かんばんとスクラムの違いとは?

Julia Martins 寄稿者の顔写真Julia Martins2020年10月29日00
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かんばんスクラムという言葉を聞いたことがあると思います。しかし、これらの言葉は何を意味するのでしょうか?スクラムはラグビー用語ではないかと思われる方もいるでしょう。

チームごとにかんばんやスクラムのプロセスは異なるので、場合によっては戦略も多少異なるかもしれません。どちらのフレームワークも視覚的なプロジェクト管理方法に基づいており、チームのコラボレーションには素晴らしい方法です。しかし、この 2 つの方法を比較対照する前に、まずそれぞれの意味を理解する必要があります。

かんばん

かんばんとは、一般的には視覚的なプロジェクト管理戦略を指し、仕事をボードのような形で、仕事の段階を列で表したものです。かんばんボードでは、個々のタスクは完了まで段階を経て進捗していきます。

記事: ビギナーズガイド: かんばんボードとは?

かんばんの歴史

かんばん方式は、大野耐一氏がトヨタの時代にリーン生産方式として開発したのが始まりです。当初、大野氏のかんばん方式は、トヨタ工場の需要を追跡するために紙のカードを使用していました。需要を予測し、その予測された需要に対して生産することを試みるのではなく、彼のかんばん方式は消費側の需要の結果として製品を生産し、再供給しました。

今日のかんばん

大野耐一氏が開発したかんばんフレームワークは、数十年の間にデジタル化、翻案、改良され、現在のアジャイルプロジェクト管理システムになりました。現代のかんばんフレームワークの核心は、オンラインで視覚的に仕事を管理する方法です。今日、「かんばん」という言葉は、かんばんの方法論に命を吹き込む視覚的なプロジェクト管理ビューである、かんばんボードを指すことが多くなっています。

かんばんボードには、仕事の各段階を表す列があります。各列の中には、大野氏の工場での初期の紙カードのようなビジュアルカードが個々のタスクを表しています。

バグ追跡かんばんボード

かんばんボードは、視覚的なプロジェクト管理の最も一般的な方式の 1 つです。他の視覚的なプロジェクト管理と同様に、かんばんボードは、プロジェクトを簡単に、一目で把握するために最も効果を発揮します。

記事: プロジェクト計画を視覚化する 3 つの方法: タイムライン、カレンダー、ボード

かんばんボードのメリット

かんばんボードを使用して視覚的なプロジェクト管理を行うと、チームに豊富な情報が一目でわかるようになります。ワークマネジメントツールでかんばんボードを構築した場合、個々のタスクや成果物を表すかんばんボードの「カード」には、タスクの担当者、期日、優先度やタスクタイプなどの関連タグも記録されます。ワークマネジメントツールを使用すると、カードを展開表示してタスクの詳細、コンテキスト、関連ファイルなどを表示することもできます。

かんばんボードは、チームが進行中の仕事を可視化するための柔軟な方法です。従来、かんばんボードの列は作業の段階 (To-Do、進行中、完了など) を表示します。そのため、クリエイティブリクエストバグ追跡プロジェクトのような進行中のプロセスやプロジェクトを実行しているチームに人気のビジュアルプロジェクト管理ツールです。しかし、かんばんボードの列を、タスクの担当者、「スイムレーン」 (担当範囲)、責任、期日など、別のものを表示するように設定することもできます。

かんばんボードは仕事の可視化に効果的なため、ほとんどのプロジェクト管理ツールの主要コンポーネントです。チームにぴったりのプロジェクト管理ツールを選択する場合は、かんばんボードをビューとして提供しているかどうかを確認してください。さらに良いのは、複数の方法で仕事を表示できるツールを探すことです。たとえば、Asana では、タイムラインビュー、カレンダービュー、リストビュー、ボードビュー (かんばん) の 4 つの方法のいずれかで仕事を表示できます。

記事: Asana で仕事を可視化する 4 つの方法

スクラム

スクラムは、かんばんと同じく、コラボレーションしてインパクトのある仕事を成し遂げるためのフレームワークです。大野耐一氏が先駆者となったプロジェクト管理の視覚的な形だけがベースになっているとも言えるかんばんとは異なり、スクラムは完全なフレームワークであり、スクラム上で「チームを動かす」ことができます。

