問題管理: よりよい問題解決のための 8 つのステップ

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2024年2月18日
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概要

問題管理は、8 つのステップからなるフレームワークで、IT チーム (情シスチーム) によって最もよく使われています。重大なインシデントが繰り返される場合の解決に、問題管理を活用できます。問題解決の方法を整理し、体系化することで、影響力の大きい問題の根本原因をより効果的に突き止め、解決策を考案できるのです。根本原因を解決することで、再発を防ぎ、同じようなエラーが今後発生したときに使えるような、再現性のある解決策を作成できます。

IT 部署において、エラーやトラブルは仕事の一部と言えます。これらの問題を常にコントロールすることはできませんが、問題管理で問題の対処方法をコントロールすることは可能です。問題管理は、大きな問題を解決するだけでなく、関連するすべての問題を特定し、解決し、将来の計画を立てることによって、再発のリスクを低減するのに役立ちます。

問題管理とは?

問題管理は、8 つのステップからなるフレームワークで、IT チームによって最もよく使われています。重大なインシデントが繰り返される場合の解決に、問題管理が利用できます。問題解決の方法を整理し、体系化することで、影響力の大きい問題の根本原因をより効果的に突き止め、解決策を考案できるのです。問題管理は、主に IT チームが使用しているプロセスで、問題を特定し、反応し、対応するためのものです。すべての問題に対応できるわけではありませんが、業務に大きな支障をきたすような重大なインシデントが複数発生した場合に有効な対応策です。問題解決とは異なり、問題管理は、最初のインシデントにとどまらず、根本原因を発見・分析し、恒久的な解決策を講じることにより、今後のインシデントも防止します。

問題管理の目標は、次のとおりです。

  1. 問題が発生する前に予防する。

  2. 繰り返されるエラーを解決する。

  3. 各インシデントの影響を低減する。

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問題管理とインシデント管理の違い

問題管理は、インシデントの再発を防止するために、その根本原因をターゲットにします。一方、インシデント管理は、特定のインシデントのみを解決するものです。インシデント管理が通常 1 つの事象に対応するのに対し、問題管理は繰り返し発生する事象に対応します。

例: 誰かが保護されていないノートパソコンを喫茶店に忘れてしまい、セキュリティの侵害が発生。セキュリティチームは、インシデント管理を使用して、この 1 つの事象を解決できます。この場合、チームはそのノートパソコンに接続されているアカウントを手動でシャットダウンすることができるでしょう。このような事態が続くようであれば、IT チームは問題管理を用いてこの問題の根本を解決していくことになります。社員用ラップトップにさらなるセキュリティ機能をインストールし、社員がラップトップを紛失しても、他の誰も情報にアクセスできないようにすることなどが考えられます。

問題管理と問題解決の違い

名前こそ似ていますが、問題管理は、問題解決とは少し異なります。問題管理では、問題の根本原因の特定、解決、予防など、インシデントのあらゆる側面に焦点を当てます。問題解決は、その名の通り、解決のステップにのみ焦点を当てたものです。

例: 新しいパスワード管理システムをリリースしたところ、またもやクラッシュ。何かが漏れたかどうかはわからないものの、機密情報が含まれている可能性があることはわかっています。しかも、前にも同じようなことがありました。このような事態を二度と起こさないために、問題管理プロセスを開始します。そのプロセスでは、解決のためのステップとして、問題解決を行います。この場合では、新しいソフトウェアのリリース前に、機密情報を保護することなどが考えられるでしょう。

問題管理 vs. チェンジマネジメント

チェンジマネジメントは、よくも悪くも職場内の大きな変化をターゲットにしているものです。こうした避けられない変化は必ずしもネガティブなものばかりではないので、常に問題管理で解決できるわけではありません。そこで新しいシナリオに適応するためのフレームワークとして登場するのが、チェンジマネジメントなのです。

