マトリクス組織の定義、その仕組みとは?

Asana チーム 寄稿者の画像Team Asana2021年8月26日00
facebooktwitterlinkedin
マトリクス組織記事バナー画像

概要

マトリクス組織は、チームが複数のリーダーにつく企業組織です。マトリクスは、チーム間でオープンなコミュニケーションを維持すると同時に、企業が一層革新的な製品やサービスを作成できるようにデザインされています。この構造を使用すれば、新規プロジェクトがスタートするたびにチームを調整し直す必要がなくなります。

チームが関係者によるレビューや承認に対応しながらでも、ペースを落とさずに複雑なプロジェクトをすばやく進められるようにするにはどうすればよいのか。その鍵を握るのが組織構造です。大抵の仕事環境には命令系統が設けられているため、メンバー全員が意思決定の権限をしっかりと把握できるようになっています。

ヒエラルキー構造のチャートは、一番上に CEO (最高経営責任者)、その真下に COO (最高執行責任者) と CFO (最高財務責任者) が続き、上位のリーダーシップからは各部門のマネージャーが枝分かれし、プロジェクトマネージャーがその下に枝分かれします。

マトリクス組織は、チームメンバーがプロジェクトマネージャーと部門リーダーの両方の下につくという点で従来の構造とは異なります。マトリクス組織の定義と複雑なプロジェクトでの使用方法を下のガイドを使って説明していきます。

マトリクス組織とは?

マトリクス組織とは、チームメンバーが複数のリーダーにつく作業構造のことをいいます。マトリクス組織では、チームメンバーは、リモートでも、インハウスでも、プロジェクトマネージャーと各々の部門リーダーの両方に直属します。このマネジメント構造を使用すると、企業はチームを調整し直さなくても新しい製品やサービスを作ることができます。

マトリクス組織構造

マトリクス組織の仕組みとは?

マトリクス組織には、マネジメントの組織構造が 2 つ以上設けられています。最初は分かりにくいと感じるかもしれませんが、一般的には各チームメンバーに自分の部門のメインマネージャーが 1 人つくことになります。

部門のマネージャーの直属になる点は、従来の作業構造と同じような仕組みになっています。たとえば、IT 部門で働くチームメンバーは IT 部門長の直属となり、IT 部門長はディビジョンの部長の直属となり、最終的にはすべての直属関係が CEO へとつながります。

マトリクス組織で異なるのは、チームメンバーがプロジェクトマネージャーの直属にもなるという点です。プロジェクトには、IT やマーケティング、財務など、さまざまな部門のメンバーによる作業が必要になることが多いため、個々のプロジェクトに専属のマネージャーを設けるのは道理にかなっているといえます。 

マトリクスマネジメントの種類

マトリクスのマネジメントは 3 種類あり、種類によってプロジェクトマネージャーに与えられる権限の大きさが変わります。これは、プロジェクトマネージャーを片方の皿に、部門マネージャーをもう片方の皿にのせた天秤に例えると想像しやすいかもしれません。

マトリクス構造の種類

ウィーク型マトリクス

ウィーク型マトリクスでは、マトリクスマネジメントの他の種類と比較すると、プロジェクトマネージャーに与えられる意思決定権は最も小さくなります。プロジェクトマネージャーのプロジェクトに関する権限が限られていると、プロジェクトの予算やタイムラインが部門長によって管理されるため、マトリクスは弱くなります。コミュニケーション計画を立てれば、弱いマトリクスの中でもコミュニケーションを維持できます。

バランス型マトリクス

バランス型マトリクスでは、部門長とプロジェクトマネージャーが同等の権限を持ち、チームメンバーはこの両者の直属になります。これにより、リーダーたちの間でコミュニケーションを取りやすい状態が維持され、プロジェクトをスムーズに進めることができます。

ストロング型マトリクス

ストロング型マトリクスでは、プロジェクトマネージャーがプロジェクトのほぼすべての意思決定権を持つ一方で、部門長は比較的限定された権力を持ちます。これにより、プロジェクトマネージャーがプロジェクトの全面的な担当者となるため、強力な組織構造が生まれます。部門長はプロジェクトを監督できますが、主要な意思決定は行いません。

記事: チームの構造: 効果的にチームをまとめる方法 10 選

マトリクス組織構造のメリット

マトリクス組織のメリット vs デメリット

マトリクス組織構造はヒエラルキー構造よりも複雑な一方で、たくさんのメリットがあります。マトリクスデザインのメリットとしては、明確なプロジェクト目標やリソースの効率的な活用、円滑な情報伝達、プロジェクトマネージャーのトレーニングなどが挙げられます。

