォーターフォールモデルを否定するものだったとも言えます。ウォーターフォールモデルでは、プロジェクトは一連のフェーズに分割され、各フェーズの成果物が完成すると初めて次のフェーズに進めるようになります。Schwaber 氏と Sutherland 氏は、顧客にとって最高の製品を開発するには、ソフトウェア開発者が環境に継続的に対応、適応できる、より柔軟で反復的なアプローチが有効だと考えました。

その後、Schwaber 氏と Sutherland 氏は、2 人が定期的に更新を続ける生きた文書である、スクラムガイドを発表しました。スクラムガイドによると、スクラムはチームに「自分たちの仕事のテクニックがどれほど効果的であるかを確認させ、そのテクニックを継続的に進化、改善させようとする」と言われています。

スクラムの仕組み

スクラムプロセスを実行する場合に一番知っておくべきことは、スクラムフレームワークは継続的な改善のシステムに依存しているということです。スクラムでは、スプリントの初めには何もわからなくても、スプリントの最中に得た情報に基づいてプロセスと要件を調整できます。

典型的なスクラムのイベント

それでは、スクラムとは具体的に何なのでしょうか?また、チームは何をすればよいのでしょうか?スクラムプロセスは、以下のように進行します。

1. バックログを整理する。バックログを整理する。 スクラムスプリントを始めるには、まずチームリーダー (スクラムマスターとも呼ばれます) が、バックログから引き出す仕事、すなわちやるべき仕事を決定します。可能な限り最高のスクラムスプリントを実現するために、製品バックログは一か所で文書化しましょう。情報の記録には、プロジェクト管理ツールの使用がおすすめです。

2. スプリント計画セッションを開く。スプリント計画セッションを開く。 スクラムスプリントを始める前に、どこに重点を置くべきかを知る必要があります。スプリント計画セッションでは、そのスプリントでバックログのどの仕事に注力するのかを決定します。まずは Asana のスプリント計画用の無料テンプレートを使ってみてください。

3. スクラムスプリントを開始する。スクラムスプリントを開始する。 通常、1 つのスプリントは 2 週間続きます。ただし、チームに合わせてこれより短くても、長くてもかまいません。スプリント期間中、チームはスプリント計画セッションであなたがまとめたバックログの内容に取り組みます。

スクラム用のエンジニアリングスプリントかんばんボード

4. 毎日のスクラムスタンドアップを開催する。毎日のスクラムスタンドアップを開催する。 毎日スクラムチームと 15 分間話し合うようにしましょう。デイリースタンドアップミーティングは、進捗情報を共有し、予想外の障害があれば優先度を調整する機会となります。効果的なデイリースタンドアップを行うために、デイリースタンドアップ用の無料テンプレートをお試しください。

5. スプリントレビューで作業内容を報告する。スプリントレビューで作業内容を報告する。 スクラムスプリントが終わったら、チームで集まってスプリントレビューを行います。スプリントレビューでは、スクラムチームのメンバーが「完了」した仕事を報告し、関係者の承認やチェックを受けます。

スプリントの振り返りで共有、反省を行う。スプリントの振り返りで共有、反省を行う。 スプリントが終わったら、その感想を共有し、次回以降どういった点が改善できるかについて話し合います。先述の通り、スクラムでは継続的な改善に重きが置かれています。次のスプリントでは遠慮なく新しいプロセスを試し、効果が少ないと思われる戦略は修正しましょう。スプリント振り返り用の無料テンプレートを参考に、ミーティングを開きましょう。

「完了」とは?

スクラムを始める前に、「完了」とはどういう意味か、チームで共通認識を持つようにしましょう。スクラムは継続的な改善のプロセスに基づいて行われるため、この認識は意外と明確になっていない可能性があります。スクラムではチームが柔軟に、反復的に改善していくので、「完璧」なものはありません。「完了」というのは、「これ以上はない」という意味ではなく、スクラムチームがとりあえずその作業を終了することを意味します。

例として、いくつかのスクラムチームにおける「完了」の定義をご紹介します。

  • 製品リリースの準備が整う。

  • 製品のテストが終わり、ベータ環境でのリリースの準備が整う。

  • 製品の受け入れテストが終わり、全ユーザーへ向けたリリースの準備が整う。

そのチームにとっての「完了」の定義が何であろうと、必ず全員が共通認識を持つようにしましょう。定義されたら、信頼できる唯一の情報源にそれを記録して、特にスプリントレビュー中は何度も参照するようにしましょう。