スクラムの歴史

「スクラム」という言葉は、1986年のハーバード・ビジネス・レビューの記事新製品開発ゲームの中で、竹内弘高氏と野中郁次郎氏が製品開発において最初に使用したものです。記事の中で、彼らはスクラムについて以下のように紹介しています。

“企業は、新製品の開発において、従来の逐次的なアプローチでは仕事が進まないことをますます実感しています。その代わりに、日本や米国の企業は、ラグビーのように、チーム内でボールを受け渡し、それをユニットとしてフィールド上を移動させるという俯瞰的な方法を採用しています。”

そして 1995年、Ken Schwaber 氏と Jeff Sutherland 氏は SCRUM Development Process を出版し、現代のスクラムの技術と原則を概説しました。Schwaber 氏と Sutherland 氏は、スクラムの方法論を研究、洗練させました。最も有名なのは、彼らが定期的に更新している生きた文書であるスクラムガイドです。スクラムガイドでは、スクラムを「プロセス、テクニック、決定的な方法としてではない」、むしろさまざまなプロセスやテクニックを採用できるフレームワークであると定義しています。Schwaber 氏と Sutherland 氏によると、スクラムは、チームの製品、チーム、そして全体的な作業環境の継続的改善を支援します。スクラムは、チームに自分たちの仕事のテクニックがどれだけ効果的かを確認することを促し、継続的に進化させて改善することをチームに課すことで、これを実現しています。

現在のスクラム

今日、製品、エンジニアリング、ソフトウェア開発、その他のアジャイルチームは、仕事をより速く、より効果的に実行するためにスクラムを実行しています。スクラムを実行するために、チームは通常、3 つの異なるスクラムフェーズを実行し、全員を軌道に乗せる責任者であるスクラムマスターを割り当てます。スクラムマスターは、チームリーダー、プロジェクトマネージャー、プロダクトオーナー、または、以下に示す 3 つのスクラムフェーズの実施に最も興味を持つ人です。

  • フェーズ 1: スプリント計画スクラムのスプリントは通常 2 週間ですが、もっと短いスプリントを実行することもできます。スプリント計画のフェーズでは、スクラムマスターとチームはチームの仕事のバックログを見て、スプリント中に達成すべき仕事を選択します。

  • フェーズ 2: デイリースクラムスタンドアップスクラムの期間中 (スクラムの「サイクルタイム」としても知られています)、チームは毎日短時間のミーティングを行い、進捗状況を確認し、割り当てられた仕事量が適切であるかどうかを確認するのがスクラムの慣例です。

  • フェーズ 3: スプリントの振り返りスクラムが終了したら、スクラムマスターはスプリントの振り返り会議を開催して、どのような仕事が行われたかを評価し、やり残した仕事をバックログに戻し、次のスプリントに備えます。

記事: アジャイルとスクラムのための Asana

スクラムの目標は、2 週間で何かを構築、納品し、それで終わりにすることではありません。スクラムは、チームがより大きな目標に向かって小さな一歩を踏み出す「継続的改善」の考え方を採用しています。スクラムは、仕事をより小さなチャンクに分割し、そのチャンクに取り組むことで、チームがより効率的に仕事の優先順位をつけて納品できるようにします。

スクラムのメリット

スクラムを実行しているチームは、ルール、習慣、そして責任を明確に確立しています。さらに、毎日のスクラムミーティングをスプリント計画とスプリントレビュー (「振り返り」ミーティング) と組み合わせることで、チームは現在のプロセスを継続的に確認、改善できます。

スクラムは仕事のバックログを引き出し、スプリント計画ミーティングから始まるものです。スクラムに備わったこのシンプルな構造により、チームリーダーやプロダクトオーナーは、チームの最も重要な仕事を管理し、サポートできます。このレベルの優先順位付けプロセスが内蔵されたスクラムは、明確に定義された責任と組み合わされています。チームには、スプリントごとに限られた仕事量と時間があらかじめ設定されています。

では、アジャイルとは?

