5 つのプロジェクトコントロールと導入すべきタイミング

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2024年1月18日
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概要

プロジェクトコントロールとは、プロジェクトに費やされる時間とコストを把握するために使われるプロセスです。この記事では、プロジェクトコントロールとは何か、また、プロジェクトスコープ内に収め、プロジェクトの予算を最小限に抑え、プロジェクトのスケジュールを守るために、これらのプロセスをどのように利用できるのかをご紹介します。

時間とお金は誰もが増やしたいものですが、今ある時間やお金を節約することは必ずしも簡単ではありません。しかし、会社をうまく回していくには、節約を優先しなくてはいけません。会社にとって一番簡単な時間とお金の節約方法は、プロジェクト管理でプロジェクトをコントロールすることです。

この記事では、プロジェクトコントロールとは何か、またそれを使って、プロジェクトに費やされる時間と費用を予測し把握する方法をご紹介します。

プロジェクト管理のプロジェクトコントロールとは?

プロジェクトコントロールとは、プロジェクトに費やされる時間や資金の量を把握し、調整を行う一連のプロセスです。各プロジェクトコントロールは、スケジュールやリソース、潜在的なリスクなど、プロジェクト計画の特定の要素に焦点を当てます。

プロジェクト管理のプロジェクトコントロールとは?

プロジェクトコントロールの目的は、プロジェクトをプロジェクトスコープ内に収め、可能な限りプロジェクトの予算を最小限に抑え、プロジェクトのスケジュールを守ることです。

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プロジェクトコントロールとプロジェクト管理 (プロジェクトマネジメント) の違い

プロジェクトコントロールとプロジェクト管理には、共通の機能があります。どちらも、プロジェクトを順調に進め、スコープ内に収めるためのプロセスですが、プロジェクトコントロールの目的は、プロジェクト管理ほど幅広いものではありません。

プロジェクト管理は、人、プロセス、成果物を含む、プロジェクト全体が順調に進むことに重点を置くのに対し、プロジェクトコントロールは時間と資金の節約につながる、品質管理に焦点を絞ります。

プロジェクトコントロールが重要な理由

プロジェクトマネージャーは、プロジェクトコントロールから得られる情報を活用して、タイミングよく情報に基づいた意思決定を行い、プロジェクトのリスクを防ぐことができます。プロジェクトマネージャーの仕事は、プロジェクトの立ち上げから完了まで、プロジェクトを順調に進め、スコープ内に収めることです。

プロジェクトコントロールのプロセスなしでは、プロジェクトに関する重要な質問に答えることができません。その結果、プロジェクトの成功に影響を与えたり、複雑になったりする可能性があります。プロジェクトコントロールを行わないと、プロジェクトに問題が起き、対応が必要となってしまう理由には、次のようなものがあります。

  • チームメンバー: プロジェクトコントロールを行わないと、誰がプロジェクトに参加できるのか、誰がどんな役割や責任を担うのか、プロジェクト進行中に誰が特定のタスクを担当するのかなどの疑問が生じる可能性があります。

  • 品質: プロジェクトコントロールのプロセスでは、期待事項が確実にクリアされ、プロジェクトフェーズのすべての項目が完了し、その他すべてが順調に進んでいることを確認できます。

  • コスト: プロジェクトのコストがコントロールされていないと、関係者から変更リクエストを受け取ったり、プロジェクト計画時に計算ミスが発生したりすることにより、予期せぬ費用が発生する可能性があります。

  • 時間: プロジェクトに費やされる時間をモニタリングすることで、プロジェクト失敗の原因となる、スケジュールの遅れや優先順位の変更、リソースのダブルブッキングなどの問題を防ぐことができます。

コントロールプロセスを通じて、計画通りに進んでいない要素を把握し、迅速に軌道修正を行うことで、プロジェクトを順調に進められます。

プロジェクト管理の 5 つのコントロール

次に紹介するのは、プロジェクト計画で重要な情報を共有するために使えるプロジェクトコントロールの 5 つの要素です。

プロジェクト管理の 5 つのコントロール

1. スケジュール

プロジェクトのスケジュールを可視化することで、プロジェクトのタイムラインが順調に進んでいることを確認できます。そのためには、プロジェクト管理ツールなどを使って、プロジェクトのすべての作業を一元的に管理するようにしましょう。そうすることで、タスクや期日、依存関係を一目で確認できるようになります。さらに、プロジェクトの進捗状況を確認できるチェックポイントとして、プロジェクトのマイルストーンを設定することもできます。

