プロジェクトの終結: 自信を持ってプロジェクトを仕上げるための 8 つのステップ

寄稿者 Caeleigh MacNeil の顔写真Caeleigh MacNeil
2024年3月8日
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概要

プロジェクトの終結 (プロジェクトの終了) とは、後処理を行い、結果を伝え、チームで振り返りを行う、プロジェクトの最終段階のことです。目標を達成したからといって、仕事が終わったわけではありません。プロジェクトの終結プロセスを明確にすることで、プロジェクトが正式に終了する前に、To-Do リスト上の重要なタスクをすべて完了できるのです。この記事では、自信を持ってプロジェクトを仕上げるための 8 つのステップを紹介します。

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始まりは偉大だが、それより偉大なのは結末である。”
ヘンリー・ワーズワース・ロングフェロー

ロングフェローが書く結末は、素晴らしいものでした。アメリカで最も偉大な詩人の一人である彼は、優れた結末は詩にまとまりを与え、退屈な結末は最高の文章を台無しにしてしまうことを理解していたのです。ロングフェローは、プロジェクト管理の資格を持っていたわけではありません。また、19 世紀にそのような資格が存在したかどうかも定かではありませんが、この記事では、先に紹介した彼の考え方に学び、自信を持ってプロジェクトを終了させる方法をご紹介します。

詩のように、プロジェクトには、素晴らしい結末が必要です。たとえプロジェクトの計画を完璧に遂行したとしても、仕上げにまとまりがなければ、せっかくの苦労が水の泡となってしまいます。最後までしっかりとやり遂げることで、プロジェクトに明確な成果と次のステップ、そしてまとまりを持たせられるのです。

プロジェクトの終結とは?

プロジェクトの終結 (プロジェクトの終了) とは、後処理を行い、結果を伝え、チームで振り返りを行う、プロジェクトの最終段階のことです。プロジェクト終結フェーズでは、プロジェクトの終結を正式に宣言し、次のステップの具体的な計画を立てます。次のステップには、プロジェクトのオーナーシップを別のチームに移したり、さらによい結果を得るために新しいプロジェクトを開始したり、今後のプロジェクトに教訓を取り入れたりすることが含まれます。

プロジェクト終了のプロセスは、チームのニーズに合わせてカスタマイズできるものです。ここではいくつかの重要なステップをご紹介します。

  • 最終テストを実施する: プロジェクトの成果物が期待に沿うものであることを確認します。これには、リリース後にまだ機能が正常に動作しているかどうかを確認するテストや、関係者と行う最終成果物のレビューなどが含まれます。

  • プロジェクト計画を見直す: 後処理を行い、やり忘れたことがないか確認します。

  • 管理業務を完了する: ドキュメンテーションの更新、プロジェクト予算の確定、リソースの再割り当てなどを行います。

  • プロジェクトのポストモーテム会議を開催する: 教訓について話し合います。チームにフィードバックを提供する機会を与え、プロセスを調整できるようにします。

  • 最終報告書を作成する: プロジェクトが目標に対してどのような成果を上げたかを説明します。

プロジェクト管理の 5 つのフェーズ

「プロジェクトの終結」という言葉は、プロジェクトマネジメント協会 (PMI) が作成した「プロジェクトマネジメント知識体系へのガイド」(通称「PMBOK® ガイド」) で説明される 5 つのプロジェクト管理フェーズモデルに由来しています。このモデルでは、プロジェクトのライフサイクルを以下の 5 つのステージに分割します。

  • プロジェクトの立ち上げ: プロジェクトを大まかに定義し、賛同を取りつけます。

  • プロジェクトの計画: 詳細な目標とプロジェクトロードマップを作成します。

  • プロジェクトの実行: 最初の 2 つのステップで収集した情報をもとにプロジェクトを開始します。

  • プロジェクトの監視・コントロール: 重要業績評価指標 (KPI) を使ってプロジェクトの効果 (パフォーマンス) を測定します。

  • プロジェクトの終結: 後処理を行い、関係者との振り返りを行い、次のステップを確定します。

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プロジェクトの終結が重要な理由

最終的なマイルストーンに到達したり、目標を達成したりするのはとても気分のよいことですが、それで仕事が終わったわけではありません。成功を祝った後でも、プロジェクトが正式に終了するまでにやらなくてはいけない、重要なタスクがいくつか残されているのです。ここでは、すべてのタスクを完了し、自信を持ってプロジェクトを終了させる方法をご紹介します。

