ブランドの認知度を高めたい場合でも、最新製品の完売を目指す場合でも、SNS は役に立つツールです。しかし、どのような指標を確認すべきかを知ることで、効果的な SNS キャンペーンを実施できるようになります。キャンペーンの効果、エンゲージメント率の高い層、オーディエンスが最も共感するコンテンツなどを確認する際に役立つ、16 種類の指標をご紹介します。
SNS 指標は、SNS 戦略がいかに効果的で、ビジネス全体にどのような影響を及ぼすかを明らかにする重要なツールです。オーディエンスがオンラインでどうエンゲージするかを理解することで、ブランドの健全性と評価を常に把握できるようになります。
しかし、SNS キャンペーンの成功を測定することは、コールドコール (飛び込み電話営業) で獲得したリードや販売から得た利益を計算するほど単純なことではありません。だからこそ、自分の努力が実を結んでいることを証明するために、SNS の指標の読み解き方を知っておくことが重要なのです。
SNS 指標は、認知度、エンゲージメント率、コンバージョンの向上など、組織の SNS に関する目標を追跡するのに役立ちます。どの目標にも、戦略がうまく機能しているかどうかを判断する指標があるはずです。
SNS 指標は、こんなときに役立ちます。
プロジェクトチームや関係者にキャンペーンの進捗を説明する。
自分の取り組みの価値をアピールしたい。
戦略の弱点を特定し、調整する必要がある。
世間一般の認知度を把握したい。
しかし、「いいね!」や「シェア」の数を数える前に、こうした指標が自分の長期目標にとってどのように影響するのかをよく理解しておくことが大切です。長期的な目標を SNS 戦略に結びつけ、コンテンツと投稿内容を SNS カレンダーで管理しましょう。
SNS カレンダー用無料テンプレートここからは、最も重要な 16 種類の SNS 指標とその測定方法についてご紹介します。
認知度の指標は、現在および今後見込まれるオーディエンスを対象とします。ブランドの認知度は、新しく設立された企業やオーディエンス層の拡大を目指す企業にとって、しばしば目標とされるものです。顧客は見慣れた製品やサービスを購入する傾向にあります。そのため、SNS でリーチ (投稿を目にした人の数) を増やすことで、ブランドを認識し、信頼する人が増え、その結果、収益性が向上します。
ターゲットにリーチできているかどうかを判断するには、消費者にリーチする手段を定期的に測り、その結果を評価するとよいでしょう。ここでは、認知度の把握に役立つ 6 つの重要な指標をご紹介します。
インプレッションとは、投稿したコンテンツがフィード上に表示された回数、つまり何人がその投稿を見たか、を示すものです。インプレッション数だけでは、ユーザーがコンテンツにエンゲージ (いいね、コメント、シェアなど) したかどうかは判断できませんが、何回表示されたかを把握することで、そのコンテンツの価値を確認できます。
投稿数が多すぎてユーザーに嫌がられることを懸念している場合は、インプレッションの追跡が役に立ちます。インプレッション数が多くてもリーチ数が少ない場合は、投稿数を減らしたほうがよいかもしれません。また、この指標は、リアルタイムで投稿内容を追跡するために使用することもできます。コンテンツを公開してすぐにインプレッションがほとんどない場合は、早期にコンテンツを見直す必要があることを示すサインである可能性かあります。
インプレッションとリーチは非常によく似た指標ですが大きな違いがあり、リーチはコンテンツを見た人の数を測定します。たとえば、誰かが投稿したコンテンツを Facebook のニュースフィードで目にした後に、友人がその投稿内容をシェアしたため、もう一度同じコンテンツがニュースフィードに表示されたとします。この場合、その投稿のインプレッションは 2 回とカウントされますが、リーチは 1 回だけです。
リーチもインプレッションと同様に、投稿内容の効果を判断するのに役立ちます。リーチが高くても、コンバージョンやクリックに結びつかない場合は、コンテンツを見直す必要があるかもしれません。一方、リーチが広く、エンゲージメントが高いコンテンツは、うまく機能しており、顧客ベースを拡大している可能性があります。
ビジネスの目標が何であれ、フォロワーが増えることは、通常、ソーシャルアカウントが好調であることを表します。しかし、どのような人がフォロワーであるかを把握することはとても大切です。自社の製品やサービスは、ターゲット層にぴったりなものでしょうか。たとえば、自動車の販売をしていて、フォロワーの大半が 16 歳以下である場合、誰をターゲットにしてコンテンツを作っているのかを見直したほうがよいでしょう。