明確なプロジェクト目標

マトリクス組織のデザインは、プロジェクト目標を一層明確にします。チームがプロジェクトの進捗をプロジェクトマネージャーと部門長の両者に報告するときは、プロジェクト目標を固めることが重大になります。またプロジェクトマネージャーは上級管理職の他のメンバーから支援されていると実感できることで、プロジェクト管理を率先して行えるようになります。

シナリオ: チームはアプリ開発プロジェクトに取り組んでいるとしましょう。あなたはマトリクス構造を使用しているため、IT 開発者はプロジェクトマネージャーのあなたと IT 部門長の直属になります。プロジェクトは、マーケターが外出先でも使用できるキーワード検索アプリの制作を目標にしています。IT 部門長とプロジェクトマネージャーが IT 開発者たちに明確なプロジェクト目標を伝えれば、アプリはよりスピーディに開発されます。 

リソースの効率的な活用

マトリクス構造を使うと、チームにさまざまな部門のスペシャリストが含まれるため、リソースを効率よく活用できます。これにより、間接費用とプロジェクトの所要時間が削減されます。各チームが 1 人のマネージャーだけに直属するヒエラルキー構造の場合だと、チームごとのマネージャーの数は少なくなります。そうしたチームには、異なる専門分野を持つメンバーがいないため、プロジェクト成果物を 1 つ制作するのにより多くの時間を要する場合があります。

シナリオ: キーワード検索アプリを制作するチームは、IT 部門、財務部門、そしてマーケティング部門のスペシャリストが関わることが予想されます。そうしたチームメンバーが部門長とプロジェクトマネージャーの下で効果的に仕事をできれば、チームの生産性が上がり、時間が節約され、プロジェクトをより効率的に完了させることができます。 

マトリクスチームはコストを削減できます。なぜなら、スペシャリストを集めたチームがない場合、企業は新しい製品やサービスが開発されるたびに、チームを立て直したり、場合によっては新しいチームメンバーを採用したりする必要があるからです。

Asana のコラボレーションソフトウェアを試す

円滑な情報伝達

マトリクス構造の中で仕事をすると、チームは複数のリーダーの下で作業を行うため、円滑な情報の流れが生まれます。ヒエラルキーシステムの場合、チームメンバーは情報を伝えることを覚えておく必要がありますが、マトリクスでは情報の流れを作ることが必須とされます。複数のリーダーに報告することは、面倒に思えるかもしれません。しかし、適切なプロジェクトマネジメントシステムがあれば、チームメンバーの報告作業はいとも簡単に終わるでしょう。 

シナリオ: キーワード検索アプリの開発チームがプロジェクトマネージャーにしか報告しないのであれば、バグ修正に関する情報が失われてしまう可能性があります。しかし、IT 部門長がマトリクスプロセスの一部であれば、IT 部門長に情報を伝え忘れることはありません。

プロジェクトマネージャーのトレーニング

マトリクス組織はユニークな構造であるため、プロジェクトマネージャーは多くの責任を担います。プロジェクトマネージャーはプロジェクトのライフサイクルを通じてチームをリードしなくてはいけません。この構造はプロジェクトマネージャーの努力を要し、複数部門を管理するマネージャーを目指す人を育てます。

シナリオ: このプロジェクトの最中に、チームはバグ修正をする必要があり、それがプロジェクトタイムラインの遅延を招いてしまいました。IT 部門長と協力してすべての問題に対処するのは、あなたのプロジェクトマネージャーとしての責任です。この経験からあなたは IT に興味が湧き、将来的に IT の道へ進む可能性が見えてきました。

チームの定着率

マトリクス組織ではチームメンバーの定着率が高くなっています。スペシャリストが協力し合うことで、製品チームは堅牢さを維持できるからです。そうしたチームメンバーは、それぞれの部門長の下で働き、プロジェクトマネージャーに割り当てられます。スペシャリストは共に働くことを楽しむ傾向にあるため、プロジェクトのパフォーマンスアップにもつながる場合があります。 

シナリオ: キーワード検索アプリのプロジェクトを実行するにあたり、プロジェクトチームは IT、マーケティング、財務のさまざまなスペシャリストで構成されます。こうしたチームメンバーは、携帯電話向けのアプリ制作について知り尽くしているからです。スペシャリスト集団のこのチームは、今後も多くのプロジェクトに参加するでしょう。