仕事が完了していることを確認する

事前に定義されたプロジェクトの終結プロセスを活用することで、作業の完了とプロジェクト計画のすべてのタスクの達成を容易に確認できます。プロジェクトの最終段階では、最終テスト、プロジェクト計画の見直し、関係者への結果通知など、見逃しがちな細かい作業をすべて行い、すべてをやり遂げたという実感を持ってプロジェクトを終えられます。

さらに、終結フェーズでは、関係者全員が、仕事が効果的に行われたこと、すべてのタスクが完了したことに合意できます。こうすることで、誰もが自分たちが何を達成したかを把握し、プロジェクトが終わったことを理解できるのです。

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明確な次のステップを提示する

プロジェクトをきちんと完成させたら、次のステップを具体的に考えましょう。これには、他のチームに仕事を引き継ぐ、自分の仕事を改善するために新しいプロジェクトを始める、重要な教訓を今後の取り組みに反映させる、などが含まれます。

プロジェクトの終結は、次のような望ましくないシナリオを回避するのに役立ちます。

  • プロジェクトに特定の終了日がなく、チームは無期限にプロジェクトを担当することになる。たとえば、サイトのトラフィックを 20% 改善するプロジェクトがあるとします。プロジェクトをきちんと終わらせないと、サイトのトラフィックを向上させるために、小さな微調整や改善、テストを無限に担当することになる可能性があります。

  • プロジェクトが適切なチームに引き渡されず、ただ放置されている。たとえば、ウェブサイトのある機能をテストするために新しいプロジェクトを立ち上げたとします。プロジェクトを適切に終了させるためには、プロジェクトの目標とスコープ (例: 機能のテスト) を達成したことを関係者に伝える必要があります。そして、その機能を実際に開発するために、テストに関するインサイトを適切な製品チームに引き継がなくてはいけません。

教訓を記録する

チームはプロジェクトに取り組むたびに、学習と改善の機会を得ます。そして、プロジェクトの終結フェーズを活用すると、そのような教訓をプロジェクトメモに書いて忘れるのではなく、きちんと記録できるようになります。それは、プロジェクト終結のプロセスに、ポストモーテム会議が組み込まれているからです。そのため、チームは次回に向けて、順調に進んだ作業と改善の余地がある作業について検討できます。プロジェクトの終結についてチームで話し合うことで、自分では考えもしなかったような問題が明らかになることがよくあります。これは、チームメンバーが現場からの視点を提供してくれるからです。つまり、プロジェクトごとに、チームのプロセス、コミュニケーション、プロジェクト実行について詳しく観察し、効率化することで、プロジェクト管理方法を継続的に改善できるのです。

プロジェクトの終結フェーズは、プロセスの改善だけでなく、プロジェクトの重要な教訓を把握し、共有する上でも役立ちます。管理者と共有する最終報告書には、A/B テストの結果、ユーザー調査の結果、新しいアプリ機能の開発タイムラインなど、実際のプロジェクトデータから得られた教訓を記載できます。そうすることで、関係者はプロジェクトから学び、その結果を自分たちの仕事に取り入れられます。

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プロジェクト終結の確認方法

プロジェクトを終了する前に、それが完了したかどうかを判断する必要があります。しかし、それは具体的に何を意味するのでしょうか。

プロジェクトが完了したかどうかを判断する方法はいくつかありますが、最大の指標は、計画時に設定したプロジェクト目標を達成できたかどうかです。どのような手法で目標を設定するにしても、目標はプロジェクトの成功がどのようなものかを定義し、目指すべき目標を明確にします。目標設定の手法には、目標と主要な結果 (OKR)重要業績評価指標 (KPI)SMART な目標などがあります。

プロジェクトの目標を達成できないこともありますが、大丈夫です。たとえ目標に到達しなくても、次のような場合はプロジェクトを完了したと言えるでしょう。

プロジェクトを仕上げるための 8 つのステップ

プロジェクトの終結は難しいことではありません。プロジェクトに携わるうちに、自分のチームにとってうまくいくことや、そうではないことがわかってきます。その知識をもとに、自分なりのプロジェクト終結のベストプラクティスを構築できます。

