作業範囲と作業範囲記述書の違いとは?

Asana チーム 寄稿者の画像Team Asana2021年9月7日00
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概要

作業範囲 (Scope of Work) と作業範囲記述書 (Statement of Work) はどちらも SoW と略されることが多いですが、同じものではありません。作業範囲は作業範囲記述書の一部で、プロジェクトの目標をどのように達成するかを記述したものです。この 2 つの文書の違いと、それぞれに含めるべき内容についてご紹介します。

あるプロジェクトにおいて、リソースのニーズが社内のキャパシティを超えたために、外部からの支援が必要になることがあります。外部の請負業者や代理店、ベンダーを雇う際には、作業範囲や作業範囲記述書を作成することで、プロジェクトの成功、効果的なコミュニケーション、期日通りの納品を実現することができます。

しかし、作業範囲と作業範囲記述書の違いは何でしょうか?また、これらの文書には何が必要でしょうか?この記事では、この 2 つの文書の見分け方と、なぜこれらが貴重なプロジェクト管理ツールとなるのかを説明します。

なお、この記事は法的なアドバイスを目的としたものではありませんので、社内の法務チームと相談して、現在の状況に最適なアプローチを決定してください。

作業範囲と作業範囲記述書の違い

作業範囲と作業範囲記述書の違い

作業範囲 (Scope of Work) と作業範囲記述書 (Statement of Work) は多くの場合どちらも SoW と略されますが、同じものではありません。

作業範囲は、重要なビジネス上の検討事項やプロジェクトの目標を定義し、共有するためのツールです。プロジェクトのニーズに応じて、作業範囲だけが必要な場合もあります。しかし、チームが外部のクライアントや代理店と共同で作業を行う場合は、作業内容を説明するために作業範囲記述書を作成することになるでしょう。この外部向けの文書は、プロジェクトの成果物、要件、目標、スケジュール、費用を包括的にまとめたもので、プロジェクトチームと関係者に、プロジェクトを成功させるために何をすべきかを詳細に説明するものです。

この 2 つの文書について、まずは作業範囲から詳しく見ていきましょう。

作業範囲とは?

作業範囲とは、プロジェクトに何が含まれていて、何が含まれていないかをチームが理解するためのガイドです。作業範囲は通常、プロジェクトのニーズを明確にし、プロジェクトの目標をどのように達成するかを説明するものです。この文書には通常、プロジェクト中に行う作業の概要が記載され、成果物、タイムライン、マイルストーン、レポートなどの詳細が含まれます。

プロジェクトに作業範囲記述書が必要ない場合は、作業範囲を単独で使用することができます。社内の法務チームに相談して、作業範囲を作業範囲記述書に拡大する必要があるかどうかを判断してください。

作業範囲はどのような場面で役立つのか?

作業範囲は、しっかりと計画されたプロジェクトの基礎であり、プロジェクトをスムーズに進めるためのものです。この文書は、チームとプロジェクトの関係者がプロジェクトの要件に合意し、順調に、そして期日通りに完成させることを妨げる可能性のある潜在的なリスクを特定するのに役立ちます。

たとえば、作業範囲の下書きを作成しているときに、チームが、あるタスクの納品予定が進行中の別のタスクと競合していることに気づくかもしれません。その場合は、タイムラインを変更し、それに合わせて作業範囲を調整することができます。

作業範囲は、プロジェクトの成果物に関してチームの認識を揃えるのに役立ち、期限の遵守、バックログの抑制や追加費用の回避を可能にします。

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作業範囲記述書 (SoW) とは?

