マトリックス組織とは?メリットとデメリットを解説

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2024年2月12日
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概要

マトリックス組織 (マトリクス組織) は、チームが複数のリーダーにつく企業組織です。この組織形態は、チーム間でのオープンなコミュニケーション維持を可能にし、企業が一層革新的な製品やサービスを提供できるようにデザインされています。新規プロジェクトがスタートするたびにチームを調整し直す必要がなくなる「マトリックス組織」。この記事では、マトリックス組織のメリットとデメリットを解説します。

更新: この記事は、マトリックス組織体制の導入方法とマトリックス組織以外の組織形態の特徴に関する記述を含めて、2024年 1月に改訂されました。

関係者によるレビューや承認に対応しながらでも、チームがペースを落とさずに複雑なプロジェクトをすばやく進められるようにするにはどうすればよいのか。ビジネスを行う上で大事なその鍵を握るのが、組織構造です。大抵の仕事環境には指揮命令系統が設けられているため、従業員全員が意思決定の権限をしっかりと把握できるようになっていますが、組織構造にはどんな種類があるのでしょうか。

この記事では、組織構造のひとつである「マトリックス組織」について解説します。その定義と仕組み、複雑なプロジェクトでの使用方法とともに、メリットとデメリットも紹介するので参考にしてみてください。

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マトリックスとは

マトリックス (matrix) とは、もともと「母体」や「基盤」といった意味を持つ単語です。日本語では「マトリクス」とも表記されます。一方、数学分野では「行列」という意味もあるため、IT やビジネス分野で用いられる「マトリックス」は、2 つ以上の要素が基盤目状に並んだ構造や図のことを表します。

そこから派生した用語は多く、マトリックス型組織のほかにも、マトリクス図やアイゼンハワーマトリクスなどがあります。

マトリックス組織とは

マトリックス組織とは、1 人の社員が複数のチームやプロジェクトに属する組織構造 (組織形態) のことを指します。縦軸と横軸を利用して 2 つの要素の関連性を表す図のことをマトリクス図と言いますが、考え方は同じです。

伝統的な組織構造は、職能別や事業別に組まれていることが多く、つまり縦のつながり 1 本に焦点が当たっていました。しかし現実では、プロジェクト単位やエリア単位など、横のつながりも存在します。その縦と横の 2 つの要素を組み合わせ、組織化したのが、このマトリックス組織なのです。

マトリクス組織構造

つまりマトリックス組織では、1 人が複数のリーダーにつくことになります。リモートでも、インハウスでも、プロジェクトマネージャーと各々の部門リーダーの両方に直属するわけです。このマネジメント構造を使用すると、企業はチームを調整し直さなくても新しい製品やサービスを作ることができます。

電機メーカーを例に考えてみましょう。縦軸に製品別の事業部 (パソコン、AV 製品、家電など) を配置し、横軸には職能別の部門 (生産、営業、研究開発、マーケティングなど) を配置したと仮定します。この場合、1 人の営業部員がパソコンおよび AV 製品の営業活動を兼任したり、また 1 人の研究開発部員が AV 製品と家電の研究開発に携わったり、といった形をとります。これが、マトリックス組織です。このように人材が複数の仕事を担うことで、組織的に業務の円滑化と柔軟性向上を図ろうというのが、マトリクス組織の目的とするところです。

マトリックス組織の歴史

マトリックス組織の発端は、1960年代のアポロ計画であるとされます。プロジェクトごとにマネージャーを配置したアポロ計画は、従来の機能型組織にプロジェクト別チームが横軸として刺さる形をとっていました。

一方の日本でマトリックス組織が注目されたのは、2016年のトヨタ自動車による導入です。トヨタの場合は、縦軸に製品別の “カンパニー”、横軸に地域別の “ビジネスユニット” を設けています。日本を代表するグローバル企業が取り入れたことで話題を呼んだこの組織構造は、グローバルに事業展開をする一方でローカル市場にも密着できるというメリットを生みました。

