プロセスマッピングガイド:定義、作成方法、活用のコツ

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2024年1月8日
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素晴らしい名案を思いついたのに、どこから手をつけていいかわからない、という経験をしたことはないでしょうか。アイデアが見事に実を結ぶには、まずそのアイデアをを整理して計画を立てる必要があります。

プロセスマッピングはプロセスの整理に活用されます。これは作業分解構成図と同じく、ワークフローを視覚化したもので、問題点や改善が必要な部分を見つけやすくしてくれます。

プロセスマッピングは、チームのブレインストーミング、意思決定、プロジェクトの計画などを行う際に威力を発揮します。さらに、プロセスの文書化、新規採用者のトレーニング、プロセスの改善などの目的にも活用できます。

プロジェクトの計画とコミュニケーションの効率を上げてチームに貢献するために、プロセスマッピングの仕組みと例、メリット、プロセスマップの作成方法を学びましょう。

プロセスマップテンプレートを作成

プロセスマッピングとは

プロセスマッピングとは、ワークフローやプロセスを視覚的に図示するテクニックです。これには、プロセスマップ (フローチャート、プロセスフローチャート、ワークフローダイアグラム) の作成が必要です。

プロセスマッピングの目的は、プロセスがどう進むかを簡潔にわかりやすく伝えることです。これによってチームの誰もが、プロセスを達成する方法をすぐに理解でき、口頭での長い説明が不要になります。開始から完了までのプロセスをマッピングすることで、プロセス全体の流れをよりよく理解し、非効率的なポイントを見つけたり、改善を行ったりすることができます。

プロセスマッピングは、どんな種類のプロセスの視覚化にも利用できますが、特にプロセスの分析、トレーニング、プロセスの統合、改善といったことによく活用されます。複雑なプロセスについて情報を伝達したり、あるプロセスで繰り返し発生する問題に対処したり、複数のチームメンバーの役割を調整したりする際に、力を発揮します。

プロセスマップの作り方

プロセスマップは、紙でも作成できますが、ワークフローマネジメントソフトウェアとテンプレートを使っても簡単に作成できます。以下の各ステップで、プロセスマップを一から作成する方法を説明します。

プロセスマップの作り方

ステップ 1: マッピングする問題やプロセスを特定する

最初に、マッピングするプロセスを決めます。改善が必要な非効率的なプロセス、チームに簡潔に伝えたい新しいプロセス、従業員がよく質問してくる複雑なプロセスなどが候補になります。マッピングしたい対象を見つけて、名前をつけましょう。

ステップ 2: 関連する仕事をリストアップする

プロセスを完了するために必要なすべてのタスクを書き出します。この段階では、順番は気にする必要はありません。関連するすべてのアクションやタスクと、それぞれの担当者をリストにしましょう。

できれば、プロセスに参加するチームメイトなどの関係者と協力し、必要な全ステップを正確に考慮して、どの程度まで詳細が必要かを判断しましょう。また、必ずプロセスの開始と終了時点を設定して、望ましい結果を得るには、どのタスクを含めるべきかがわかるようにしてください。

ステップ 3: 一連の流れを書き出す

すべてのタスクをリストアップしたら、次のステップはこれらのタスクを正しい順序に並べ替え、開始から終了までプロセス全体を図示します。前のステップで見落としていたことがあれば、ここで確認しましょう。

ステップ 4: プロセスマッピングのシンボルを使ってフローチャートを作成する

適切なプロセスマッピングのフォーマットを選んで、プロセスを作成しますが、このときステップはプロセスマッピングのシンボルを使って表現します。プロセスの様々な要素を表す一般的なシンボルは、約 30 種類あります。特に広く使用されるものについては、この記事の後半で詳しく説明します。

ステップ 5: プロセスマップの最終確認を行い共有する

プロセスマップを書き上げたら、プロセスの他の関係者と一緒に見直して、全員が理解でき、プロセスのマッピング方法について意見が一致することを確認します。見落としたステップがなく、重複や曖昧な箇所がないかチェックしてください。

ステップ 6: マップを分析して改善の必要な部分を見つける

プロセスマップがプロセスのワークフローを正確に表していることを確認したら、完成したプロセスマップを分析ツールとして使い、プロセスを改善する方法を見つけます。

チームからのフィードバックを参考に、プロセスのどこに進行を妨げる要素や非効率的な要素があるのかを判断します。廃止できるステップや、効率化すべきタスクといった、改善の余地のあるポイントを見つけたら、是正のための対策をとり、改善点を反映したプロセスマップに更新します。

