本記事では、ウォーターフォール型の仕組みやアジャイル型との違い、6 つの主要フェーズ、メリットとデメリット、さらに成功させるためのコツをわかりやすく解説します。これを読むことで、ウォーターフォール型の全体像を理解し、自分のプロジェクトに適しているかを判断できるようになります。
更新: この記事は、V モデル・W モデルとの比較、導入事例、よくある質問に関する記述を含め、2026年 5月に更新されました。
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ウォーターフォールモデルとは、プロジェクトの工程を複数のフェーズに分け、上流から下流へ順番に進めていく管理手法です。要件定義、設計、実装、テスト、展開、メンテナンスという一連の流れを、前のフェーズが完了してから次へ進める点が特徴です。
プロジェクトマネージャーには、アジャイルプロジェクト管理、かんばんプロジェクト管理、スクラムなど、反復的に進める手法が数多くあります。しかし、すべてのプロジェクトが柔軟性を必要とするわけではありません。
段階的に進める方が効果的なケースもあり、そんなときに選択肢となるのが「ウォーターフォール手法」です。
ウォーターフォールとは、作業内容を明確なフェーズに分割し、上から順番に進めていくプロジェクト管理手法です。前のフェーズが終わらない限り、その次のフェーズに進めないため、進行は直線的に進みます。
もともとは製造業や建設業で活用されてきた方法で、たとえば基礎工事が終わらなければ壁を立てられないといった工程管理が典型です。やがてこの手法は、ソフトウェア開発をはじめとする幅広い業界へ応用されるようになりました。
ウォーターフォールはフローチャートやガントチャートで表されることが多く、タスクが上から下へ流れ落ちる様子が「滝」にたとえられてその名がつけられています。
記事: ガントチャートとは?WBSとの違いなどの基本情報を解説ウォーターフォール型プロジェクトマネジメントは、どんなチームでも導入することができますが、この手法は、一つ一つ段階的に進めていく必要のあるプロセスに最も効果的です。取り組んでいるプロジェクトに、同時進行可能なタスクがある場合は、アジャイル手法などの別のフレームワークを試してみてください。
ウォーターフォール型プロジェクト管理を始めるには、次の 6 つのステップに従って実行に移しましょう。
これは、初期の計画プロセスで、プロジェクトを成功させるために、チームができるだけ多くの情報を収集します。ウォーターフォール手法のタスクは、前のステップに依存しているため、事前に計画を立てて進めていく必要があります。この計画プロセスは、ウォーターフォール手法の重要な過程です。
そのため、プロジェクトのタイムラインの大半は計画に費やされます。この方法を有効に活用するには、プロジェクトの各フェーズを説明する詳細なプロジェクト計画を作成しましょう。これには、どのようなリソースが必要なのか、どのようなメンバーでプロジェクトを進めるのかなどが含まれます。
この文書は、一般的にプロジェクト要求事項文書と呼ばれています。要件定義フェーズが終わる頃には、プロジェクトの最初から最後までの概要が非常に明確になっているはずです。その中には次のような項目が含まれます。
記事: より効果的なプロジェクト計画をわずか 7 つのステップで作成ソフトウェア開発プロセスにおいて、プロジェクトチームが使用するハードウェアをはじめ、プログラミング言語やユーザーインターフェイスなどの詳細情報を指定するのが設計フェーズです。
システム設計フェーズには、「上流設計フェーズ」と「下流設計フェーズ」の 2 つのステップがあります。上流設計フェーズでは、ソフトウェアがどのように動作するか、情報にどのようにアクセスするかなどの骨格を構築します。下流設計フェーズでは、ソフトウェアの具体的な部分を構築していきます。
上流設計フェーズが骨格であるならば、下流設計フェーズはプロジェクトの内臓であると言えます。ウォーターフォール手法で開発を進めているチームメンバーは、各ステップを記録し、プロジェクトの進行に合わせて何を行ったかを確認できるようにするべきです。
このフェーズでは、すべてを実行に移します。ステップ 1 の要求事項文書とステップ 2 のシステム設計プロセスに基づいて、チームは本格的な開発プロセスを開始します。要件定義フェーズとシステム設計フェーズの両方で説明された通りにソフトウェアを開発します。
記事: 実施計画とは?作成するための 6 つのステップこのフェーズでは、開発チームがプロジェクトを品質保証テストチームに引き渡します。QA (品質保証) テスターの仕事は、プロジェクトを展開する前に、修正する必要のあるバグやエラーを見つけることです。
テスターは、QA の際に見つけた問題点をすべて明確に記録するべきです。そうすることで、他の開発者が同様のバグに遭遇した際に、過去の文書を参照して問題解決に取り組むことができるからです。
