2024年の 13 のマーケティングトレンドと戦略

寄稿者 Caeleigh MacNeil の顔写真Caeleigh MacNeil
2023年12月14日
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マーケティングに携わる人は、変化に慣れていなければなりません。”
デヴライ大学、最高マーケティング責任者、Remberto del Real 氏

新聞広告から人工知能に至るまで、マーケティングのトレンドは、テクノロジーや消費者の嗜好の移り変わりに合わせて変化します。つまり、マーケティングリーダーにとって、実証済みのベストプラクティスが常に信頼できるとは限らないのです。むしろ、効果的なマーケティング戦略を立て、マーケターとしての優秀性を維持するには、今後のトレンドを予測できるかどうかが問われます。

2024年は新たなテクノロジーと消費者行動の波をもたらし、マーケティング担当者にとって、かつてないほど面白く、チャレンジに満ちた一年になるでしょう。競合他社の機先を制すために、注目すべき 13 のマーケティングトレンドをご紹介します。 

AI でよりスマートな働き方を実現するか、取り残されるか

AI の理解は事実から始まります。トップクラスの企業がどのように AI を活用して成功を加速させているのか、最新の調査結果をご覧ください。

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AI を使った大規模マーケティング

ChatGPT などの生成 AI ツールがリリースされ、人工知能がマーケティングの未来に変化を起こすことは明白になりました。2024年も、マーケティング担当者は、組織の収益アップや、戦略をより迅速に市場に反映させることを目指して、新しいテクノロジーを引き続き導入していくことになるでしょう。

1. トレンド予測とデータ分析

The Work Innovation Lab の調査によると、データ分析に AI を使用している従業員は全体の 30% に上り、その 2 倍に当たる 62% が、今後この目的で AI を使用したいと考えています。AI を活用したデータモデル、アルゴリズム、機械学習によって、マーケターのターゲットオーディエンスに関する理解が深まると、企業にとって次のことが可能になります。

  • よりスマートでターゲットを絞った広告により、支出やマーケティング活動を最適化する。

  • トレンドの正確な観察と予測によって、より有効な計画を立てる。

  • 消費者行動をより的確に理解する。

  • ターゲットを絞ったコンテンツを適切なオーディエンスに提供し、顧客リテンションとロイヤルティの向上につなげる。

The Work Innovation Lab とは?

Asana が設立したシンクタンク The Work Innovation Lab は、人間中心主義を掲げた最先端の研究により、急速に変化していく仕事や課題への対応を目指し、進化していく企業を応援しています。

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2. 日常的なマーケティングタスクの合理化

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自動化を行い、単調な作業を減らして生産性を高めることができます。”
Salesforce、社長兼会長、元最高マーケティング責任者、Sarah Franklin 氏

AI の大きなメリットの 1 つは、日常業務を自動化することで、マーケティング担当者の機動力を高められることです。The Work Innovation Lab の調査によると、従業員の 25% がすでに事務作業に AI を使用し、今後使用したいと考えているのは 57% と、その倍以上に上ります。言い換えれば、マーケティング担当者は、よりクリエイティブで収益を上げる仕事に集中できるなら、新しい AI 技術の活用に意欲的だということです。

2024年には、次のような AI による生産性向上の改善が想定されます。

  • 自動化により、マーケティングチームの仕事のキックオフ、割り当て、引き継ぎが迅速化。 

  • バーチャルアシスタントを利用したメッセージの作成、ステータスレポートのドラフト作成、マーケティングキャンペーン情報のまとめ。 

  • CharGPT など生成 AI ツールの進化により、マーケティング担当者によるコンテンツのドラフト作成、画像や動画の制作などがいっそう手軽に。

こうしたチャンスを活かすには、AI ツールをマーケティングのテックスタック (ツール群) に組み込む必要があります。また、AI への不安を克服し、マーケティング担当者が AI テクノロジーを安全に使用できるようトレーニングに投資することも重要です。 

3. AI を活用した顧客インタラクションと会話型マーケティング

会話型マーケティングでは、ターゲットを絞ったメッセージと AI による自動化を利用して、リアルタイムで顧客とやり取りします。デジタルマーケティングのトレンドとなっているこの手法では、機械学習と自然言語処理 (NLP) を活用した AI チャットボットによって、顧客とブランドが双方向の会話を行えます。

AI を活用したチャットボットとバーチャルアシスタントは、顧客サービスのあり方を変化させつつあります。今日の消費者は、解決まで長く待つことを好まず、その場での答えを求めます。顧客の要求を満たし続けるため、今年は多くの企業が AI による会話型マーケティングを採用し、顧客満足度を高め、ツールとしての会話の利用を拡大するようになるでしょう。

