プロジェクト管理チャートとは、プロジェクトやプロセスに伴うタスクや目的を可視化したものです。この記事では、ガントチャートから棒グラフまで、最も効果的なプロジェクトチャート 16 個を、プロジェクトマネージャーのレベルアップに役立つ理由を交えて解説します。
仕事の肩書は何であれ、プロジェクトを管理する立場にあるのなら、仕事をより効果的に実行する方法を見つけなくてはいけません。またタスクを可視化することは、コミュニケーションを簡素化し、透明性を生み出すのに役立ちます。
プロジェクトチャートは、チームメンバーがタスクを可視化し、その作業がどのように大きな事業目標に結び付くのかを理解するのに役立ちます。ガントチャートからフローチャートまで、チャートの選択肢は多岐に渡ります。たとえば、ガントチャートや WBS (作業分解構成図)、CPM (クリティカルパス法) といった、計画やリソーシングに適したチャート、かんばんやタイムラインといった、プロジェクトの実行に適したチャート、棒グラフやバーンダウンチャートといった、報告作業に適したチャートなどがあります。
各カテゴリーの中でも最も効果的なプロジェクトチャートを 16 個集めましたので、各チャートのメリットと目標の達成に役立つ理由をご紹介します。
プロジェクト管理では、プロジェクトチャートは報告のためのものだと勘違いされがちです。実は、優れたプロジェクトチャートは、プロジェクトとチームを成功に導いてくれるのです。
プロジェクトチャートを計画とリソーシングに活用することは、チームのあらゆる階層にとってメリットとなります。
プロジェクト参加者に今後の作業を可視化するための明確な手段を与えることができる。
チームリーダーは、目標を予定どおりに達成するのに十分なリソースを確保できる。
関係者は今後の作業を俯瞰できる。それにより、関係者のエンゲージメントが高まり、賛同も得やすくなる。
以下に、計画とリソーシングに最も適したプロジェクトチャートを 7 つご紹介します。
ガントチャートは、水平方向の棒グラフで、一定期間内のタスクの予定を可視化してプロジェクトのスケジュールを示すために使用されます。それぞれの棒はタスクやイニシアチブを意味し、棒の長さはタスクやイニシアチブの所要時間を示します。ガントチャートは、特定のプロジェクトのタイムライン、タスク、目標を可視化したいときに使用します。
ガントチャートは、元々の開発者ではありませんが Henry Gantt 氏のおかげで 1910 年代に人気が高まりました。元々は工場での勤務時間を記録するために使用されていましたが、それ以来大きな進歩を遂げました。現在では、プロジェクトの進捗をリアルタイムに追跡し、タスクの依存関係を可視化し、重要なマイルストーンを示す目的で使用されています。
こんな場合におすすめ: チームが依存するタスクを上手にコーディネートして、期日を守れるようにするために、プロジェクトを目で見てわかる形で綿密に計画したい場合。ガントチャートは、プロジェクトの最初から最後までを計画、予定するのに便利です。
作業分解構成図は、プロジェクトのタスクを可視的に小さな単位に分割するためのメソッドです。WBS を使用すると、プロジェクトチームは必要な成果物と従属関係を可視化しながらコミュニケーションを簡素化できます。
WBS には、親タスク、従属関係、サブ従属関係という 3 つのレベルがあります。これらのレベルでは、各タスクが最もシンプルな形で分割され、親タスクを完了させるのに必要な作業が示されます。
こんな場合におすすめ: 複雑なプロジェクトに取り組むチームがタスクを小さなサブタスクに分割したい場合。WBS は、従属関係を可視化して、タスクを大きな目標に結び付けるのに便利です。
クリティカルパスとは、チームがプロジェクト全体の完了に向けて計画どおりに終了させていかなければならない一連の作業のうち、一番長時間かかるもののことです。クリティカルパス法は、各作業にかかる時間を特定するために使用されるテクニックです。
重大なタスクの遅延はプロジェクト全体に影響するため、クリティカルパス法を使って、より効果的にリソースを割り振り、ボトルネックの発生を防ぎます。クリティカルパスを特定できれば、チームがプロジェクト成果物を予定どおりに完成させることができるよう十分な時間を確保して、各タスクの予定を立てられます。
こんな場合におすすめ: チームがプロジェクトを一番効率的なスケジュールで完了させたい場合。クリティカルパス法は、成果物とプロジェクトの期日を予定するのに役立ちます。
PERT は、Program Evaluation and Review Technique の頭文字をとったものです。PERT 図は、プロジェクトのタスクを予定、整理、計画するために使用されるツールです。個々のタスクを分割するプロジェクトタイムラインを図示したいときに使用すると便利です。
PERT 図は、各タスクをお互いに結び付ける方法をより深く理解し、依存関係を明確に図示するために使用します。必要なリソースの評価やチームへの割り当ておよびタスク期間を見積もるのに使用すると便利です。
こんな場合におすすめ: チームが複雑なサブ依存関係を伴うプロジェクトに取り組んでいる場合。PERT 図は、リソースを正確に割り当て、期日を守るのに便利です。