開発プロジェクトの場合、このフェーズでは、ソフトウェアをエンドユーザーに展開します。その他の業界では、最終成果物がリリースされ、エンドユーザーに届けられるフェーズです。
プロジェクトが展開されると、新たなバグが発見されたり、ソフトウェアのアップデートが必要になったりする場合があります。これをメンテナンスフェーズといい、ソフトウェア開発では一般的に、このフェーズを継続的に行います。
プロジェクト管理手法の中でよく比較されるのが「ウォーターフォール型」と「アジャイル型」です。両者は進め方や強みが大きく異なります。
項目 | ウォーターフォール型 | アジャイル型 |
進め方 | 要件定義からテストまでを直線的に進める | 短いサイクル (イテレーション) を繰り返す |
柔軟性 | 途中での仕様変更が難しい | 仕様変更に柔軟に対応可能 |
管理方法 | 計画やドキュメントを重視 | コミュニケーションと改善を重視 |
適したプロジェクト | 大規模、長期、要件が明確な案件 | 変化の多い領域や新規サービス開発 |
メリット | 全体像を把握しやすく、品質管理がしやすい | フィードバックを反映しやすく、スピード感がある |
デメリット | 手戻りが発生するとコストが大きい | 全体計画を見通しにくく、品質がばらつく可能性 |
両者をまとめると、ウォーターフォール型は「計画重視」、アジャイル型は「柔軟性重視」と言えます。プロジェクトの性質に応じて使い分けることが成功のカギです。
アジャイルプロジェクトを効率的に管理する方法ウォーターフォールモデルには、テスト工程を強化した派生モデルがあります。代表的なのが V モデルと W モデルです。
V モデルは、ウォーターフォールの各開発フェーズに対応するテストフェーズを明示的に定義した手法です。要件定義に対して受け入れテスト、基本設計に対してシステムテストといったように、左右対称の V 字型で表されます。
テスト計画を早期に立てられるため、品質の作り込みがしやすいのが特徴です。
W モデルは、V モデルをさらに発展させ、開発フェーズとテストフェーズを並行して進める手法です。開発中にテスト設計を同時に行うことで、不具合の早期発見とフィードバックの迅速化を実現します。
どのモデルを選択するかは、プロジェクトの品質要件やチームのテスト体制に応じて判断します。
ウォーターフォール手法は、綿密な計画と詳細な記録ができるため、一般的なプロジェクト管理手法として使われています。しかし、この手法がすべてのプロジェクトに適しているわけではありません。ここでは、どのような場合にこのタイプのプロジェクト管理手法を使うべきか、いくつかの例をご紹介します。
ウォーターフォール型の強みは、A 地点から B 地点までの明確な経路があることです。B 地点がはっきりしない場合は、アジャイル型のような反復型のプロジェクト管理手法を用いた方がよいでしょう。
目標が明確に定義されているプロジェクトは、ウォーターフォール手法に適しています。なぜなら、プロジェクトマネージャーは目標から逆算して、必要なすべての要件を備えた明確で詳細な経路を作成できるからです。
記事: 効果的なプロジェクト目標の書き方 (実例付)システム開発や建設プロジェクトのように、複数のチームやステークホルダーが関わる大規模案件では、工程を段階的に管理できるウォーターフォール型が有効です。工程を可視化し、文書化することで、全体の進捗や責任範囲を把握しやすくなります。
途中での仕様変更や追加要求がほとんどない場合、ウォーターフォール型は効率的です。計画に基づいて作業を進めれば、手戻りのリスクが少なく、予定通りにプロジェクトを完了できます。
予算や時間の制約がないプロジェクトであれば、チームメンバーは要件定義やシステム設計のフェーズに必要なだけ多くの時間を費やすことができます。プロジェクトのニーズを好きなだけ調整し、綿密に練られ、明確に定義されたプロジェクト計画を完成させることができます。
ウォーターフォールモデルでは、プロセスのほぼすべてのステップで記録をする必要があります。各ステップが明確に記載されていれば、プロセスを再現できるため、新しいチームメンバーでも、簡単にプロジェクトを繰り返すことできるのです。
また、再利用可能なプロセスを作ることで、同じようなプロジェクトで何をすべきかを新しいメンバーに簡単に教えることができます。このことから、プロジェクト管理においてプロセスを標準化する有効な手法であると言えます。
記事: チームのワークフローを改善する 5 つのプロジェクト管理フェーズウォーターフォール型のプロジェクト管理プロセスでは、すべてのステップで文書を作成します。これにより、チームがプロセスをさかのぼって作業内容を確認する際、簡単に間違いを発見できます。
また、新しいチームメンバー向けに繰り返し使用可能なプロセスを作るのにも適しています。文書化された手順は品質管理にも役立ち、プロジェクトの各フェーズで成果物の品質を体系的に確認できます。
