マーケティングプロジェクト管理: 戦略の構築方法

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2022年1月10日
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概要

マーケティングプロジェクト管理は、プロジェクトのライフサイクルを通して、マーケティングキャンペーンを順調に進め、関係者にプロジェクトに関する最新情報を伝えるために用いられる手法です。この手法を使うことにより、チーム内で透明性が高まり、プロジェクトがスコープ内に収まるようになり、チームメンバーが顧客のニーズに応えられるようになります。この記事では、マーケティングキャンペーンにおける課題を取り上げ、マーケティングプロジェクト管理を利用してプロジェクトを成功に導く方法をご紹介します。

マーケティングイニシアチブは、ブランドストーリーを伝え、リードをセールスファネルに送り込む機会を提供するため、ビジネス計画にとって非常に重要な要素となります。効果的なマーケティング活動を行わなければ、収益を上げ、ロイヤルカスタマーを確保するのに苦労する可能性があります。焦点を絞ったマーケティング計画を組み立てれば、ブランドメッセージが消費者の心に響くようになり、キャンペーンを行うたびに、チームの努力に誇りを持てるようになります。

この記事では、マーケティングプロジェクト管理とは何かを説明します。また、この手法を活用して、チームコラボレーションを促進し、高品質の成果物を作成し、体系的なワークフローを導入する方法をご紹介します。

マーケティングプロジェクト管理とは?

マーケティングプロジェクト管理は、プロジェクトのライフサイクルを通して、マーケティングキャンペーンを順調に進め、関係者にプロジェクトに関する最新情報を伝えるために用いられる手法です。この手法を使うことにより、チーム内で透明性が高まり、プロジェクトがスコープ内に収まるようになり、顧客のニーズに応えられるようになります。

マーケティングプロジェクトの管理は、まず他のチームや業界も使用しているプロジェクト管理の原則から始めることになります。しかし、マーケティング用のプロジェクト管理は、以下で紹介するように、従来のプロジェクト管理手法とはいくつかの点で異なります。

5 つのプロジェクト管理フェーズは、次のとおりです。

  1. 立ち上げ

  2. 計画

  3. 実行

  4. パフォーマンス

  5. 終了

マーケティングプロジェクト管理には、市場調査やデータを収集し、その結果をもとにプロジェクト計画を進めるマーケティング戦略フェーズが加わります。

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マーケティングプロジェクト管理が重要な理由

マーケティングプロジェクト管理が重要なのは、どのプロジェクトの管理方法を活用するかが、マーケティングキャンペーンに関わるすべての人に影響を与えるからです。正しい手法を用いれば、優れたリーダーシップを発揮し、チームメンバーを率いることができます。

プロジェクトの中心に立っている自分の姿を思い描きましょう。輪が広がるにつれて、プロジェクトに関わる人の数が増えていきます。つまりライフサイクル開始当初には自分 1 人しかいませんが、プロジェクトが進むにつれて関係者が増えていくのです。そのことを理解すると、プロジェクト管理がなぜ重要なのかが理解しやすくなるはずです。

マーケティングプロジェクト管理が重要な理由

マーケティングプロジェクトを管理するには、大勢の力を要します。最も重要な関係者のグループには、以下の 3 つがあります。

  • マーケティングプロジェクトマネージャー: マーケティングキャンペーンのリーダー兼進行役として、マーケティングプロジェクトで起こるすべての出来事を中心で支える関係者です。これらの出来事には、プロジェクトタイムラインの遅延、メールマーケティングのトラブルシューティング、KPI のモニタリングなどが含まれます。

  • 社内の関係者: 社内の関係者とは、プロジェクトに関わっている組織内のチームメンバーです。役員、セールス担当者、クリエイター、技術者などが含まれます。マーケティングキャンペーンの管理方法は、社内の関係者たちに影響を与えます。このグループは多く場合、マーケティングキャンペーンに関与するか、キャンペーンの成果物に影響を受けるか、全体的な目標について知らされます。

  • 社外の関係者: 社外の関係者とは、プロジェクトに関わっている組織外の人たちのことを指します。これにはベンダー、エンドユーザー、顧客、投資家などが含まれます。社外の関係者に最新情報を提供し、プロジェクトの成果物に満足してもらうためには、プロジェクト管理スキルが必要です。

マーケティングプロジェクト管理のプロセス

マーケティングプロジェクト管理手法は、10 個の重要なステップで構成されています。マーケティング会社が SEO や SNS などニッチな分野の複雑なプロジェクトに取り組む場合、これから紹介するステップを一般的なフレームワークとして活用し、マーケティングキャンペーンを進められます。