かんばんやスクラムの話をしているとき、よく使用される第三の用語があります。それは、アジャイルです。

アジャイルチームはスクラムを実行し、かんばんボードを使用することがよくありますが、アジャイルをより大きな包括的な用語として考えるとわかりやすくなります。スクラムを実行せずにかんばんボードを使うことができるのと同じように、スクラムを実行しないアジャイルチームやかんばんボードを使わないアジャイルチームもあり得ます。アジャイルはプロジェクト管理の哲学だと考えてみてください。アジャイル方法論に従うということは、チームが変化に対応し、不確実性に対処できるようにするために、反復的でインクリメンタルな開発を信じることです。かんばんもスクラムもアジャイル方法論のサブセットです。

詳しく見る: 優れたアジャイル管理ツールでアジャイルプロジェクトを管理

かんばんとスクラムの違い

これでかんばんとスクラムが何なのか、そしてこの 2 つのフレームワークの基本について理解していただけたと思います。ここからはどちらを使用すべきか知っていただくために、この 2 つの違いについて説明します。

スクラムはカンバンよりも細かく定義されています

スクラムは、チームが従うべき特定の「ルールセット」を含む、きちんと定義されたフレームワークです。基本的に、すべてのスクラムには、スクラムマスター、仕事のバックログ、スプリント期間、定期的なスタンドアップミーティング、そして各スプリントの定義された終了タイミングがあります。スクラムのルールはチームに応じて変更したり、適応させたりできます。

一方、かんばんは仕事の可視化に最も頻繁に使用されます。実際、多くのチームがかんばんボード上でスクラムを実行していますが、その場合でも、かんばんを実行しているというより、スクラムを実行していることになります。かんばんはルールのある「方法論」ではなく、仕事を可視化するための手段として考えるのが妥当です。

スクラムには時間制限があります

スクラムは 2 週間の仕事のサイクルであるスプリントで実行されます。スクラムのサイクルでは、チームはまず作業のバックログに取りかかります。そして、スプリントの終わりには、仕事の内容にかかわらず、いくつかの仕事が完成した状態になっています。だからといって、すべてのチームがスクラム中に割り当てられたすべてのタスクを完了するわけではありません。スクラムの目標は、スプリントの「終了時」までに何らかの成果物を完成させることなのです。

実際、かんばんボード (スクラムボードと呼ばれることもあります) でスクラムを実行しているチームでは、スクラムのスプリントのたびに新規のボードを作成することが頻繁にあります。その理由は 2 つあります。

  1. スプリントごとに新規のボードを作成するチームは、何もない状態から始めることができます。これにより、スクラムマスターとスクラムチームは、スプリントごとに新たに行うべき仕事を可視化しやすくなります。

  2. スクラムマスターは過去のスクラムボードを使用して、各スクラムサイクルでどのような仕事が達成されたかを追跡します。チームがスクラムを導入する大きな理由は、プロセスを改善して効率化するためですので、自分が何を達成したかを振り返ることが役立ちます。

スクラムとは異なり、かんばんボードには必ずしも開始日や終了日が必要ではありません。実際、Asana では進行中のプロセスを表すためにかんばんボードを最も頻繁に使用しています。これらのビジュアルボードは柔軟性に富んでいるため、特定のタイムフレームを持たない仕事の受け付けプロセスクリエイティブリクエストプロジェクトを管理するのに最適な方法となります。

かんばんボードの列は、さまざまな方法で整理できます

スクラムを実行する際には、仕事が段階を経ていく過程の追跡が重要です。製品のバックログから完了した成果物に至るまで、仕事の流れを測定することは、スプリントを軌道に乗せるための重要な方法の 1 つであり、毎日のスタンドアップスクラムミーティングの重要な部分です。

しかし、スクラムベースではないかんばんボードの中では、ボードの列は仕事のステータスだけでなく、さまざまな仕事の種類を表すことができます。たとえば、かんばんボードに「スイムレーン」の欄を設けて、チームの各メンバーが行っている仕事を追跡できます。また、毎月達成する仕事を表す列を設定したり、過去の特定の月に達成した仕事を記録する振り返りかんばんボードを作成したりもできます。かんばんボードの列は、より明確なルールがあるスクラムとは異なり、必要に応じて自由に設定できます。

かんばんボードのクリエイティブリクエスト

かんばんもスクラムもチームに継続的な改善を促します

アジャイル方法論の中核的な考え方の 1 つは、柔軟性と継続的な改善です。それは実際、製品、エンジニアリング、ソフトウェア開発チームがアジャイル哲学に惹かれる理由の 1 つになっています。継続的な改善は、かんばんとスクラムの両方の大きな部分を占めています。