プラットフォームにもよりますが、フォロワー分析では、年齢、収入、興味、社会的習慣、職業など、オーディエンスに関する貴重な情報を入手できます。この情報をもとに、ターゲットにぴったりなコンテンツや広告を作成し、似たような関心を持つフォロワーを増やすことができます。
ブランドのメンション (言及) とは、記事、投稿のキャプション、写真のタグ付け、レビューなどから、ブランドに関する言及を受けることです。このようなメンションは、率直なフィードバック、客観的な視点、評判を管理する機会、そしてオーディエンスがブランドをどのように受け止めているかをより正確に把握する上で役に立ちます。
ほとんどの SNS プラットフォームでは、誰かの投稿に自社ブランドがタグ付けされると、通知が届きます。これは「ダイレクトメンション」と呼ばれるものです。しかし、間接的なメンションを見逃さないために、ブランド名や製品名を自分で検索したり、Google アラートを設定したりするのもよいでしょう。
投稿に「いいね!」を押すだけでも、SNS で苦情に対応する場合でも、自社ブランドへのメンションに反応することで、オーディエンスが自社のコンテンツにエンゲージしているように、あなたもオーディエンスとエンゲージしていることをアピールできます。オーディエンスと交流することは、その意見や貢献を大切にしていることを示し、ブランドの評判と信用を高める効果的な方法です。
投稿のリーチとインプレッション数を伸ばすために、キャプションにハッシュタグを追加すると効果的です。ハッシュタグは、同じようなコンテンツを発見したり、会話をまとめたりする上で非常に便利なリンクとなります。ユーザーがハッシュタグをフォローしていても、まだ自社をフォローしていない場合は、ハッシュタグでそのユーザーのフィードにリーチできる可能性があります。そして、うまくいけばその人が新しいフォロワーになるかもしれません。
プラットフォームによっては、特定の投稿に対してハッシュタグからどれだけのインプレッションがあったかが示されるものもあります。認知度を上げることが目的であれば、ハッシュタグのパフォーマンスに注目し、必要に応じて調整しましょう。競合他社が使用しているハッシュタグを確認し、それらを含めることもひとつの手です。
コカ・コーラの #ShareACoke、アメリカ ALS 協会の#IceBucketChallenge、アメリカのトイレットペーパーブランド Charmin の #TweetFromTheSeat など、さまざまなブランドが独自のハッシュタグを作成し、マーケティングキャンペーンや製品に活用しています。ハッシュタグを使うことで、特定のキャンペーンと会話を結びつけ、消費者がコンテンツを作りやすくなります。
話題のブランドハッシュタグがバズり、ブランドが何十万回とメンションされ、シェアされるケースもあります。実際、Simply Measured の調査によると、Instagram で最も使用されているハッシュタグの 70% は、企業が作成したブランドハッシュタグであることがわかっています。
エンゲージメント指標は、コンテンツに対するオーディエンスの反応を示すものです。この包括的な用語には以下が含まれます。
いいね!やその他のリアクション
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ダイレクトメッセージやリプライ
メンション
クリックやクリックスルー
プロフィール訪問
ツイートやリツイート
電話、テキストメッセージ、またはメール
これらの指標をすべてレポートに使う必要はありません。SNS 戦略に最も効果のある指標を選びましょう。一般的に、オーディエンスがコンテンツを気に入れば、エンゲージメント率は高くなります。
エンゲージメント指標は、クリエイティブ戦略がユーザーの関心に合致しているかどうかを判断するのに役立ちます。エンゲージメントの高いユーザーは、購入する、ロイヤルカスタマーになる、体験を他の人に伝えるといった可能性が高いため、全体の収益に影響を与えます。
記事: SNS 監査を完了させる 7 つのステップ (テンプレート付き)エンゲージメント率は、オーディエンスがコンテンツにどれだけ積極的にエンゲージしているかを把握する上で役に立ちます。多くのマーケティング担当者は、この計算式を使って英語で Engagement Rate by Reach (ERR) と呼ばれるリーチ別エンゲージメント率を計算しています。
