クリエイティブ戦略: 優れた内容に仕上げる 6 つのステップ

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2022年10月28日
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概要

クリエイティブ戦略とは、具体的な目標や目的を達成するための計画を定める青写真です。本記事では、クリエイティブ戦略の定義とそれがビジネスの成長に欠かせない理由について説明します。また、クリエイティブ戦略の構成要素や一般的な作成手順についても解説します。

チェスで勝利を掴むには戦略が欠かせません。最後まで勝ち残るには、相手の裏をかく動きを一つひとつ計画しなくてはいけません。ビジネスの世界でいうクリエイティブ戦略とは、目標を達成するための綿密な計画のことです。私たちは、それを使って競合他社を出し抜き、斬新なアプローチでお客様やクライアントにアピールします。

本記事では、クリエイティブ戦略の定義とそれがビジネスの成長に欠かせない理由について説明します。また、クリエイティブ戦略の構成要素や一般的な作成手順についても解説します。

クリエイティブ戦略とは?

クリエイティブ戦略とは、企業がブランドのアイデンティティやマーケティング、ビジネスの長期的な成長といった具体的な目標や目的を達成する方法を定めるものとして作成する青写真のことです。効果的なクリエイティブ戦略には、そうした目標を達成するための戦略目標と革新的なアプローチが盛り込まれます。戦略の内容として、以下を行います。

  • ターゲットオーディエンスを定義する

  • オーディエンスに期待するアクションを特定する

  • そうしたアクションを実現するために使う戦略について説明する

クリエイティブ戦略を作成することは、最終製品を期待に沿ったものに仕上げる最適な手段であるため、非常に重要なことです。また、クリエイティブ戦略ステートメント (戦略がどのようにターゲットオーディエンスの興味を引くのかを簡潔にまとめた概要) があると、クリエイティブチームは、プロジェクトをどのように進めるべきか、成果物を制作するときは誰のことを意識すべきかを明確に理解できます。

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クリエイティブ戦略を作成するときにすべき 10 個の質問

競合他社を凌げるように、ユニークな内容のクリエイティブ戦略を立てることが重要ですが、戦略の作成プロセスは一連のシンプルな質問に答えることから始めるのが最適です。どのようなマーケティングチームでも、クリエイティブ戦略を作成するときに、以下のような質問を使えば、いろいろなアイデアがひらめくでしょう。

クリエイティブ戦略を作成するときにすべき質問
  1. ブランドボイスは何か?ブランドボイスは、企業の個性のようなものです。ボイスとは、本質的に、あらゆるかたちのコミュニケーションを通じてオーディエンスに伝えたい企業イメージのことです。企業が発信するメッセージだけでなく、その口調でもあります。面白味のあるカジュアルなボイスにするのか、フォーマルで情報提供を目的とした口調にするのか。企業の認知度と信頼を築くのは、このボイスであるため、決めたブランドボイスを一貫して守ることが重要になります。

  2. 一番の目的は何か?マーケティングキャンペーンを通じて達成したい最終目標を、主要な目的として掲げます。目標を定義すると、戦略アプローチが明確になるため、戦略の残りを作成しやすくなります。

  3. ターゲットオーディエンスは誰か?マーケティングメッセージを使ってリーチしたいオーディエンスを把握しておくことは、クリエイティブ戦略に欠かせません。具体的なターゲットオーディエンスがはっきりしていないと、ブランドに無関心な人々にメッセージを発信して、時間とお金を無駄にしてしまいます。

  4. 顧客 / クライアントが望んでいるものは何か?ターゲットオーディエンスを把握したら、市場調査を行って、オーディエンスから何を期待されているのかを判断します。マーケティングプランを成功させる最善策は、エンドユーザーのニーズに応えることです。

  5. 一番のメッセージは何か?マーケティングメッセージは、焦点を絞る必要があります。また、それはブランドボイスと合致していなくてはいけません。製品やサービスを販売するのであれば、エンドユーザーにとっていかに有益であるかが主眼になります。クライアントのために成果物を制作しているのであれば、クライアントの問題を解決することがメッセージのフォーカスとなります。