フローチャートは、ワークフローの各ステップ、順序、判断を示した図です。プロセスの重要なステップを計画、可視化、文書化するのに便利です。
フローチャートには、PERT 図やスイムレーン図といった、複数の可視化ツールが使用される場合があります。複雑なワークフローを簡素化したり、タスクを整理したり、ボトルネックを特定したりと、さまざまな目的で使用できます。
こんな場合におすすめ: チームがボトルネックを解消し、タスクを整理するのに苦労している場合。プロジェクトの課題やソリューションを簡単に可視化できます。
ネットワーク図は、タスクを図示する四角と矢印で構成され、タスクが重大なものかどうかが可視化されます。数多く存在するリソース平準化ツールの 1 つで、プロジェクトの日付を調整し、利用可能なリソースを判断するために使用されます。
ネットワーク図は、プロジェクトタスクを実行する順番とスケジュールを計画する際に使用します。ネットワーク図を使って、プロジェクト期間を計画し、進捗を追跡します。
こんな場合におすすめ: チームがプロジェクトを順調に進めることや、成果物に優先順位を付けることに苦労している場合。 重大なタスクに優先順位を付けるのに便利です。
マトリクス図は、データセット、機能、およびプロジェクト要素の関係を理解するのに役立ちます。プロジェクト内で問題を特定したり、リソースを割り当てたり、機会のある領域を評価したりする場合に効果を発揮します。
マトリクス図には、L 型、Y 型、C 型、T 型、X 型など、さまざまな種類があります。プロジェクトの目標とデータポイントを分析して、チームに合った図を選びましょう。
こんな場合におすすめ: データ重視のプロジェクトに取り組むチームがタスクを目標に結び付けるのに苦労している場合。チームがデータと目標の関係を理解するのに便利です。
計画プロセスを済ませたら、プロジェクトチャートを使って作業を実行します。誰が何をいつまでに、どうして行うのかを追跡します。一元管理された情報を使ってチームの仕事を順調に進め、情報に変更があればリアルタイムに更新します。
それでは、作業の実行に最適なプロジェクトチャートを 5 つ見ていきましょう。
かんばんボードは、完了させる必要がある作業を可視化する手段の 1 つです。作業がステージを踏んで進行する場合は特に効果的です。付箋やホワイトボードを使って作成されたかんばんボードもよく見られます。
バーチャルなかんばんボードツールは、異なるステージをまたいで作業の進捗をリアルタイムに追跡できるため、通常のものよりも動的に機能します。ステージの内容は、チームによりますが、「新規」、「準備完了」、「進行中」、「ドラフト作成中」、「保留」、「完了」などが考えられます。
こんな場合におすすめ: チームが継続的な改善を大切にし、成果物を明確にした上で連続的なステージを踏んで作業を進めることを好む場合。かんばんボードは、プロジェクト内のそうしたステージを可視化するのに便利です。
パレートの法則とは、結果の 8 割は原因の 2 割に依存すると提唱したものです。この 80:20 の法則に基づいたパレート図を使い、プロジェクトタスクを可視化します。
パレート図は、優先事項を特定し、チームにとって最適な意思決定をしたい場合に使用します。チームが勤務時間の 20% だけを費やして一番大きなインパクトを生み出せるタスクはどれかを考えます。小さなタスクを大きな目標につなぎ、チームの方向性を明確にするのに便利です。
こんな場合におすすめ: 大量の仕事を抱えるチームがプロジェクトの優先順位を付けるのに苦労している場合。パレート図を使用すると、タスクを優先度順に整理できるため、最も大きなインパクトを生み出せます。
プロジェクトタイムラインを使用すると、作業を順調に進められるため、締め切りをきちんと守れます。プロジェクトタイムラインを使って、プロジェクトの進捗を綿密に計画し、小さなタスクを大きな事業目標に結び付けます。
まず最初に、To-Do をリストアップし、各イニシアチブにかかる時間を予測し、依存関係を綿密に計画して、プロジェクトタイムラインを作成します。タイムラインが完成したら、すべてのプロジェクト関係者と共有し、イニシアチブと締め切り、ならびにプロジェクトを通じて変更があった場合は、その内容もリアルタイムに確認できるようにします。
こんな場合におすすめ: チームが厳しいスケジュールの中でタスクを順調に進めたい場合。目標を達成するのに必要な作業を可視化するのに便利です。
プロジェクトのタイムラインを Asana で設定するプロジェクトの課題やボトルネックを図示するには、フィッシュボーンチャート (石川ダイアグラム) を使います。この種の図は、一般的に特性要因図とも呼ばれています。 フィッシュボーンチャートでは、魚の頭が解決したい問題、つまりボトルネックを表します。魚の骨は、異なるカテゴリや関連するタスクを表します。
フィッシュボーンチャートを使用すれば、チームメンバーの協力を得ながら、問題の根本原因を解決するソリューションを見い出せます。根本原因の例としては、リソースの欠如や誤ったプロジェクトデータなどが挙げられます。
