ハイパフォーマンスチームのためのグループ規範作成のコツと、Asana のマネージャー 7 名の実例

寄稿者 Julia Martins の顔写真Julia Martins2021年6月17日00
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あなたが道化師の衣装で会議に現れたら、何が起こるでしょうか?または、コンピューターの通知音をすべて猫の鳴き声に変えたら、チームはどのように反応するでしょうか?

このような行動は、会社の方針で明示的に禁じられてはいないものの、チームメイトは驚きを見せるかもしれません。なぜなら、グループ規範が存在するからです。グループ規範とは、文書に書いたことがなくても、チームが従う暗黙の基本ルールです。グループ規範はグループの行動を形成し、たとえば一般的に受け入れられている服装に関する不文律など、詳細な事柄も含みます。

通常、グループ規範は、正式に定義されていない黙示的なものなので、これまでその存在を特に意識したことはないかもしれません。意図的にグループ規範を作成すれば、チームのコラボレーションを向上させ、効率性を高め、効果を最大化できます。

グループ規範とは?

グループ規範とは、チームメンバーが関わり合い、効果的にコラボレーションを行い、効率的に仕事をする方法の指針となる明示的または黙示的なルールです。通常、グループ規範は、文書に記載されません。その代わり、企業文化に根差した基本ルールにより導かれ、黙示的に合意されるルールや行動基準から成ります。これらの黙示的な価値観は、チームメンバーの意思決定仕事におけるコミュニケーション、そして対立解決にさえも影響を及ぼし、それらの実践方法を形成します。

これまで意識的にグループ規範を作成したことがなくても、それを体験したことは必ずあるはずです。友人グループ、非公式のグループ、作業グループなど、あらゆる種類のグループは、意識していなくても、一連のグループ規範を作成し、長期にわたりそれを磨き上げています。

この記事では、作業グループの規範に焦点を当て、チームの規範を導き、それを形成する方法を紹介します。過去に一緒に仕事をしたことがない真新しいグループを築いている場合以外は、以下の例のようなグループ規範がいくつかすでに確立されているかもしれません。

  • グループが使用するコミュニケーションツールやプロジェクト管理ツール

  • グループが対立を解決したり、困難に対処したりする方法

  • グループメンバーが通常関わり合う方法 (公式、非公式の双方)

  • グループメンバーの会議への遅刻がどの程度許容されるか

グループ規範を明確に特定し、先を見越して形成すれば、ハイパフォーマンスチームを築き、強化し、新しいレベルに導けます。

グループ規範が大切な理由とは?

ポジティブなグループ規範は、日常において物事が正常であるという安心感と安定感をチームメンバーに与えます。グループ規範は、黙示的な (または定義された) 共通する価値観のシステムを生み出し、それによりチームメンバーの力を最大限に引き出します。不確実性に起因する不安やストレスをなくすことで、チームメンバーはより効果的にコラボレーションを行い、仕事のインパクトを高められます。

チームメンバーがグループ規範を持ち、それを理解していれば、自分に何が期待されているのかを把握し、それに基づいて仕事を実行できます。プロジェクトの優先度を把握すればインパクトが最も大きい仕事に集中できるのと同様に、チームの期待内容を理解すれば最も効果的なコラボレーションを実現できるのです。

また、グループ規範はより意識的に時間を使うためにも役立ちます。一番重要なタスクではなく、仕事のための仕事に時間を使いすぎる傾向はよく見られます。つまり、意図する目標と、実際に意識を向けている雑務とが異なる状況が、誰しもよくあります。グループ規範は、チームメンバーの関わり合い方を明確に定義することで、会議の慣行やコミュニケーション方法をシンプルにします。こういった暗黙のルールを明示的にし、チーム全体の方針とすれば、チームメンバーは自分に求められているものを推測する必要がなく、結果として仕事の効果を高められます。

さらに、グループ規範には以下のメリットがあります。

  • 意思決定に参加できることにより、自分たちがチームの一員であるという帰属意識がチームメンバーの間で培われます。

  • チーム内の物事の進め方と個々のメンバーの役割について、全員の認識が一致しているため、信頼感が高まります。

  • どう行動すべきなのかが常に不確かな状態から簡単に予測できる状態に変わるため、チームワークを向上できます。

  • コミュニケーションのスタイルについてチーム全体の方針を確立することで、社会的手抜きと見なされるコミュニケーションを減らせます。

記事: マネージャー向けコミュニケーションスタイルガイド

よいグループ規範により健全なグループダイナミクスを築く方法

グループ規範は、健全なグループ、そして効果的なグループダイナミクスの土台となります。

グループダイナミクスとは?

