現代社会で働くビジネスパーソンは、1日の大半をデジタル機器と向き合って過ごしています。
厚生労働省が実施した「技術革新と労働に関する実態調査」によると、2008 年時点で、すでにコンピュータ機器の使用により「目の疲れを訴える労働者が増えた」とする事業所は 22.7% にのぼっていました。
それから数十年、私たちの環境は激変しました。最新の民間調査(資生堂、2023 年)では、1 日の利用時間は平均 6.22 時間に達し、全体の約70%がデジタル疲労を実感しています。
国がかつて警鐘を鳴らした「デジタル疲れ」は、スマホやAIの普及によって、今や当時の数倍の規模で私たちの心身を侵食していると言えるでしょう。
このデジタル疲れは、さらに深刻な問題・悪影響を引き起こしています。それが「ツール疲れ」です。
あなたは今日、何個のデジタルツールを開きましたか? Slack、メール、Zoom、Google Drive、生成 AI ツール……。おそらく 10 個以上のツールを行き来しているのではないでしょうか。
実は、この頻繁なツール切り替えが脳の「スイッチング・コスト」を増大させ、あなたの貴重なエネルギーを奪っています。「一生懸命働いているのに、なぜか仕事が終わらない」 「常に何かに追われている気がする」その正体は、あなたの能力不足ではなく、デジタル環境による「脳疲労」かもしれません。
このガイドでは、デジタル疲れとツール疲れの両方を解消する実践的な方法を、個人でできるデジタルデトックスから組織的なツール統合まで、3段階のアプローチでご紹介します。
デジタル疲れとは、スマートフォンやパソコンなどのデジタル機器を長時間使用することで生じる心身の不調・疲労感を指します。単なる「目の疲れ」ではなく、脳と体の両方に影響を及ぼす現代特有の症状です。
身体的症状
目の疲れ、ドライアイ
肩こり、首の痛み
頭痛
姿勢の悪化による腰痛
精神的症状
集中力の低下
イライラ、不安感
睡眠の質の低下
思考力・記憶力の低下
デジタル疲れの中でも、特にビジネスシーンで深刻化しているのが「ツール疲れ」です。ツール疲れとは、複数のデジタルツールを頻繁に切り替えることで生じる認知的な疲労を指します。
以下のような症状に心当たりはありませんか?
症状 | あなたの状況 |
|---|---|
情報が見つからない | 「あのファイル、どこに保存したっけ?」と探し回る時間が増えた |
達成感がない | たくさん働いているのに、何を成し遂げたのか分からない |
集中できない | 通知に気を取られて、深く考える時間が持てない |
心身の疲れ | デジタル機器から離れられず、休んでも疲れが取れない |
SHIFT の「SaaS 管理実態調査結果 (2025年)」によると、SaaS を情シスが一元管理できているのはわずか 22%で、残りの 78% は各部署がバラバラに管理している状況で、情報が分断され、ツール疲れがますます深刻化しています。
ChatGPT や Claude などの生成 AI ツールは、業務効率化を加速させる可能性を秘めています。しかし、過度な AI 活用により、かえって負担が増えたという声も少なくありません。
1. 指示(プロンプト)を考える疲れ
AI に何をどう頼めばいいか、最適なプロンプトを毎回考えるのが大変。期待したアウトプットが出るまで試行錯誤が必要。
2. チェックする疲れ
AI が作った文章やコードの事実確認(ファクトチェック)に追われ、精神的な負荷がかかる。
3. AI の進化に対する焦り
AI の進化が速すぎて、「使いこなせていない」という不安やプレッシャーを感じる。
「もっと効率よくプロジェクトを進めたい」「無駄な作業をしている気がする」「チームメンバーの足並みが揃わない」 。そんな悩みを Asana のプロジェクトマネジメント機能で解決しましょう。まずは無料でお試しください。
単なる「不便さ」を超え、ツールが増えすぎた組織には以下のような目に見えないコストが発生し、経営を圧迫します。
ツールを切り替えるたびに、あなたの集中力は途切れます。脳科学の研究によると、作業を中断してから元の集中状態に戻るまで平均 23 分かかります。詳細はGallupが報じた「仕事の中断」のリスク にまとめられていますが、1 日に 25 回ツールを切り替えれば、それだけで数時間のロスです。
さらに、情報が複数のツールに分散していると、以下のような問題が起きます。
従業員は 1 日の 20% を情報検索に使っている