こんな場合におすすめ: チームがプロジェクトの課題をリアルタイムに解決できなくて困っている場合。フィッシュボーンチャートを使えば、課題を候補となる解決策に結び付けることができるため、次のステップとしてベストなステップを特定できます。
管理図は、プロジェクトの変更内容を可視化するための手段です。管理図を使うと、割り当てられたリソースと比較することでタスクにかかる実際の時間がわかり、時間の経過に伴うプロジェクトの進捗を正確に把握できます。
管理図を作成するには、まず最初に、マイルストーンを示す手段として、タスクの期間やリソースの数といったものの上限と下限を決定します。そうした制限を超える不安定な変化が見られる場合は、急激な変動が起こっていることを意味します。管理図でこうした変動を特定したら、すかさず対応して、解決できます。
こんな場合におすすめ: チームがプロジェクトの逸脱や遅延を生じさせる課題を解消するのに苦労している場合。管理図は、割り当てられたリソースを使って作業を順調に進めるのに便利です。
完了した作業の報告は、プロジェクト管理において、重大でありながら、見過ごされてしまうことがある部分の 1 つです。プロジェクトの目標を達成するのは素晴らしいことですが、終わった作業を報告する術がないと、チームはプロジェクトの成功または失敗から学ぶことができません。
報告に適したプロジェクトチャートを使用すると、プロジェクトから貴重な教訓を学び、そうした教訓をその後のプロジェクトに活かすことができます。
まずは、下に紹介する報告に適した 4 つのプロジェクトチャートを見てみましょう。
棒グラフは、プロジェクトデータを可視化する伝統的な手段です。マイルストーンを基にプロジェクト要素を評価するために使用されます。形式がシンプルな上に、コンポーネントは多彩な用途に使用できるため、多くのチームに使用されているのは当然と言えるでしょう。
棒グラフは、タスクの時間やプロジェクトのコストなど、任意の要素を X と Y 軸にプロットすることで作成できます。プロジェクトのデータをすばやく理解し、その内容を主要な関係者と共有できるようになっています。
棒グラフは、手書きでも作成できますが、その種のグラフは、横断レポートツールを使って作成するのがベストです。棒グラフとチームの作業を直接連携させることで、手作業や反復タスクを減らし、インパクトの大きなイニシアチブに費やす時間を増やすことができます。
こんな場合におすすめ: チームがプロジェクトの各要素を簡単に可視化する方法を探している場合。プロジェクトのさまざまな要素を目標と照らし合わせて分析するのに便利です。
バーンダウンチャートとは、残りの作業とそれに必要な時間が一目でわかるチャートです。タスクの所要時間を推定し、課題を分析し、プロジェクトの完了日を決定するのに便利です。
バーンダウンチャートは、今後必要となるリソースをデータに基づいて正確に予定するために使用します。バーンダウンチャートを作成するには、チャート上にタスクの推定所要時間と実際の所要時間をあわせて記録します。そうすると、作業の所要時間の理想と現実を一目で確認できます。
こんな場合におすすめ: チームが作業の推定所要時間を実際の所要時間と比較して分析したい場合。プロジェクトの期日を決定するのに便利です。
バーンアップチャートは、作業の所要時間ではなく、残りの作業量を示す点でバーンダウンチャートとは異なります。要するに、バーンアップチャートは、プロジェクトの所要時間ではなく、進捗を追跡します。
バーンアップチャートを作成するには、残っているタスクの理想を実際に残っているタスクの量に対してプロットします。そうすると、追加のリソースが必要なタスクを明確に把握できます。バーンダウンチャートとバーンアップチャートを組み合わせて使用すれば、チームの作業効率の全体像がはっきりとします。
こんな場合におすすめ: チームが作業量の推定と現実を分析したい場合。リソース配分を決定するのに便利です。
円グラフは、見た目のレイアウトは違うものの、棒グラフに似た昔ながらのデザインです。円グラフは、プロジェクトの異なる要素を分割します。たとえば、リサーチの段階がプロジェクトの 10% を占めるという予想に反して 20% を超えるようなことがあれば、どの領域から改善点を分析し始めればよいかを判断できます。
円グラフは、大規模なプロジェクトの重要なコンポーネントを追跡して、リソース配分や重要なメトリクスおよびインサイトをより深く把握するために使用します。
こんな場合におすすめ: チームがプロジェクトの内訳を把握したい場合。円グラフは、チームが複数のコンポーネントを可視化して、何に時間やリソースを一番多く費やしているかを判断するのに役立ちます。
プロジェクトチャートを使用すると、チームはシンプルな視覚要素を基にプロジェクトの情報をより深く把握できます。また事前に期待される事柄が明確になることで、プロジェクト計画をスムーズに進めることができます。
プロジェクトチャートの種類は数多く存在しますが、プロジェクト管理ソフトウェアを使用すると、簡単にグラフを作成できます。大量のプロジェクトやタスクの確認から、フィードバックやチームのコミュニケーションの一元管理まで、プロジェクト管理ツールはさまざまな形で目標達成をサポートします。
Asana でチームやプロジェクトを横断するレポートを作成する