グループダイナミクスとは、一緒に仕事をする人々から成る集団における関わり合い、態度、行動を指します。

ブルース・タックマンは、1965年に発表した Tuckman's stages of group development (タックマンのグループ形成段階) という理論で、グループ形成の仕組みについて初めて説明しました。その中でタックマンは、グループの形成には、形成期 (Forming)、混乱期 (Storming)、統一期 (Norming)、機能期 (Performing)、散会期 (Adjourning) の 5 つの段階があると述べています。

グループの発達の 5 段階の内、グループにおいて規範が自然に生じるのは、形成期においてです。しかし、明確なガイダンスとリーダーシップなくしては、個々のメンバーがそれぞれ勝手に自分がつくりたいグループ規範をつくることは必至です。逆に、最初からチームのグループ規範を設ければ、グループの団結を実現できます。

記事: 優れたチームダイナミクスの秘密

ハイパフォーマンスチームにおけるグループ規範の実例

あらゆるチームには、そのチーム独自のグループ規範があり、通常その内容は文書に書かれてはいません。しかし、もしあえて規範のリストを書き出すなら、たとえば以下のような項目を含められます。

  1. すべての会議に向けて会議の議題を作成することにより、会議の際にメンバーが時間通りに準備が整った状態で集合できるようにする。

  2. チームメンバーが各自の To-Do リストを共有のワークマネジメントツールで追跡することにより、誰が何をいつまでに行っているのかが全員に対し可視化されます。

  3. チームメンバーが仕事に関するコミュニケーションを Asana や Slack などの共有ツールで行うことにより、全員が必要な情報にアクセスできるようにします。チームは、透明性、可視性、グループ内の議論をできる限り優先します。

  4. チームメンバーは、毎週月曜日に仕事の優先度を共有します。そして新しい仕事が発生した場合には、一番重要な仕事を確実に完了できるよう期日を調整する権限を持ちます (その際には、プロジェクトの締め切りやローンチも考慮します)。チームメンバーがインパクトが高い仕事を把握し、優先付けられるよう、仕事やプロジェクトを個々の KPI またはチームや会社の OKR に連動させます。

  5. グループメンバーは、相手がポジティブな意図を持っている前提で行動し、意見の不一致が発生した場合には、定められている対立解決戦略を使って積極的に対処します。

  6. チームメンバーは、明確で迅速な意思決定を優先します。必要に応じて、意思決定マトリクスまたは問題解決戦略を使用します。

  7. グループメンバーは、関係者への情報共有をプロジェクトの早期段階から行うために最善を尽くします。そのために、RACI 図を使用して、仕事の主要な関係者を特定し、全員の足並みを揃えます。

  8. グループリーダーとチームリーダーは、ワークライフバランスを保ち、燃え尽きを防ぐために、先を見越したリソースの割り当てを行います。

  9. グループメンバーは、Asana などの信頼できる唯一の情報源を使って共有されるプロジェクトのステータス更新を通じて最新情報を把握します。

  10. グループメンバーは、フロー状態を最大限に引き出し各自の生産性を高めるために、タイムブロッキングを使ってカレンダーに集中タイムをスケジュールします。

Asana のマネージャー 7 人が意識的にグループ規範を築く方法

チームにとってグループ規範は、会社にとっての組織文化に相当します。意識的にグループ規範を確立しなければ、時の経過とともに規範が自然と生じますが、それは必ずしも求める姿では現れません。

意識的なグループ規範には、効果的なチーム作りのための活動がそうであるのと同様に、グループを率いる優れたリーダーが必要です。成功事例として、Asana の 7 人のチームリーダーに、グループ規範を長期的に築き上げた方法について尋ねました。以下にその内容を紹介します。

