OJT とは?重要性と目的、導入のポイントを解説

古田 弓恵の顔写真古田 弓恵
2022年12月15日
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概要

この記事では、ビジネスシーンにおける OJT の重要性と導入ステップ、成功させるコツなどの基礎知識をまとめます。新入社員が実際に現場で活躍できるよう行われる OJT の仕組みとやり方をチェックして、より効果的に行えるようにしましょう。

OJT は第一次世界大戦時代のアメリカで生まれた人材育成手法です。現在でも、社員教育のために多くの企業が取り入れる育成方法として人気があります。社外での社員研修やマニュアルだけでは補いきれない実際の業務のノウハウを確実に教えるために効果的な OJT。意味や進め方を理解し、正しく実施できるようにしましょう。

OJT とは?

OJT とは、実務を通じて行う従業員の教育訓練のことを言います。

OJT とは On the Job Training の略語で、日本語では職場内訓練、職場指導、職務上指導などとも呼ばれます。たとえ研修を事前に受けていたとしても、実際に職務についてみるとわからないことが多々あるのが現実です。そこで途方にくれないように、職場の上司や先輩が「OJT トレーナー (OJT 担当者、OJT リーダー)」となり、実務を通じて計画的かつ継続的に指導していく教育方法が、OJT です。新入社員は OJT により業務に必要な知識やスキル、技術を身に付けていきます。

Off JT との違い

Off JT (Off the Job Training) は職場外訓練のことをいい、OJT の対語になる言葉です。新人研修や集合研修、講習会、セミナーの開催などがこれにあたり、日常業務が行われる現場とは離れて、一般的知識を習得できる場となります。

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OJT の重要性、目的は?

ビジネスシーンにおける OJT の重要性とは何でしょうか?OJT には大きく 3 つの目的があります。

  • 不安の解消

  • 人材の早期戦力化

  • 業務効率の向上

不安を解消する

新入社員や未経験の職場に配属された社員は、誰しも不安を抱えているものです。そういった不安がたまるとモチベーションの低下にもつながってしまうでしょう。そういったマイナスポイントを解消するのが、OJT です。新人の不安を解消することは、結果的に職場への定着率向上にもつながります。

一方 OJT は、指導対象者とトレーナーとのコミュニケーションも促します。業務面だけでなく職場の人間関係に不安を抱えているであろう OJT 対象者にとって、上司や先輩との活発なコミュニケーションはプラスとなるでしょう。

早期戦力となる人材を育てる

実際の現場で日常業務に関する OJT を行うことで、早期戦力となる人材を育てることができます。OJT は計画的かつ継続的にプログラムされていますが、それぞれの対象者に合わせて柔軟性を持って実行するようにします。そうすることで、自分のペースで業務スキルを習得し、戦力となることができます。

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業務効率がアップする

OJT はトレーナーから対象者に対してノウハウや知識を与えるだけでなく、トレーナー自身のスキルアップにもつながります。指導する側はその業務に関する知識を改めて深く学ぶことができるため、結果的に組織全体の業務効率向上生産性向上をもたらすでしょう。

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OJT は誰がやるのか?

実際に OJT を誰が行うのかは、各組織、チームにより異なります。一般的には職場の上司や先輩社員が教育担当となることが多いですが、OJT トレーナーや OJT リーダーといった、教育専門の担当者を設ける企業もあります。

OJT 研修とは?

