ブランドボイスの概要とブランドボイス作成の 7 つのヒント

Whitney Vige の顔写真Whitney Vige2022年10月31日
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概要

ブランドボイスとはブランドの個性そのものです。また人それぞれ個性が異なり、そして個性によって同じような考えを持つ友人が集まるように、ブランドの個性もまた注目を集め、盤石な顧客基盤を築く上でプラスに働きます。

好きなブランドのコミュニケーションへのアプローチについて考えるとき、何を思い浮かべますか?ユーモアのセンスですか?インスピレーションに満ちたメッセージですか?共感できる呼びかけですか?そのブランドのコンテンツによって自信がついたり、やる気が出たりしますか?思いがけないメッセージですか?それとも挑戦的な意味合いを感じますか?

どのようにブランドがコミュニケーションを取るのか、つまりブランドが届けるメッセージとその伝え方はブランドボイスの一翼を担います。わかりやすく明白なブランドボイスは、ブランドの認知度を高め、顧客からの信頼を勝ち取る上で大切です。事実マーケッターの 88% はブランドのメッセージは顧客とのつながりを確立する際に役立つと考えています。つまり顧客の積極的な姿勢を促進し、顧客維持率を高めるほか、売り上げアップも期待できるのです。

ブランドとは?

ブランドとは企業のキャラクターを指します。企業のアイデンティティであり、「顔」です。ブランドはロゴやコーポレートカラー、イメージ、そして当然ながらブランドボイスによって描写されます。

ブランドボイスとは?

ブランドボイスは、ブランド独自のコミュニケーションやアピールのスタイルを指します。ブランドボイスには、企業全体の価値観の一環として、ターゲットオーディエンスに相応しい方法で語りかけ、オーディエンスの興味を引く効果があります。

工夫を凝らしたブランドボイスには風格があります。「特定のブランドのもの」だということが明確に伝わります。そのため、一貫性と説得力を兼ね備えたブランドボイスを策定する取り組みは、市場に溢れるメッセージをはねのけ、競合他社との差別化に一役買うのです。

ブランドボイスとブランドトーンの違いとは?

ブランドボイスとブランドトーンは似た者同士だと思うかもしれませんが、実は両者はブランドを構成する異なる要素です。ブランドメッセージングを作成する際にどちらも考慮する必要があります。

ブランドトーンはブランドがコミュニケーションを行う際に用いる特定のフレーズや姿勢を指します。決して変わらないブランドボイスとは異なり、ブランドトーンは背景やメッセージ、メディア、状況に応じて変化します。ブランドトーンはメッセージが状況やオーディエンスにとって相応しいものになるように、微妙な変化を加えます。

どのような行動を取るかは状況によって異なります。プロジェクトについて同僚とざっくばらんに話をしているとき、おそらくあまり真剣にならず、緊張することもなければ、言いたいことは堂々と言うのではないでしょうか。一方このプロジェクトをクライアントにプレゼンする場合は形式に気をつけて丁寧に説明するはずです。あなたでいることに変わりはありませんし、個性も変わりません。しかし状況にとってより適切なアプローチになるように振る舞いを変えたのです。

これがブランドトーンを成功させる秘訣です。ブランドトーンを状況に合うように調整することで必要なニュアンスを足しながら「オンブランド」な、つまりブランドに沿ったメッセージを伝えられるようになります (これこそがブランドボイスです)。複数の異なるトーンを使い分ける理由を以下に挙げます。

  • 消費者や重役、社内の関係者や社外の顧客などさまざまなオーディエンスにメッセージを伝えるため

  • SNS やニュースレター向けのコンテンツなど異なるメディアを考慮してメッセージを作成するため

  • メッセージの背景に合うようにトーンを調整する必要があるため。たとえば製品ローンチや採用凍結に関するお知らせを行うケース。

ブランドボイスが重要である理由

おそらく誰もが自分の個性を構成する特徴をすらすらと挙げられるのではないでしょうか。個性はあなたそのものであり、あなたを世界で一人だけの存在にするものが個性なのです。ブランドボイスによって形成されるブランドの個性も同じ役目を持ちます。

ブランドボイスは多くの競合他社を押し分ける上で、そしてオーディエンスの基盤を構築して維持する上でも効果的です。ブランドボイスには次のメリットがあります。

  • 競合他社との差別化に有効。消費者の 33% は明確な個性をブランドの差別化の要因に挙げています。消費者が多忙な生活を送り、ブランドが注目を集めるために競争する現代の混沌とした市場では、ブランドボイスは顧客を得るか失うかの違いを生み出す可能性があります。