作業範囲記述書 (SoW) とは、二者間の作業合意書であり、プロジェクトの目的を共有するのに役立つものです。SoW は作業範囲に基づいて作成されます。この文書は通常、プロジェクトの開始時に作成され、プロジェクトの目的から詳細なタスク、プロジェクトの費用やスケジュールなど、あらゆることを定義することができます。

この文書は外部プロジェクトで使用されることが多く、組織とクライアント、バイヤー、代理店、または請負業者との間の契約書として機能します。たとえば、外部のデザイン会社と共同でプロジェクトを進める場合や、大規模な建築プロジェクトで請負業者と協力して作業を進める場合に、作業範囲記述書書を作成する必要があります。

最も複雑な作業範囲記述書は、政府との契約のために作成されるもので、通常、提案依頼書 (RFP) や見積依頼書 (RFQ) の一部となっています。

また、2 つの異なる部署が協力して行う社内プロジェクトにも作業範囲記述書を使用することができます。

通常 SoW を受け取るのは、次の関係者です。

  • プロジェクトマネージャーまたはリーダー

  • 請負業者およびコラボレーター

  • 契約に関わるすべての人

プロジェクトに作業範囲記述書が必要かどうかは、社内の法務チームに確認してください。

作業範囲記述書はどのような場面で役立つのか?

しっかりと書かれた SoW と効果的なプロジェクト管理ツールを組み合わせることで、プロジェクトを成功に導くことができます。この文書は、チームと採用した関係者が指示内容を管理し、文書化するのに役立ちます。プロジェクトの内容を詳しく説明したもので、うまく活用すると、論争や誤解を防ぐことができます。

プロジェクトの終了時には、結果をこの文書に反映させ、最終的なパフォーマンスが SoW を満たしているかどうかを確認します。契約内容や法務チームのアドバイスによっては、組織に全額が支払われるか、ボーナスが支払われるか、ペナルティが課せられるかなど、さらなる影響を与える可能性があります。

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作業範囲の書き方

優れた作業範囲は、重要なビジネス上の検討事項を特定し、プロジェクトの目的と詳細をプロジェクトの関係者と共有するのに役立ちます。

作業範囲の書き方

多くの人は、以下のことを念頭に置いて作業範囲の作成に臨みます。

  • 具体的に記載する。プロジェクトの要件と期待される成果について、全員が共通認識を持てるよう、正確で明確な言葉を使用しましょう。また、定量化可能な成果物、マイルストーン、タスクを記載することで、後々に起こりうる混乱を避けることができます。

  • 図を取り入れる。作業分解構成図のような視覚的な資料を使うことで、関係者全員が情報を簡単かつ迅速に理解できるようになります。また、プロジェクトの成功と予定通りの完了を危うくするようなボトルネックなどのリスクを発見することができます。

  • 関係者と協力する。前述したように、このプロセスでは法務チームにアドバイスを求めるべきです。このタスクでは、関係者と協力して作業を進めることで、長期的に時間を節約することができます。このように、最初から全員が参加することで、将来起こりうる誤解を未然に防ぎます。

この世に、同じ作業範囲はひとつとしてありません。このセクションに何を記載すべきか、どの程度詳細に記載すべきかは、業界やプロジェクトごとに大きく異なります。疑問がある場合は、社内の法務チームに相談してください。

一般的には、以下のセクションで作業範囲を構成します。

成果物

作業範囲のこのセクションでは、そのプロジェクトで納品する予定の製品やサービスについて説明します。ここでは、作業分解構成図が役立ちます。

タイムライン

プロジェクトの主要なフェーズを正確に記述したタイムラインやガントチャートを記載します。このセクションは、プロジェクトの最初から最後まで、チームやプロジェクトに関わるすべての人を導く、視覚的なプロジェクトのロードマップとなります。

マイルストーン

マイルストーンは、作業範囲と同様に、プロジェクトを簡単に理解できる大きさに分割するのに役立ちます。プロジェクトのマイルストーンをすべて書き出すことで、進捗状況の確認やタイムラインの遵守が容易になります。

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レポート作成

作業範囲には、通常、プロジェクトを通じて作成されるレポートも含まれています。顧客へのステータスレポート、ベンダーへの進捗報告、予算と実績の差を分析するための財務報告など、これらの文書の詳細、作成者、納品予定日などを記載します。

これらのレポートは、プロジェクト全体のコミュニケーションの手段であり、プロジェクトのパフォーマンスを把握するために必要なデータや情報を関係者全員に提供します。

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作業範囲の文書の中には、用語集、頭字語や略語の概要など、プロジェクトを成功させるために必要な詳細を記述したセクションが含まれている場合があります。