例: 会社が新しいクラウドプラットフォームに移行しており、移行においては何のインシデントも発生していません。つまり、問題管理は必要ではないといういことです。しかし、チェンジマネジメントのベストプラクティスを実施することで、移行を容易にすることができます。まずは、新しいソフトウェアに関するチームメンバーの教育とトレーニングを行うのがよいでしょう。

問題管理とプロジェクト管理の違い

プロジェクト管理は、仕事のより大きな集合体のためのフレームワークです。プロジェクトにどう取り組み、目標を達成し、結果を出すかについての包括的な方法です。プロジェクト管理は、問題管理のために使うことができますが、同じものではありません。問題管理とプロジェクト管理は、問題管理プロセスの一部として、問題を解決するために一緒に機能するものです。

例: 問題管理の過程で、バックエンドのセキュリティに、対処すべき問題があることが判明しました。セキュリティ対策が古いストレージソフトウェアを社員が使用しているのです。この問題を解決するために、プロジェクトを作成し、最初から最後までのタスクのアウトラインを行います。この場合、上層部に報告し、古いソフトウェアを削除する承認を得て、従業員に警告する必要があるかもしれません。決められたタイムラインの付いたプロジェクトのスケジュールを作成し、関連するチームにタスクを割り当てます。このプロセスでは、安全でないソフトウェアを削除するという望ましい結果を特定し、それを解決できました。これがプロジェクト管理です。

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問題管理の 8 つのステップ

問題が起きると動揺してしまいがちですし、実際にそれは全く普通のことです。しかし、新たなインシデントに直面したときに、感情的な対応が必ずしもベストな対応とは限りません。問題管理のような信頼できるシステムがあれば、感情的に対応してしまう誘惑を排除できます。プロアクティブにプロジェクト管理を行えば、チームに問題解決のためのフレームワークを提供できます。これは、反復型プロセスです。使えば使うほど、問題の数が減り、対応時間が短縮され、よりよいアウトプットが得られる可能性が高くなります。

1. 問題を特定する

問題を特定する段階では、今何が起きているのか、という現在に目を向けます。ここでは、インシデントの内容とその規模を定義します。小規模で迅速な修正でよいのか、それとも全面的な見直しなのか。このような複雑な問題を定義し、優先度を設定し、障害を理解するために、プロブレムフレーミングの使用を検討しましょう。

2. 原因を診断する

問題分析や根本原因分析で、戦略的に問題の原因を探ります。問題の軌跡を、その始まりまでずっと追いかけていくのです。

根本的な原因を診断するには、次のような問いに答えていくとよいでしょう。

  • どのような要因や状況がインシデントの発生につながったのか?

  • 関連するインシデントはあるか?それらは同じところから来ているのか?

  • 誰かが手順を間違えたのか?問題の原因はプロセスにあるのか?

3. 整理して優先度を設定する

あとは、フレームワークを構築していきます。IT プロジェクト計画を使って情報を整理し、皆がリアルタイムで更新をしたり、更新を確認できるスペースにします。プロジェクト管理ツールを使用して、タスクを入力し、期限を設定し、タスク間の依存関係を追加して、見落としがないようにするのが一番簡単な方法です。プロセスをよりよく整理するためには、次のことを定義します。

  • 何が必要なのか?

  • 問題の各側面の担当者は?もし誰もいなければ、誰かに割り当てることができるか?

  • 各要素はいつまでに完了すればいいのか?

  • この問題に関連するインシデントの最終的な数は?

  • これらのタスクの中に、別のタスクに依存しているものはないか?依存関係を設定する必要があるか?

  • 最優先事項は何か?それらは、私たちのより大きなビジネス目標にどのような影響を与えるか?

  • 今後、これに対応するためにはどのように計画していけばよいのか?

