【シャドーIT対策完全ガイド】 深刻なリスクからSaaS管理の実践方法まで網羅的に解説

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2026年2月12日
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シャドーIT
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概要

シャドーITのリスクと対策を徹底解説。最新統計から情報漏えい等の脅威を浮き彫りにし、ポリシー策定、意識向上、技術管理の「3つの柱」を提示します。さらに、大手金融機関のAsana導入事例を交え、高いセキュリティと業務効率化を両立する実践的なアプローチを紹介。リスクを抑えつつ生産性を高めたいIT管理者必読のガイドです。

リモートワークやハイブリッドワークの普及により、企業の IT 環境は劇的に変化しました。従業員が自宅や会社のオフィス以外の場所から業務を行うようになり、業務効率化を求めて個人的に便利なクラウドサービスやアプリケーションを使用するケースが急増しています。

総務省「通信利用動向調査 (令和 6 年版) 」によると、クラウドサービスを利用する企業の割合はすでに 8 割を超えています。クラウドサービスの利用が拡大するほど、IT 部門の情報システムの管理が届かない「シャドー IT 」が発生するリスクは高まります。

こうした状況の中、シャドー IT は情報漏えい、マルウェア感染、コンプライアンス違反など、組織にとって大きなリスクをもたらします。本記事では、シャドー IT の基礎知識から具体的なセキュリティリスク、そして効果的なシャドー IT 対策まで、IT 部門の管理者、コンプライアンス責任者、チームリーダーが知っておくべき情報を網羅的に解説します。さらに、三井住友信託銀行の実際の導入事例を通じて、セキュリティと業務効率を両立させる実践的なアプローチをご紹介します。


シャドー IT とは?基礎知識と定義

シャドー IT の定義と企業への影響

シャドー IT (Shadow IT) とは、企業の IT 部門の承認や管理を受けずに、従業員が個人的に導入・使用しているソフトウェア、クラウドサービス、アプリケーション、デバイスの総称です。「シャドー (影) 」という言葉が示すとおり、IT 部門の情報システムからは見えにくい、可視化されていない IT リソースを指します。

具体的には、業務効率や利便性向上を目的として、従業員が独自に判断して業務利用している以下のようなツールやサービスが該当します。

  • 個人のフリーメールアカウントやチャットツールで機密情報を送受信する

  • 未承認のクラウドストレージサービスに重要な情報や機密文書を保存する

  • IT 部門の許可を得ていないチャットツールなどのメッセージングアプリで業務連絡をする

  • 無料版のプロジェクト管理ツールやコラボレーションツールを個人所有のデバイスで使用する

  • 個人のスマートフォンやタブレットなど個人のデバイスで業務データにアクセスする

Assured の2024年の調査によれば、大手企業の半数以上 (52.3%) が 100 以上のクラウドサービスを利用しており、1 社あたりの平均は 207 サービスに上ります。これほど膨大な数のサービスが業務利用されている一方、シャドー IT 対策を実施できている企業は約 3 割にとどまっており、IT 資産管理の難しさは増すばかりです。

シャドー IT に該当するサービス例

シャドー IT はさまざまな形で企業内に存在しています。以下は代表的な例です。

個人用クラウドストレージ

Dropbox、Google Drive、OneDrive などの個人アカウント、容量無制限をうたう海外の無名ストレージサービス、WeTransfer や GigaFile 便などのファイル共有・ファイル転送サービスが該当します。

コミュニケーション・チャットツール

個人用の Slack、Microsoft Teams、Discord、WhatsApp、LINE、Telegram などのチャットツールやメッセージングアプリ、Zoom や Google Meet の個人アカウントが含まれます。

プロジェクト管理・コラボレーションツール

Trello、Notion、Airtable などの無料プラン、個人アカウントの Google Docs や Google Sheets、Miro や Figma などのデザイン・コラボレーションツールが代表的です。

その他のツール

個人用パスワード管理ツール、ChatGPT や Claude などの生成 AI ツールへの機密情報の入力、マーケティングオートメーションツール、データ分析・BI ツールなども含まれます。生成 AI の業務利用は急速に普及している一方、入力データの取り扱いについてのリスクが見落とされがちです。

