Asana を使って 1 日の仕事量を 10% 省く Dow Jones のマーケティングチーム

Dow Jones は、一世紀以上にわたって金融界を支える柱であり続けてきました。1882年に設立され、「ウォール・ストリート・ジャーナル」などの有名出版物を制作、B2B 部門を通じて企業にデータとインテリジェンスのソリューションを提供しています。

B2B マーケティングチームは、Factiva、 Dow Jones Newswires 、 Risk & Compliance など、同社の主力製品とサービスに対する需要を生み出しています。チーフマーケティングオフィサーの Rossa Shanks 氏は、2016年に同社に入社し、マーケティングチームをニューヨーク、シンガポール、ロンドンに拠点を置く、計 20 名のチームに成長させました。

同氏はこの 3 つのブランドチームと、デマンドジェネレーションチーム、コンテンツ制作チーム、クリエイティブチーム間で行われるキャンペーン計画とコラボレーションを促進するために、Asana を導入しました。そのため、新型コロナウイルス (COVID-19) が発生し、完全リモート体制で働かなければならなくなったときも、Slack や Google ドライブとともに Asana がすでに会社のツールとして導入されていたため、在宅勤務への移行がスムーズに行われました。

仕事の解剖学: リモートチーム調査によると、Dow Jones のマーケティングチームと同じように、フルタイムで働く世界のナレッジワーカーのおよそ 3 分の 2 (62%) が、在宅勤務でも従業員同士の連携を保てるよう、コロナをきっかけにコラボレーションツールの利用を増やしています。

チームをつなぐ接着剤

これまでの役職でも Asana を使用してきた Shanks 氏は、仕事の受け渡しを管理し、透明性を高めるツールはチームにメリットをもたらすと考えています。また、Asana が組織の成長とともにスケールできるツールだということも把握していました。Shanks 氏が Dow Jones のマーケティングチームに加わったときの人数はたったの 4 人でした。

もう一つの要件は柔軟性でした。3 つのブランドチームの働き方はそれぞれ異なり、それらすべてを Asana で管理しつつ、コンテンツ制作チーム、クリエイティブチーム、デマンドジェネレーションチームのプロセスも効率化する必要がありました。

Asana に全振り

Shanks 氏は Asana をチームに導入する際、「Asana にない仕事は存在しない」という全面導入のアプローチを取り、自ら手本となってチームをリードしました。

そこから、コンテンツストラテジストの Julia Lancaster 氏が Asana の設定を引き継ぎました。Lancaster 氏はすべてのワークフロー、タスク、技術的詳細情報が Asana に取り込まれるようにし、タグ付け、命名規則、タスク割り当てに関する内部ルールなど、チームとともに Asana の利用手順を策定しました。

現在、新しくチームに入ったメンバーは初日から Asana を利用しています。オンボーディングも、他の正式なプロセスと同様、必要なすべてのステップがテンプレート化された Asana プロジェクトで行われます。Asana の初心者向けトレーニングセッションを受け、Asana ガイドを継続的な参考資料として利用しています。

魔法のようなクリエイティブ制作の実現

Asana は、キャンペーンの計画からコンテンツ制作、クリエイティブ制作に至るまで、すべてのマーケティング関連作業の中心となっています。ポートフォリオ機能を使用することで、3 つの主要製品部門別に作業を整理しつつ、すべてのキャンペーンの進捗状況を一か所で確認できます。

経営陣はメンバーの作業量をモニタリングしています。たとえば、3 人のデザイナーのうち 1 人に仕事が集中している場合、クリエイティブディレクターは作業を他のメンバーに分配できます。これにより、メンバー同士でタスクについて逐一確認しあう必要もなくなります。

マーケティングチームは年間およそ 10 件の大規模マーケティングを実施していて、各マーケティングのキックオフにテンプレートを使用しています。また、マルチホーム機能を使ってデマンドジェネレーションチーム、コンテンツ制作チーム、クリエイティブ制作チーム間でタスクを割り振ることで、ワークストリームを簡素化しています。たとえば、SNS 用のアセットを作成するとき、デザイナーは自分に割り当てられたクリエイティブタスクのみを見ることができます。その一方で、そのタスクに割り当てられているプロジェクトをクリックすれば、チームで行われている仕事の全体像も把握できます。このように、1 つのキャンペーンに関連する仕事を 1 つの Asana プロジェクトとしてまとめつつ、ワークフローを分離させることができるのです。毎日の仕事でデザイナーから見る Asana と、デマンドジェネレーションチームのマーケターから見る Asana はまったく異なるということです。またプロジェクトは、ブランドごと、製品ごとに色分けもされており、タスクの種類が一目で分かるようになっています。

テンプレートを作成することで、コンテンツ制作やクリエイティブ制作の人為的なミスも削減できます。マーケティングチームは非常に多くのアセットを同時進行で制作するため、コンテンツの追跡用コードなど、些細でありながら重要な詳細情報を忘れてしまいがちです。コンテンツ戦略の策定に追跡用コードを使っている Lancaster 氏は、コードの付与を Asana のプロセスに組み込むことで、リマインダーとして利用しつつ、完了状況を把握できるようにしています。

Shanks 氏は、プロジェクトのステータス、完了したタスク、今後の計画をすべて Asana で管理し、情報の検索に必要な時間を減らすことで、1 日あたり最大 10%、チームの時間を節約できると考えています。「 仕事の解剖学」インデックスの調査で、管理業務 (「仕事のための仕事」) には、私たちが思っている時間の 2 倍の時間がかかっていて、最大で勤務時間の 60% をも占めることがわかっています。

Shanks 氏のチームはリモートワークへの移行後も連携を維持しており、未完了のタスクをタイムゾーンの異なるメンバーへとスムーズに引き継いでいます。Asana は組織化された、自律的なチームの土台となります。メンバーは自分のやるべき作業を把握できるので、リモート会議では人間的なつながりの構築や、仕事に関する戦略レベルの話し合いに集中できます。

Dow Jones B2B のこれから

B2B マーケティングチームはコロナ禍の外出自粛中、重要な業務を Asana で確実に管理できたことで、シームレスな顧客体験を実現させるためのセールスチームとの連携、アカウントベースの高度なマーケティングキャンペーンの実施、質の高さによるニュースや情報の発信源としての Web プレゼンスの向上など、活動の成熟と拡大に注力できるようになりました。

Dow Jones 社内における Asana ブームの火付け役となったマーケティングチームは、今では他のチームが真似をする、お手本のような立場になっています。