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4. 回避策を作成する

インシデントによって作業が中断または変更された場合、回避策 (ワークアラウンド、次善策) を作成する必要がある場合があります。いつも必要というわけではありませんが、一時的な対処法を用意しておくことで、問題管理のステップを踏んでいく間、作業を継続し、残務を回避することができるのです。これらの回避策が特に効果的な場合、それを恒久的なプロセスにすることもできます。

5. 既知のエラーデータベースを更新する

インシデントが発生するたびに、既知のエラーの記録を作成し、既知のエラーデータベース (KEDB) に追加します。インシデントを記録することで、再発を防止し、解決策を記録できるため、今後起こりうる類似のエラーの解決方法を知ることができます。

インシデント記録例

6. チェンジマネジメントのための一時停止 (必要な場合)

大きな問題、影響力の大きな問題には、チェンジマネジメントが必要なことがあります。たとえば、問題の根本原因が人手不足にあることがわかった場合、チームのメンバーを支援に充てることが考えられるかもしれません。このような場合、チェンジマネジメントによって、メンバーの担当業務を移行させ、新しい役割をチーム全体にどう取り入れられるかを確認し、今後どのようなコラボレーションが可能かを判断します。

7. 問題を解決する

問題の解決、これがまさに楽しいところです。この段階では、何に対処し、どのようなステップを踏むべきかが正確にわかっているはずです。しかし、問題管理では、現在の問題を解決するだけでは十分でないことを忘れないでください。将来的に同じことが起こらないようにするための、あらゆる手段を講じる必要があります。たとえば、ワークフローのギャップを埋めるために新しい担当者を雇ったり、新しいソフトウェアやツールに投資したり、この種のインシデントを防ぐためのベストプラクティスについてスタッフをトレーニングしたりなどが考えられます。

記事: チームを問題解決の達人に変える問題解決戦略とは

8. プロセスを振り返る

問題管理のプロセスには、そのプロセスをすべて記録し、将来見直せるという利点があります。問題を解決したら、各ステップを見直し、このプロセスで学んだ教訓を振り返る時間をとりましょう。誰が関与したか、何が必要だったか、次のインシデントへの対応を改善する可能性はあるかなどを書き留めておきます。問題管理のプロセスを数回繰り返し、基本的な手順、利害関係者、ワークロード、必要なリソースが把握できたら、今後のキックオフプロセスを容易にするためのテンプレートを作成します。

問題管理の 5 つのメリット

問題管理は、現在のシナリオからその根本原因まで、問題のあらゆる部分の発見に役立ちます。これは、現在の問題に即座に良い影響を与えるだけでなく、コラボレーションを促進し、全体的により優れた製品を作ることにつながるのです。

ここで、問題管理がチームにもたらす、その他の 5 つの利点をご紹介します。

  1. インシデントの繰り返しを防止する。インシデントを最初から最後まで管理するということは、その原因となった基礎的な問題に対処することになります。その結果として、インシデントを繰り返すことが少なくなります。

  2. 部門間のコラボレーションが活発になる。問題管理は共同作業によるプロセスです。インシデントが発生すると、IT、セキュリティ、法務の各チームのコラボレーションが求められることがあります。問題のレベルによっては、製品やサービスチームにまで波及し、コアな変更が必要になるかもしれません。

  3. よりよいユーザーエクスペリエンスが実現される。それは単純な話で、インシデントが少なければ少ないほど、顧客体験は改善します。インシデントを減らすことは、遅延、ダウンタイム、ユーザーの不満を減らし、顧客満足度を向上することにつながります。

  4. 応答時間が向上する。プロジェクト管理プロセスでフローとフレームワークが強化されると、たとえ異なるシナリオであっても、将来発生するインシデントによりよく対応できるようになります。

  5. 問題解決が整理される。問題管理は、問題を解決するために、体系化された、考え抜かれたアプローチを提供します。これにより、衝動的な対応を減らし、インシデントと解決策の、より優れた問題記録が残せるようになります。

問題管理は、より優れた、より迅速な解決策をもたらす

IT チームは常にインシデントに対処しなければなりませんが、インシデントに振り回される必要はありません。それは、問題管理が有効だからです。問題管理チームを結成するにしても、現在の IT インフラストラクチャで上記の問題管理手法を実践するにしても、問題管理は、特にプロジェクト管理ツールと組み合わせた場合に、時間と労力の節約につながります。

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