効果的な製品概要の書き方 (テンプレート付き)

Asana チーム 寄稿者の画像Team Asana
2024年2月10日
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概要

製品概要は、チーム内のコミュニケーションを促進する社内ドキュメントです。製品戦略を整理し、タイムラインを仕上げ、製品の詳細をまとめるのに便利です。効果的な製品概要の書き方について学び、Asana の製品概要テンプレートをお試しください。

製品リリースを成功させるカギは、チームのコミュニケーションにあります。製品戦略を立て、製品の目標を定義し、製品開発を進めるには、チームメンバーがお互いに協力し合う必要があります。そこで、チームメンバーと関係者に共通認識を持たせる手段の 1 つに製品概要というものがあります。

プロジェクト概要と似ていますが、製品概要は、製品プランの最も重要な要素を明確かつ簡潔にまとめたガイドです。このドキュメントはリファレンスとしてはもちろん、一貫性の維持や製品の改善にも役立ちます。

製品概要とは?

[インラインのイラスト] 製品概要とは (インフォグラフィック)

製品概要は、製品のスコープ、目標、方向性をまとめたものです。製品概要はとてもカスタマイズしやすく、アイデアをまとめ、アプローチの仕方を決定し、製品の開発プロセスを進めていくのに役立ちます。

製品概要は、誰がどんな場面で使うものか?

通常、製品概要は、製品開発の計画段階でプロダクトマネージャーによって作成され、プロジェクトの参加メンバーに問題や解決策を伝えるのに便利です。また、製品チームが作成する製品について認識を合わせるのにも便利です。

問題: メンバーが職場で集中できない。

解決策: 仕事の邪魔になるものを制限するソフトウェアを制作する。

製品概要: 製品チームは対象の製品を使って何を達成したいのか、どのような製品にするのか、またどのような制作段階を設けるのか、といった内容をまとめる。

製品概要は、技術書でも、ビジネスケースでもありません。すべての答えを出すものでもありません。また、プロセスの早い段階で作成するものなので、変更を加えることができます。製品概要は、プロジェクトの参加メンバー全員に初期計画を伝え、それを基に全員の認識を合わせ、意思決定プロセスを改善し、時間の浪費を減らす目的で使うものです。

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製品概要を使用するメリット

製品概要は、製品開発プロセスに関わる部門横断チームをつなげる、いわば接着剤のようなものです。この文書は、製品チームからプロダクト (製品) マーケティングチームのエグゼクティブにいたる、すべての関係者が製品のライフサイクルを通していつでも参照できる、唯一の信頼できる情報源となります。

  • 透明性が生まれる: 共通の目標を目指して他のメンバーと協力し合うときは、情報が明確であればあるほどプラスに働きます。製品概要を使うと、要件やデザイン、料金といった、製品に関する重大な情報をまとめられるため、透明性が生まれます。

  • エラーが減る: メンバー全員が共通の目標と各々の役割を理解していると、製品開発中にミスが発生するリスクが軽減されます。製品概要は、チームが共通認識を維持するために参照できる便利なドキュメントです。

  • 作業効率が高まる: 作業内容をしっかりと把握しているチームは、すばやく目標を達成できます。製品概要があると、再確認に時間を浪費することなく、メンバー全員がゴールを目指して集中できます。

簡潔にまとめた計画をメンバーと共有できれば、チームはコラボレーションしやすくなり、またお互いを理解し合えます。

製品概要作成の 7 つのステップ

製品概要は、今後の開発の流れを定義するために、製品開発の最初の段階で作成します。しかし製品概要は常に更新され続ける文書であるため、おそらく製品計画プロセスが完了するまでは完成しないでしょう。

製品概要を作成する際は包括的な文書を仕上げることを目指すのではなく、関係者の照準を合わせ、チームが信頼できる唯一の情報源を作り上げ、質問が出てきたら、その都度対応していく機会として製品概要作成のプロセスを活用しましょう。

[インラインのイラスト] 製品概要の書き方 (インフォグラフィック)

製品概要は、いつも特定の順序で書くとは限りません。たとえば、製品名は通常、基本的な疑問をはっきりさせてから一番最後に決定します。以下のステップは、製品概要の最初の下書きの作成手順を最初から最後まで説明したものです。

1. 問題を特定する

製品概要を作成する最初のステップは、解決したい問題を明確に特定することです。そうすると、これから作る製品と解決策の土台が出来上がります。このディスカバリーフェーズでは、以下の点について検討します。

  • ターゲットオーディエンスのニーズは何か?