これらのツールは従業員の業務効率向上に貢献する一方で、企業のセキュリティポリシーやコンプライアンス要件を満たしていない可能性があり、サイバーセキュリティ上の重大なリスクをもたらします。

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シャドー IT と BYOD の違いを正しく理解する

シャドー IT と混同されやすい概念に「BYOD (Bring Your Own Device) 」があります。両者は関連していますが、本質的に異なる概念です。正しく理解することで、適切なセキュリティ対策を講じられます。

BYOD とは

BYOD (Bring Your Own Device / ビーワイオーディー) は、従業員が個人所有のデバイス (スマートフォン、タブレット、ノート PC など個人のデバイス) を業務に使用することを指します。多くの企業で正式なポリシーとして認められており、適切に管理されていれば合法的な業務形態です。主なメリットとして、デバイス購入コストの削減、使い慣れた個人所有の端末による業務効率向上、柔軟な働き方の実現などが挙げられます。

シャドー IT と BYOD の明確な違い

シャドー IT と BYOD の明確な違いは承認と管理の有無にあります。 BYOD は、企業が定めたルールに基づき、個人所有のデバイスを「公式に」業務利用する枠組みです。IT 部門の管理下(MDM 等)にあり、セキュリティポリシーが適用されています。 一方、シャドー IT は、IT 部門の許可なく「非公式に」ツールやデバイスを業務利用する行為を指します。

つまり、許可を得ていない私物デバイスの利用は「シャドー IT」であり、それを会社の許可と管理下に置いたものが「BYOD」であるという関係性になります。

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シャドー IT が発生する原因と背景

シャドー IT は、従業員の悪意や規則違反の意図から生まれるわけではありません。多くの場合、業務効率化を求めるという前向きな動機から発生します。根本原因を理解することで、禁止一辺倒ではない効果的なシャドー IT 対策を講じることができます。

原因 1:テレワーク・リモートワークへの移行

COVID-19 パンデミック以降、テレワーク・リモートワークが急速に普及しました。従業員が自宅やカフェなどのフリー Wi-Fi 環境など、社内ネットワークの外から業務を行うようになった結果、既存の情報システムへのアクセスが不便になったり、VPN 接続が不安定になったりする場面が増えました。特に自宅や外出先の Wi-Fi を使った業務では、社内ネットワーク経由の IT 統制が効きにくく、個人的に使い慣れたクラウドサービスに頼らざるを得ない状況が生まれます。

なお、総務省の通信利用動向調査 (令和 6 年版)によると、テレワークを導入している企業の割合は 47.3% (令和 6 年版) となっており、リモートワーク環境は多くの企業で定着しています。この IT 環境の変化が、シャドー IT の温床となっています。

原因 2:業務効率への追求

既存の企業提供ツールが使いにくい、あるいは業務ニーズに合っていない場合、従業員は自ら業務効率化の解決策を探します。レガシーシステムの動作の遅さ、ユーザーインターフェースの複雑さ、モバイル対応の不足、リアルタイムコラボレーション機能の欠如などが典型的な不満点です。業務効率を高めるために、より便利なツールを個人的に探し出して使い始める従業員は少なくありません。組織への貢献意欲の表れでもありますが、情報セキュリティのリスクを伴います。

原因 3:IT 部門の承認プロセスの遅さ

多くの企業では、新しいツールやサービスの導入に厳格な承認プロセスが必要です。しかし、このプロセスが業務のスピード感に追いつかないことがあります。申請から承認まで数週間〜数か月かかるケースや、複数部署の承認が必要で手続きが複雑なケースも少なくありません。緊急のプロジェクトや顧客対応が必要な場面では、承認を待たずに利用可能なツールを使い始めてしまいます。

原因 4:セキュリティ意識の欠如

一部の従業員は、個人用ツールの業務利用がもたらすシャドー IT のリスクを十分に理解していません。データ保存場所に対する認識不足、アクセス権限設定の重要性への理解不足、「少しの間だけ」という軽い気持ちでの使用など、悪意のない行動がリスクを生み出します。

原因 5:デジタルツールの普及と低価格化

クラウドサービスの発展により、高機能なツールが無料または低価格で利用できるようになりました。無料プランでも十分な機能を持つ SaaS が増え、クレジットカード登録のみで即座に使い始められるサービスも多数あります。この導入障壁の低さが、IT 部門の情報システム管理を回避した個人的なツール使用を容易にしています。