作業範囲記述書の書き方

作業範囲を作業記述書に反映させることで、外部パートナーの責任範囲を明らかにすることができます。作業範囲記述書を徹底的に、詳細に、正確に作成することで、チームの足並みを揃え、プロジェクトのすべての詳細に関して認識を合わせることができます。

作業範囲記述書が不明確な場合、関係者間で混乱が生じる可能性があります。だからこそ、すべてのタスクと詳細を明確に示すことが重要なのです。

以下に、作業範囲記述書を作成する際に考慮すべき戦略をご紹介します。

  1. プロジェクトをフェーズ (段階) に分割する。タスクのリストが長すぎると、その量に圧倒されてしまうことがあります。プロジェクトを個々のフェーズに分けることで、チームや関係者のプレッシャーを軽減することができます。

  2. 短くてわかりやすい文章で書く。短くてわかりやすい文章で書けば、誤解を招く可能性を最小限に抑えることができます。頭字語や略語を使用する場合は、誰もがその意味を理解できるように用語集を添付しましょう。

  3. プロジェクトの目的を説明する。プロジェクトの目標とプロジェクトの目的を明確にすることで、なぜこのプロジェクトが重要なのかを関係者に理解してもらうことができます。

  4. プロジェクトの目標とその到達方法を明確にする。目標を明確に定義すると、仕事を順調に進められます。また、最終的な目標とそれを達成するためのステップについて、誤解を招く可能性を避けることができます。

  5. プロジェクトのマイルストーンと成功を共に定義する。作成プロセスに関係者やチームを含めることで、スムーズで成功しやすいコラボレーションの基盤を作ることができます。

  6. 明確で、シンプルで、測定可能な境界線を設定する。プロジェクトの範囲、目標、主要なフェーズなどの境界線を明確に定義することで、後々の論争を回避することができます。誤解を招かないように、定量化できる境界線を設定しましょう。

  7. SoW を必ず法務チームに確認してもらう。こうすることで、上述のすべてがしっかりと徹底的に実行されたことが確認できます。社内の法務チームのような第三者は、リスクが発生する可能性のあるセクションを発見し、それに応じてチームが修正するのをサポートすることができます。

  8. チームに説明し、定期的に確認する。作業範囲記述書が完成し、承認されたら、チームとすべての関係者が詳細を把握し、プロセスを通じて最新の進捗状況を把握できるようにしましょう。こうすることで、全員が合意した内容を守っているかどうかをモニタリングすることができます。

作業指示書は法的な側面をカバーすることができますが、プロジェクト管理ツールを使えば、プロジェクト全体のプロセスやパフォーマンスを把握することができます。作業範囲記述書が完成したら、すべての重要な情報、タスク、期日をプロジェクト計画書に転記し、チームや関係者とリアルタイムで連携し、コラボレーションを行いましょう。

SoW の構成要素について

作業範囲記述書は通常、13 個のセクションで構成されています。各セクションでは、プロジェクトの特定の要素を取り扱い、プロジェクト関係者を取り上げます。業界やプロジェクトの範囲に応じて、作業範囲記述書のセクション数は多くも少なくもなります。

業界、組織、クライアント、請負業者、その他の関係者の基準や特別な要件に合わせて作業範囲記述書を作成する際には、社内の法務チームに相談してください。

作業範囲記述書の内容について

たとえば、作業範囲記述書には以下のようなセクションが含まれます。

1. 導入

作業範囲記述書の冒頭には、一般的に簡単な紹介文があり、この文章を読むとプロジェクトの内容や関係者を知ることができるようになっています。

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2. プロジェクトの目的

2 番目のセクションでは、プロジェクトの理由を定義します。このセクションでは通常、プロジェクトの目標と目的を説明し、なぜこのプロジェクトが重要なのかを読み手に理解してもらいます。