  • どうすれば製品でそのニーズを満たせるか?

  • 最終的には何を達成することを目指すべきか?

まず最初にこうした点をはっきりさせると、自分の製品の重要なポイントとオーディエンスを最適にサポートするために必要な機能がすぐに分かります。しかし、製品概要のすべての要素について言えることですが、この特定作業は製品開発チームのためだけに行うものではありません。問題を特定することで、他のチームもこの製品概要の価値を理解しやすくなります。たとえば、マーケティングチームは、この情報を使って適切に製品を位置付けることができます。また、セールスチームは、その製品を使えば仕事が楽になる理由を説明できれば、より簡単に製品を販売できるようになるでしょう。

2. 製品の要件を定義する

製品が解決する必要のある具体的なニーズがわかったら、製品チームと協力し合って製品の要件を定義します。製品の要件が定義されていると、製品が構造化されるだけでなく、他のメンバーが製品を想像しやすくなります。要件としては、以下のようなものが考えられます。

製品の機能や仕様では、その製品がどのように機能するのか、またそのように機能するには何が必要かを説明します。たとえば、携帯電話には人に電話をかけられるという機能があり、内部スピーカーは、その機能を実現させる仕様となります。

製品の仕様を補足し、製品概要を理解しやすくする目的で、ユーザーストーリーも追加します。ユーザーストーリーとは、製品の仕様をエンドユーザーの視点から非技術的に説明したものです。

3. 製品の背景情報を説明する

製品の要件を特定した後は、製品の背景情報を説明します。ユーザー調査を行って競合他社を分析し、オーディエンスを定義し、製品の価格を見積ります。

競合他社を分析する

競合相手となる企業と、ターゲット市場における各企業の位置づけを評価します。競合分析を行うと、市場に存在する他の製品と自社製品の違いや、製品デザインや制作で取り入れられるユニークな手段などを見極めやすくなります。

オーディエンスを定義する

理想的な顧客のペルソナを作り、製品を購入する人を明確にします。たとえば、データアプリケーションを開発している場合は、DevOps チームのリーダーやプロジェクトマネージャーが理想的なターゲットオーディエンスとなるでしょう。チームが見込み顧客を把握できるようにすれば、チームはエンドユーザーを意識しながら開発プロセスを進めることできます。

価格を見積もる

製品そのものに関する詳細がすべて揃ったところで、今度は価格設定について考えます。選択する価格によって製品やブランドのイメージが変わる可能性があるため、それを考慮しながら発信するメッセージを決定します。価格設定には、定額制やランクシステム、無料トライアルなど、さまざまな選択肢があります。このカテゴリーについては、マーケティングチームやセールスチームのアドバイスも役立ちますが、製品の製造コストや市場にある類似の製品の販売価格などについては、製品チームが一番よく把握しているでしょう。

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4. 疑問点を明確にする

製品概要の肝心な要素の 1 つに、まだ答えを出せない疑問を特定するということがあります。製品チームには、製品そのものと制作方法を決定する権限がありますが、チーム外の意見を要する質問もよく出てきます。そうした疑問を製品概要の中で特定しておけば、ディスカバリーフェーズの中で答えを出すことができます。

疑問は、以下のようなものが考えられます。

  • 製品名は?

  • いつ製品をリリースするか?

  • 製品のリスクはどのようなものがあるか?

  • 他の製品と違う点は?

  • 実用最小限の製品 (MVP) に含まれる仕様は?

  • 必須の仕様と、あるといい仕様は?