総務省の令和6年通信利用動向調査では、クラウドサービスを利用している企業の 88.2% が「効果があった」と回答しており、クラウドサービスの利用への期待は年々高まっています。この普及の勢いが、IT 部門の承認を待たずにツールを使い始める従業員を増やす背景にもなっています。

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シャドーIT のリスク:企業にもたらす深刻なセキュリティリスク

シャドー IT は単なる規則違反の問題ではありません。シャドー IT のリスクは企業に深刻な財務的損失、法的責任、評判の低下をもたらす可能性があります。

こうしたリスクは、国の機関も公式に警告しています。IPA (独立行政法人情報処理推進機構) が毎年発表する「情報セキュリティ 10 大脅威 2024 (組織編) 」では、シャドー IT と直結する「内部不正による情報漏えい等の被害」が第 3 位、「不注意による情報漏えい等の被害」が第 6 位にランクインしています。いずれも人為的なサイバーセキュリティリスクであり、シャドー IT の存在がこれらの脅威を増幅させる要因となっています。

リスク 1:情報漏えい・機密情報の流出

シャドー IT による最も深刻なリスクのひとつが、機密情報や個人データの情報漏えいです。個人のクラウドストレージサービスに保存された顧客情報が不正アクセスにより第三者に流出したり、ファイル共有リンクの設定ミスにより機密文書が公開状態になったりするケースがあります。また、退職した従業員の個人アカウントに会社の重要な情報が残存し、アクセス権限を失効できないという問題も発生します。

特に金融業界においては、個人のクラウドストレージや私物デバイスの業務利用を端緒とした情報漏えい事案が報告されています。数千件規模のデータ流出が発生すれば、法的な損害賠償への対応はもちろん、金融庁などの監督官庁からの業務改善命令といった厳しい社会的制裁を免れません。シャドーITの放置は、もはや一担当者の過失では済まされない経営リスクとなっています。

リスク 2:マルウェア感染・サイバー攻撃

未承認のアプリケーションやサービスは、企業のセキュリティチームによる評価が行われていません。信頼性の低いサービスからのマルウェアダウンロード、フィッシング攻撃の標的となりやすい個人アカウント、セキュリティパッチが適用されていないアプリケーションなどが感染経路となります。特に、無料で提供されているツールの中には、マルウェアが含まれていたり、広告収入のために不要なトラッキングが行われていたりするものもあります。エンドポイントへのマルウェア感染は、社内ネットワーク全体へのサイバー攻撃に発展するリスクがあります。

リスク 3:不正アクセス・アカウント乗っ取り

個人アカウントは企業アカウントに比べてセキュリティ面でぜい弱なことが多く、不正アクセスや乗っ取りのリスクが高まります。使い回しや単純なパスワード、多要素認証 (MFA) の未設定、フィッシング攻撃への脆弱性などが主な原因です。アカウントが乗っ取られると、攻撃者による機密情報へのアクセス、マルウェアの配布、さらなるサイバー攻撃の踏み台としての悪用につながります。

リスク 4:コンプライアンス違反

多くの業界では、データ保護に関する法規制が年々厳しくなっています。シャドー IT によって、GDPRや個人情報保護法をはじめとする各国・地域の法令への違反リスクが高まります。また、IT部門が把握していないツールやデータの流れが増えるほど、監査への対応が困難になり、コストの増大にもつながります。

リスク 5:IT 資産管理の困難化

IT 部門が把握していないツールやサービスが増えるほど、企業の IT 資産管理・IT 資産全体の可視化が困難になります。同じ機能のツールに複数の部署が別々に契約する重複投資、無料プランの商用利用規約違反によるライセンス違反、問題発生時のサポート不能など、運用上の問題が多発します。

シャドー IT 対策の実践方法:3 つの柱

シャドー IT への効果的なセキュリティ対策には、技術的な管理だけでなく、組織文化とプロセスの改善が必要です。以下、3 つの柱に基づいた包括的なアプローチを解説します。