また、プロジェクトステータスレポートを作成して、プロジェクトの進捗状況を関係者と共有しましょう。隔週または月 1 回の報告を活用すると、プロジェクトが順調に進んでいるかどうかを評価できます。その結果、プロジェクトが計画通りに進んでいないことが確認できた場合は、その原因をすぐに特定し、トラブルシューティングを行えます。そして、全員が共通の認識を持てるように、この情報を関係者と共有しましょう。

ワンポイントアドバイス: ガントチャートを使って、タスクやマイルストーンごとに分けられたプロジェクトのスケジュールを確認しましょう。ガントチャートとは、プロジェクトやプログラム、作業のタイムラインを示す横棒グラフのことです。このタイプのチャートは、プロジェクトの所要時間を判断したり、タスク間の依存関係を確認したりするのに役立ちます。

2. リソース

どのようなプロジェクトも、時間、資金、プロジェクトに参加しているチームメンバーのスケジュールなどのリソースに左右されます。リソース管理は、プロジェクトコントロールプロセスの重要な要素です。なぜなら、リソース管理はチームにとって、コストを効果的に管理し、作業に充てられる時間と資料をモニタリングできるチャンスであるからです。また、プロジェクト立ち上げ時にコスト見積もりとリソース計画を行うことで、プロジェクトを予算内に収められます。

プロジェクト立ち上げ時にどのリソースを利用できるかを明確に把握することも大切ですが、プロジェクトの進行に合わせて費用とリソースを管理する方法も必要となります。プロジェクトの一部が予算オーバーになった場合や、予定していたチームメンバーがプロジェクトに参加できなくなった場合でも、先を読んでプロジェクトコントロールを行うことで、代替案を迅速に見つけられます。

ワンポイントアドバイス: コスト差異を計算することで、予算の範囲内で順調に進められているかどうかを分析できます。コスト差異 (CV) を計算するには、出来高 (EV) から実際のコスト (AC) を差し引きます。出来高とは、実際に完了しているタスクの量のことです。実際のコストとは、すでに完了した作業に費やされた金額のことです。コスト差異の計算式は、CV = EV - AC です。

記事: コスト管理は初めてですか?ここから始めましょう。

3. リスク

プロジェクトのリスク管理は、プロジェクトを脱線させるリスクを特定し防止する、重要なプロジェクトコントロールの要素です。その際に役に立つのが、潜在的なリスクを優先度別にランク付けし、それに応じた管理方法を評価するリスク登録簿です。

ワンポイントアドバイス: プロジェクトを進めていると、データセキュリティ、コミュニケーション問題、スケジュールの遅延、予定外の作業、リソースの盗難などのリスクに直面する可能性があります。早い段階でこれらのリスクをカテゴリに分けて、ブレインストーミングを行いましょう。

記事: プロジェクトでありがちな 7 つのリスクとその防止策

4. 変更

変更管理 (チェンジコントロール) を活用すると効率よく、スケジュールの遅延、予算の増加、プロジェクトの欠陥につながる可能性のあるプロジェクトのスコープクリープを防げます。変更管理プロセスを導入することで、どのような変更が発生しても焦らずに対応できるようになります。

なぜなら、変更管理プロセスを活用することで、提案された変更が重要であるかどうかを評価し、重要であるならば、プロジェクトのタイムラインを延ばしたり、プロジェクトスコープに影響を与えたりすることなく、どの変更を適用すべきかを判断できるからです。このプロセスを使用すると、チームは必要な情報を入手でき、プロジェクトに関わり、意見を聞いてもらえる環境で仕事をしていると感じることができ、その結果、効果的に変更に対応できるようになります。

ワンポイントアドバイス: 通常、変更管理プロセスはプロジェクトごとに行われます。大規模で、組織的な変革の場合は、チェンジマネジメントプロセスの導入を検討しましょう。チェンジマネジメントとは、組織規模の変革を準備し管理するプロセスです。