Asana プロダクトマネージャー Tony Chang

定期ミーティングを開始する際には、まず各チームメンバーの心の状態をチェックするために、今の気持ちを赤、黄、緑から選んでもらい、その理由が仕事に関係があることでも、仕事に無関係なことでも、3 色を使って共有してもらっています。毎回これを行うことで、透明性とコンテクスト (言葉の背後にあるものの汲み取り) を確立した状態でミーティングを開始できるため、相互のコミュニケーションと理解を深められます。

Asana ユーザーオペレーションマネージャー Sinéad (Nade) Nic Eoin

  1. 共感力とありのままの自分を生かすリーダーシップ。チームにおけるマネージャーの役割は、共感力を持って 1on1 ミーティングや会話に臨むことにより、模範となるリーダーシップを取ることです。マネージャーは、チームメンバーとのすべての会話において、相手の職場以外の生活に対しても理解を深めるよう努めます。

  2. 毎日チームハドル (簡単な打ち合わせ) でオープンな話し合いを行う。当チームでは、お客様が経験するバグや問題について最新状況のアップデートを行うために、毎日ハドルを実施しています。このミーティングは、チームが 1 つになって知識を共有し、絆を深める場となるため、1 日の中でも特に重要な時間です。

  3. 相手がよい意図を持っているという前提で行動する。ユーザーオペレーションチームでは、すべての関わり合いにおいて、相手がよい意図を持っているという前提で対応しています。これにより、共に仕事をしっかり完了しつつ、課題の解決策を見出すために行うべきことを一緒に考えられます。

  4. ミーティングにおける安全な沈黙。私たちは、沈黙を恐れないことを心がけています。思いや考えを整理したり、発言する勇気を出すために、ちょっと長めに間を置くことが必要なときが誰しもあるからです。

  5. 敬意を持って傾聴する。私たちは、他者の話を中断する行為が会話を阻むことを認識しています。当チームでは、誰かが話したり、フィードバックやアイデアを共有したりしている最中には、完全に耳を傾けるというグループ規範を設けています。

記事: Asana のリーダーに聞く、模範となるリーダーシップの取り方

Asana ブランドデザイン Greg Dodds

私たちは、オープンで積極的なフィードバックの文化を実践しており、特にデザイン検討会議ではこれを重視しています。チームメンバーは、制作プロセスのいかなる段階においても作品を会議で共有し、チームのサポートを受けられます。周りとの関わりが断たれた状態では創造性を発揮しにくくなります。そのため、立ったままで行うデザイン検討会議の慣行を持つことで、どのような状態の作品でも気軽にチームと共有し、他のメンバーから新鮮な提案やフィードバックをもらえる安全な場をつくっています。

Asana ローカリゼーションマネージャー Ariel Tavares Grilo

  1. プライオリティに集中し、アップデートを共有し、コラボレーションに基づく方法で問題解決を行う場として、私は毎週チームミーティングをスケジューリングしています。必要に応じて、チームメイトに対して建設的なフィードバックを行うためにその時間を活用することも、チームに対して奨励しています。

  2. また、責任やタスクの作業内容に対する各個人の関心の高さに基づき、担当者の変更を頻繁に実施しています。それにより、全員がそれぞれ一番関心を持てる活動に注力でき、結果としてチームのモチベーションを維持できます。

  3. 当チームの柱となっている理念は他者への敬意です。その結果、チームとしての関係づくりと他のチームとの関わり合いを非常に敬意に満ちた形で行ってきました。これを実践することは、健全な仕事環境を培う上で、決定的なカギとなります。

Asana 広報・アナリストリレーションズ担当部長 Erin Cheng

当チームでは、本当の自分と向き合い、他者にもありのままの自分を見せるという Asana の価値観を大切にしています。私たちはこの自宅勤務の期間中にチームづくりを行ってきたため、これまで対面での集まりを持ったことはありません。そのため、仕事の内外で対処していることがあれば、ありのままの自分としっかり向き合った上でそれを共有できることが、なおさら大事です。

毎週チームのステータス共有会議では、すぐに議題に飛び込むのではなく、冒頭で必ずまず「どんな調子ですか?」「気分はどうですか?」と尋ねています。それにより、チームメンバーが仕事の内外で悩んでいることがあれば、それを共有できる場をつくれるばかりでなく、目先のタスクに限定されない安全な環境と継続的な会話を育めます。

