ビジネス要件定義書とは?記載項目や書き方、テンプレートを紹介

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2024年8月27日
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概要

ビジネス要件定義書 (Business Requirements Document、BRD) とは、新しいプロジェクトを成功させるために必要なものすべてを書き出したレポートのことを言います。しかし毎回ゼロから作成していては非効率的です。テンプレートを作成して、効率性を上げましょう。ビジネス要件定義書のテンプレートには、関係者に明確性とコンテキストを提示するため、7 つの重要要素を組み込む必要があります。この記事では、ビジネス要件定義書のテンプレートがプロジェクトの成功可能性を高める背景を解説します。

更新: この記事は、ビジネス要件とシステム要件の違いに関する情報を含め、2024年 8月に改訂されました。

プロジェクトには、同時に進行するさまざまな要素があります。プロジェクトでよい成果を上げるには、こういった要素をすべて適切なタイミングで、適切な場所にまとめなくてはなりません。ジグソーパズルを組み立てるときと同じで、パズルの箱にある完成形の写真を見ながら完成を目指すことが、成功のカギとなります。

ビジネス要件定義書 (BRD) は、パズルの箱の写真のようなものです。プロジェクトに伴うすべての事柄をまとめ、プロジェクトを成功させるためには何が必要なのか、ステークホルダーが理解できるようにします。この記事では、ビジネス要件定義書のテンプレートを作る上での重要要素と、ビジネス要件定義書をオンラインのソフトウェアで共有するメリットもご紹介します。

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ビジネス要件定義書 (BRD) とは?

ビジネス要件定義書とは、新しいプロジェクトの成功に必要なものの詳細を書き出したレポートです。この文書ではプロジェクト目標や、プロジェクトライフサイクル中に期待される事柄、プロジェクト達成に必要なものなどがまとめられます。

ビジネス要件とシステム要件の違い

ビジネス要件とシステム要件は異なるもので、一般的に「要件定義書」と言うと、IT チームやシステム開発部のエンジニアが作成するシステム要件定義書を指すことが多くなっています。

ビジネス要件は、ビジネスまたはプロジェクト上の目標や目的を達成するために必要な要素や条件を指します。企業が何を達成したいのか、何を解決しようとしているのか、顧客の課題やニーズに焦点を当てたものです。一方のシステム要件とは、ビジネス要件を満たすために必要な機能や性能を具体的に示したものです。技術的な側面に焦点が当たっているため、業務担当者へのヒアリングなどを適切に行い作成しなければなりません。

ビジネス要件定義書の構成要素

ビジネス要件定義書には、以下 7 つの要素が含まれます。

これらの詳細をまとめることによって、ビジネス要件定義書を読めばそれがどんなプロジェクトなのか、何をどう達成しようとしているのか、はっきりと理解できるようになります。


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ビジネス要件定義書の書き方

ビジネス要件定義書にはプロジェクトの詳細を書く必要がある一方で、内容を簡潔にとどめる必要もあります。ビジネス要件定義書の作成時は、読者にできるだけ少ない言葉で、できるだけ多くの情報を与えることを考慮に入れます。

ビジネス要件定義書の要素

プロジェクトに関わるステークホルダーから、プロジェクトを承認する経営層、プロジェクトの最終的な成果の影響を受けるクライアントまで、ビジネス要件定義書は多くの人に読まれます。ここでは、先ほどご紹介した 7 つの要素それぞれについて、記述するときのポイントを解説します。

1. エグゼクティブサマリー

エグゼクティブサマリーとは、プロジェクトの概要と目的を大まかにまとめたものです。ビジネス要件定義書の全文を読む時間がない人も、エグゼクティブサマリーを読めば、そのプロジェクトによって何を達成しようとしているのか把握できます。

エグゼクティブサマリーはビジネス要件定義書の冒頭に書かれるものですが、書く順番としては他の要素をすべて書き終わってから書くのがよいでしょう。そうすることで、すべての内容を見直してから、包括的なエグゼクティブサマリーを書くことができます。

記事: エグゼクティブサマリーの書き方 (実例付)

2. プロジェクト目標

プロジェクト目標とは、そのプロジェクトを実行に移すことによって達成したいビジネス目標のことです。どんな仕事も、始める前にプロジェクト目標を明確にし、それを使って進捗状況を測定できるようにしましょう。

プロジェクト目標は SMART 目標の書き方に従って設定しましょう。SMART とは、

  • Specific (具体的)

  • Measurable (測定可能)

  • Achievable (達成可能)

  • Realistic (現実的)

  • Time-bound (期限がある)

の頭文字を取ったものです。プロジェクト目標の達成状況を測定することで、目標達成のためにワークフローを調整する必要があるかどうか判断できます。たとえば、目標が「顧客ベースの 10% 拡大」だった場合、四半期が終わるころに数値を確認すれば、目標を達成できたかどうか明確に把握できます。そしてそれまでに取ってきたアクションを振り返れば、何が原因で達成に至らなかったのか判断できるはずです。


毎日の仕事とプロジェクト目標のつながりを明確にすれば、パフォーマンスは向上します。Asana なら、各指標の達成度や達成状況を一目で把握し、チーム全体でシェアすることも可能です。

効果的な目標を設定する方法

3. プロジェクトスコープ

プロジェクトスコープは、ビジネス要件定義書において、プロジェクトの範囲を明確にする役割を持ちます。プロジェクトスコープを定義することで、全員が共通認識を持ち、スコープクリープを防ぐことができます。スコープクリープとは、プロジェクトが予定していた範囲を超えて拡大してしまい、コントロールが難しくなることを言います。

プロジェクトスコープでは、以下の点について要約します。

また、プロジェクト対象外のリストや、ビジネスプロセスやリスクの高い戦略など、そのプロジェクトに取り組むにあたり、避けてほしい特定の事柄に関するリストを作成してもよいでしょう。