マーケティングプロジェクト管理のプロセス

10 個あるステップを、5 つのプロジェクトフェーズに分割できます。5 つのフェーズは、従来のプロジェクト管理フェーズに似ていますが、マーケティング戦略も含まれています。これを活用することで、自分自身とマーケティングプロジェクトを成功に導けます。

目標と分析

マーケティングプロジェクト管理の「目標と分析」フェーズの目的は、マーケティングキャンペーンの企画に焦点を当てることです。これには、プロジェクトの最終目標の定義と成功指標をまとめることが含まれます。

  1. 最終目標を定義する: プロジェクト開始時に最終目標を明確にしましょう。そうすることで、プロジェクト実行中に目標がチームメンバーに明確になり、関係者は今後の予測ができるようになります。

  2. 成功指標を明確にする: プロジェクトのライフサイクルを通して進捗を確認できるように、キャンペーン開始時に KPI を定義する必要があります。

マーケティング戦略

第 1 フェーズで設定したプロジェクト目標をもとに、マーケティング戦略を立案しましょう。このフェーズでは、市場調査やデータも活用し、最も効果的に戦略目標を達成する方法を探ります。

  1. オーディエンスを特定する: 高い ROI を達成するために、まずはターゲットオーディエンスを特定しましょう。ターゲットオーディエンスとは、ブランドに共感する可能性が最も高い人たちのことです。このオーディエンスにリーチできれば、製品やサービスを販売できる可能性が高まります。

  2. メッセージと CTA を設定する: ターゲットオーディエンスに伝えたいメッセージを決めます。メッセージには、製品やサービスに対する戦略的な CTA (行動喚起) を含めましょう。

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プロジェクトのスケジュール作成

マーケティングキャンペーンには、クリエイティブアセットと、それをどこでどのように配布するかという詳細な計画が必要になる場合があります。プロジェクトのスケジュール作成フェーズで、アセット制作をサポートできるチームを立ち上げましょう。

  1. スコープを明確にする: プロジェクトのタイムライン、リソース、予算などの制限を全員が把握できるよう、プロジェクトスコープを明確にしましょう。また、関係者がプロジェクトスコープを把握できるようにすることで、変更リクエストの数も制限できます。

  2. タスクを割り当てる: 仕事が整理された状態を保ち、重複するのを避けるには、作業を割り当てることがとても大切です。プロジェクトのタイムラインを作成し、チームメンバーにタスクを割り当てましょう。ガントチャートなどのタスク管理ツールは、プロジェクトのマイルストーンとタスク間の依存関係を可視化するのに役に立ちます。

キャンペーンの開始

キャンペーンのスケジュールが決まったら、計画を行動に移しましょう。このフェーズでは、チームがクリエイティブアセットを開発し、マーケティングチャネルに送り出します。キャンペーンの開始は、戦略が動き出すところを確認できるため、マーケティングプロジェクト管理のフェーズの中でも特に期待が高まる部分です。

  1. プロジェクトの成果物を作成する: 競合他社の上を行き、オーディエンスを魅了する成果物を作成します。強力なコピーと印象的なビジュアルでメッセージを伝えることができるライターやグラフィックデザイナーをチームに採用しましょう。

  2. 複数のマーケティングチャネルに分散する: どのマーケティングチャネルを使えばターゲットオーディエンスにリーチできるのか、また、ターゲットオーディエンスがいつそのチャネルを使っているのかを特定します。できるだけ多くの人の目に触れるように、これらのチャネルに成果物を発信しましょう。

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モニタリングとレビュー

プロジェクトの計画フェーズで設定した成功指標を使って、プロジェクトの進捗をモニタリングしましょう。進捗状況を把握した上で、パフォーマンスの結果を、今後のプロジェクトに向けた教訓として活用することも可能です。

  1. 結果をモニタリングする: プロジェクト管理ソフトウェアを使用して、KPI をリアルタイムでモニタリングしましょう。マーケティングキャンペーンを開始したら、キャンペーンのパフォーマンスを評価し、今後のマーケティング戦略にどのような調整を加えるべきかを検討できます。

  2. 将来の基準を決める: キャンペーンのモニタリングから得た教訓を活用して、今後のプロジェクトの基準を設定しましょう。たとえば、キャンペーンの結果が特定の年齢層に対して芳しくなかった場合、今後のキャンペーンではこの年齢層のオーディエンスの期待値を制限します。

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マーケティングによく見られる 4 つの課題

多くのマーケティングチームが、マーケティングキャンペーンを実施する際に課題に直面しています。幸いなことに、最も一般的な課題は、マーケティングプロジェクト管理によって予防可能であるか、簡単に軽減できます。