初めてプロジェクトを正式に終了させる場合、次に紹介する 8 つのステップを試してみてください。順調にいったことやそうではなかったことをメモして、今後のプロセスに反映させましょう。

1. 最終テストを実行する

この最初のステップは、新製品や新機能のリリースに注力しているチームに最も有効です。プロジェクトの作業を正式に終了する前に、最終テストを実行して、最終成果物が安定しており、期待通りのパフォーマンスを発揮していることを確認します。特に、多数の顧客に向けて製品をリリースした場合、リリース後にパフォーマンスが変化することがよくあるため重要なことです。多くの場合、製品がスケールした後にどのように動作するかを、リリース前に予測するのは難しいものです。

技術的なテストだけでなく、特に SNS チャネルで顧客のフィードバックをモニタリングして、製品に重大なエラーが発生していないかどうかを確認できます。大きな問題が発生した場合は、フォローアッププロジェクトを立ち上げて修正しましょう。

2. 後処理を行う

次に、プロジェクト計画を見直し、未完了タスクに注意を促します。こうすることで、未完了タスクを整理し、重要なステップを忘れていないことを確認できます。Asana などのプロジェクト管理ソフトウェアを使えば、プロジェクトの全タスクを一か所で確認でき、さらに期日、所有者、完了ステータスも簡単に把握できます。

やり忘れたことがあっても、心配は無用です。未完了タスクを把握し、それがプロジェクトのスコープ内かスコープ外かを判断しましょう。スコープ内であれば、残ったタスクに対応する計画を立てます。スコープ外であれば、関係者にその旨を伝え、適切なチームにタスクを引き継ぎます。

たとえば、開発チームがウェブサイトのリデザインプロジェクトを終えたところで、あなたはサイト上のバナー画像の更新作業が完了していないことに気付いたとします。プロジェクトのスコープステートメントを確認したところ、このタスクはスコープ外であることが判明しました。その理由は、開発チームが主にインフラストラクチャの改善に注力していたためです。そこで、あなたは残りのタスクをデザインチームに引き継ぐことにしました。デザインチームは、開発チームが構築したインフラストラクチャを利用して、バナー画像を更新することになります。

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3. 管理業務を完了する

後処理をしたら、次にプロジェクトの管理面を解決しましょう。管理業務はプロジェクトによって異なりますが、ここでは一般的な To-Do をいくつかご紹介します。

  • すべてのプロジェクトファイルやアセットが適切な場所に保存されていて、関係者がその場所を把握していることを確認する。

  • プロセスのドキュメンテーションプロジェクト予算プロジェクトのスケジュールなどのプロジェクト文書を更新する。このプロセスでは、見積もりと実際の結果を比較し、正しかったかどうかを確認する。たとえば、予算やプロジェクトのスケジュールについて、見積もりと実績を比較することなどが含まれる。

  • ベンダーの契約書や合意書など、プロジェクト文書に署名がされていることを確認する。

  • サプライヤー、下請け業者、寄付者、または同様の社外関係者との契約を終了する。

  • プロジェクトの財務状況をまとめる。最終的な支払いが完了したことを確認し、財務チームに最終的な予算を報告する。

  • チームメンバーが別のプロジェクトに割り当て直されたことを確認する。

  • 必要に応じて、別のチームに機器やその他のプロジェクトリソースを販売または移管する。

4. 次のステップについてチームに知らせる

次に、プロジェクトのまとめ計画について、チームに連絡します。次のステップについて書く際には、完了していないプロジェクト成果物にどう対処するのか、未完了成果物のオーナーシップを誰にどのように移行するのか、といった情報を盛り込みましょう。さらに、振り返りプロジェクトのポストモーテム会議、関係者との最終会議など、チームメンバーが参加すべきプロジェクト終結イベントについても伝えてください。もし、ポストモーテム会議の際にチームからフィードバックを得たいのであれば、この時点でその旨を伝え、準備して臨んでもらうとよいでしょう。

5. 関係者に最新情報を伝え、最終報告書を送る

チームへの連絡が済んだら、次は関係者とも認識を合わせます。これは、非同期的な更新でも、正式な最終確認会議でもかまいません。どのような形式であっても、以下の情報は必ず含めてください。