今このすべての疑問に答えられなくても、心配はいりません。こうした疑問は、他部門の関係者とコラボレーションを行い、時間をかけてアイデアを固めていく中で答えを出していきます。たとえば、プロトタイプが出来上がると、状況が変わり、もっと明確になるかもしれません。製品概要の中で疑問を明確にしておくことで、最終目標を達成するためにどんな疑問に答える必要があるのかわかります。

5. タイムラインを作成する

製品計画のこの早い段階でタイムラインを作成するのは、容易なことではありませんが、見積りだけでもあれば、関係者が製品のスコープをイメージするのに役立ちます。

タイムラインは、開発計画が完成する頃には変わっている場合がありますが、どのような段階を踏んで行くのか、また製品を完成させるために、チームメンバーはどのようなタスクを完了させる必要があるのかを大まかに把握しておきます。

記事: 7 つの簡単なステップでプロジェクトタイムラインを作成する方法

6. 製品に名前を付ける

開発プロセス中には、製品に社内用の名前を付けます。これは準備段階の通称で、後から変更してもかまいません。リリースの準備が整ったときに、プロダクトマーケティングチームが製品名を最終決定するとよいでしょう。

製品名を支えるタグラインについても考えましょう。このタグラインには、数文字または製品をより詳しく説明する短い文を使います。製品の名前が「DataApp」であれば、タグラインは「アプリケーション監視ツール」などが考えられます。このタグラインは、製品チームが製品の目的を理解する上で便利ですが、最終的な顧客向け資料はマーケティングチームが担当します。

7. 共有して改善する

製品概要が完成したと感じられる時点で、他のメンバーと共有して、一緒に改善できる要素を見つけます。

部門横断チームと共有する

製品概要を部門横断チームおよびプロジェクトスポンサーと共有して、最初のフィードバックを得ます。このメンバーはおそらく製品概要の作成に参加しているため、文書を経営陣に提出してレビューを受ける前に、文書の改善を手伝ってくれるでしょう。

製品チーム全体と共有する

必要な改善を加えたら、キックオフミーティングの場で製品概要を製品チーム全体と共有します。この文書はメンバーが頻繁に参照し、常に更新され続けるものなので、ワークマネジメントシステムのようなツールを使って簡単にアクセスできるようしておく必要があります。

記事: チームのワークフローを改善する 5 つのプロジェクト管理フェーズ

製品概要のテンプレート

製品概要の作成に取りかかりやすいように、製品計画の主要な要素が含まれた製品概要のテンプレートを用意しました。各項目に入力して、包括的な製品概要を作成しましょう。

製品概要の無料テンプレート

製品概要を書くためのヒント

製品概要テンプレートの構造を理解したところで、今度は製品概要を効果的に書くことに集中します。以下のヒントを活かして、次の製品概要を最高のものに仕上げましょう。

  • 理解しやすい内容にする: 画像や箇条書き、図表、グラフなどを使って、複雑なアイデアや製品の仕様をかみ砕きます。製品概要は、使いやすく、読みやすくなるように、3 ページ以内で仕上げましょう。

  • 質問文を使って各項目を説明する: テンプレートの各項目では質問文と回答を使って製品概要を組み立てます。製品概要は、プロジェクトに参加するすべての関係者にとって理解しやすい内容でなければいけません。

  • 更新可能な文書にする: 製品概要は、製品に仕様を加えたり、アプローチを変えたりすると、その内容が変更されたり、方向性が変わったりします。更新可能な文書があれば、プロジェクトを進めながら項目を追加したり、削除したりできます。

製品概要が読みやすく、誰にでもアクセスできるものであれば、チーム内のコラボレーションとコミュニケーションが改善されます。

次回のリリースにテンプレートを活用しましょう

製品概要のテンプレートを使用すると、検討段階からリリースにいたるまで、製品開発の作業を楽に進めることができます。ワークマネジメントソフトウェアと組み合わせて使えば、関係者がどこにいても文書を共有できるほか、内容が確定したら、そのままアクションに移せます。メンバー全員がプロジェクトの方向性と達成方法を把握できるよう、製品概要の作成は Asana で計画しましょう。

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