重要な情報を見逃し、判断が遅れる
チームの連携がうまくいかない
83.9% の人がデジタル疲労を感じている現状で、デジタルツールの使いすぎは状況を悪化させる可能性があります。
デジタル機器から離れられない焦り
仕事が終わってもメールをチェックしてしまう
何を達成したのか分からず、やりがいを感じられない
燃え尽き症候群 (バーンアウト) のリスクが高まる
ツールが増えすぎると、会社にも大きな負担がかかります。調査によると、平均的な企業では契約している SaaS アプリの 30% が実際には使われていません。
無駄なライセンス費用
シャドーITなどセキュリティリスクの増加
IT 部門の管理負担
ツール疲れによる離職率の上昇
デジタル化の進展とともに、各部署が独自に効率化を目指してクラウドツールを導入してきました。マーケティング部門はマーケティングオートメーション、営業部門は CRM……気づけば、IT 部門も把握していないツールがあちこちに。使用ツールの増加により、情報が分断され、可視化が困難になっています。
デジタル化の進展に伴い、各部署が個別にツールを導入した結果、情報の可視化が困難になりました。また、従業員は「作業者」から、AIの出力を管理する「AIマネージャー」への役割転換を強いられ、絶え間ない意思決定が脳疲労を加速させています。
日々の業務において、あなたはこのようなワークフローを繰り返していませんか?
Slack でタスクの依頼を受ける
プロジェクト管理ツールでタスクの詳細を確認
Google Drive で関連ドキュメントを探す
ChatGPT で初期ドラフトを作成
AI の出力をレビュー・修正
メールで追加情報を確認
再び Slack で進捗を報告
この悪循環は、1 つのタスクを完了するために複数のツールを行き来することを強制し、集中力を著しく低下させます。
デジタル疲れとツール疲れの解消には、個人レベルのデジタルデトックスから組織全体の仕組み改革まで、段階的なアプローチが必要です。ここでは、今日から実践できる方法から、根本的な解決策まで、3つのレベルに分けてご紹介します。
デジタルデトックスとは、デジタル機器から意識的に距離を置き、脳と心を休ませる取り組みです。「すべてのデジタル機器を捨てる」ことではありません。仕事で使わざるを得ない場合でも、以下の 3 つの時間軸で実践できます。
毎日のデジタルデトックス (5 - 15 分)
週末のデジタルデトックス (半日- 1 日)
休暇中のデジタルデトックス (数日-1 週間)
起床後すぐにスマホをチェックしない。まず水を飲む、ストレッチをする、朝食を取るなど、アナログな活動から 1 日を始めましょう。
効果: 朝一番の脳は最もクリアな状態です。この時間をデジタル情報で埋めてしまうと、1 日の生産性が大きく下がります。
昼食の最初の 15 分は完全にデバイスから離れます。食事に集中することで、脳がリセットされます。
実践のコツ: スマホを引き出しにしまう、または別の部屋に置いてから昼食を取る。
カーフュー (門限) を設けて、自分をデジタルから解放しましょう。具体的には、寝室にスマホを持ち込まない習慣を作るだけで、睡眠の質は劇的に改善します。
土曜または日曜の午前中 (または半日) を「デジタル断ちの日」として設定します。
具体的な過ごし方:
スマホは引き出しにしまう
PC は開かない
公園、森、海など自然の中で過ごす
読書や運動など、アナログな趣味を楽しむ
家族や友人と対面でゆっくり話す
週に 1 度のデジタルデトックスにより、脳の情報処理能力が回復し、翌週の生産性が向上することが報告されています。
仕事のメール・チャットは完全にオフ(自動返信を設定)
SNS アプリを一時的に削除(または通知を完全オフ)
スマホは緊急連絡用のみ(1 日 1 回チェック程度)
写真撮影は専用カメラを使う(スマホに頼らない)
休暇前に必ず引き継ぎを完了し、「緊急時の連絡先」を明確にしておくことで、安心してデジタルデトックスできます。
スマートフォンや PC から絶え間なく届く通知は、集中力を分断する最大の要因です。以下の設定を見直しましょう。
Slack・Teams: @メンションと重要なチャンネルのみ通知
メール: VIP 送信者からのメールのみ通知
その他のアプリ: 基本的にすべてオフ
スマートフォン: 仕事用アプリは勤務時間外に通知オフ
長時間のデジタル機器使用による目の疲れを防ぐため、「20-20-20 ルール」を実践しましょう。