マーケティングによく見られる 4 つの課題

マーケティングプロジェクト管理のワークフローの一部として、以下の課題に対する解決策をご活用ください。

1. プロジェクトのリスク

マーケティングキャンペーンにはさまざまな分野でリスクが存在し、そのリスクの内容や発生時期を予測することは困難です。しかし、プロジェクトリスクが表面化したときにそれを軽減する準備ができていなければ、その問題はプロジェクトの品質に影響を与える可能性があります。プロジェクトリスクの一般的な分野には、次のようなものがあります。

  • 技術的なリスク: 技術的なリスクは、特にメールやデジタルマーケティングのキャンペーンに影響を与える可能性があります。セキュリティインシデント、サイバー攻撃、パスワードの盗難、サービスの停止が発生すると、マーケティングキャンペーンに遅れが生じたり、完全に手遅れになったりすることがあります。

  • 市場リスク: これらは、市場全体に影響を及ぼすリスクです。不況のリスク、マージンのリスク、金利リスク、為替リスクなどが考えられます。このようなリスクはコントロールできませんが、リスクに備えることで、万が一発生した場合に、チームが迅速に対応できるようになります。

  • 組織的なリスク: 組織的なリスクは、内部業務に関わる問題から発生します。評判悪化、通信障害、訴訟、サプライチェーンの混乱などがこれに該当する事象です。

解決策: プロジェクトのリスク管理を活用して、マーケティングキャンペーンのリスクを防止し、軽減しましょう。計画フェーズで、リスクの分析を行うと、発生する確率が高いプロジェクトのリスクや、リスクの優先度を評価できます。そして、その評価から得た情報に基づいてキャンペーンを形成し、潜在的なトラブルに備えましょう。

2. スコープクリープ

スコープクリープは、マーケティングキャンペーンが最初に設定した期待範囲を超えた場合に発生します。マーケティングキャンペーンがスコープクリープに陥るのは、多くの場合、チームがプロジェクト計画時に明確な要件を確立していないことが原因です。関係者に制限を伝えなければ、関係者からプロジェクトチームが対応しきれないほどの変更をリクエストされる可能性もあります。

解決策: マーケティングキャンペーンの初期段階でプロジェクト目標を明確にし、その目標を関係者と共有しましょう。プロジェクトのタイムラインや予算の制限を含め、関係者がプロジェクトの要件を理解できるように、明確なコミュニケーションを維持する必要があります。また、必要に応じて、変更管理プロセスを確立し、変更リクエストを規制することも可能です。

3. 関係者とのコミュニケーション不足

多くのマーケティングチームが、関係者とのコミュニケーション不足に直面します。上記のように、この課題は、スコープクリープをはじめとする影響をもたらすものです。その他、コミュニケーションの問題がもたらす影響には、以下のようなものがあります。

  • 不明確なプロジェクトの期待事項

  • 目標と結果の不一致

  • チームの士気の低下

  • プロジェクトの資金不足

  • 仕事の重複

解決策: プロジェクト管理ソフトウェアを活用すると、関係者との強力なコミュニケーションを確立できます。マーケティングキャンペーンに関わるすべての人とリアルタイムで最新情報を共有し、キャンペーン進行中に関係者にフィードバックを提供してもらいましょう。プロジェクトマイルストーンをチェックポイントとして設定することで、キャンペーンに対する総合的な評価を得られます。

記事: 職場で効果的にコミュニケーションをとる 12 のコツ

4. 信頼できる唯一の情報源が存在しない

マーケティングチームが、対面の会話、メール、電話、ビデオチャットに頼って関係者とコミュニケーションを取っている場合、マーケティングキャンペーンを管理する際に課題に直面することがあります。上記のような従来型コミュニケーション手段もまだ活用できますが、以下のような必須要素が欠けています。

  • 文書の共有

  • リアルタイムのステータス更新

  • ソフトウェアの連携

  • タスク管理

  • 信頼できる唯一の情報源

マーケティング戦略は、すべての関係者にとってわかりやすいものでなければなりません。透明性を確保することで、チームのコミュニケーションが強化され、プロジェクトの品質が向上します。

解決策: プロジェクト管理ソフトウェアを、信頼できる唯一の情報源として使用しましょう。プロジェクト管理には多くの種類があり、機能のレベルもさまざまです。プロジェクト情報をまとめるツールもあれば、外部ソースから得た情報をまとめるツールもあります。Asana のようなツールを使えば、プロジェクトビューをカスタマイズし、チームメンバーから関係者まで、全員で共通認識を持てるようになります。

記事: プロジェクト管理のメリットとは?

プロジェクト管理ソフトウェアを使用して、マーケティング戦略を構築する

マーケティングプロジェクト管理を活用すると、マーケティング部門が直面する共通の課題を解消できます。体系化された管理手法を用いれば、コミュニケーションの流れが改善し、仕事のプロセスが合理化します。プロジェクト管理ソフトウェアを使用して、関係者間のコラボレーションを促進し、信頼できる唯一の情報源を確立しましょう。

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