見積もり手法とは?プロジェクト計画に役立つ 6 つのテクニックを紹介

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2024年1月28日
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概要

プロジェクトを計画する段階では、作業を完了させるのに必要と思われるものを見積もることがベストプラクティスとされています。プロジェクトの見積もり手法では、プロジェクトを成功させるのに必要な資金やリソースを正確に割り当てられるよう、コストやスコープ、時間など、制約となるものを考慮します。このガイドでは、各見積もり手法について説明し、それぞれが最も効果を発揮するシナリオをご紹介します。

晴れの日を想定して荷造りするのか雪の日を想定するのかと同様に、プロジェクトを実行する前にその要件を計算しておくと厄介なミスの発生を避けられます。吹雪の中でビキニを着用するのが不適切だと思うのなら、上司に重要な成果物の期限を延長する必要があると伝えたり、プロジェクトを完了させるのにあと数千ドル用意して欲しいと頼んだりするのも不適切だと言えるでしょう。

プロジェクトの見積もり手法を使用すると、プロジェクトの計画中に不意を突かれるような事態を避けられます。起こりうるすべてのシナリオを想定することは不可能ですが、あなたも関係者も、プロジェクトを成功させるのに必要なものはすべて揃っていると自信を持つことができます。

プロジェクトの見積もり手法とは?

プロジェクトの見積もり手法は、プロジェクトに必要な時間、コスト、リソースを正確に見積もるためのテクニックです。「正確な見積もり」と言うと矛盾しているように思えるかもしれませんが、あなたとチームと関係者がプロジェクトを開始する前に何が必要かについて意見を一致させるために、この計算をしておくことが欠かせません。

[インラインのイラスト] プロジェクトの見積もり手法とは?(インフォグラフィック)
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プロジェクトマネジメントで見積もり手法を使用する方法

正確に見積もることは、プロジェクトをきちんと計画する上で特に大切なことです。しかし、プロジェクトライフサイクルの早い段階では、プロジェクト要件を完全には把握できていない場合もあります。

見積もり手法を使うことによって、プロジェクトを成功させるのに必要なものを大まかに計算します。そうした見積もり手法は通常、予測されるプロジェクトの制約を文書化するために、プロジェクトの初期段階を終えた後に、プロジェクトマネージャーが実行します。しかし、計画どおりに事が進まない場合は、いつでも見積もり手法を参照して、見積もりを更新できます。

アジャイルプロジェクトマネジメントの見積もり手法

従来のプロジェクト計画とは違って、アジャイルプロジェクトでは、短いスプリントでプロジェクトを完了させる反復型のアプローチが取られます。反復的な構造を取り入れているため、初期の予測段階でプロジェクトの機能や要件を定めてから、各スプリント期間中に予測を立て直します。アジャイルワークフローにプロジェクトの見積もりを取り入れるには、スプリントの振り返り時に見積もり手法を使うことによって、前のスプリントの結果を基にプロジェクトの見積もりを更新します。

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プロジェクトマネジメントの 3 つの制約

プロジェクトの見積もり手法を使用すれば、プロジェクトの 3 つの主な制約であるコスト、スコープ、時間を大まかに調整するための概算見積もりを立てることができます。

これら 3 つの要素はすべてのプロジェクトでバランスを取る必要がありますが、お互いに影響しあうため時にバランスを取りにくいものです。たとえば、予算と時間の配分が安定していないと、プロジェクトはスコープの中で進められなくなります。計画段階で取り上げられなかった製品機能や広告キャンペーンを追加したい場合は、スコープの拡大に合わせて、時間と予算を増やします。

[インラインのイラスト] プロジェクトマネジメントの 3 つの制約 (インフォグラフィック)

費用

コストの制約には、プロジェクト全体の予算やプロジェクトを完了させるのに必要な金銭的価値などが含まれます。簡単に言うと、プロジェクトを完了させるのに必要な資金がないとプロジェクトは失敗します。だからこそ、プロジェクトのコストを早い段階で正確に見積もっておくことが重要なのです。

全体的なコストに影響しうる項目には以下のようなものがあります。

  • 設備機器

  • 給与

  • 施設

  • 修理

  • 材料

コスト管理は一回きりのタスクではありません。プロジェクトを通して、提案された予算をどの程度忠実に守れているかを追跡することをおすすめします。また、コストに影響しうる変更に柔軟に対応することも重要です。