3. 作業範囲

作業範囲は、作業範囲記述書の中で最も詳細なセクションになります。このセクションでは、プロジェクトの目標をどのように達成するかを説明します。

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4. 作業を行う場所

4 番目のセクションでは、通常、プロジェクトが行われる場所を定義します。たとえば、プロジェクトがリモート環境で行われるのか、それともチームメンバーがプロジェクトを完成させるために、現場で会う必要があるのかを明確にします。

5. 詳細なタスク

次に、SoW では、プロジェクト範囲を、小さなタスクに分解し、それぞれ完了させます。このセクションでは、プロジェクトを成功させるために必要な具体的なステップを、関係者全員が理解できるように説明します。作業範囲によっては、個々のタスクを視覚化し、読み手がこのセクションを理解しやすくするために、このセクションに作業分解図 (WBS) を含めることもあります。

6. マイルストーン

作業範囲記述書には、タスクの詳細に加えて、測定可能なプロジェクトのマイルストーンを定義するセクションを含めることができます。このセクションでは、プロジェクトをより管理しやすい単位に分割し、関係者全員が時間通りに目標を達成するチャンスを与えることができます。

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7. 成果物

このセクションでは、期待されるすべての成果物を、その期日を含めて記載します。通常、このセクションには、誤解の余地がないように、具体的で定量化可能な成果物が含まれます。

8. スケジュール

ここでは、成果物の期日、各タスクに費やす時間、請求対象時間などが記載されます。また、このセクションには、通常、各タスクの開始日と終了日などのタイムラインも含まれています。

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9. 基準とテスト

プロジェクトに適用される業界固有の基準があれば、ここに詳しく説明します。SoW は、プロジェクトを成功させるために必要なすべてのテスト段階を参照します。各テスト段階には、プロジェクトの関係者、必要なリソースや機器、どの段階でテストを行うかなどの情報を記載します。

10. 成功の定義

このセクションには、関係者がプロジェクトの成功とは何かを明確に定義する情報が含まれます。一般的には、プロジェクト関係者がこのセクションの作成に関与し、プロジェクトの目標についてすべての関係者が同意するようにします。

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11. 要件

この時点で、作業範囲記述書には、プロジェクトや作業に必要な特別な要件が記載されます。これには、プロジェクトに必要な機器、チームが取得しなければならない資格、請負業者が取得しなければならないセキュリティクリアランス (秘密取り扱い許可) などが含まれます。

12. 支払い

このセクションには、プロジェクトに関連するあらゆる費用を含めることができます。ここには、プロジェクトのさまざまな段階で発生する外注費や人件費などを記載します。

また、支払いスケジュールや支払い方法についても、このセクションで説明します。前払いを予定しているのか、マイルストーンごとに支払うのか、あるいは納品成功後に支払うのかを記載することができます。一般的には、支払い条件はスケジュールごとに設定されるか、成果物のマイルストーンごとに設定されます。法務チームや財務チームと調整しながら、それぞれの状況に応じて最適な方法を選びましょう。

13. その他

プロジェクトに関連するもので、まだ記載されていないものはすべてこのセクションに記載します。これは業界によって異なりますが、出張費や要件、セキュリティ上の問題、ソフトウェアやハードウェアの制限、プロジェクト後のサポートやテストなどが含まれます。

社内の法務チームに確認し、このセクションでプロジェクトに関連するすべての事項に対応できるようにしましょう。

作業範囲を使ってスコープクリープを回避する

作業範囲記述書と作業範囲のどちらも、プロジェクトの目標を定義し、チームや関係者に仕事やパフォーマンスに対する説明責任を持たせるために不可欠な役割を果たします。

スコープクリープを防ぐために、作業範囲の文書をできる限り遵守しましょう。そうすることで、期待通りのプロジェクトを期日通りに納品することができます。

プロジェクト管理ソフトウェアを使って作業範囲を調整することで、チームが順調に作業を進め、目標を達成できる環境を作ることができます。

この記事には、チームが SoW や作業範囲について詳しく学びたい際に役立つ、提案や考慮事項が含まれています。これは法的なアドバイスを意図したものではありません。社内の法務チームに相談して、特定の状況に適したアプローチを選んでください。

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