OJT 研修とは、OJT を担当する人材を育成するための研修です。

OJT は場当たりに実施しても成功しません。正しく計画し実行していくためには、指導員としての OJT トレーナーが OJT の仕組みをよく理解していることが必須となります。そこで OJT 研修が行われ、前述したような OJT の重要性や目的をしっかりと理解したトレーナーを育成していくのです。

OJT のメリットとデメリット

OJT を正しく実施するには、OJT のメリットとデメリットを知っておくことが重要です。

OJT のメリット

  • 対象者のメリット: 実践力が身に付く。フィードバックをすぐにもらえる。

  • トレーナーのメリット: 自身の成長を促す。

  • 企業のメリット: 低コストで効率的に実施できる。社内コミュニケーションが活性化する。

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OJT のデメリット

  • 対象者のデメリット: 実践スキルの習得はトレーナーの能力に左右される。体系的に学べない。

  • トレーナーのデメリット: 手間がかかる。

  • 企業のデメリット: 指導、育成効果にばらつきが出る。

上記のように、OJT 運用には注意点も存在します。こういったデメリットへの解決策は、OJT 指導者の育成に企業が注力することにあります。OJT の重要性をしっかりと理解し、それを実際に実行する人材育成に力を入れれば、結果的に企業に多くの恩恵をもたらすこととなるでしょう。一方、体系的な教育には不向きな OJT ですが、Off JT とうまく組み合わせれば、相乗効果につながります。

OJT のステップ

OJT のステップ

では実際に、OJT は何をするのでしょうか?基本となるステップに分けて考えてみます。

1. やってみせる

2. 説明、解説する

3. やらせてみる

4. フィードバックする

OJT はこれら 4 つのステップを循環的に行います。OJT の進め方を、こちらで詳しく見ていきましょう。

1. やってみせる

まずはトレーナーが実際に業務をやってみせ、OJT 対象者が仕事の全体像を理解できるようにします。このとき、言葉だけの説明だけにとどめるのではなく、目の前でやってみせてあげましょう。その様子を動画に残しておけば、さらに効果的です。

2. 説明、解説する

業務の具体的な内容を説明します。どうしてこの業務が必要なのか、目的や役割、他の業務とのかかわり、背景など、深く理解してもらえるようにしましょう。このステップを飛ばして業務をやらせてみても、成果は上がりません。

3. やらせてみる

実際に仕事をやってもらいます。このとき、OJT 対象者がひとりで業務を行うようにすることが大切です。トレーナーはあくまで横で見守る、サポート役に徹します。たとえ失敗したとしても、責めてはいけません。

4. フィードバックする

前ステップのフィードバックをします。できていたこと、できていなかったこと、改善点などをできるだけ具体的に伝えるようにしましょう。特にできなかったことに関してはしっかりと指導し、次の計画時には改善できるようにします。もちろん、できていたことを評価することも忘れないことが重要です。

OJT 導入のポイントは?

OJT 導入のポイント

それでは最後に、OJT を運用するときのポイントをご紹介します。

目的を明確にする

名ばかりの OJT は成功しません。なぜこういった訓練やトレーニングを行うのか、その目的や目標を常に明確にしておきましょう。事前に OJT 対象者とも目的、目標を共有し、トレーニング中は両者が同じ方向を向いて進めるようにしておくことが大切です。

計画的かつ継続的に行う(PDCA サイクル)

行き当たりばったりのトレーニングは、OJT ではありません。事前にしっかりと計画してから実施します。このとき、計画 (Plan)、実施 (Do)、評価 (Check)、改善 (Action) という PDCA サイクルを念頭に置いておくと効果的でしょう。PDCA サイクルを正しく回し、質の高い OJT を目指します。

OJT 管理システムを整える

OJT の仕組みが漠然としてあいまいなままでは、メリットを受けることはできません。また、トレーナーによって質に大きな差が出るのも問題でしょう。こういったことを避けるためにも、OJT 管理システムをしっかりと構築しておくことが重要です。取り組み方や進捗状況などをチーム全体で共有できるようにしておけば、OJT トレーナーを引き継ぐときやトレーナー間での情報のやりとりにも便利です。

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効果的な OJT で即戦力を育成する

OJT の意味や重要性、メリットとデメリットなどの基本知識をまとめました。OJT は即戦力の育成や社内コミュニケーションの活性化など、多くのメリットをもたらします。基本ステップを踏んで、効果的な訓練ができるように準備を整えましょう。OJT 導入のポイントも押さえておけば、より効率的に行うことができます。

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