記事: プロジェクト会計: プロジェクトの費用便益の評価方法

スコープ

プロジェクトのスコープとは、プロジェクトに含まれる正確な結果、目標、成果物のことです。厳密に言うとスコープは見積もりではありませんが、関係者はプロジェクト計画時にスコープのリスクや許容範囲を確認したがる可能性があります。

たとえば、求められる成果物が完了した後に資金や時間が残っていれば、プロジェクトが終了する前に別の成果物も制作できるかもしれません。反対に、時間や資金がなくなってしまう場合に備えて、必ずしも完成させる必要のない成果物も事前に把握しておくとよいでしょう。

プロジェクトスコープは完全に時間とコストに依存するため、スコープが拡大すると、その両方がもっと必要になります。そのため、スコープクリープを意識して、それを防ぐための詳細なプロジェクト計画を事前に立てておく必要があります。

時間

タイムマネジメントはプロジェクト計画において大きな役割を果たします。時間の制約とは、プロジェクトの各タスクを完了させるのにかかる、一定の処理時間のことです。計画段階では、プロジェクト全体と必要な個々のタスクの両方の期間を見積もる必要があります。

また、関係者に最も正確な期間を範囲を伝えられるよう、潜在的な遅延やリスク、不確定要素を考慮する必要があります。計画どおりに進まない場合に備えて少し余裕を確保しておけば、スケジュールを変更してもプロジェクトが失敗することはないと安心できます。

プロジェクトの他の制約

プロジェクトマネジメントの 3 つの制約には含まれないかもしれませんが、リスク、リソース、品質の制約もプロジェクトのライフサイクルを通して登場することがあります。

リスク

プロジェクトリスクとは、プロジェクトに影響しうる予想外の出来事のことです。スケジュールミスや請負業者の遅延、コミュニケーション不足、スコープクリープは、すべて計画段階で考慮すべきプロジェクトリスクの例です。

しかし、「予想外」の出来事は、悪いものばかりでもありません。助成金の承認や貴重な時間を節約してくれる新しいテクノロジーなどの可能性は、プロジェクトに好影響を及ぼす場合もあります。

リソース

プロジェクトリソースとは、メンバーや材料、ソフトウェア、請負業者など、プロジェクトを完了させるのに必要なもののことです。

リソースとコストの制約は密接に関連しています。その理由は単純にリソースにはお金がかかるためです。リソース管理を適切に行わないと、プロジェクトがタイムラインから遅れたり、品質が低下したり、リソースが余ったりして、最終的にはコストが高くついてしまう場合があります。

品質

プロジェクトの品質は、プロジェクトの成果物が期待値をどの程度満たしているかを測る尺度です。必須の安全規制などの品質標準を満たすことが求められるプロジェクトでは、要件の少ないプロジェクトよりも多くの資金や時間、リソースが必要になる場合があります。

ただし、上述した制約に関連しないものでも、コミュニケーションが不十分である、プロジェクトの変更が多すぎる、または必要なスキルが足りないなど、プロジェクトには品質に影響を与える要素がいくつかあります。

見積もり手法の種類

プロジェクトのシナリオによっては、特定の見積もり手法が他よりも効果的な場合があります。以下に、各テクニックを活かしてプロジェクトが成功するように計画を立てる方法をご紹介します。

[インラインのイラスト] プロジェクトの見積もり手法 (インフォグラフィック)
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1. トップダウン見積もり法

プロジェクトのスコープを決定した後、トップダウン見積もり法を使用すれば、プロジェクトの作業分解構成図 (WBS) に応じて、プロジェクトを個別のフェーズ、作業、タスクに分割できます。

この見積もり手法を使用した場合、ビジョン達成に熱意を燃やす主要な関係者は、すべての詳細を把握せずに、プロジェクトの全体的なタイムラインや予算を打ち立てることができます。そして、その計画を小さなステップに分割すれば、プロジェクトにもっと詳しいメンバーに各詳細の対応を任せることができます。

たとえば、勤め先の企業が 6 か月後に新製品のリリースを予定しているとします。開発者からマーケターにいたるほぼすべてのチームメンバーが参加する取り組みとなるでしょう。全体的なタイムラインを把握していると、プロジェクトを小さなフェーズに分割し、個別のタイムラインを個々のチームに割り当てることができます。