スクラムでは、製品に長期間取り組んで完璧になってから納品するのではなく、継続的な改善のプロセスで「完璧さよりもプロセス」が重視されています。スプリントの間、チームは新製品、機能、ツールに取り組んで納品し、必要に応じてそれらを継続的に改善します。

かんばんでは、継続的な改善は、個々のタスクよりもチームとそのプロセスに適用されます。かんばんを導入すると、チームは常に段階的に変化、改善し、最終的には進化する方法を模索することが求められます。

かんばん、スクラムの両方がチームのコラボレーションに役立ちます

チームが選択するフレームワークによってコラボレーションは異なるかもしれませんが、かんばんもスクラムも、基本的にはチームがより効率良く仕事をするための方法です。

スクラムのフレームワークでは、厳格なルールを設定することで、チームがお互いの仕事を見てわかりやすくなります。役割が設定され、ミーティングが確立され、定期的にスプリントが行われるため、スクラムチームのどのメンバーも、各チームメンバーが何に取り組んでいるのか、その仕事の進捗、そして各スプリントの終わりに何を達成することが期待されるのか、簡単にインサイトを得ることができます。さらに、会社の複数のチームがスクラムを実行している場合、各スクラムボードの構造は共通しているので、クロスファンクショナルチームは互いのスクラムボードの方向性をすぐに把握し、理解することができます。

同様に、かんばんはメンバー間の可視化を促します。かんばんボードが示す内容を決定すれば、チームはただボードを見るだけで、すばやく簡単に一目でインサイトを得られます。

かんばんを使用するべきプロジェクトの種類

チームがどのような場合にかんばん、スクラム、または他の形式のビジュアルプロジェクト管理を使用すべきかという正確なルールはありません。しかし、以下の条件に合致しているかどうかを考えることで、かんばんが自分に合っているかどうかを判断しやすくなります。

  • チームにはビジュアルなプロジェクト管理システムが必要だ

  • プロジェクトのステータスが一目でわかる方法を探している

  • エンジニアリング、製品、ソフトウェア開発チームに所属していない

  • 進行中のプロセスやプロジェクトを実行している

  • ほとんどの仕事が短期間で制作されていない

スクラムのフレームワークを採用しないことにしても、そのフレームワークからインスピレーションを得ることはできます。たとえば、仕事を 2 週間のスプリントに限定したくないと思うかもしれませんが、仕事のバックログを残しておくことは、チームがタスクをより良い理解し、そして仕事の優先順位を設定することに役立ちます。かんばんの醍醐味は、自分に合ったものを引き出して、それ以外のものを破棄できることです。

スクラムを使用すると便利な場合

スクラムは、プロセス全体を整理し、優先順位をつけるための強力な方法です。すべてのチームがスクラムで大成功を収めるわけではありませんが、以下の条件に合うなら、スクラムの恩恵を受けることができるかもしれません。

  • エンジニアリング、製品、ソフトウェア開発、またはアジャイルベースのチームに所属している

  • チームにはもう少しかっちりとした構造があっても良いと思う

  • 処理しなければならない大量の仕事のバックログがある

  • 納期を短くし、成果物を細分化することによって、チームのモチベーションを高められる

  • チームの誰かがスクラムマスターになることにコミットしている

お忘れなく: かんばんボードでスクラムを実行することはいつでも可能です。毎日のスタンドアップミーティングを効果的に開催し、優れたスプリント計画や振り返りを行うためには、作業を段階的に可視化し、進行中のすべての作業を追跡する強力な方法が必要です。かんばんボードは、スプリントのバックログに取り組み、スプリント中の仕事の流れを整理するのに役立ち、すべてのスクラムのサイクルを成功に導きます。

かんばんとスクラムの比較

幸い、どちらか 1 つを選択する必要はありません。スクラムがチームに合っていると感じたら、かんばんボードでスクラムのワークフローを可視化できます。あるいは、スクラムのフレームワーク全体を必要としているかどうか自信がない場合でも大丈夫です。かんばんボードだけを使用してチームの仕事を整理し、チームをアジャイルに保つことができます。

最も重要なことは、自分に合ったフレームワークとツールを見つけることです。スクラムでもかんばんのフレームワークでも、ワークマネジメントシステムがチームをサポートできるだけの柔軟性を持っていることを確認して、最高の仕事ができるようにしましょう。

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