記事: チェンジマネジメントとは?成功するチェンジマネジメントプロセスを構築する 6 つのステップ

5. パフォーマンス

業績管理 (パフォーマンスマネジメント) とは、プロジェクトの成功をモニタリングするために行われる幅広いプロセスです。その中で最もシンプルなのは、重要業績評価指標 (KPI) を設定して、プロジェクトのパフォーマンスを評価することです。これには、ベースラインに対するコスト、スケジュール通りの達成率、請求された時間数、投資収益率などが含まれます。

どのような目標を設定するにしても、数値化でき、具体的で、測定可能な目標を設定しましょう。迷ったときは、SMART な目標メソッドを活用してください。SMART は、Specific (具体的)、Measurable (測定可能)、Achievable (達成可能)、Realistic (現実的)、Time-bound (期限がある) を意味する頭字語です。

ワンポイントアドバイス: 効果的な KPI の要件は、チームが一定期間内に影響を及ぼし得る、単一の測定可能な値を追跡することです。効果的な KPI は戦略目標の達成にも役立ち、自分のプロジェクトが会社の目標にどのように貢献するのか、チームメンバーが明確に把握できるようになります。

プロジェクトコントロールを活用すると、あらゆる角度からプロジェクトをモニタリングできている実感が得られます。それが結果的に時間とコストの節約となり、期待通りのプロジェクトの成果物を生み出す助けとなります。

プロジェクトコントロールを行うタイミング

プロジェクト成果物を作成することが重要なように、プロジェクトのコントロールも欠かせません。予期せぬ事態が発生することを避けるために、プロジェクトのライフサイクルの各段階でプロジェクトコントロールを実施しましょう。

プロジェクトコントロールを行うタイミング

プロジェクト計画 (立ち上げ)

プロジェクトの計画段階は、プロジェクト管理をプロジェクトの基盤に組み込むチャンスです。計画が詳細であるほど、後の段階でコントロール管理を行う手間が省けます。

プロジェクト計画には以下のステップが含まれます。

上記に加えて、プロジェクト計画段階で予算を計画し、今後発生する可能性のあるコストを見積もりましょう。プロジェクトが始まる前に将来に備えて準備をしておくことは、コントロールプロセスの一環です。そうすることで、プロジェクトを順調に進められるようになります。

プロジェクトの実行

プロジェクトが順調に進行し始めたら、コントロールプロセスの出番です。プロジェクトのコントロールを行うと、チームメンバーたちが、製品をデザインし、コーディングし、作成する際に、効率よくプロジェクトと進行状況をモニタリングできます。

上記の 5 つのプロジェクトコントロールを考慮し、プロジェクトのライフサイクルを進める上で、準備万全であることを確認しましょう。これらのコントロールをプロジェクト実行中に使用することで、プロジェクトステータスをリアルタイムで把握できます。

プロジェクトの終了

成果物が完成したら、すべてのプロジェクト関係者に提出し、プロジェクトコントロールプロセスから収集した情報をもとに、ポストモーテム会議を行いましょう。

ポストモーテム会議では、プロジェクトで学んだことを評価し、今後のプロジェクトの指針を得ることができます。ミスが発生したせいでお金や時間を失った場合でも、非常にうまく物事を処理できた場合でも、このステップでは、今回のプロジェクトから学んだことを今後のプロジェクトに活かす機会を提供します。

記事: プロジェクトマネジメントで学んだ教訓を記録しておく方法

プロジェクト管理ソフトウェアでプロジェクトをコントロールする

プロジェクトのさまざまな要素を一度にコントロールすると、混乱を招く恐れがあります。コントロールプロセスはプロジェクトの進行と同時に行われるため、プロジェクトコントロールの状況を把握すると同時に、プロジェクトに参加しているチームが、やる気を維持しながらインパクトの大きな仕事に集中できる環境を整えなければいけません。

プロジェクト管理ソフトウェアを使うと、プロジェクトの進捗状況を追跡してモニタリングし、重要な指標やステータスの変化を常に把握でき、スケジュールと予算を守るために必要なプロジェクトの全体像を確認できます。

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