柱 1:セキュリティポリシーの策定と周知

明確で実行可能なセキュリティポリシーは、シャドー IT 対策の基盤となります。

利用可能サービスのホワイトリスト作成

承認済みツールの明確なリストを作成し、各ツールの利用目的と対象部署を定義します。従業員が代替ツールを探さなくて済むよう、幅広い業務ニーズをカバーする選択肢を揃えることが大切です。

迅速な新規ツール申請プロセス

申請から承認まで 2 週間以内の回答を目標に、簡潔で迅速な申請フローを構築します。セキュリティ評価基準を明示し、却下された場合は必ず代替案を提示します。

データ分類と取り扱いルール

機密レベル別にデータを分類 (公開・内部・機密・極秘) し、各レベルに対して利用可能なツールを定義します。従業員が迷わず判断できるよう、具体的かつシンプルなルールにすることがポイントです。

セキュリティポリシーの周知

入社時のオリエンテーション、イントラネットでの常時公開、四半期ごとのリマインダーメール、実際の事例を用いたケーススタディなどを通じて継続的に周知します。セキュリティポリシーは策定して終わりではなく、定期的な見直しも欠かせません。

柱 2:従業員教育とセキュリティ意識向上

技術的なセキュリティ対策だけでは不十分です。従業員一人ひとりがシャドー IT のリスクと情報セキュリティの重要性を理解し、適切な行動をとることが不可欠です。

定期的な従業員教育・セキュリティ研修の実施

年 2 回以上の全社員必須研修を設け、部署別・役職別にカスタマイズした内容で実施します。e ラーニングとワークショップを組み合わせることで、知識の定着を高められます。キヤノンマーケティングジャパンの調査では、利用許可のないクラウドサービスやアプリの個人利用について「許可がないものは利用しない」と回答した人の割合は、全体では 47.4% にとどまったのに対し、研修参加者では 72.3% と大幅に上昇しました。

具体的なリスクシナリオの共有

抽象的なリスク説明よりも、実際のインシデント事例の紹介や、フィッシングメールのシミュレーション演習が効果的です。従業員が「自分ごと」として捉えられる具体的な事例を活用しましょう。

承認済みツールの使いやすさ向上

シャドー IT が発生する根本原因のひとつは「承認済みツールが使いにくい」という問題です。定期的なユーザーフィードバックの収集、UI の継続的改善、充実したヘルプデスク体制の整備により、未承認ツールへの依存を減らせます。

柱 3:技術的な管理ツールの導入

CASB によるクラウドの可視化と制御

シャドーIT対策の要となるのがCASB (Cloud Access Security Broker) です。従業員が無断で使っているクラウドサービスを自動で洗い出し、リスクを評価します。まずは「何が使われているか」を見える化するところから始め、段階的に制御を強めていくのが現実的なアプローチです。

エンドポイント (端末) のセキュリティ強化

会社が支給したPCやスマートフォンの管理も欠かせません。MDM (端末管理ツール) を使えば、不正なアプリのインストール制限や、紛失・盗難時のリモートワイプが可能になります。個人所有の端末 (BYOD) を業務利用する場合は、プライバシーへの配慮から端末全体を管理するのではなく、業務アプリだけを管理する方法も有効です。

さらに、万が一マルウェアが侵入した際に素早く検知・封じ込めるEDR (端末向けセキュリティツール) を組み合わせることで、端末を起点とした情報漏えいのリスクを抑えられます。

DLPによる機密情報の出口対策

DLP (Data Loss Prevention) は、「データそのもの」を守るための仕組みです。送信しようとしているファイルや文書の中身をスキャンし、機密情報が含まれていれば外部への流出を自動で止めます。承認済みのツールを使っていても機能するため、うっかりミスや悪意のある持ち出し、どちらにも有効です。

ゼロトラストの考え方による統合運用

上記のツールを個別に入れるだけでなく、「社内ネットワークも含め、あらゆるアクセスをデフォルトで信頼しない」というゼロトラストの考え方で統合的に運用することが重要です。ツールを導入すれば自動的に実現するものではなく、「誰が、どのデバイスで、どこから何にアクセスするか」を常に検証する仕組みを組織全体で整えていくことが、シャドーITを生まない強固なセキュリティ環境につながります。