  • 顧客とつながりを持てる。顧客はつながりを求めています。消費者の 86% は好感を持ち、応援したいブランドの判断基準として信頼性を挙げています。嘘偽りなく、本気でブランドの価値観に沿い、オーディエンスの共感を得られるブランドボイスを作り出すことが、信頼とつながりの促進を導きます。

  • 一貫性のあるブランドアイデンティティを作れる。オムニチャネルの時代が到来しています。顧客一人が一つの接点のみを持つ時代は過ぎ去りました。現在、消費者はスマートフォンで検索を開始し、コンピューターでリサーチを終了した後、実店舗で商品を購入します。また消費者の実に 90% はすべてのチャネルで一貫性のある対応を望んでいます。つまりあらゆるチャネルで一貫性のあるブランドボイスを作成し、管理することで消費者を顧客に変えられる確率が上がるのです。

  • ブランドへの認知と愛着を築ける。顧客にリピーターになってもらう上でブランドボイスは大きな役割を果たします。記憶に残るブランドは確固としたブランドボイスを持ちます。リサーチによると、ブランド認知はブランドロイヤリティ、つまりブランドへの愛着と切っても切り離せない関係があるようです。要するに明確なブランドボイスはブランドへの愛着を養い、ブランドへの信頼感を築く際に有効に働くのです。その結果顧客基盤はより強固になり、最終的にコンバージョン率は高まります。

明確なブランドボイスの例

明確で独自のブランドボイスがどのようなものなのか腑に落ちませんか?ご心配なく。以下に個性を引き立たせるブランドボイスを持つ企業を幾つかご紹介します。

Apple: 自信に満ちている、直接的

Apple のブランドメッセージは自信に満ち、確信があり、直接的です。ウェブサイトであれ SNS であれ、あるいはストアであれ、消費者が Apple と関わるあらゆる場所でクリーンでシンプル、わかりやすいメッセージが展開されています。Apple は簡潔でパンチの効いた言い回しを使って、自信と品質を表現しており、横柄になることなく、業界をリードする企業としての誇りを示しています。

実例 :

  • Privacy. That's iPhone. (プライバシー。これが iPhone)

  • No wonder your selfies look so good. (自撮りが上手な理由にも納得)

Skittles: ユーモアたっぷり、いたずら心満載

Skittles はカジュアルな姿勢でオーディエンスと向き合います。同社の Twitter アカウントでは上から目線でフォロワーを頻繁に煽ったり、奇抜な テレビ CM を放映したり、まじめさの欠片もないコピーをウェブサイトに掲載するなどして、Skittles はオーディエンスとの絆を深め、消費者を楽しませてくれるブランドとして認識されています。

例:

  • The official candy of pogchamps. Sorry mom, you can’t pause it! (衝撃のテイスト。食べ出したら止まらない)

  • People who are quarantining without Skittles... What are you trying to prove? (Skittles を持たずに自己隔離するなんて。何を証明したいの?)

Dove: 勇気づける、親切

Dove は偽りのない、本当の美しさを伝えることに全力を投じています。この姿勢はブランドのメッセージに現れています。Dove はウェブサイトのコピーSNSアカウント、広告をとおして自信を与え、すべての人々を受け入れるメッセージを用いてその価値観を全面に押し出し、消費者とのつながりを確保しています。その結果あらゆる年代や人生の段階において自信と自己肯定を重視するブランドとして認識されるようになりました。そしてこの認識を活かし、消費者を引き付け、強固なブランドの基盤を構築しています。

例:

  • We see beauty all around us. (私達は美しさに囲まれています)

  • Let’s change beauty. (「美しさ」の概念を変えませんか)

Harley-Davidson: 力強い、反抗的

Harley-Davidson はオーディエンスを熟知しています。それは自由、独立心、個性を重視するライダーです。つながりを作るため Harley-Davidson はワイルドで、野心的で、ときに反抗的なブランドボイスを採用しています。Harley-Davidson は顧客が持つ顧客自身に対するイメージを投影する大胆なメッセージを使うことで、製品がどのようにして顧客のライフスタイルを引き立たせ、後押しするかを示しています。

例:

  • All for freedom. Freedom for all. (すべては自由を得るため。自由を愛するすべての人へ)

  • United we will ride. (共に乗り越えよう)

  • Grab life by the bars. (ハンドルを握って生き様を見せよ)

企業のブランドボイスを作るための 7 つのヒント

何から手をつければよいのか悩んでいますか?それなら以下の 7 つの戦略を参考にして、オーディエンスとのつながりを作り、注目を集める効果のあるブランドボイスを作成しましょう。

1. 現在使用中のメッセージを調整する

ブランドボイス作成の大部分を占めるのが、現行の取り組みを理解することです。こうすることで功を奏しているアプローチに注力し、うまくいっていないアプローチに見切りをつけられるようになります。まずはメッセージを送るために使用している各種チャネル、たとえば SNS のアカウントや店舗内の広告、OOH (家庭以外の場所の) 広告に着目し、次の質問をご自身に問いかけてください。