4. ビジネス要件

ビジネス要件は、ビジネス要件定義書テンプレートのメインとなる要素です。この項目では、プロジェクトの達成に必要なアクションをリストアップします。プロジェクトの複雑さによって、ビジネス要件の数は数個に収まることもあれば、多くなる場合もあるでしょう。

各要件はリストアップして説明するだけでなく、優先順位と重要度のランク付けをしましょう。そうすることで、読者はどの要件に優先して取り組むべきか把握できます。

たとえば、要件の 1 つが「ウェブサイトのコーディング」であった場合、これを最優先とし、重要度も「高」でランク付けしましょう。ウェブサイトのコーディングが完了するまでは、他の要件を完了させていく根拠がないためです。

5. 主なステークホルダー

プロジェクトのステークホルダー (関係者) には、プロジェクトに関与するすべての人が含まれます。おそらくプロジェクトを理解するためにこのビジネス要件定義書を読む必要のある人は、ステークホルダーにあたるでしょう。ステークホルダーの例として、以下が挙げられます。

  • プロジェクトに取り組むチームメンバー

  • プロジェクトを率いるプロジェクトマネージャー

  • プロジェクトを承認する経営層

  • 完了したプロジェクトの影響を受けるクライアント

この項目では、各ステークホルダーの名前と役職をリストアップし、このプロジェクトにおけるそれぞれの役割を明確にします。読者はこの項目を読むことで、自分の他に誰が関わっているのか把握でき、チームのコミュニケーションが取りやすくなります。

記事: プロジェクトマネジメントにおける関係者の分析とその重要性

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6. プロジェクトの制約

プロジェクトの制約についてはプロジェクトスコープの項でも触れたかもしれませんが、ここではさらに詳細に説明します。読者はこの項目を読むことで、プロジェクトの全体像と、限界を把握できます。

制約の例として、以下のようなものが挙げられます。

プロジェクトの制約は、ステークホルダーがプロジェクトの複雑さや、プロジェクト目標達成の難易度を把握するのに役立ちます。プロジェクトに関与する全員が、まずはプロジェクトの制約を確認すべきでしょう。

7. 費用便益分析

ビジネス要件定義書を費用便益分析で締めくくるのは、戦略的なやり方です。プロジェクトの承認を得るためにビジネス要件定義書を使用している場合は、この項目が決定的要因となる可能性があります。クライアントや経営層にとってプロジェクト目標は大事ですが、利益が出ることを証明できなければ、すべて無意味と言っても過言ではないでしょう。

費用便益分析は以下の手順で作成します。

  • プロジェクトに関連するすべてのコストについて説明します

  • 関連する利益について説明します

  • プロジェクトの推定コストを算出します

  • 推定収益から推定コストを差し引いて、推定 ROI を算出します

ビジネス要件定義書のテンプレートと使用例

ここでは、ビジネス要件定義書のサンプル例をご紹介します。ここで紹介するのは、テクノロジー企業がマーケティングブログを始める場合の例です。この文書では、プロジェクトマネージャーがプロジェクトの概要と、その目的を説明しています。また、プロジェクト目標と、スコープクリープ防止のためにプロジェクトスコープについてもまとめています。

そしてその後には、プロジェクト完了に必要なアクション、つまりビジネス要件がリストアップされています。そして、ステークホルダー、プロジェクトの制約、費用便益分析と続いていきます。

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ビジネス要件に関連するその他の要件

ビジネス要件とシステム要件はすでに解説しましたが、ここではビジネス要件と関連するその他の要件についてまとめます。

ビジネス要件に関連して、機能要件という言葉を耳にすることがありますが、この 2 つの違いは重要です。ビジネス要件定義書ではプロジェクトの要件について説明します。情報を俯瞰的にまとめることで、ステークホルダーにプロジェクトの全体像を伝えます。

俯瞰から詳細までのビジネス要件

機能要件定義書 (Functional Requirements Document、FRD) は、プロジェクト内の特定のタスクの実行方法を詳しく説明するものです。ボードゲームに例えると、ビジネス要件定義書はゲームの内容と魅力を伝える外箱で、機能要件定義書はゲームのプレイ方法が書かれた説明書です。

機能要件の他にも、こんな要件があります。

  • ユーザー要件: ビジネス要件定義書よりも詳細な要件で、完成した成果物でユーザーは何ができるのかを説明するものです。

  • 製品要件: ビジネス要件やユーザー要件よりもさらに詳細な要件で、完了したプロジェクトのゴールと機能を説明するものです。このドキュメントは、チームが製品の開発やマーケティングを行う際のガイドとなります。

  • 非機能要件: 機能要件と同じくらい詳細な要件です。プロジェクトの運用方法や、完了したプロジェクトが意図する利用者体験などについて説明します。

上記以外にも、業務フローやプロセスを定義した「業務要件」も存在します。これはビジネス要件を実現するために、実際に業務がどのように行われるべきかを定義したものです。システム要件や機能要件にも反映されることもあります。

まとめ: 要件は共有することが大事

ビジネス要件定義書を作成する場合も、もっと詳細なものを作成する場合も、ステークホルダーとしっかりと情報共有することはプロジェクトの成功を左右する要素のひとつです。適切に共有するためには、クラウド型ワークマネジメントツールで行うのが最適です。

Asana のようなプロジェクト管理ツールを使えば、ビジネス目標に優先順位を付けられ、見落としも防げます。プロジェクトが現在どのフェーズにあるのか、進捗確認も一目で行えるので、貴重な時間を有効活用できます。Asana でチームのコミュニケーションを効率化し、プロジェクトマイルストーンをスムーズに達成しましょう。

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