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SaaS 管理とシャドー IT 対策の統合アプローチ

シャドー IT 対策を単独で行うのではなく、全体的な SaaS 管理戦略の一部として位置づけることで、より効果的かつ持続可能なアプローチが実現します。

SaaS 管理プラットフォーム (SMP) による可視化

SaaS 管理プラットフォームは、企業内で使用されているすべての SaaS を一元管理するための基盤です。クラウドサービスの利用状況を完全に可視化することで、シャドー IT の早期発見はもちろん、未使用ライセンスの削減やセキュリティ評価の自動化を実現します。「現状を把握する」ための技術的土台となります。

SaaS エコシステムを健全化する承認プロセスの効率化

管理戦略の次のステップは、シャドー IT を正規の利用へと正しく誘導することです SaaS の利点は「即座に使い始められるスピード感」にあります。承認プロセスが遅いと、管理プラットフォームでいくら監視しても、従業員は制限を潜り抜けてシャドー IT へ走ります。審査フローの自動化やリスクに応じた簡易審査を導入し、正規の管理ルートを最速にすることが、戦略的な SaaS 管理には不可欠です。

代替ツールの提案による移行支援

戦略の最終ゴールは、リスクのあるツールを排除し、安全な SaaS 環境へ従業員を定着させることです。 単なる禁止は業務の停滞を招きます。シャドー IT を検知した際、IT 部門がなぜそのツールが必要だったのかというニーズを汲み取り、セキュリティ要件を満たした代替ツールを迅速に提案・提供することで、組織全体の IT 資産を安全かつ高効率な状態へと最適化できます。

ワークマネジメントツール Asana とは?

Asana を活用したシャドー IT 対策の実践

シャドー IT 対策において最も重要なのは、従業員が「使いたい」と思える承認済みツールを提供することです。Asana は、サイバーセキュリティと業務効率を両立させる理想的なソリューションとして、多くの企業で採用されています。

エンタープライズグレードのセキュリティ

Asana は、金融機関を含む高度なセキュリティ要件を持つ企業でも採用されるレベルの情報セキュリティ機能を備えています。SOC 2 Type II、ISO 27001、GDPR、HIPAA など主要な認証・規制への準拠、機密情報の暗号化 (転送時・保存時) 、シングルサインオン (SSO) と SAML 2.0 対応、多要素認証 (MFA) の強制、きめ細かなアクセス権限管理、監査ログとアクティビティ追跡などが含まれます。

IT 部門による完全な管理・可視化

Asana の管理コンソールを通じて、IT 部門の管理者は組織の IT 環境全体の利用状況を完全に把握できます。ユーザー管理とプロビジョニングの自動化 (SCIM プロトコル対応) 、チーム・プロジェクトの可視化、セキュリティポリシーの一元管理、利用状況レポートとダッシュボード、データエクスポートとバックアップ機能により、IT 資産管理の負担が大幅に軽減されます。

多様な業務ニーズへの対応でシャドー IT を削減

従業員が複数の未承認ツールを業務利用する理由は、それぞれ異なるニーズへの対応です。Asana はプロジェクト管理、タスク管理、チームコラボレーション、ワークフロー自動化、ゴール設定・進捗追跡、レポーティングと分析など、多様な機能を単一プラットフォームで提供しています。これにより、複数の未承認ツールを使う必要性が大幅に減少します。

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導入事例:三井住友信託銀行が実現した、安全で統制のとれた DX 推進

三井住友信託銀行は、Asana の導入によって業務の属人化解消と生産性向上を実現すると同時に、銀行業界に求められる厳格なセキュリティ要件をクリアすることで、結果として「管理された安全な IT 環境」を構築することに成功しました。

導入前の課題:属人化と情報の分散

同行では、専門性の高い業務ゆえの属人化や、Outlook の受信トレイや Excel にタスクが分散していることが課題でした。ナレッジが個人のメールボックスに埋もれてしまう「情報の非公開化」は、組織としての生産性を阻害するだけでなく、IT 部門が把握できない場所で業務が進むリスクも孕んでいました。