エンゲージメント率をリーチ数で計算すると、コンテンツを見て、それに反応した人の割合を把握できます。この計算式は、シェアやハッシュタグを通じて投稿を目にした可能性のあるフォロワー以外の人も含めるため、フォロワー数でエンゲージメント率を計算するよりも正確な測定が行えます。
しかし、リーチはコントロールが難しいもので、リーチが低いとエンゲージメント率が異常に高くなったり、逆にリーチが高いとエンゲージメント率が低くなったりすることがあります。このような変動が、レポートに影響を与える可能性があるので気をつけましょう。
コンバージョンをどのように測定するかは、オーディエンスに求める行動によって異なります。たとえば、このようなことが挙げられます。
購入する
資料をダウンロードする
ニュースレターにサインアップする
ウェビナーに参加する
特定のウェブページにアクセスする
コンテストに参加する
デモ体験に申し込む
つまり、コンバージョンは、コンテンツが見込み客をセールスファネルに導くのにどれだけ効果的であるかを把握するものです。デジタルマーケティングでは、コンバージョン指標を分析することで、キャンペーン戦略が成功しているかどうかを判断できます。
コンバージョン指標は、主にメール、ディスプレイ広告、SNS キャンペーン、有料検索キャンペーンの成功を測定するために使用されます。コンバージョンは、Google アナリティクスや Bitly などの無料ツールで追跡できます。これらのツールは、Cookie を使用して、ユーザーが SNS 投稿のリンクをクリックした後、ウェブサイト上で行った行動を記録します。
コンバージョン率とは、コンテンツ内のリンクをクリックした後、期待通りの行動を取ったユーザーの割合を表します。コンバージョン率が高いということは、ユーザーがあなたのコンテンツに価値を見出し、ホワイトペーパーのダウンロード、デモ体験の予約、製品の購入など、バイヤージャーニーにおける次のステップへ進めたということです。また、この有用なインサイトを使って、提供するオファーがターゲットオーディエンスにどれだけ共感してもらえるかを把握できす。
コンテンツのコンバージョン率 (パーセント単位) を計算するには、コンバージョン数をリンクの総クリック数で割って、100 を掛けます。
クリックスルー率 (CTR) を計算し、コンテンツ内にある CTA (行動喚起) リンクがクリックされる頻度を確認します。CTR は、投稿が受け取ったクリック数をインプレッション数で割って、100 を掛けることで計算できます。
CTR が低いということは、オーディエンスはあなたの投稿を見ているが、クリックする気にはならない、つまりコンテンツが心に響かないことを示している可能性があります。SNS 広告を使用している場合、CTR によって広告がオーディエンスの関心を引くものではないと判断されると、プラットフォームのアルゴリズムによって、その広告が表示される回数が減る可能性があります。
有料広告を利用している場合、コンバージョンを得るためにどれだけの費用がかかっているのかを把握する必要があります。クリック単価とも呼ばれる CPC (Cost per Conversion) は、広告キャンペーンの総コストをコンバージョン数で割ったものです。
キャンペーンの総コスト ÷ コンバージョン数 = CPC
たとえば、Instagram の有料広告キャンペーンに 500,000 円を費やし、100 件のコンバージョンが発生した場合、CPC は 5000 円になります。
目標とする投資収益率 (ROI) によって、好ましいクリック単価は変わります。一般的なビジネスでは、5:1 の収益対広告費比率が一般的です。
Cost Per Mille (コストパーミル、ミルはフランス語で 1,000) はCost per thousand (コストパーサウザンド、CPT) とも呼ばれる指標で、コンテンツのインプレッション数 1,000 回あたりのコストを表します。有料キャンペーンでブランドの認知度や知名度を高めることが目的であれば、この指標を重視したいところです。
CPM を計算するには、総広告費を広告のインプレッション数で割り、1,000 を掛けます。
その他のコンバージョン指標と同様に、CPM の良し悪しは市場平均、季節変動、過去のキャンペーン、ROI など、さまざまな要因に左右されます。