20 分ごとに作業を中断
20 秒間、画面から目を離す
20 フィート(約 6 m)先を見る
スマートフォンのタイマーやリマインダーを活用すると習慣化しやすくなります。
25 分の集中作業と 5 分の休憩を繰り返す「ポモドーロ・テクニック」は、デジタル疲労を防ぎながら生産性を高めます。
タイマーを 25 分にセット
1 つのタスクに集中
タイマーが鳴ったら 完全にデバイスから離れて5 分休憩
4 回繰り返したら 15〜30 分の長めの休憩
休憩中は、ストレッチや目を閉じるなど、デジタル機器を使わない活動を選びましょう。
個人の努力だけでは限界があります。チームや組織全体でルールを設定することで、デジタル疲れを根本から軽減できます。
午前中の 2 〜 3 時間を「フォーカスタイム」として設定し、チーム全員が集中作業に専念します。
この時間帯は会議を入れない
チャットやメールの即レス不要
緊急時以外は話しかけない
カレンダーでブロックしておくことで、他のメンバーからの予定調整を自動的に防げます。
週に 1 日は会議を入れない日を設定します。特に Zoom 疲れが深刻な場合、オンライン会議から解放される時間を作ることで、大幅なストレス軽減が期待できます。
水曜日や金曜日など、週の中日〜後半に設定
全社的に実施することで効果が最大化
どうしても必要な会議は非同期での情報共有に切り替え
すべてのやり取りを即レス前提にしないルールを設けます。
チャットへの返信は 24 時間以内を標準とする
緊急時は電話または対面で伝える
「すぐに確認してほしい」という前提をやめる
これにより、通知に振り回される状況が改善され、自分のペースで仕事ができるようになります。
レベル 1・2 の対策は「症状への対処療法」です。しかし、デジタル疲れの根本原因である「ツールの乱立」「情報の分断」「頻繁なツール切り替え」を解決しなければ、一時的な改善に留まってしまいます。
真の解決には、情報を一元化し、認知的負荷を減らす仕組みが必要です。
ツール疲れと AI 疲れを解決する鍵は、「ツールを減らすこと」ではありません。「情報を 1 か所にまとめること」です。
必要なツールをすべて捨てることはできません。しかし、それらのツールからの情報を 1 か所で見られるようにすれば、ツール間の切り替えを大幅に減らせます。
世界最大手のサイバーセキュリティ企業 Palo Alto Networks もかつては深刻なツールの乱立による課題を抱えていました。同社では部門ごとに 5 つ以上のシステムが併用されており、情報の断絶によって業務コストが 40% 以上も増大していたのです。
状況を重く見た経営陣は、Asana への統合をトップダウンで実施。 複数のツールが混在することで生じていた煩雑さや無駄、そしてセキュリティリスクを一掃しました。
Palo Alto Networksの成功事例をチェックする→
Asana は、バラバラになった情報をまとめ、仕事の全体像を見えるようにするプラットフォームです。以下の機能で、ツール疲れと AI 疲れを軽減できます。
機能 | メリット |
|---|---|
200 以上のツールと連携 | Slack、Gmail、Google Drive、Zoom などの情報を Asana で一元管理。アプリを切り替える回数が減ります。 |
繰り返し作業を自動化 | ルーティンワークを自動化して、手作業での情報のコピペを削減。本当に大切な仕事に時間を使えます。 |
進捗が一目で分かる | タスクやプロジェクトの状況を 1 つの画面で把握。「あれはどこだっけ?」と探す時間が減ります。 |
AI を賢く活用 | Asana AI が優先順位を提案。複雑な指示を考える手間が減り、AI を効果的に使えます。 |
通知をコントロール | 本当に必要な通知だけを受け取る設定ができます。複数ツールからの重複通知に悩まされません。 |
「ツールを切り替える疲れ」をなくすため、Asanaは200以上のアプリとシームレスに連携します。各連携の具体的なメリットと活用方法については、詳細ガイドをご覧ください。
コミュニケーションをタスクに変える
チャットツールとAsanaを連携させれば、やり取りの中に埋もれがちな依頼を逃さず、ワークフローに組み込めます。
Slack + Asana 連携ガイド: チャットを1クリックでタスク化し、悪循環を断ち切る方法
Microsoft Teams + Asana 連携ガイド: 会議の議事録からアクションアイテムを自動作成する