スクラムのアーティファクト

スクラムでは、アーティファクトとはあなたが作る問題解決のための道具のようなものです。スクラムには、3 つのアーティファクトが存在します。それは、製品バックログ、スプリントバックログ、そして製品インクリメントです。

製品バックログ

製品バックログは、やるべき仕事のマスターリストです。プロジェクトマネージャーやプロダクトオーナーによって優先順位がつけられます。ただし、製品バックログに入っているからといって、それがチームの仕事とは限りません。製品バックログの内容は、スクラムスプリント中にチームが取り組める仕事の選択肢です。プロジェクトオーナーは顧客や市場、プロジェクトチームからの情報を基に、頻繁に製品バックログの順位を並び替えたり、更新したりする必要があります。

スプリントバックログ

スプリントバックログは、スクラムスプリント中にチームが取り組んだ仕事や製品のリストです。スプリントバックログの項目はスプリント計画セッションで選ばれ、スプリント計画プロジェクトがある場合はそこに移されます。

1 回のスプリント中にバックログの内容すべてを納品することはできないかもしれませんが、スプリント中にスプリントバックログに何かを追加することはおそらくないでしょう。そういったことが頻繁に発生するようであればスプリント計画フェーズにもっと時間をかけて、スプリント中何に取り組むのか、考えを固めるようにしましょう。

製品インクリメント

製品インクリメントとは、スプリントの終わりに納品するもののことです。新製品や機能、改善、バグ修正など、チームによって異なります。インクリメントはスプリントレビュー中に提示できるようにしましょう。そこで、スクラムの関係者がそのインクリメントについて考え、「完了」かどうかを判断し、それに基づいてインクリメントを納品するかどうかを判断します。

スクラムの役割

スクラムでは主に 3 つの役割があります。

  • プロダクトオーナー。 製品バックログの責任者です。ユーザーの要望を把握し、ユーザーの体験談をチームや経営陣の関係者に伝えることに重点を置きます。良いプロダクトオーナーは、次に何を納品すべきかを明確にします。最終的に、納品物が出荷できる状態であるかどうかを判断するのはプロダクトオーナーになります (頻繁に納品する傾向にあります)。

  • スクラムマスター。 スクラムマスターはさまざまなスクラムイベントを実行します。スクラムのプロジェクトマネージャー、進行役として考えてください。スクラムマスターはデイリースタンドアップミーティングを進行したり、スプリント計画、スプリントレビュー、振り返りミーティングを開催します。

  • スクラムチーム。 スクラムチームはスプリントに取り組むすべての人々を指します。チームメンバーはスクラムの目標である継続的な改善を達成すべく、自己組織化し、協力的である必要があります。

スクラムの原則

スクラムフレームワークの適用とスクラムの有効活用に役立つ、次の 6 つのスクラムの原則があります。

  1. 経験的プロセスを管理する。 スクラムでは透明性、検査力、適応力が重視されます。

  2. 自己組織化する。 スクラムには役割やルールがありますが、すべてのスクラムメンバーにタスクや仕事の責任が課されます。スクラムでは、責任を共有することによってチームがよりクリエイティブでダイナミックになると考えます。

  3. コラボレーションする。スクラムスプリント中や終了後に協力し合うことで最大限の結果が得られます。

  4. 価値観に基づいて優先順位を付ける。 スクラムスプリントのゴールは、最高のビジネス価値を提供することです。そのためには、スクラムプロセスの最初から作業に優先順位を付ける必要があります。

  5. 時間を区切る。 スクラムプロセスにはスプリントそのものやデイリースタンドアップ、振り返りなど、時間ベースのアクティビティが多数あります。スクラムは継続的な改善という信念を基に成り立っているため、次のタスクへと進み、仕事を改善していくために、仕事の時間を区切ることが重要です。

  6. 反復的に開発する。 スクラムでは、最初の製品は完璧なものではありません。しかし、反復的に開発を行うことで、チームは顧客のニーズにうまく対応し、価値観に基づく優先順位に従って製品やアウトプットを変更できます。