マトリックス組織の仕組み

マトリックス組織には、マネジメントの組織構造が 2 つ以上設けられています。最初は分かりにくいと感じるかもしれませんが、一般的には各チームメンバーに自分の部門のメインマネージャーが 1 人つくことになります。

自分が所属する部門 (部署) のマネージャーの直属になる点は、従来の作業構造と同じです。たとえば、IT 部門で働くチームメンバーは IT 部長の直属となり、IT 部長はディビジョンの部長の直属となり、最終的にはすべての直属関係が CEO へとつながります。

マトリックス組織で異なるのは、チームメンバーがプロジェクトマネージャーの直属にもなるという点です。プロジェクトには、IT やマーケティング、財務など、各部門のメンバーによる作業が必要になることが多いため、個々のプロジェクトに専属のマネージャーを設けるのは道理にかなっているといえます。 

マトリックス組織の種類

マトリックス組織には、ウィーク型、バランス型、ストロング型と 3 種類あり、種類によってプロジェクトマネージャーに与えられる権限の大きさが変わります。これは、プロジェクトマネージャーを片方の皿に、部門マネージャーをもう片方の皿にのせた天秤に例えると想像しやすいかもしれません。

マトリクス構造の種類

ウィーク型マトリックス組織

ウィーク型のマトリックス組織は、プロジェクトマネージャーに与えられる意思決定権がマトリックスマネジメントの中で最も小さい組織体系です。

プロジェクトマネージャーのプロジェクトに関する権限が限られていると、予算やタイムラインが各部門のリーダー (部長など) によって管理されるため、マトリックスは弱くなります。コミュニケーション計画を定期的に立てて、弱いマトリックスの中でもコミュニケーションをしっかり維持できるようにすることが必要です。

また、場合によっては管理者がそもそも設定されず、意思決定は各メンバーの裁量に委ねられることもあります。管理者を設けない都合上、各メンバーに主体性と緊密な連携が求められますが、上司の決定や判断を待つ必要がそもそも生じないため、柔軟でフットワークの軽い対応が可能です。ただ、組織としては指揮系統が曖昧な部分もあり、それゆえに責任の所在などで問題が発生しやすい点はデメリットといえます。

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バランス型マトリックス組織

バランス型マトリックス組織では、部門長とプロジェクトマネージャーが同等の権限を持ち、チームメンバーはこの両者の直属になります。これにより、リーダーたちの間でコミュニケーションを取りやすい状態が維持され、プロジェクトをスムーズに進めることができます。

プロジェクトマネージャーは、通常の機能型組織と同様、プロジェクトチームから選出されます。そのため、管理者がプロジェクトの進捗状況を把握しやすく、適切な意思決定を下せるメリットがあります。必要な指示を迅速に出せるので、統率が取りやすく、メンバーのケアも行いやすい形態です。

ストロング型マトリックス組織

ストロング型マトリックス組織では、プロジェクトマネージャーがプロジェクトのほぼすべての意思決定権を持つ一方で、部門長は比較的限定された権力を持ちます。これにより、プロジェクトマネージャーがプロジェクトの全面的な担当者となるため、強力な組織構造が生まれます。部門長はプロジェクトを監督できますが、主要な意思決定は行いません。

マトリックス組織はその性質上、従業員が直属の上司やマネージャー以外からも指示を受けることがあり、組織内に混乱が生じるケースも少なくありません。ストロング型では、プロジェクトマネジメントに特化したマネージャーを配置することで、そうした混乱を避け、方針を一本化することができます。

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マトリックス組織のメリット

マトリクス組織のメリット vs デメリット

マトリックス型の組織構造はヒエラルキー構造よりも複雑な一方で、たくさんのメリットがあります。マトリックス組織のメリットとしては、明確なプロジェクト目標やリソースの効率的な活用、円滑な情報伝達、プロジェクトマネージャーのスキルアップなどが挙げられます。それぞれについて、ポイントを押さえた具体例とともに見てみましょう。

プロジェクト目標が明確化する

マトリックス型組織を使用すると、プロジェクトの全体像が見えやすく、プロジェクト目標が一層明確になります。プロジェクトの進捗は、マネージャーだけでなく各部門のリーダーにも報告しなければなりませんが、そのときに重要なのは、プロジェクト目標が明確であることです。一方、プロジェクトマネージャーは上級管理職メンバーからサポートされていると実感することで、プロジェクト管理を率先して行えるようになるでしょう。