4. 新しいターゲティングソリューション

2024年、Google はプライバシーに関する懸念の高まりを受け、サードパーティの Cookie の段階的廃止を予定しています。Cookie はユーザーのウェブ上での行動を追跡し、マーケティング担当者はそれに基づいてカスタマイズされたエクスペリエンスを提供できるため、ターゲットマーケティングに利用されてきました。流れに乗り遅れず、高度にパーソナライズされたコンテンツや広告を提供し続けるため、さまざまなブランドが Cookie に代わるターゲティングソリューションを試しています。これらのソリューションはデータへのアクセスが限定的であるため、消費者行動の予測や理解に AI モデルを利用するものが多いと考えられます。

SNS マーケティングの新時代

SNS、動画、ユーザー生成マーケティングは、2024年も拡大を続けるでしょう。ここでは、注目すべき主要なマーケティングのタイプをご紹介します。

5. インフルエンサーとブランドの長期的関係

昔から、口コミ広告は、有効なマーケティング戦略の最適解と呼べるものです。知り合いや信頼できる人がおすすめしていれば、その製品やサービスを試してみようと考える可能性が高くなります。インフルエンサーマーケティングとは、この手法をデジタル時代に合わせて進化させ、特定の分野でネット上に大勢のフォロワーを持つ個人とブランドがコラボレーションする方法です。

このタイプの SNS マーケティングは、目新しいものではありませんが、2024年も引き続き拡大していきます。2023年、インフルエンサーマーケティングの成長率は 29% で、211 億ドル規模の業界となっています。2024年は、ブランド認知度の向上、信頼の構築、さらにはターゲットオーディエンスの中で新たなトレンドを生み出すといった目的で、インフルエンサーマーケティングを利用するブランドが増えていくと予想され、このトレンドは継続するでしょう。

記事: SNS 監査を完了させる 7 つのステップ (テンプレート付き)

6. ライブストリーミングと動画ベースのコンテンツ

動画ベースのコンテンツは、静的な投稿よりも長く視聴者の注意を惹くことができるため、SNS マーケティングの重要な注目分野となっています。ミレニアル世代と Z 世代のエンゲージメントやブランド認知度を高めるためにマーケティング担当者が使用しているのが、TikTok や Instagram のリール動画などのショートビデオです。

またライブストリーミングも、効果的なマーケティングツールとして利用が増えていることがわかっています。2023年、世界のライブストリーミング市場は 2022年に比べて 20% 増の 14.9 億ドルに成長しました。インフルエンサーマーケティングとライブストリーミングを組み合わせることで、潜在顧客は、ストリーミングを視聴しながら製品に詳しいインフルエンサーとつながり、製品について話し、購入できるようになります。

7. ユーザー生成コンテンツ

TikTok のトレンドや #OOTD (今日のコーデ) のハッシュタグを使った投稿などのユーザー生成コンテンツ (UGC) は、新時代の口コミです。このタイプのコンテンツは、あるブランドをテーマにし、オリジナル度が高いという特徴があり、しかもブランドではなく消費者が作成しています。開梱動画、化粧品のレビュー、ブランドハッシュタグ、写真のタグなどは、どれもブランドが活用できるユーザー生成コンテンツの例です。

ユーザー生成コンテンツは誰でも作成できるため、この戦術をマーケティング戦略に取り入れれば、ブランドの信頼性を高めることにつながります。消費者の 80% は、ストック写真よりもリアルな買い手による写真を好み、購入前に評価やレビューを確認しています。つまり、ユーザー生成コンテンツへの需要は高く、まだこの手法に投資していない企業にとっては、大きなチャンスとなるでしょう。 

ユーザー生成コンテンツのもう一つの利点は、マーケティングを顧客ベースにアウトソーシングできることです。これは予算が少ない組織にとって魅力的です。マーケティング予算は 2023年、36% 削減されたという報告があり、予算カットは多くの企業が経験しているはずです。

カスタマーエクスペリエンスの向上

顧客の 80% が、企業が提供するエクスペリエンスは製品やサービスと同等に重要であると回答していることからも、カスタマーエクスペリエンスは 2024年の重要な焦点になるでしょう。 以下に注目すべきポイントをご紹介します。

8. ハイパー・パーソナライゼーション 

消費者の 90% が、パーソナライズされたマーケティングに魅力を感じていると回答しています。ビッグデータとさまざまな分析により、今日の消費者はあらゆるタッチポイントでパーソナライズされたエクスペリエンスを期待します。これには、ブランドのウェブサイト、メール、アプリ、SNS プラットフォーム、さらに実店舗が含まれます。これを受け、ブランドは常に向上し続ける機械学習アルゴリズムを活用し、ターゲットを絞ったコンテンツ、製品のおすすめ、個々の顧客に合わせてカスタマイズした広告を作成することになります。

9. デバイス間でユーザーエクスペリエンスを向上させる

ユーザーエクスペリエンス (UX) とは、人がシステムとやり取りする際の体験や使い心地のことです。優れた UX デザインは、ユーザーのニーズを満たすポジティブな体験を提供し、製品やブランドへの愛着を維持します。

