アイゼンハワーマトリクスは、緊急度や重要度に応じてタスクを整理し、優先順位を付ける際に役立つタスクマネジメント手法です。各タスクのプライオリティを明確にし、仕事量を適切に調節することで、仕事の効率化と時間の有効活用にもつながります。この記事で紹介するアイゼンハワーマトリクスの作成方法と優先順位付けのコツを参考に、効率的なタスク管理を目指しましょう。
更新: この記事は、アイゼンハワーマトリクスとワークマネジメントツールを組み合わせて仕事をさらに効率的に行う方法に関する記述を含めて 2023年 8月に改訂されました。
To-Do リストの作成は、仕事を成し遂げるための最初のステップです。しかし 1 日ですべてを終わらせるには時間が足りないようなときは、どのようにして最初に取り組むタスクを決めればよいのでしょうか?To-Do とは「いつかするべきこと」を意味しますが、そこに優先順位を付けなければ仕事は混乱します。仕事の生産性を向上させるには、タスクの効果的な優先順位付けが重要になってくるのです。
アイゼンハワーマトリクスは緊急タスクと重要タスクの区別に役立ち、これを活用することで効率的なワークフローを構築できます。この記事では、アイゼンハワーマトリクスの作成方法とタスクの優先順位付けのコツをご紹介します。
Asana のタスク管理機能を使って仕事を効率化する方法アイゼンハワーマトリクスとは、タスクを緊急度と重要度で整理する手法です。この手法を用いることで、最も重要なタスクを効果的に優先できます。日本語では別名タイムマネジメントマトリクス、アイゼンハワーボックス、緊急度と重要度のマトリクスとも呼ばれます。
アイゼンハワーマトリクスは、タスクを「最初にやるタスク」「後でやるために予定に入れるタスク」「誰かに任せるタスク」「削除するタスク」の 4 つの領域に分けることで、生産的な To-Do リスト作りに役立ちます。タスクの優先度を正しく設定することは仕事の効率化につながります。
アイゼンハワーマトリックステンプレートを作成この手法は第 34 代アメリカ大統領、ドワイト・D・アイゼンハワー (Dwight David Eisenhower) にちなんで名付けられました。アイゼンハワー大統領は1954年、演説中に無名の大学教授の言葉を引用してこう言ったのです。「私は緊急なものと重要なもの、2 種類の問題を抱えている。緊急なものは重要ではなく、重要なものは決して緊急ではない。」
この言葉を取り入れ、『7 つの習慣』で具体的な手法としてまとめたのが、スティーブン・コヴィー (Stephen Covey) 氏です。急を要することがらに時間を費やしてしまい、本当に重要なタスクに時間を割くことができないという状況は望ましくありません。そうならないようにタスクを管理すべきだというのがこのアイゼンハワーマトリクスの本質で、今ではビジネスにおいて有効なタスクマネジメント手法として人気があります。
記事: 持てる力を最大限発揮するには、終わりを思い描くことから始めようドワイト・D・アイゼンハワー (Dwight D. Eisenhower) は、アメリカ軍 5 つ星元帥として第二次世界大戦で活躍しました。その後ヨーロッパ連合国軍総司令官 (連合軍総司令官) に任命され、イタリアと北アフリカへの進撃やノルマンディー上陸作戦を指揮したことでも知られます。この作戦は、フランスの解放とのちのドイツ降伏をもたらしたことで有名です。また、1950年にはトルーマン氏により NATO 軍最高司令官にも指名されています。その後共和党から大統領選に出馬。第 34 代大統領として、1961年にケネディ氏にポストを譲るまで就任していました。
緊急と重要は似たような言葉に聞こえるかもしれませんが、アイゼンハワーの原則で物事を分析する際、この 2 つの違いは非常に重要です。アイゼンハワーマトリクスで緊急と重要を区別することで、すぐに取りかかるべきタスクや、他のチームメンバーに任せるべきタスクを特定しやすくなります。
緊急タスクとは、早急な対処が必要とされるタスクです。今すぐやる必要があり、特定の時間内でタスクを完了できなかった場合、明確な影響が出るものです。こういったタスクは避けられないものであり、対処が遅れれば遅れるほどストレスの原因となり、燃え尽き症候群につながる可能性もあります。