ハイレベルなセキュリティ要件のクリア

2023 年 4 月、導入事務局が最初に取り組んだのは、銀行のハイレベルなサイバーセキュリティ規範に沿った運用方法の構築です。 「ユーザー部門主導での IT ツール導入」という前例のないチャレンジに対し、全社の IT 基盤を運営する部署と密接に協力。社内情報の分別管理、外部からの不正アクセス防止、内部からの情報漏えい対策を担保する仕組みを構築しました。日本のデータセンターを選択できる Asana の特性も、同行の厳しい要件を満たす一助となりました。

チェンジマネジメントによる「公認ツール」の浸透

導入にあたり、事務局は Asana 公式の「チェンジマネジメント」手法を採用しました。

  • Asana リーダーの任命: 各現場のキーマンを配置し、部長クラスの合意を得た上で推進。

  • 継続的な伴走支援: 週 1 回 30 分の会議や、事務局によるハンズオン支援を実施。

  • 双方向のコミュニケーション: 2 週間ごとのメルマガ発行や、フォーム機能によるユーザーアンケートを 3 か月に一度実施し、現場の声を運用に反映。

導入の成果:安全な環境での業務効率化

2024 年 4 月の本格導入から、現在は事業全体約 500 人規模で運用されています。長期利用者では 1 か月あたり約 6 時間の業務削減という定量的な効果に加え、以下の成果が得られました。

  • IT 統制の確立: 銀行の厳格なセキュリティ基準を満たした「公認ツール」へ業務を集約。

  • コミュニケーションの質向上: タスクの進捗だけでなく、考えやアイデアを共有する文化へ。

  • 属人化の解消: プロセスが可視化され、休暇の引き継ぎや教育のスピードが向上。

三井住友信託銀行による asana の導入事例を見る


まとめ:シャドー IT 対策で実現する安全で効率的な働き方

シャドーIT は、リモートワーク・テレワーク時代における避けられない課題です。しかし、適切なシャドーIT 対策によりサイバーセキュリティと業務効率の両立は実現できます。

シャドー IT への対策はもはや一部の大企業だけの問題ではなく、すべての組織が取り組むべき経営課題です。大切なのは、シャドー IT を「従業員の問題」として捉えるのではなく、組織として解決すべき IT 環境の課題として取り組むことです。従業員が未承認ツールを業務利用するのは、多くの場合、業務効率化をしたいという意欲の表れです。その意欲を活かしながらセキュアな IT 環境を整備することが、持続可能なシャドー IT 対策の本質です。

三井住友信託銀行の導入事例が示すように、Asana のようなエンタープライズグレードのツールを適切なプロセスで導入することで、情報セキュリティ要件を満たしながら組織全体の業務効率と透明性を高められます。セキュリティポリシーの定期的な見直し、従業員教育の継続、新たなサイバー攻撃やシャドー IT のリスクへの迅速な対応を組み合わせることで、変化するビジネス環境においても安全で効率的な働き方を実現し続けられます。

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シャドー IT に関するよくある質問 (FAQ)

Q1. シャドー IT に該当するものは具体的に何ですか?

A1. IT 部門の承認を得ていないすべてのソフトウェア、クラウドサービス、デバイスが該当します。 代表的な例としては、個人用の Slack や LINE 等のチャットツール、Dropbox や Google ドライブ等の個人アカウント、さらには ChatGPT などの生成 AI ツールへの業務データの入力も含まれます。また、許可を得ていない私物のスマートフォンや USB メモリの業務利用もシャドー IT の一種です。

Q2. シャドー IT と BYOD の違いは何ですか?

A2. 最大の違いは企業の管理・承認があるかどうかです。 BYOD (Bring Your Own Device) は、企業が認めたルールに基づき、個人所有のデバイスを「公式に」業務利用することです。一方、シャドー IT は IT 部門の許可なく「非公式に」ツールやデバイスを使う行為を指します。BYOD は管理下にありますが、シャドー IT は管理の目が届かないため、セキュリティリスクが非常に高い状態です。

Q3. シャドー IT が発生する主な原因は何ですか?

A3. 業務効率の追求と社内システムの不便さが主な要因です。 従業員がより効率的に仕事をしたいと考えた際、会社支給のツールが使いにくい、あるいは導入の承認プロセスが遅い場合に、個人的に使い慣れた便利なツールに頼ってしまうことで発生します。また、テレワークの普及により社外ネットワークから個人のクラウドサービスにアクセスしやすくなったことも背景にあります。

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