例: あなたのチームは、アプリ開発プロジェクトに取り組んでいます。マトリックス組織構造を使用しているため、IT 開発者はプロジェクトマネージャーであるあなたと IT 部長の直属になります。プロジェクトは、マーケターが外出先でも使用できるキーワード検索アプリの制作を目標にしています。IT 部長とプロジェクトマネージャーが IT 開発者たちに明確なプロジェクト目標を伝えることで、アプリはよりスピーディに開発されるでしょう。

リソースを効率的に活用できる

従来のヒエラルキー型組織の場合、社内に専門性の高い人材を集めたチームが存在しないため、新しい製品やサービスを開発するたびにチームを立て直したり、ケースによっては新しいチームメンバーを採用したりしなければなりません。しかしマトリックス組織構造を使えば、各部門のスペシャリストが集まるチームが社内の人材で編成できるため、リソースの効率的な活用に役立ちます。マトリックス組織を採用していれば、コストも削減できるわけです。また、各部門からスペシャリストが集まることで、それぞれのノウハウやスキルなど、情報共有も効率的にできるでしょう。

例: キーワード検索アプリを制作するチームは、IT 部門、財務部門、そしてマーケティング部門のスペシャリストが関わります。そうしたチームメンバーが各々の部長とプロジェクトマネージャーの下で効果的に仕事をできれば、チームの生産性が上がり、時間が節約され、プロジェクトをより効率的に完了させることができます。

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円滑に情報伝達ができる

マトリックス構造の中で仕事をすると、チームは複数のリーダーの下で作業を行うため、円滑な情報の流れが生まれます。ヒエラルキーシステムの場合、情報は部門内でしか流れませんが、マトリックス組織では部署の垣根を越えて情報の流れを作ることが必須とされるので、コミュニケーションが円滑化するのです。複数のリーダーに報告することは面倒に思えるかもしれませんが、適切なプロジェクトマネジメントシステムを活用すれば、報告作業も簡単に終わらせることもできます。

例: キーワード検索アプリの開発チームがプロジェクトマネージャーにしか報告しなければ、バグ修正に関する情報が失われてしまう可能性があります。しかし、IT 部長がマトリックス組織の一部であれば、IT 部長に情報を伝え忘れることはなく、バグ修正作業も滞りなく進めることができます。

プロジェクトマネージャーのトレーニングになる

マトリックス型の組織は複雑な構造であるため、プロジェクトマネージャーは多くの責任を担います。プロジェクトマネージャーはプロジェクトのライフサイクルを通じてチームをリードしなくてはいけません。マトリックス組織は長い目で見ると、プロジェクトマネージャーのスキルを向上させ、複数の部門を管理できる優秀なマネージャーを育てるのです。

例: バグ修正に時間を要し、プロジェクトタイムラインの遅延を招いてしまいました。IT 部長と協力し、すべての問題に対処するのが、プロジェクトマネージャーとしてのあなたの責任です。この経験からあなたは IT に興味が湧き、将来的に IT の道へ進む可能性が見えてきました。

チームの定着率を上げる

マトリックス組織では、チームメンバーの定着率が高くなります。スペシャリストが協力し合うことで、製品チームは堅牢さを維持できるからです。そうしたチームメンバーは、それぞれの部門長の下で働き、プロジェクトマネージャーに割り当てられます。部署の垣根を超えたメンバーと共に楽しみながら働けば、それぞれのパフォーマンス向上にもつながるでしょう。また、互いにスキルを磨き合いながら切磋琢磨することで、技術力や作業品質の向上も見込めます。 

例: キーワード検索アプリのプロジェクトを実行するにあたり、チームは IT、マーケティング、財務などさまざまな部署から集められたスペシャリストで構成されます。携帯電話向けのアプリ制作について知り尽くしているメンバーたちは、今後も多くのプロジェクトで一緒にチームを組むことになるでしょう。