緊急タスクの例
期限間近のプロジェクトを完了させる
クライアントからの緊急の依頼に対応する
家の壊れた配管を直す
重要タスクとは、必ずしも早急な対処は必要とされないものの、長期的な目標の達成につながるタスクです。緊急性が低いからといって、どうでもいいというわけではありません。リソースを効率的に活用できるように、重要タスクの計画は慎重に行う必要があります。
重要タスクの例:
長期プロジェクトの計画を立てる
顧客基盤を築くための人的ネットワーク形成
定期的な雑用やデータの更新、プロジェクトのメンテナンス
アイゼンハワーマトリクスを実践するための基本となる 4 つの領域を正しく分けるには、緊急タスクと重要タスクの見分け方をよく理解している必要があります。アイゼンハワーの原則である「緊急」と「重要」の違いを今一度理解しましょう。
仕事に役立つオンライン To-Do リストアプリを使って、業務効率化につなげましょう。Asana で進める To-Do リスト管理のメリットをご覧ください。
【タスクを整理して仕事を効率化】オンライン To-Do リストとはTo-Do リストとは、完了すべきことがらを一覧にしたものです。長い To-Do リストを前に、圧倒されてしまうことはありませんか?そんなときは、やるべきタスクを一つひとつ確認して、アイゼンハワーマトリクスの 4 つの領域に分けてみましょう。カテゴリで分けられたタスクを確認することでスケジュール管理がしやすくなり、まず何に取り掛かればいいのか、トッププライオリティはどこにあるのかが明確になります。
1 つ目のアイゼンハワーマトリクスの領域は「やる」の領域です。ここには、緊急かつ重要なタスク、つまり最優先タスクを配置します。To-Do リストに今すぐやる必要があり、長期的な目標にも影響するタスクがあれば、この領域に配置しましょう。
どんなタスクがこの領域に当てはまるのか、おそらく疑問に思うことはないでしょう。きっとすでに頭の中にあって、あなたに一番ストレスを与えているはずです。
2 つ目の領域は「予定する」の領域です。ここには、緊急ではないものの重要なタスクを配置します。このタスクは長期的な目標に影響を与えますが、今すぐやる必要はありません。後でやるためにスケジュールに入れておきましょう。
1 つ目の領域のタスクが終わったらすぐにこの領域のタスクに取りかかります。この領域のタスクのこなし方についてはさまざまなタイムマネジメントのコツがあります。パレートの法則やポモドーロテクニックなどを活用してみましょう。
3 つ目の領域は「任せる」の領域です。ここには、緊急ではあるものの重要ではないタスクを配置します。今やる必要があるが、あなたの長期的な目標には影響しないタスクです。
そのようなタスクには特にこだわりもなく、完了するのに特別なスキルが必要な可能性も低いため、チームの他のメンバーに任せることができます。タスクの委任はワークロードを管理し、チームにスキルアップの機会を与える効率的な手段の一つです。
チームの仕事量を 1 か所で調整・管理すれば、仕事の生産性を上げ、適切な人材を適切なタスクに割り当てることができます。Asana で「仕事量の見える化」を実現しましょう。
チームの仕事量を見える化する方法To-Do リストを最後まで確認して、最初の 3 つの領域にタスクを追加し終えたはずが、まだタスクが少し残っている場合があるかもしれません。その残ったタスクは、緊急でも重要でもないタスクです。
この緊急でも重要でもないタスクは、単純に目標達成の妨げとなります。アイゼンハワーマトリクスを実践する際、こういった To-Do リストに残ったタスクは 4 つ目の「削除する」の領域に配置しましょう。
記事: 「仕事のための仕事」が大切な仕事の妨げとなる理由アイゼンハワーマトリクスの各領域に配置するタスクをよりわかりやすくするために、いくつかタスクの例をご紹介します。
アイゼンハワーマトリクスの第 1 領域に配置するタスクの例:
明日が期限のブログ記事を書く
プロジェクト提案書を完成させる
クライアントからのメールに返信する
アイゼンハワーマトリクスの第 2 領域に配置するタスクの例:
能力開発講座に申し込む
ネットワーキングイベントに参加する
個人的なプロジェクトに改良を加える
アイゼンハワーマトリクスの第 3 領域に配置するタスクの例:
ブログ記事をアップロードする
会議のメモを書き起こす
クライアント以外からのメールを処理する
アイゼンハワーマトリクスの第 4 領域に配置するタスクの例:
仕事のための仕事
進捗報告会議に参加する
タスクの承認状況を共有する
先述のとおり、時と場所に合った手法でタスクに取り組めるように、仕事とプライベートのマトリクスは分けることが理想的です。
緊急性と重要性の違いを理解するにはアイゼンハワーマトリクスが最適ですが、なかなか優先順位が付けられないという方のために、タスクを各領域に分別する際に考慮すべきポイントと優先順位付けのコツをご紹介します。
タスクの色分けは優先度の高いタスクの視覚化に役立ちます。To-Do リストツールでタスクを確認していく際に、優先度に基づいて、たとえば以下のように 4 つの色でタスクを色分けしてみましょう。
緑色 = 最も優先度の高いタスク
黄色 = 2 番目に優先度の高いタスク
青色 = 3 番目に優先度の高いタスク
赤色 = 優先度の低いタスク
タスクを色で分けることができれば、その色をそのままアイゼンハワーマトリクスに変換できます。緑色のタスクは第 1 領域の「やる」タスク、黄色のタスクは第 2 領域の「予定する」タスク、青色のタスクは第 3 領域の「任せる」タスク、そして赤色のタスクが第 4 領域の「削除する」タスクです。
To-Do リストとは「いつかするべきこと」を一覧にしたものなので、そこには多くのタスクがあるでしょう。そこで、タスクの優先順位を付けるコツとして、各領域のタスクを 10 個までに制限してみてください。そうすることでアイゼンハワーマトリクスが整然とし、混乱してしまうのを防ぐことができます。
マトリクスを複数作ることも可能ですが、タスクリストを必要なアクションアイテムだけに絞ることで、時間を無駄にすることなく優先順位付けに取りかかることができます。
仕事が進まないのに疲れていますか?GTD メソッドの 5 つのステップをマスターしましょう。アイゼンハワーマトリクスのタスク数を減らすもう一つの方法として、個人の To-Do リストと仕事の To-Do リストを分けて作成する方法があります。
仕事関連のタスクと個人のタスクでは、スケジュールやリソース、手法が異なり、おそらく思考プロセスも異なります。個人の目標と仕事の目標をうまく管理するためには、この 2 つは分けて取り組む必要があります。個人の To-Do とは何か、仕事での To-Do とは何かを考えながら、リストを作ってみてください。
まず不必要なタスクを排除することで、効果的に優先順位を付けましょう。この戦略をとる場合は、第 1、第 2、第 3 領域と進む前にまず第 4 領域から着手します。
To-Do リストにざっと目を通して、必要のないタスクがないかチェックしましょう。
実際、私たちの時間の 60% はタスクの承認状況の共有、情報のフォローアップなど「仕事のための仕事」に費やされています。アイゼンハワーマトリクスは、そういった削れるタスクを特定するのにとても有効です。削除することで優先順位付けのスピードも速くなり、さらに最終段階でもう一度タスクを減らすことになるはずです。
Asana の OKR 設定作戦ブック (無料)
タスク管理に有効な手法、アイゼンハワーマトリクスについてまとめました。タスクに追われる現状を打破したい人や、プロジェクトの円滑な進行に手こずるチームリーダーにおすすめの手法です。この記事で紹介した 4 つの領域やタスクの分類方法を理解し、仕事の効率化に役立ててください。
To-Do リストの分別はアイゼンハワーマトリクスを作る上での最大の難関ですが、自動化すれば手動で分別する必要がなくなります。仕事をさらに効率的に行えるよう、タスク管理ソフトウェアの使用を検討してみましょう。タスク管理ソフトウェアなら、タスクをカテゴリや色で分け、チームにタスクを委任できます。システム化されたアイゼンハワーマトリクスで生産性を上げて、いち早く目標を達成しましょう。
仕事を円滑に進めるには、SaaS型ワークマネジメントソフトウェアが効果的です。WBS 作成や工数管理もできる Asana なら、すべての仕事を 1 か所に整理できるから、業務効率が向上します。
ワークマネジメントツール Asana とは?