ウェブサイト (やアプリ) は間違いなく最も価値のあるマーケティング資産であり、優れた UX は商品やサービスに関心を持ち始めたばかりの (トップ・オブ・ファネルの) 消費者を納得させ、顧客になってもらう際に大きな違いを生みます。サイトをデザインする際は、レイアウトをシンプルに保ち、使いやすいナビゲーションを含めましょう。また、メインのランディングページに情報を詰め込みすぎてユーザーを圧倒することがないようにしてください。特に、世界中のユーザーの半数以上が携帯電話を使用してウェブを閲覧しているため、モバイル向けにウェブサイトを最適化する必要があります。

以下に、現在の UX デザインのトレンドの例をご紹介します。

  • ミニマリズムと「ブランディング」(branding ではなく blanding): 邪魔な広告やポップアップのないウェブサイトのこと

  • 音声認識インターフェイス

  • ハンズフリーコントロール

  • 興味を引くためのアニメーション要素

  • ブロック型ウェブデザイン

  • 「スクローリーテリング」: ユーザーがスクロールするのに合わせて物語を進行し、情報を伝えること

  • 大胆な色づかい

  • 動画コンテンツ

10. SEO のための音声検索戦術

マーケティング担当者は、検索エンジン最適化 (SEO) ツールとして音声検索を活用し始めています。「ボヘミアン・ラプソディを歌っているのは誰?」や「サンディエゴの天気は?」 などの短い質問に対して情報を提供するように設計されているデジタルアシスタントです。 「近くにある営業中のコーヒーショップを教えて」や「その店にチャイラテはある?」など、よりカスタマイズされた検索も処理するようになってきています。

企業は、情報の捉え方を変えることでこの状況に対応しています。読者の意図に基づいて質問に答えるために、クリエイターはより会話的な形式の質問と答えを選んでいます。このようにして、消費者が音声検索を使用すると、より迅速に高品質で正確な回答を得ることができます。

11. VR ベースのツールとアプリ

研究によると、仮想現実 (VR) と拡張現実 (AR) は、2030年までに世界経済に 1.5 兆ドルの成長をもたらす可能性があることが示唆されています。 この新興のマーケティングトレンドである VR テクノロジーを使用して製品やサービスを宣伝するブランドは、疑似体験でありながらリアルな体験を創造できます。

Sephora のバーチャルアーティストアプリIkea の VR ショールームなど、多くのブランドが拡張現実戦術を使用して顧客を引き付けることに成功していますが、VR ヘッドセットを必要とする完全に没入型のバーチャルリアリティ体験を作ったブランドはほとんどありません。 バーチャル試着やブランドの Instagram フィルターなどは、2024年のマーケティング環境に引き続き影響を与えますが、今年はさらに革新的な VR マーケティング戦術が中心となることが予測されています。

ブランドのアイデンティティをマーケティングに取り入れる

AI 技術が成長するにつれて、信頼できるブランドアイデンティティを作成することがこれまで以上に重要になっています。第一に、顧客に人間として話しかけることから始まります。データに基づいて、重要な点を以下に示します。

12. (特に AI における)⁠信頼性

AI テクノロジーが進化するにつれて、顧客の企業への期待値も高まっています。すべてのやり取りを AI に任せるのではなく、生身の担当者が語りかけてくることを信頼しているのです。実際、89% の顧客が、AI と人間のどちらとコミュニケーションしているかを知ることは重要であると考えています。AI が人間と同じくらい正確であると信頼している顧客はわずか 37% です。

マーケティング担当者にとっては、コンテンツ制作を純粋に生成 AI に任せるのではなく、メッセージングやコンテンツに人間味を取り入れることによって、真正性に力を入れる機会となっています。企業が AI をどのように責任を持って使用しているかを顧客に伝えることも重要です。また、AI が行った作業を再確認して、可能な限り最高のカスタマーエクスペリエンスを提供することも重要です。

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AI の前に、まずは人間を考慮する必要があります。”
Good Feet Worldwide、最高ブランド責任者、Doug Zarkin 氏

13. 信頼と消費者のプライバシーを重視する

消費者の 89% が、自分のデータをさらに管理制御ができるようになりたいと回答しています。 これは非常に大きい数字であり、マーケティング担当者が信頼を築き、他の信頼性の低いブランドとの差別化に取り組む大きな機会です。評判の良い企業の多くは、顧客が個人情報を提供する際に安全だと感じられるように新しいシステムを開発しています。個人情報の盗難やデータ侵害は昔から常に存在していますが、サイバー攻撃の増加により、消費者は自分のデータがどれほど脆弱であるかを認識しています。

データセキュリティに関する情報を発信することにより、顧客はデータ漏洩や個人情報の盗難を心配することなく、アプリ、サービス、メール、デモ、ホワイトペーパーなどにサインアップできるようになります。

マーケティングトレンドで競合相手の先手を打ち続ける

今日の消費者は、信頼性、透明性、プライバシーをこれまで以上に重視しています。また、高度な AI テクノロジーが主流になるにつれ、マーケティング担当者はこれらの価値を新しい革新的な方法でメッセージングに結び付ける機会を得ています。

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