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マトリックス組織のデメリット

ヒエラルキー組織構造と同じく、マトリックス組織にもデメリットがあります。デメリットの多くは、この構造が複雑であることから生じています。複雑な組織デザインは、うまく機能すればメリットとなる場合もありますが、衝突や厄介な状況を引き起こす可能性もあります。

指示系統が複雑

マトリックス型組織は複雑であるため、誰にいつ報告すればよいのか判断しづらいというデメリットがあります。1 人が複数の上司やマネージャーの下で働くというマトリックス組織ですが、その複雑さゆえにプロジェクト自体も複雑化し、全体的なプロセスにまで混乱を招く可能性があるのです。

解決策: 報告の失敗を防ぐ一番の方法は、マトリックス組織内の各メンバーが誰にどのように報告するのか、そのプロセスを理解していることかどうかをしっかり確認しておくことです。複数のチームによる作業を支えるためには、直感的なプロジェクトマネジメントプラットフォームを使用しましょう。マトリックス構造の複雑さが軽減できます。

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応答に時間がかかる

マトリックス組織は複雑化しすぎると、応答に時間がかかり、プロジェクトの進行が遅れるケースがあります。応答に時間がかかるのは、情報を複数のメンバーに報告する必要があるためです。参加人数を増やすのはプラスとなりますが、情報を伝える相手の人数が増えると、その分時間もかかるというマイナスな面もあります。 

解決策: マトリックス組織構造が引き起こす応答時間の遅延は、プロジェクトマネジメントシステムを使えば解決します。信頼できる唯一の情報源として Asana を使用すれば、仕事の重複を防ぎ、チームと経営陣の間で可視性を高めることができます。 

指示内容が矛盾する

プロジェクトマネージャーと部門長が共通認識を持っていないと、指示の矛盾が起こります。マトリックス組織構造はチームワークを促進するものですが、参加メンバーの性格や情報伝達ミスなどによっては、真逆の結果となるリスクも抱えています。 直属の上司 2 人からの指示が矛盾してしまうと、それはメンバーのストレスとなり、作業パフォーマンスもダウンしてしまう可能性があります。

解決策: 指示の矛盾を防ぐには、マネージャー同士が直接コミュニケーションを取れるシステムを構築しましょう。マネージャーがプロジェクト目標に照準を合わせ、共通認識を持てていれば、チームメンバーたちが板挟みになるのを避けられます。

衝突の可能性がある

マトリックス構造とヒエラルキー構造の主な違いは、前者ではチームメンバーが 2 人のマネージャーにつくという点です。マトリックス組織では、両者からより多くのフィードバックと指示を得られる一方で、組織形態の複雑化は免れることができません。その結果、マネージャー同士の衝突を引き起こし、チームメンバーが板挟み状態に陥る可能性もあるのです。

解決策: 衝突を防ぐには、部門長とプロジェクトマネージャーがしっかりとコミュニケーションを取ることが欠かせません。マネージャーたちは、対面でも、リモートシステムを使ってでも、プロジェクトの初日に明確なプロジェクト目標を立て、協力し合って製品の制作に取り組むことで、こういった衝突を防ぐことができます。

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タスクの優先順位調整が困難

マネージャーたちが協力し合わないと、マトリックス組織構造でチームメンバーが優先順位を調整するのは困難になります。部門長が自分の仕事が最も重要であると考え、プロジェクトマネージャーも同じように考えていると、チームはどちらのマネージャーの指示を優先すればよいのか判断がつかなくなります。 

解決策: マネージャーたちのコミュニケーションミスが原因で、チームメンバーがタスクの優先度設定に困っているときは、マネージャーたちがチームのタスクについて話し合い、最初にすべきタスクを決定しなくてはいけません。マトリックス組織構造から生じる可能性のある課題の多くは、緊密なコラボレーションを行い、しっかりとコミュニケーションを取り、チーム全体で透明性を確立できれば解決できるものばかりです。 