また、各自が仕事に使える時間と使えない時間を明示するという点では、完全な明確さを目指すことに徹しています。私は自宅に歩き始めたばかりの子供がいるので、就寝後または週末子供が昼寝している間に集中してたまった仕事を片付けることがよくあります。その時間帯が自分にとては最も都合がよいものの、他のチームメンバーに対しては、その時間帯にオンライン状態であることや返信できる状態であることは、一切求めていないことを明確にチームに伝えています。全員が息抜きできる時間を持つことが必要不可欠です。

時間外のコミュニケーションや返信に関して、期待内容とグループ規範を明確に定めることで、全員が休息と充電の時間を取れ、自分のマネージャーがオンラインだからといってプレッシャーを感じることも防げます。

Asana マーケティング分析担当部長 Sonya Chu

リモートワークへの切り替え後の Slack の使用に関する規範

チームが当初リモートワークに切り替わったとき、真新しいチームワークの形態を皆がゼロから学ぶ必要性が突然生じました。その上、チームメンバーとの既存の強い関係をまだ持っていない新メンバーも加わったことにより、さらに複雑な状況となりました。そこで、既存のルールを無理に当てはめるのではなく、不安に感じていることやチームとして確立したい規範について皆が共有するグループ活動をチームの取り組みとして位置づけました。

たとえば、簡単な質問があれば、仲間に声をかけて尋ねられるという感覚を維持することが大切だという考えでまとまりました。しかし一方で、フロー状態で集中して仕事に打ち込める時間を十分に長く確保することも重要でした。その上で、コミュニケーション不足よりもコミュニケーションを取り過ぎる方に偏ってもよいということをチームとして決定したため、いつでも誰に対してでも Slack でコミュニケーションを取ってよいという結論に至りました。ただし、各自が自分の Slack 通知を管理し、自分にとって最も都合がよいときに返信をするという共通の理解をその前提としました。

記事: 仕事でフロー状態を活用する 6 つのコツ

愚かな質問をすること

自分の仕事について他のアナリストに頻繁にフィードバックを依頼でき、かつそのサポートを得られると感じている状況下では、アナリストがより質の高い仕事をより速く達成できるというのが、これまでの経験から得た知識です。マーケティング分析チームのメンバーは、とても話しやすく、面倒見がよい人ばかりなのですが、私たち全員がリモートワークの状況であった上、比較的新しいメンバーが多数いたので、互いに気軽に質問しにくいことがよくありました。特に、質問すべき相手がわからない場合があったことに加え、チーム全体への正式なお知らせに使用しているチームのチャンネルで尋ねるのは不安で、不適切に思えるとアナリストたちは感じていたのです。

そんな中で、あるアナリストが素晴らしいアイデアを提案しました。安心して質問できる場を設けるために、文字通り「愚かな質問」という Slack チャンネルを作成するという案です。現実には、ほとんどの質問はまったく愚かではないのですが、「愚かな質問」の専用のスペースができたことが、質問したことによりネガティブな目で見られるのではないかという不安から皆を本当に解放する効果がありました。そのことに加え、先輩アナリストたちや私が、見本を行動で示すために自ら「愚かな質問」をしたことも、質問が必ず奨励されるものだという意識を植え付けるために役立ちました。

Asana Japan マーケティングリード 内野 彰

チームの仕事や個人の仕事を見える化し把握すること、これがとても重要な最初のステップです。仕事の見える化を追求することで、各チームメンバーがベストな仕事の環境を作っていくことにつながってくるからです。 私の重要な仕事は、チームメンバーが自分の能力を発揮できるように促し支援していくことです。その理解によって、各メンバー自らが目指すべきビジョンを持つことができ、各人がどのように到達できるのか考えられるのです。このように彼らが次のステップに進むべき方向を共に考えながら、日本のマーケティングチーム全体が成長できるようサポートしていくのです。

チームに投資する

グループ規範を築くことは時間を要しますが、そのために時間を投資することはチームに投資することを意味します。明確なグループ規範は、不確実性をなくし、チームメンバーにとって自分に求められていることは何かを明確にします。それにより、全員が成功に向けて足並みを揃え、新しいメンバーも初日から勢いよくスタートを切れます。

グループの力を引き出し、素晴らしいチームワークを築く秘訣についてもっと知るには、チームによるコラボレーションの効率をアップさせる 10 個の簡単な手順をお読みください。

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