  • ブランドはどのような印象を与えているのか

  • メッセージは製品やブランドの価値観と一致しているか

  • ブランドの進化に伴いメッセージも変化しているか

  • 改善や調整の余地があるのはどこか

  • 矛盾するところはあるか (とりわけ各種チャンネル間の矛盾の存在に注意)

可能であれば、どのブランドメッセージングが良い成果を出しているのか (または成果が芳しくないか)、どのページが最も多くのアクセスを集めているのか、多くの高評価を得ているのか、顧客はどこでどのようにブランドと接触しているのかを判断するためレポートを作成することをおすすめします。こうすることでオーディエンスが好むコンテンツの種類、オーディエンスから共感を得られないコンテンツを把握できるようになります。

2. 企業のミッションステートメントを見直す

企業のミッションステートメントは企業が掲げる大義と組織の目標を説明するため、ブランドボイスを作成する際のスタート地点としてはうってつけです。企業が何を達成したいのかは、顧客とどのようにコミュニケーションを取るべきかに直接結びついているのです。

ここではフィットネス関連の企業を経営していると仮定します。この企業は健康的な習慣について消費者を教育すること、消費者に自信を与えてフィットネスの目標を達成してもらうこと、の 2 つを目標に挙げています。この企業のミッションステートメントを基に企業の個性を構成する 2 つの主要なパーツが判明しました。それは「教育」と「自信を与える」です。ここからこの 2 つのブランドの特徴に結びつくブランドボイスを構築していくことになります。そして最終的に「役に立つ」「誰でも参加可能」「居心地の良い」を意識したブランドボイスに落ち着くでしょう。

3. 企業のコアバリューを見直す

企業のミッションステートメントと同じようにコアバリューはブランドボイスの基盤を定めます。コアバリューを見れば企業の個性を構成する特徴 (ブランド) を特定しやすくなります。「わかりやすさ」と「誠実」をコアバリューに挙げているなら、これらの特徴を反映したブランドボイスを作るべきです。たとえば率直で、正直で、信頼の置けるブランドボイスを作ると良いでしょう。

実際の企業の例を見ていきましょう。Starbucks のコアバリューは「すべてのお客様をあたたかくおもてなしする文化を作る」「包み隠さず誠実に向き合い、その瞬間を大切にする」を掲げています。これらのバリュー (価値観) は実際に Starbucks の表現にこだわったブランドボイスに用いられており、率先して喜びを促進し、カジュアルで楽しく、心地良いメッセージを介してつながりを作り出す役目を担っています。

4. 競合他社を分析する

あなた自身がオーディエンスとどのようにコミュニケーションを取るべきか (またはコミュニケーションを避けるべきか) を考える際に、競合他社の取り組みを分析することでインスピレーションを得られる可能性があります。消費者にどのように語りかけ、どのように交流しているのかに注意して、ライバルのブランドボイスを確認しましょう。「どのような言い回しを用いているのか」「どのようなコミュニケーションのスタイルを企業全体で採用しているのか」「コミュニケーションのスタイルや戦略に関して重複している領域はあるか、異なる領域はあるか」などに着目してください。何が成功していると感じるのか、どこに改善の余地があるのかをメモに取っておくと、ブランドボイスを作成する際の出発点として重宝します。

以下に競合他社のコミュニケーションスタイルを評価する際に考えてもらいたいポイントを幾つか挙げます。

  • どのようなタイプの表現を用いているのか?ストレートな言い回しなのか、あるいは大げさな表現なのか?親しみやすいキャラクターなのか、それともエキスパートとしての助言なのか?

  • コピーはどのようなタイプの感情を生んでいるのか?驚きを与えるのか、自信をもたらすのか、幸せな気分にするのか、過去に浸りたくなるのか?

  • 競合他社のミッションステートメントとコアバリューはブランドボイスにおいてどのような役割を担っているのか?各企業の目標とオーディエンスとのコミュニケーションの方法の間に関連性はあるのか?

  • 競合他社のブランドボイスと一致するテーマは何か?ライバル企業がすでに実施している取り組みに対してどのように差別化を行うことができるのか?