ファイル探しをゼロにする
情報の保存先が分散していることが脳疲労の原因です。ストレージと連携して情報を一箇所に可視化します。
Google Drive + Asana 連携ガイド: タスクに直接ファイルを紐付け、検索時間を劇的に削減
OneDrive + Asana 連携ガイド: セキュアなファイル共有とプロジェクト管理の両立
顧客管理と業務効率化を同期する
営業やマーケティングの日々の業務を自動化し、チーム全体の生産性向上を実現します。
Salesforce + Asana 連携ガイド: 商談の進捗に合わせてワークフローを自動化する
HubSpot + Asana 連携ガイド: リード獲得から施策実行までを最短距離で繋ぐ
仕事を最大限効率化し、チームの生産性を上げるためには、Asana のプロジェクトマネジメント機能をお試しください。日々の業務と目標をつなげ、「誰が・何を・いつまでに行うのか」を可視化します。
まず、あなたとチームが使っているツールをすべてリストアップしましょう。各ツールについて、以下を確認します。
どのくらいの頻度で使っているか
月にいくらかかっているか
他のツールと機能が重複していないか
AI ツールの場合、指示やチェックにどのくらい時間がかかっているか
すべてのツールを一度に整理するのは大変です。以下の基準で優先順位をつけましょう。
毎日使っているツール
チームで共有が必要なツール
Asana と連携できるツール
最も疲れを感じるツール
いきなり会社全体で変えるのではなく、小さなチームやプロジェクトから試してみましょう。
1 つのチームで試してみる
使ってみた感想を集める
うまくいった方法をチーム内で共有する
少しずつ範囲を広げていく
導入後は、以下の項目で効果を確認します。
ツールを切り替える回数は減ったか
1 つのタスクにかかる時間は短くなったか
チームメンバーのストレスは減ったか
プロジェクトを期限内に終えられているか
「デジタル疲れ」や「ツール疲れ」は、現代で働く私たちが避けて通れない課題です。
大切なのは、仕組みで脳の負担を減らすことです。個人でできるデジタルデトックスから始め、チームで運用ルールを整え、最終的にはツールを統合して「信頼できる唯一の情報源」を構築する。この 3 段階のアプローチによって、情報に振り回される「AI マネージャー」から、本来の創造的な「表現者」へと戻ることができます。
ツール疲れと AI 疲れから解放されれば、あなたは本当に大切な仕事に集中できます。達成感を感じられる働き方で、あなたとチームの可能性を最大限に引き出しましょう。
Asana を活用することで、オペレーションチームは仕事の連携、プロセスの統一、年次計画の作成を 1 か所で実現できます。
A. まず、チーム全体で 「そのツールがなければ仕事が止まるか?」 という視点で棚卸しを行いましょう。機能が重複しているツールや、月に数回しか使わない SaaS は統合の対象です。単にツールを減らすだけでなく、Palo Alto Networks の事例のように 「情報の入り口」 をひとつに絞ることで、ツール過多による情報の分断を防ぎ、運用コストの削減にも繋がります。
A. 最も即効性のある解消法は、通知に振り回されない 「集中タイム」 を物理的に確保することです。脳科学の研究によれば、一度中断された集中力が元に戻るまで平均 23 分かかるため、特定の時間帯はすべてのデジタルツールの通知をオフにする、または 「Asana のフォーカスモード」 を活用するなどの対処法が有効です。これにより、脳を休ませながら生産性向上を実現できます。
A. 即効性のある対策は以下の 3 つです :
20-20-20 ルールで目を休ませる
すべてのアプリの通知を最小限にする
15 分間、完全にデジタル機器から離れる ただし、これらは対症療法です。根本的な解決には、ツールの統合による認知的負荷の軽減が必要です。個人でできる対策から始め、最終的には組織全体でツールを統合することで、デジタル疲れを根本から解消できます。
A. 現場の努力 (ボトムアップ) だけではなく、経営層が主導する 「トップダウンのワークフロー再構築」 が不可欠です。各部署がバラバラにツールを導入する悪循環を断ち切り、プロジェクトの進捗やコミュニケーションを単一プラットフォームに集約する対策を講じましょう。情報が可視化され、手動での進捗確認が不要になれば、従業員の脳疲労やバーンアウトのリスクを劇的に抑えることが可能です。