マトリクス組織構造のデメリット

ヒエラルキー組織構造と同じく、マトリクス組織にもデメリットがあります。デメリットの多くは、この構造が複雑であることから生じています。複雑なデザインは、うまく機能すればメリットとなる場合もありますが、衝突や厄介な状況を引き起こす可能性もあります。

複雑な指示系統

マトリクス組織の複雑さがデメリットになり得るのは、チームが誰にいつ報告すればよいのかを判断しずらい場合があるためです。マトリクスの目的はチームにメリットをもたらすことですが、マトリクスによってプロジェクトが複雑化し、全体的なプロセスに混乱を招く可能性もあります。

解決策: 報告の失敗を防ぐ一番の方法は、マトリクスの各メンバーが誰にどのように報告するのかを理解していることを確認しておくことです。複数チームによる作業を支える直感的なプロジェクトマネジメントプラットフォームを使用すると、マトリクス構造の複雑さを軽減できます。 

応答に時間がかかる

マトリクスが複雑だと、応答に時間がかかり、プロジェクトの進行が遅れる場合があります。応答に時間がかかるのは、情報を複数のメンバーに報告する必要があるためです。参加人数を増やすのはプラスとなりますが、情報を伝える相手の人数が増えると、その分時間もかかるというマイナスな面もあります。 

解決策: マトリクス構造が引き起こす応答時間の遅延は、プロジェクトマネジメントシステムを使えば解決します。信頼できる唯一の情報源として Asana を使用すれば、仕事の重複を防ぎ、チームと経営陣の間で可視性を高めることができます。 

矛盾する指示内容

プロジェクトマネージャーと部門長が共通認識を持っていないと、指示の矛盾が起こります。マトリクス構造はチームワークを促進するものですが、参加メンバーの性格によっては真逆の結果となる可能性もあります。 

解決策: 指示の矛盾を防ぐには、マネージャー同士が直接コミュニケーションを取れるシステムを構築しましょう。マネージャーがプロジェクト目標に照準を合わせ、共通認識を持てていれば、チームメンバーたちが板挟みになるのを避けられます。

衝突の可能性

マトリクス構造とヒエラルキー構造の主な違いは、前者ではチームメンバーが 2 人のマネージャーにつくという点です。これにより、マトリクス組織はさらに複雑化し、チームメンバーが担う責任も増えてしまいます。マネージャーが 2 人いると、チームメンバーはより多くのフィードバックと指示を得られる一方で、それが衝突を引き起こすこともあります。

解決策: 衝突を防ぐには、部門長とプロジェクトマネージャーがしっかりとコミュニケーションを取ることが欠かせません。指示の衝突が起こった際に、どちらのマネージャーに従うのか、チームに選択を強いるべきではありません。マネージャーたちは、対面でも、リモートシステムを使ってでも、プロジェクトの初日に明確なプロジェクト目標を立て、協力し合って製品の制作に取り組むことで、こういった衝突を防ぐことができます。 

優先順位の絶え間ない調整

マネージャーたちが協力し合わないと、マトリクス構造でチームメンバーが優先順位を調整するのは困難になります。部門長が自分の仕事が最も重要であると考え、プロジェクトマネージャーも同じように考えていると、チームはどちらのマネージャーの指示を優先すればよいのか判断がつかなくなります。 

解決策: マネージャーたちのミスコミュニケーションが原因で、チームメンバーがタスクの優先度設定に困っているときは、マネージャーたちがチームのタスクについて話し合い、最初にすべきタスクを決定しなくてはいけません。マトリクス構造から生じる可能性のある課題の多くは、緊密なコラボレーションを行い、しっかりとコミュニケーションを取り、チーム全体で透明性を確立できれば解決できるものばかりです。 

プロジェクト管理ツールでマトリクス構造を改善

マトリクス構造をうまく機能させる上で、プロジェクト管理ツールを使用することに勝るものはありません。プロジェクト管理を行えば、プロジェクトマネージャーと部門長はプロジェクト目標に照準を合わせ、作業を一緒に計画し、明確なコミュニケーションを取ることができます。これができれば、チームメンバーは効率よく働くことができ、プロジェクト目標を達成するのに必要な透明性を得ることができます。

チームメンバーの役割や責任を明確にする必要がありますか?RACI 図をお試しください

Asana のプロジェクト管理機能を試す

関連リソース

記事

9 steps to craft a successful go-to-market (GTM) strategy