5. オーディエンスを精査する

どのようにオーディエンスにメッセージを伝えるのかは、メッセージを送る相手によって異なります。年齢や性別、仕事などの顧客層はオーディエンスが受け入れられるコンテンツや表現のタイプに影響を与えます。

実際のシチュエーションを例にとって考察してみましょう。前回家族で集まったときのことを思い出してください。Z 世代の姪と話すときと同じように祖父に話しかけましたか?おそらく相手によって話し方を変えていたはずです。なぜなら共感の対象が異なるためです。オーディエンスに基づいてブランドボイスを作成する取り組みも同じコンセプトで行います。

オーディエンスが望むコミュニケーションを正確に理解すること (どのようなタイプのメディアに目を通し、どのような表現に引き付けられるのか) はターゲットオーディエンスの共感を得て、信頼と関わりを構築できるブランドボイスを作成する際に有効です。

まずはバイヤーペルソナ、つまりターゲットの顧客を象徴する架空のプロフィールを作成します。年齢や性別、職業などの基本的な顧客層に関する問いに答え、さらに個性、モチベーションやフラストレーションの対象など詳細な設定に移ります。またターゲットオーディエンスがどのように情報を消化し、どのようにコミュニケーションを取るのかも考慮する必要があります。デジタルを多用するのか、それとも顔の見えるコミュニケーションを望むのか、形式にこだわらないのか、あるいは形式を重視するのか、楽しさを優先するのか、厳格な姿勢なのかなどの質問への答えは顧客にマッチするブランドボイスを作成する上で参考になります。

[インラインのイラスト] バイヤーペルソナ (例)

6. 適切ではないブランドボイスを特定する

相応しいブランドボイスを決める上でもう 1 つステップがあります。それは適切ではないブランドボイスが何かを判断することです。このステップを踏むことによりブランドボイスで利用するべき (および避けるべき) タイプの表現を明確に理解しやすくなります。

まずはブランドボイスとは切り離したい形容詞や記述をリストアップします。何から手を付ければよいのかわからないならブレインストーミングでアイデアを挙げたり、ブランドのミッションステートメントとバリューを再確認したりするとよいでしょう。次のようなリストを目指してください。

  • 退屈なブランドボイスを回避する

  • 疎外感を抱かせるブランドバイスを回避する

  • うぬぼれたブランドボイスを回避する

  • 手厳しいブランドボイスを回避する

つづいてこのリストを参考にして相応しいブランドボイスを検討します。上の例をまとめると次のようなブランドボイスのステートメントが考えられるかもしれません。

  • 包み隠すことなく、すべての人を受け入れ、誠実なブランドボイスが理想。楽しい会話を彷彿とさせ、人と人とのやり取りを意識して消費者とつながりを育む。

7. ブランドボイスガイドラインを作成する

適切なブランドボイスがある程度見えてきたら、公式のブランドボイスガイドラインを策定してさらに具体化していきます。このガイドラインはブランドボイスチャートやブランドボイステンプレートとも呼ばれ、ブランドボイスを説明するほか、コピー作成時の指針の役割を担います。

以下にブランドボイスガイドラインに盛り込むべきアイテムを挙げます。

  • ブランドボイスを説明するステートメント。たとえば、先程ご紹介した包み隠すことなく、すべての人を受け入れ、誠実なブランドボイスが理想。楽しい会話を彷彿とさせ、人と人とのやり取りを意識して消費者とつながりを育むのようなステートメントを作成します。

  • ブランドを象徴する 3 つから 5 つの特徴。たとえば、偽らない、すべての人を受け入れる、フレンドリーなど。

  • 各特徴に対してブランドメッセージングにおいてどのような表現を用いるのかを説明。たとえばすべての人を受け入れる、に関しては、「オーディエンスをあたたかく迎え入れる」「近づきやすく、理解しやすい存在となる」「共感できる表現を用い、多様性を重視する」などの表現が該当します。

  • 各特徴を具体的に表現する際の実用的なヒント。たとえばするべきこととして「受け入れる」を言葉で表現する、敬意を払う、違いを認識する、などが挙げられ、一方のするべきではないこととして排他的な表現、専門用語の多用などが考えられます。

ブランドボイスを決めたら、ブランドがどのようにコミュニケーションを図り、どのようにブランドを表現するのかに関してメンバー全員が足並みを揃えられるようにベストプラクティスを文書にまとめます。スタイルガイドと同じように、この文書はメディアやコンテキストに応じてどのようにブランドボイスとブランドトーンを使うべきかについて具体例を記します。

明確なブランドボイスを作って差別化を実現

明確で確固たるブランドボイスを策定するとブランド独自の個性を示せるようになり、またブランド認知とブランドへの愛着を高める効果も見込めます。これはあらゆるブランドが求めているものです。

ブランドボイスは記憶に残るブランドを作る取り組みにおいて欠かせません。しかしこれは始まりに過ぎません。充分に注目を集めるには、ブランドメッセージングを展開しなければなりません。そこで役に立つのがワークマネジメントソフトウェアです。このツールの力を借りてマーケティングチームの取り組みを調整し、プロジェクトを実行しましょう。そしてブランドの差別化に一役買うキャンペーンを立ち上げましょう。

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