マトリックス組織体制の具体的な導入の方法

では、マトリックス組織はどのように導入すればよいのでしょうか。ここでは具体的な導入方法と、導入時の注意点について解説します。

構造パターンの決定

先述したように、マトリックス組織には 3 つの構造パターン (ウィーク型、バランス型、ストロング型) があり、企業により適性が異なります。したがって、まずは自社の事業特性に最適な構造パターンを検討する必要があります。

規模が大きい事業であればストロング型、従業員の個性を活かしたいならウィーク型、業務状況を迅速に把握したいならバランス型を選ぶのがよいでしょう。

情報共有の仕組みの構築

指揮系統の複雑さゆえ、マトリックス組織では管理者間の認識にズレがあると、指示に矛盾を生みかねず、混乱やトラブルを招くおそれがあります。こうした事態を避けるためには、管理者間で密な情報交換を行うことが重要です。組織内で円滑な情報共有が行える仕組みを構築し、個々の事業部やプロジェクトで行っていることを可視化および共有できれば、認識のズレが生じにくくなりリスクを低減できるでしょう。

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定期的なヒアリングによるケア

マトリックス組織の運用において懸念されるのが、指揮系統の複雑化による業務負担の増加です。マネージャーは常に、特定の人物に業務が集中しすぎないよう配慮する必要があります。

具体的な方法としては、定期的なヒアリングを行い、各従業員の負荷状況やニーズに合わせたケアを図るとよいでしょう。その際、現場の経験や感覚なども併せて吸い上げることで、組織運用の調整、改善に役立てられます。

マトリックス組織以外の組織形態の特徴

このように、マトリックス組織は一長一短がある難易度の高い組織形態ゆえ、闇雲に導入したところで期待するほどの効果は得られないかもしれません。そのため導入にあたっては、ほかの組織形態の特徴を比較材料として押さえ、そのうえで自社に適した組織形態かどうか検討することが重要です。

主な比較材料としては、プロジェクト型組織と機能型組織の2つが挙げられます。というのも、マトリックス組織は両者の特徴を兼ね備えた組織形態といわれるためです。以下で、これら 2 つの組織形態について見ていきましょう。

プロジェクト型組織の特徴

プロジェクト型組織は、事業部とよばれるチームを企業内につくる組織形態です。事業部はプロジェクトの目標達成のため一時的に結成され、目標が達成されれば解散します。なお、プロジェクトのチームである事業部は多くの場合、製品、サービス、地域などの要素で編成されます。

事業部を管理単位とするため、専門性の高さやマネージャーによる統率のしやすさがメリットです。しかし、各事業部はほかのプロジェクトから独立しているため、連携が難しいという側面もあります。

機能型組織の特徴

機能型組織は、企業の代表的機能 (職能)である人事、営業、製造、購買、研究開発、経理、情報システムなど、部門ごとに分類された組織形態です。専門的なノウハウを有する従業員が各部門に配置されるため、部門内の情報共有や全社的な意思決定をスムーズに行えるメリットがあります。

しかし、部門ごとに独立している都合上、部門をまたいだ連携には手間がかかります。そのためプロジェクトの実施に際しては、部門ごとに承諾や情報共有に時間を要したり、責任の所在が不明瞭になったりするなどの課題を抱えがちです。

プロジェクト管理ツールでマトリックス組織を正しく機能させる

マトリックス組織 (マトリクス組織) について、その仕組みや種類、メリット、デメリットを解説しました。

機能型組織とプロジェクト型組織の特徴を兼ね備えるマトリックス組織は、企業の組織変革を促し、生産性の向上をもたらす可能性を有しています。しかし、従業員が複数の指示を受けて活動しなければならないため、混乱が生じる可能性もあります。

指揮系統が複雑な中でも、従業員の負担を抑えつつ仕事を遂行させるためには、適切なマネジメント体制の構築が欠かせません。そして、そのマネジメント体制を運用しながら、企業独自のマトリックス組織に仕上げていくことが大切です。

このマネジメント体制の構築および運用に役立つのが、ワークマネジメントプラットフォーム「Asana」です。Asana を活用することで、マトリクス組織における組織管理をフォローでき、従業員のスムーズな業務進行を可能にします。

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