2. ボトムアップ見積もり法

トップダウン見積もり法とは違い、ボトムアップ見積もり法では、全体的なタイムラインやコストを決定するために、個々のフェーズを見ていくことから始めます。

ボトムアップ見積もり法は、実際に作業を行うメンバーがタイムラインと予算の設定も行うため、トップダウン見積もり法よりも好まれる場合が多く、より正確な見積もりを行える可能性も高くなります。

上述した例をもう一度読んでみると、この会社は一体どのようにして製品リリースに向けたタイムラインを 6 か月に決めたのかと疑問に思うかもしれません。もし経営陣が初めに各部門と相談していたら、8 か月のタイムラインの方が現実的だという結論に至っていたかもしれません。

時間や資金がタイトな場合はボトムアップ見積もりを使えない場合もありますが、マネージャーは一般的にトップダウン見積もり法よりもボトムアップ見積もり法を優先します。しかし、この手法は正確性が高い一方で、トップダウンよりも少し時間がかかります。

3. 三点見積もり法

三点見積もり法では、個々のタスクに必要な作業量を判断するために、以下 3 つの値の平均を使用します。

  • 最良推定値

  • 楽観値

  • 悲観値

このテクニックは、より正確な見積もりを行うために、しばしばボトムアップ見積もり法と併用されます。

たとえば、製品の開発フェーズを計画しているとしましょう。すべてが計画どおりに進めば、3 週間以内にベータ版が完成するでしょう (最良推定値)。チームが高性能ソフトウェアを使用することについて承認を得られれば、開発作業は 2 週間で完了するかもしれません (楽観値)。しかし、複数のエラーメッセージや誤動作が出れば、タスクを完了させるのに最大 5 週間もかかってしまう可能性があります (悲観値)。

3 週間、2 週間、5 週間の平均をとれば、タスクの所要時間は 3 週間半程度になると合理的に予測できます。

4. 類推見積もり法

類推見積もり法 (別名: 比較見積もり法) では、過去の類似のプロジェクト要件を比較することによって現在のプロジェクトの見積もりを作成します。この手法をトップダウン見積もり法と組み合わせて使用すれば、プロジェクト全体を個別のフェーズに分割できます。

先ほどの製品リリースについてもう一度見てみましょう。過去に 8 か月かけて類似の製品をリリースしているなら、この製品にも 8 か月かかると合理的に予測できます。タイムラインを 8 か月にすると決定したら、プロジェクトを小さなタスクに分割できます。

類推見積もり法は、現在のプロジェクトに関するデータが限られている、または全くない場合に使用します。同じプロジェクトは 2 つとありませんが、比較見積もりを活用すれば、チームはプロジェクト要件を大まかに把握できます。

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5. パラメトリック見積もり法

パラメトリック見積もり法でも類似のプロジェクトの過去データを使用しますが、ここでは過去のプロジェクトと現在のプロジェクトの違いを調整します。

この見積もり手法では、一連のアルゴリズムを使って見積もりを計算します。マーケティングチームが前回の製品リリースのキャンペーンを制作するのに 4 週間かかったとしましょう。しかし、それは 1 年前の話で、現在チームの規模は 2 倍に膨れ上がっています。チームのメンバー全員がキャンペーンの制作に参加すれば、今回はわずか 2 週間で同じタスクを完了できると推測できます。

6. 専門家の判断

専門家の判断は、一番手っ取り早く、簡単に使えることが多いテクニックであり、専門家の「直感」を基にプロジェクトを見積もります。

この手法では、見積もりの下書きを作成する際に、スキルや専門知識を考慮します。必要な情報を得るために、チーム内の他のメンバーやプロジェクトの関係者、コンサルタント、対象分野の専門家とのコラボレーションが必要になる場合があります。

専門家の判断は、リスク対応やプロジェクト機会を評価することが優先されるときに便利な手法です。しかし、自信過剰など、データを偏らせる偏見 (バイアス) には注意しましょう。

すべての必要事項を確実にカバーする

プロジェクトを完了させるのに必要なものを正確に見積もっておけば、プロジェクト進行中に不意打ちを食らうことはありません。すべてを考慮することはできないにしても、プロジェクトを成功させるには、実施計画を立てる前に、時間、スコープ、コストの見積もりを計算しておくことが欠かせません。

プロジェクト計画ソフトウェアを使用すると、プロジェクトの制約やタスクを順調に管理できます。予算や期日、スケジュール、リソースなどの管理にオンラインソフトウェアを活用すれば、リアルタイムに編集ができるため、プロジェクトが計画どおりに進まないことがあっても柔軟に対応できます。

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