  • プロジェクトの成果、設定した目標との比較、主な成功または失敗の要約を含む最終報告書。

  • スコープ内の未完了タスクを記載したリストと、その対処方法。

  • スコープ外の未完了タスクを記載したリスト、簡単な説明と、適切なチームへのフォローアップ方法の詳細。

  • 現在のプロジェクトの一部となる、または他のチームに引き継がれる予定の「ファストフォロー」(小さいフォローアップタスク) のリスト。

  • フィードバックのリクエスト。アンケートや調査票などの書面でのフィードバックが理想的。

6. プロジェクトのポストモーテム会議を行う

プロジェクトのポストモーテム会議を活用すると、各プロジェクトで得られた教訓を記録し、確認できます。ポストモーテム会議では、チームメンバーが、うまくいったこと、うまくいかなかったこと、次回に向けた改善点などについてフィードバックできます。

次回のポストモーテム会議前に役に立つヒントをご紹介します。

  • 少なくともポストモーテム会議の 2 日前までに、チームメンバーに考えてもらいたい質問のリストを送っておくとよいでしょう。たとえば、質問は「何がうまくいき、何がうまくいかなかったのか、そして何を学んだのか」というようなシンプルなものでかまいません。こうすることで、チームは事前に考えをまとめておくことができ、議論の準備ができた状態で参加できるようになります。

  • 会議中は、できれば画面を共有し、一人ひとりの意見を積極的に記録しましょう。そうすることで、チームは自分の意見が評価されていると実感できます。

  • 会議中に、各チームメンバーが意見を述べる時間を確保しましょう。そうすることで、全員の意見に耳を傾けられます。

  • 会議の終わりには、チームメンバーの意見に感謝する時間をとりましょう。そして、意見を具体的なアクションアイテムに落とし込んだら、チームに最新情報を送信し、会議で挙げられた懸念事項にどのように対処するかを知らせます。アクションアイテムについては、次のステップで詳しく説明します。

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7. 改善に向けたロードマップを作成する

プロジェクトの進行状況を分析したら、次は未来に目を向けましょう。この時点では、プロジェクトのロードマップを使って、最終成果物や管理プロセスをどのように改善し、反復していくかを計画できます。

  1. ステップ 1 の最終テストの結果を考慮し、優先的に取り組みたい問題を特定します。たとえば、読み込み時間の遅さに不満を抱いている顧客が多い場合は、サイトの読み込み速度を改善することを優先します。

  2. 関係者とプロジェクトチームから受け取ったフィードバックをまとめます。共通のテーマを探し、取り組みたいアクションアイテムがあればハイライトします。たとえば、チームメンバーが「タスクを完了するのに時間が足りない」と言った場合、今後のプロジェクトスケジュールに予備の時間を設けるようアクションアイテムを設定します。

  3. これらのアクションアイテムにいつ、どのように取り組むかを計画するロードマップを作成します。

  4. ロードマップに関するフィードバックをチームに求め、関係者から承認を受けます。

今後の改善のためのロードマップを作成することで、最終成果物やプロジェクト管理プロセスの改善と反復を継続できます。さらに、現在のプロジェクトを正式に終了させ、その後、まったく新しいプロジェクトで改善に取り組むことも可能です。こうすることで、最終成果物を「完璧」に仕上げるために、プロジェクトが長引くことを防げます。また、ここで理解しなければならないのは、完璧というのは現実的に実現不可能なものだということです。

8. 祝う

最後に、チームの功績を称える時間を設けましょう。感謝の気持ちを示すことは、強い組織文化を築き、職場のチームワークを促進する上で重要なことです。

プレゼントやカード、感謝のメッセージ、チームのハッピーアワー、あるいは午後半休など、さまざまな形で祝えます。チームのダイナミクスとぞれぞれのメンバーの好みを考慮し、全員が喜ぶオプションを選びましょう。

自信を持って仕上げる

プロジェクトが無事終了したら、チームとハイタッチして祝杯をあげましょう。すべてのタスクが完了し、後処理も終わりました。やり残した仕事はありません。次のステップへの具体的な計画もあるので、これで安心して次のプロジェクトに進めます。

チームの終結プロセスを標準化したい場合は、プロジェクトの終結プロセスをカスタムテンプレート化することを検討してください。テンプレートを活用すると、チェックリストなどの事前定義されたステップを作成し、それを複製して次のプロジェクトに再利用できます。

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