直帰率とは、SNS 投稿のリンクをクリックしたものの、何のアクションも起こさずにすぐにページから離脱したユーザーの割合のことです。直帰率を確認するには、Google アナリティクスなどのツールを使用して、どのウェブサイトのトラフィックソースがどの直帰率につながるかを判断します。SNS の直帰率が他のトラフィックソースと比較して低ければ、キャンペーンが適切なオーディエンスをターゲットにしており、質の高いトラフィックを生成していることを意味します。
SNS は、単なるブランドマーケティングや宣伝用のプラットフォームではありません。顧客とのエンゲージメントが SNS 戦略において重要な役割を果たすのです。企業の SNS アカウントでは、ユーザーにブランドに対する経験、コメント、懸念、問い合わせを公開のプラットフォームで共有してもらえます。最近の調査によると、76% の消費者が、SNS 上でフォローしているブランドにカスタマーケア目的で連絡を取ることがわかったそうです。
オーディエンスとの交流の仕方によって、ブランドの評判は大きく変わります。カスタマーサービス指標を使用して、アクティブユーザーがブランドについてどのように感じ、考えているか、また、チームがお客様の声にうまく対応できているかを判断しましょう。
製品やサービスに対する顧客のレビューやフィードバックを評価することで、ターゲットオーディエンスが自社ブランドの何に最も価値を感じているのか、あるいは何を改善すべきなのかを明らかにできます。
しかし、レビューを読むだけでは意味がありません。レビューに対してどのように対応するのかも重要なポイントです。ポジティブなフィードバックには感謝の気持ちを表し、クレームを受けた場合は、速やかに解決策を提示しましょう。ネガティブなレビューだからと言って、ただ削除すれば済むわけではありません。対応次第で、怒っているユーザーをロイヤルカスタマーに変えられるかもしれません。
SNS を通じて企業とやりとりした後、その内容を評価するように言われたことがあるかもしれません。多くのブランドは、そうやって顧客満足度を確認しています。
顧客満足度は、この評価数の平均を取り、顧客サービスがどの程度効果的であるかを判断します。平均スコアを月単位で把握することで、どのような顧客が低いスコアをつけたかを評価し、スコアに影響を与える可能性のある大きな傾向を把握し、評判向上につながるベストプラクティスを特定できます。
この指標は、顧客満足度と似ていますが、顧客に自社の製品やサービスを他の人に薦める可能性を 1 ~ 10 の尺度で評価してもらうことが特徴です。NPS は、口コミマーケティングが有料広告キャンペーンと同じかそれ以上の影響力を持つ、食品業界や接客業において特に重要な指標です。
応答率は、企業が顧客の問い合わせにどれだけ速く対応できるかを測定します。この指標を確認するには、まず、すべての顧客の DM やツイートに一定時間内に返信するなどの目標を設定する必要があります。その目標を達成できれば、応答率は 100% となります。
この指標は、カスタマーサービスの質に対して従業員に責任を持たせたい場合に役に立ちます。具体的な目標を設定することで、明確な基準ができ、効率的な時間内で応答できるようになるのです。
マーケティングにおいて SNS を活用するには、各 SNS でそれぞれに合った指標の目標を設定しましょう。ここでは、これまで取り上げた内容に基づいて、おすすめの方法をいくつかご紹介します。
認知度を高めることが目的なら、インプレッション、リーチ、メンション、フォロワーの増加などの指標を使って、コンテンツがどれだけの人に届いているかを測定します。
エンゲージメントを高めることが目標である場合、シェア、コメント、クリックなどの指標を使用して、投稿したコンテンツに対して何人が反応したかを確認します。
自社サイトへのトラフィックを増やすことが目標なら、URL の共有数、クリック数、コンバージョンを確認しましょう。
SNS 戦略がビジネスに与える影響は、決して目に見えないものではありません。自分の取り組みを管理し、何が効果的で何がそうでないかを判断して、SNS の指標を測定して報告することで、戦略が成果をあげていることをアピールしましょう。ひょっとしたら、回りまわってビジネス全体の目標に影響を与えることになるかもしれません。
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