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プロセスマップを使う理由

プロセスマッピングは、アイデアの実行に必要なステップを視覚的に伝えることで、アイデアを固め、プロセスを合理化します。

プロセスマッピングがチームにもたらすメリットには、次のようなものがあります。

  • 非効率的なポイントが確認できる: プロセスの流れにおける進行の阻害要因や見落としなど、問題点を見つけやすくなります。

  • アイデアを単純化する: 複雑なアイデアを、より小さなステップに分割できます。

  • 理解しやすくなる: プロセスを完全に理解できるようになります。

  • コンティンジェンシープランを立てられる: 緊急事態にも対応でき、問題解決の指針を提供できます。

  • 仕事を割り当てられる: 多くの個人やチームの間で、仕事の担当を調整できます。

  • 文書に残せる: プロセスを文書化できます。

  • 情報を明確に伝えられる: わかりやすい視覚的な図によって、コミュニケーションをシンプルにできます。

  • 意思決定のスピードを上げる: コミュニケーションを効率的に行うことで、意思決定を迅速に行えます。

  • 従業員をサポートできる: 従業員のパフォーマンスと仕事への満足度を高められます。

  • 規格を満たす: 事業が ISO 9000 と ISO 9001 の要求事項を満たす上でも役立ちます。

記事: ビジネスにおける効率と効果の違い: チームに両方が必要な理由

プロセスマップの種類

プロセスマップのスタイルは千差万別ですが、いずれも目的は同じです。ただし、プロセスマップの種類によっては、特定のプロセスにより適している場合があります。ここでは最も一般的なプロセスマップの種類をいくつか取り上げます。

プロセスマップの種類

フローチャート

プロセスマップの中でも最もシンプルなものが基本のフローチャートです。こうしたフローチャートでは、プロセスマッピングのシンボルを使って、プロセスのインプットとアウトプットや、プロセスを完了するために必要なステップを表します。

基本のフローチャートは、新規プロジェクトの計画、チームメンバーのコミュニケーションの改善、プロセスのモデル化および文書化、現在のプロセスの問題解決、ワークフローの分析と管理といった用途に利用できます。

主な用途: 開始から終了まで、プロセスがどう進行するかを、通常は順序に従って示す。

ハイレベルプロセスマップ

ハイレベルプロセスマップはトップダウンマップ、バリューチェーンマップとも呼ばれ、プロセスの全容を俯瞰するものです。ステップはプロセスの骨組みに限定され、マップに含まれる詳細は最小限です。

ハイレベルプロセスマップは、ビジネスプロセスの定義や、関連する主要ステップの特定に利用されます。また、経営トップや、運営の細々した内容を知る必要のない第三者とプロセスについて話し合う際にも重宝します。

主な用途: プロセスの重要ステップの伝達。

詳細なプロセスマップ

ハイレベルプロセスマップとは対照的に、詳細プロセスマップでは、各ステップの具体的な内容すべてが表示され、副次的なサブプロセスも含まれます。また、意思決定ポイントと、各ステップのインプットとアウトプットも記載されます。このプロセスマップは、マッピングしたプロセスを最も網羅的に理解でき、詳細な情報が確認できることから、非効率的なステップを特定する際に特に役立ちます。

主な用途: あらゆる詳細やコンティンジェンシーを含め、プロセスを網羅的に理解する。

スイムレーンマップ

部門横断マップや業務フローチャートとも呼ばれるスイムレーンマップでは、プロセスに関するタスクが「スイムレーン (プールのレーン)」に配置され、各タスクの担当者が示されます。マップはプロセスの関係者ごとのチャネルに仕切られ、該当の関係者のチャネル内にタスクがリストアップされます。このタイプのプロセスマップでは、プロセスに関わる様々な役割と関係者間の相互の関係が明確になります。

スイムレーンマップは、プロセスにおける役割について従業員のトレーニングを行い、説明責任の所在をよりクリアにする際に特に有効です。また、プロセスの遅れ、重複、潜在的な失敗要因など、プロセスの非効率的なポイントを特定する際にも活用できます。

主な用途: プロセスにおける複数の関係者の役割を明確にする。

バリューストリームマップ

バリューストリームマップは、製品やサービスを顧客に提供するまでのプロセスを視覚化するリーンマネジメントのツールです。このマップは複雑になることが多く、プロセスに必要な情報や材料の流れを図示する独特のシンボルが利用されます。