スクラムの価値基準

スクラムを成功させるには、チームはスクラムガイドで定義されている 5 つの主なスクラムの価値基準に従わなくてはなりません。

  • 確約: スクラムチームは 1 つのユニットであり、チームメンバーはお互いを信頼する必要があります。スクラムメンバーは最適なソリューションを見つけ出すために、期間中はスプリントに全力を注ぎ (コミットし)、継続的な改善に専念します。

  • 勇気: スクラム中、正確な答えのない難題に遭遇することもあるかもしれません。スクラムチームは最適なソリューションにたどり着くために、難しい質問を率直に投げかける勇気と、それに正直に答える勇気を持たなくてはなりません。

  • 集中: どのスクラムスプリントでも、スクラムチームは製品バックログから作業します。スクラムチームはスプリントの終わりまでに成果物を完成させるために、バックログから選んだ作業に集中する必要があります。

  • 公開: スクラム中、予期せぬ事態も起こるでしょう。スクラムメンバーはメンバー 1 人 1 人にとっての学びとなり、なおかつ製品やプロセスの改善に役立つような新しい意見や機会を受け入れる必要があります。

  • 尊敬: コラボレーションはスクラムの重要な要素です。そしてチームのコラボレーションを促進するには、チームメンバーは他のメンバーを、スクラムマスターを、そしてスクラムプロセスを尊重する必要があります。

自分のチームもスクラムを使うべきか?

スクラムは、どんなチームにでも合うものではありませんが、製品やソフトウェア開発、エンジニアチームにのみ有効な手段というわけでもありません。どんなチームもスクラムフレームワークに適応し、継続的な改善を利用して大きな仕事を成し遂げることができます。以下では、スクラムのメリットとデメリットについてご紹介します。

スクラムのメリット

スクラムは、コードや新機能などの典型的な「製品」であれ、マーケティングキャンペーンやクリエイティブアセットなどのスクラムでは一般的ではない形の「製品」であれ、頻繁に何かを開発、納品する必要のあるチームでの使用が最も効果的です。

スクラムフレームワークに従うチームは、機敏かつ柔軟に仕事をできるようになります。スクラムプロセスはチームワークを促進し、より効果的な目標達成に役立ちます。スクラムメンバーは製品バックログからタスクを引き出しているため、常に自分が何に取り組んでいるかを正確に把握でき、何を「完了」とするかの共通認識を持っているため、目標が何であるかも正確に理解できます。

スクラムの制約

スクラムプロセスでは変更が良しとされているため、スクラムプロジェクトではしばしばスコープクリープに苦しむことがあります。変更が多すぎる場合や顧客フィードバックの数が多く内容がバラバラな場合は、スプリントを何度も反復しても意味のある結果を得られず徒労に終わってしまうかもしれません。

  • 解決策: 各スプリントの目的とインクリメントを明確に定義するようにしましょう。さらに、スクラムチーム全体に何を「完了」とするかを明確に理解させ、「完了」を超えないようにしましょう。必要な場合は変更管理プロセスを導入してこういった問題を防ぎましょう。

スクラムチームでは多くのミーティングが開催されます。定期的なスプリント計画とスプリントレビューに加え、毎日のスタンドアップミーティングもあります。

  • 解決策: 毎日のスクラムミーティングにあまり意味が感じられないようであれば、やり方を変えてみましょう。スタンドアップの記録をつければ、チームにとって何が役に立ち、何がそうではないかが見えてきます。

スクラムは、製品、エンジニアリング、ソフトウェア開発チームでなければ導入が難しい可能性があります (ただし、不可能というわけではありません)。

  • 解決策: チームでスクラムを使うことが決まったなら、スクラムプロセスがどのように役立つかを明確にしましょう。可能であれば現在の問題点を特定し、役立つかもしれないスクラムイベントを挙げましょう。さらに最初の数回のスクラムスプリントの中でいくつかトレーニングセッションを開催して、チームの成功をサポートしましょう。

スクラムを始めましょう

最高のスクラムチームとは、協力的で、反復的で、どのスプリントでも何に取り組んでいるかが明確になっているグループです。それを実現させるには、Asana のような信頼できる唯一の情報源が必要です。Asana を使ってアジャイルチームでスクラムを実行する方法をご説明します。

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