  6. どんな CTA を使うか?お客様のニーズに焦点を当てた製品やサービスには、ユーザーに何らかの行動を起こしてもらための CTA (行動喚起) が必要です。CTA は、ターゲットマーケットに応じて、大胆なものにしたり控えめなものにしたりするとよいでしょう。

  7. 成果物は何か?お客様やクライアントが求めるものを特定したら、そのニーズに合ったクリエイティブアセットを制作します。そうしたアセットの制作に必要なリソースを見極め、チームメンバーに対応できるだけの余裕があるかどうかを判断しましょう。

  8. どのマーケティングチャネルを使うか?ターゲットオーディエンスは、各々のデモグラフィックに応じたマーケティングチャネルを使用すると思われます。たとえば、年齢層の若いオーディエンスに対してマーケティングする場合は、キャンペーンを Instagram や Twitter といった SNS に集中させるとよいでしょう。年齢層の高いオーディエンスは Google を使う頻度が高いと考えられるため、その場合は SEO にフォーカスする必要があるでしょう。

  9. 予算はいくらか?クリエイティブなアイデアをどのように計画し、実行するかは、プロジェクト予算がどれだけあるかで決まります。新製品をマーケティングする革新的な戦略があったとしても、その戦略を実行するための資金がなければ、その戦略を具体化することに価値はありません。

  10. クリエイティブ戦略を作成する時間はどれだけあるか?計画ステージを完璧にこなさなければ、実行ステージは順調に進みません。ですから、クリエイティブ戦略の作成には時間をかけたいものです。決められた時間内に適切に計画を立てられるよう、プロジェクトタイムラインを把握しておくことは重要です。

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クリエイティブ戦略を作成する 6 つのステップ

クリエイティブ戦略を作成するときは、上述した質問をフレームワークとして使います。その多くは、下のステップバイステッププロセスと密接に関連していることがおわかりになると思います。

クリエイティブ戦略を作成する 6 つのステップ

1. 目標を定義する

クリエイティブマーケティング戦略の目標を使って、戦略を一つずつ組み立ていきます。戦略にまとまりが感じられるように、戦略に含まれるすべてを目標に関連付ける必要があります。

ヒント: SMART な目標を立てて、戦略の実行中に評価とモニタリングを簡単に行えるようにします。たとえば、目標の 1 つにカスタマーベースを前年比で 10% 増加させることが含まれている場合、クリエイティブ戦略には、その目標を達成する方法を詳しく記載しておくとよいでしょう。

2. クリエイティブ戦略ステートメントを書く

クリエイティブ戦略ステートメントは、ミッションステートメントに似ていますが、「なぜこのクリエイティブ戦略を作成するのか、誰のためなのか、どういった価値をもたらすのか?」といった内容にフォーカスが置かれます。大切なポイントを一つも逃すことなく、簡潔にこの質問に答えることを目指しましょう。

ヒント: クリエイティブ戦略の目標は、組織のメンバー全員に作戦を伝えることです。製品やサービスのバリューについて語るときは、必ず競合他社から抜きんでるための計画を含めましょう。以下は、クリエイティブ戦略ステートメントの一例です。

“私たちは、LinkedIn や Facebook といった SNS プラットフォームを使用している B2B 企業と B2C 企業のトップエグゼクティブが、感銘を受けて当社にマーケティングサポートを依頼したくなるほど、楽しくユーモアあふれるマーケティングキャンペーンを展開することを目指します。”

3. 成功の評価指標を設定する

成功の評価指標 (別名 KPI) は、第一の目的に対する戦略の出来栄えを追跡するのに役立ちます。初日からこうした評価指標を知っておけば、最適な追跡方法を決めるのに十分な時間を確保できます。たとえば、SNS の評価指標と財務的な評価指標があれば、それぞれを異なるプラットフォームを使って追跡するとよいでしょう。

ヒント: クリエイティブ戦略に使う成功の評価指標を選択したら、その各指標をモニタリングするタイミングとしてプロジェクトマイルストーンを設定します。そうしたチェックポイントに到達したら、戦略が期待どおりに進行しているか、方向性を変える必要があるかを判断します。