サイクル時間や各ステップに関与する人数といったデータを記載するバリューストリームマップは、無駄を削減できる部分を突き止め、将来のプロジェクトの改善につながる機会を可視化できる点が優れています。

主な用途: 製品を顧客へ提供するまでのプロセスを描き、プロセスに関わる定量データを記載する。

SIPOC ダイアグラム

SIPOC とは、Supplier (供給者)、Input (インプット)、Process (プロセス)、Output (アウトプット)、Customer (顧客) の頭文字をとった用語です。SIPOC ダイアグラムは、プロセスマップというよりも、プロセスの重要な要素をまとめたチャートで、詳細なプロセスマップを作成する前段階で作られることがあります。

この略語が示す通り、SIPOC ダイアグラムは、プロセスの基本ステップ、アウトプット、顧客、インプット、各インプットの供給者という 5 つの柱で構成されます。より詳細なプロセスマップのための準備としてだけでなく、複雑なプロセスのスコープを定義する際にも利用できます。

主な用途: プロセスの重要な要素や関係者を確定する。

プロセスマッピングのシンボル

プロセスマッピングでは、ステップ、決定点、インプット、アウトプット、参加チームメンバーなど、主要な要素を表すために、統一モデリング言語 (UML) のシンボルを用います。

ここでは、最も一般的なプロセスマッピングのシンボルとその使い方を説明します。

  • 端子 (開始 / 終了): 楕円は、プロセスの開始と終了を表します。

  • 処理 (プロセス): 長方形は、プロセス内のアクションやタスクを示します。

  • フロー: 矢印は、プロセスのステップをつなぎ、フローの方向を示します。

  • 判断: ひし形は、判断が必要なポイントを表します。通常は「イエス」「ノー」で答え、この判断によってオプションが分岐します。

  • 遅延: D 型のシンボルは、プロセスの遅延を示します。

  • ドキュメント: 底辺が波打っている長方形は、参照できる文書や情報を示しています。複数のドキュメントは、波打つ長方形をいくつか重ねたようなシンボルで示されます。

  • データ: 平行四辺形は、プロセスのステップにおけるデータの入力と出力を表します。

  • 手動入力: 上辺が斜めになった長方形は、データの手動入力が必要なステップを表します。

  • サブプロセス: 2本の縦線が入った長方形は、事前に、別途定義されるサブプロセスを表します。

プロセスマップのシンボル

その他、プロセスマップに組み込めるシンボルは数多くありますが、プロセスマッピングを始めたばかりの場合は特に、これらの一般的なシンボルが最も便利です。

プロセスマッピングの例

どんなタイプのプロセスでもプロセスマップを作成できますが、自分のチームにどう適用すべきか、ピンとこない場合もあるでしょう。

この例は、具体的なプロセスマップをわかりやすく示したものです。

例: B2B セールスのプロセス

プロセスマッピングのテクニック

プロセスマップは、ニーズや好みに合わせてカスタマイズできますが、最大限効果的にプロセスマッピングを行うために、一般的なヒントをいくつか覚えておきましょう。プロセスマッピングを始めるに当たって、活用したいベストプラクティスをいくつか紹介します。

プロセスマップを計画する:

  • プロセスの境界を設定して、必要な情報のみが含まれるようにする。

  • プロセスの明確な目標を設定する。

  • 客観的な、定義されたアウトプットがあるプロセスのみをマッピングする。

プロセスマップの下書きを作る:

  • アウトプットからインプットへと遡るように作成する。

  • サブプロセスは複雑にしない。

  • 多すぎたり少なすぎたりしないように、必要なすべての詳細を含める。

  • 全員が共通の認識を持てるように、シンボルなどの標準的な表示を使う。

プロセスマップを見直す:

  • プロセスに関わる全員からフィードバックを得る。

  • 必要に応じて、望ましい状態にするための詳細な代替案を作る。

  • 現状のプロセスが必ずしも完璧で理想的な状態でなくても、マップを作成し、そこから改善を行う。

この記事で紹介したヒントをプロセスマッピングの各ステージで応用し、期待通りの役立つプロセスマップを作成しましょう。

プロセスマップを使ってプロジェクトを正しい方向へ導く

プロセスマッピングは、プロセスを文書化して改善するための有効なツールです。ここで紹介した情報と、ワークフローを作成する 7 つの簡単なステップを組み合わせてみましょう。適切なツールを使ってマッピングとプロセス管理を始めれば、明確なコミュニケーションが実現し、効率を高めることができます。

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