ウォーターフォール型のプロジェクトをガントチャートで表現することで、プロジェクトの進捗状況を簡単に追跡できます。タイムライン自体がプログレスバーのようになっており、プロジェクトがどの段階にあるのかを常に把握可能です。
さらに、各フェーズでレビューや承認を行うため、リスク管理の観点からも問題を早期に発見しやすくなります。
ウォーターフォール手法では、要件定義と設計フェーズで多くの計画を立てる必要があります。そのため、関係者は各プロセスにかかる時間を見積もりやすく、効率的に作業を割り振ることができます。
計画通りに進めやすい点は、チーム全体の時間管理能力を高める大きなメリットです。
記事: 最高の成果を出すためのタイムマネジメントのコツ、タイムマネジメント術、クイックウィン (すぐできる改善) 18 選ウォーターフォールモデルは直線的な手法なので、何か問題が発生したり、タスクが遅れたりすると、タイムライン全体がずれてしまいます。たとえば、サードパーティのベンダーが製造チームに特定の部品を送るのが遅れた場合、その部品を受け取るまでプロセス全体を一時停止しなければなりません。
ウォーターフォール手法の難点は、一度完了したフェーズに戻るのが難しいことです。たとえば、家の壁を塗っているときに、前の段階に戻ってある部屋の大きさを変えようと思ってもできません。
かんばんやアジャイルなどの反復型プロジェクト管理手法と比較すると、ウォーターフォール型のアプローチでは、レビューの段階がプロセスの後半に起こります。プロセスの初期段階でミスがあった場合、後戻りして修正するのが難しくなるでしょう。
また、ウォーターフォール型のプロセスでは、反復プロセスや最適なソリューションを探す余裕がありません。
記事: ウォーターフォール、アジャイル、かんばんとスクラムの違いとは?ウォーターフォール型プロジェクト管理は計画重視の手法であるため、成功させるにはいくつかのポイントがあります。以下のコツを実践することで、プロジェクトの効率と成果物の品質を高めることができます。
要件定義と設計フェーズはプロジェクト全体の土台です。リソース、依存関係、スケジュールを明確にし、計画を詳細に立てましょう。計画が曖昧だと、後のフェーズで手戻りが発生しやすくなります。
各フェーズでの成果物や意思決定を文書化し、関係者によるレビューを行います。品質管理が容易になり、新しいメンバーも文書を参照するだけでプロジェクトの流れを理解できます。
ガントチャートやマイルストーン管理ツールを活用することで、進捗を一目で把握できます。Asana のようなワークマネジメントツールを使えば、タスクの割り当て、期日、依存関係を簡単に管理でき、プロジェクトの進行状況をリアルタイムでチーム全員が確認できます。
進捗の可視化は、リスクの早期発見や適切なリソース調整にも役立ちます。
仕様変更が発生した場合の手順を事前に決めておくことが重要です。変更内容や影響範囲、承認手順を明確にしておくことで、予期せぬトラブルを防ぎ、計画通りにプロジェクトを進めやすくなります。
計画や文書だけに頼らず、定期的に情報共有や課題確認を行います。ツール上でコメントや通知を活用することで、チーム間のコミュニケーションを効率化でき、成功率を高められます。
無料で始めるウォーターフォール型の管理手法は、実際の企業でどのように活用されているのでしょうか。ここでは、プロジェクト管理の効率化に成功した 2 つの事例を紹介します。
エレベーター・エスカレーターの専業メーカーであるフジテック株式会社は、従来 PMBOK ベースの管理シートでプロジェクトを運用していましたが、情報の属人化や会議の増加が課題となっていました。同社はワークマネジメントツールへの移行を 90 日間で完了し、年間 3,200 時間の会議時間削減を実現しています。
属人化していたプロジェクト管理をチーム全体で自律的に行える体制へと変革し、段階的なプロジェクト進行の可視化にも成功しました。(フジテック導入事例)
また、急成長するヘルステック企業でも、段階的なプロジェクト管理の改善事例があります。
ヘルステック企業のキャンサースキャンは、事業の急成長に伴い、部門横断のプロジェクト管理で抜け漏れやコミュニケーションの非効率が発生していました。
ワークマネジメントツールを導入することで、タスクの進捗や依存関係を一元管理できるようになり、部門間の連携を大幅に改善しています。(キャンサースキャン導入事例)
ウォーターフォール型のプロジェクトでは、進捗状況やさまざまなチームメンバーを把握する必要があります。ワークマネジメントソフトウェアを使って、ワークフロー、タイムライン、成果物をすべて一か所にまとめると、効果的にチームに共通認識を持たせることができます。
ウォーターフォール型のプロジェクト管理をチームで試してみたいという方には、Asana をおすすめします。Asana では、プロジェクトを直線的なタイムラインとして可視化するタイムラインビューをはじめ、いくつかの方法でプロジェクトを表示することができます。
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