4. メッセージとターゲットオーディエンスを決める

メッセージとターゲットオーディエンスは、クリエイティブ戦略の重要な部分です。このステップでは創造力がものを言います。メッセージの長さからトーン、伝え方にいたるすべてを考慮することが大切です。誰に向けたメッセージなのかということが、メッセージの書き方を左右する主な要因となります。

ヒント: メッセージの内容がターゲットオーディエンスに適しているかどうかを知る一番効果的な方法は、ペルソナを作ることです。詳細なペルソナがあれば、ターゲットオーディエンスの気持ちになり、期待されるメッセージを届けやすくなります。

5. 予算を設定する

クリエイティブ戦略の正確な予算を立てるには、資金を使うことになる思うものをすべて書き出します。予算に含めるべきアイテムには、以下のようなものが挙げられます。

  • プロジェクト成果物

  • 有料広告

  • マーケティングソフトウェアやクリエイティブプログラム

  • 社外ベンダー

  • サービス料金

予算を項目別に整理しておかないと、気が付いたら予算オーバーしているという状況に陥りかねません。

ヒント: 計画段階コストを見積もっておくと、資金を使ってしまう前に予算を適切に調整できます。予想される支出額が高すぎることに気付けば、時間をかけて安価なベンダーを探したり、一層コスト効率の高い戦略を計画したりできます。

6. タイムラインを作成する

タイムラインに沿ってプロジェクトを進めると、予算オーバーを防ぎつつ、エンドユーザーの満足度を高めることができます。たとえば、製品を開発していて、お客様が具体的な日のリリースを期待している場合は、その日にリリースしなければお客様の信頼を失ってしまいます。そうならないよう、タイムラインにマイルストーンを追加して、チームメンバー全員が予定どおりに仕事を進められるようにします。

ヒント: プロジェクト管理ソフトウェアを使って、タイムラインを作成し、プロジェクトマイルストーンに対するチームメンバーの進捗を追跡します。それから、ガントチャートを作成し、プロジェクトタスクの間に起こる不測の事態を可視化します。

記事: 戦略と戦術の違いとは?

クリエイティブ戦略の例: コンテンツマーケティング企業の場合

コンテンツマーケティングを行う企業は、ビジネスの長期的な成長につながるさまざまな目標を達成しようと、クリエイティブ戦略を使う場合があるでしょう。SNS のエンゲージメントが減少していることに気付けば、SNS マーケティングにフォーカスしたクリエイティブ戦略を作成して対応できるでしょう。以下は、このエージェンシーがエンゲージメントを高める策として使えるクリエイティブ戦略の一例です。

クリエイティブ戦略の例
  • 目標: SNS のエンゲージメントを次の四半期に 25% アップさせる (そのうち 10% を Instagram、15% を Facebook で)。

  • クリエイティブ戦略ステートメント: 仕事中に SNS にアクセスする潜在顧客の注目を引き、楽しませる。優れたコンテンツをもって喜びを生み、当社サービスを使用することへのプレッシャーを感じさせずに、スキルを駆使してクライアントを感動させることが当社の目標である。

  • KPI: Facebook と Instagram の分析ページを使い、いいね、コメント、シェア、クリック、フォロワーを評価する。

  • メッセージ: メッセージは、楽しく、面白く。当社のスキルもおのずと伝わるでしょう。クライアントに当社の仕事を見ていただく機会があれば、「ぜひ自社でも使わせていただきたい」というお声が聞けることを期待しましょう。

  • ターゲットオーディエンス: ターゲットオーディエンスは、B2B および B2C 企業のトップエグゼクティブ。

  • 予算: 有料広告、オーガニックな SEO 記事制作、および動画制作に 5~10 万ドルを用意する。

  • タイムライン: 制作作業とパフォーマンス評価にそれぞれ 3 か月。

プロジェクト管理ソフトウェアを使ってクリエイティブ戦略をつなげましょう

クリエイティブ戦略を作成し、実行するには、それを専門にするチームが必要です。すべてを上手に整理するには、プロジェクト管理ソフトウェアを使って、1 か所でタイムラインを作成し、予算を立て、KPI をモニタリングします。そして、そうしたアイテムをチームメンバーと共有し、力を合わせれば、競合他社を凌げるでしょう。

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