オーストラリアの食品小売チェーンが AI スタジオを使って部門横断的な承認プロセスを変革した方法

Whitney Vige の顔写真Whitney Vige
2025年5月5日
facebookx-twitterlinkedin
野菜を背景に「Inside AI Studio」と書かれた画像。この記事では、オーストラリアの食品小売チェーン Woolworths による Asana AI スタジオの活用法を紹介しています。
テンプレートを表示
デモを見る

大規模な分散型組織では、小さな機器の変更でも、本格的な展開でも、物理的な環境に新しいものを導入する際には、慎重な調整が必要です。安全管理、オペレーション、財務などの部門の関係者が、意見を共有し合うことで、足並みを揃え、リスクを最小限に抑え、コンプライアンスを維持する必要があります。

こうした組織では通常、ガバナンスの承認プロセスを用いて、店舗に導入されるもの (備品や看板、テクノロジーの試験導入、レイアウトの変更など) を確認し、承認しています。

このガバナンスは不可欠な一方で、適切なシステムがなければ、ボトルネックを生み出す可能性があります。手動でのレビューや一貫性のないインプット、参加者が多すぎる承認会議は、進捗を遅らせ、関係者全員に摩擦を引き起こします。素早く展開するビジネス環境では、このような遅延は時間だけでなく、お金も浪費することになります。

AI スタジオを試してみませんか?

AI スタジオは、Starter、Advanced、Enterprise、Enterprise+ プランでご利用いただけます。

詳しく見る
今すぐ、Asana 体験。

業務とワークフローを全社の目標につなげ、明確な方向性と大きな成果を組織全体に広げましょう。

Woolworths が承認プロセスのよりスマートな管理方法を必要とした理由

そうした問題を抱えていたのが、Asana のお客様で、オーストラリア最大のスーパーマーケットチェーンの 1 つ Woolworths です。1,000 以上の店舗を持ち、多くのチームが店舗内の意思決定に関与する Woolworths は、厳格な対応を維持しながら、承認プロセスをより効率的に管理する方法を必要としていました。

Woolworths のバリューエンジニアリング部門のリーダーを務める Lachlan Drummond 氏は、事業全体の資本コスト削減に焦点を当てた一連の業務を指揮しています。その業務の重要な部分として、Safety and Capital Governance (SCG) の管理があり、実店舗に入るありとあらゆるもののレビューを行います。安全上の承認から商業的なインプットまで、適切なチェックとバランスを確保することで、Woolworths は適切なタイミングで適切なものを店舗に届けることができます。

SCG プロセスは欠かせない一方で、その複雑さゆえに合理化できる余地があると Lachlan 氏は認識していました。彼のチームは、どうすれば、徹底した対応を維持しながら、ボトルネックを減らし、可視性を高め、承認プロセスを加速できるのでしょうか?このような疑問を抱いた Drummond 氏は、新しいテクノロジーを活用したソリューションを探るようになりました。

AI スタジオを使用したプロセスの構築に焦点を当てた Asana の実践的なワークショップに参加した Lachlan 氏とチームは、オートメーションを活用して SCG ワークフローを進めてはどうかと考えました。

「承認を得たいことがあれば、専用のプロセスを通じて入力し、承認が得られるまで数週間から数か月も待つのではなく、そのまま自分の仕事を続けることができれば便利ですよね」と Lachlan 氏は言います。「それこそが仕事の合理化と言えるでしょう。」

AI スタジオを試してみませんか?

AI スタジオは、Starter、Advanced、Enterprise、Enterprise+ プランでご利用いただけます。

課題: 手動でのレビュー、一貫性のないインプット、会議疲れ

社内の基準を満たし、Safety and Capital Governance を管理するために、Woolworths のチームは共有スライドデッキを用いて、店舗に入れるありとあらゆるものについて複数部門から承認を得ていました。各チームは、それぞれ詳細を手動で入力し、作業範囲に応じて自からを承認者にしたり、該当しないことを示したりしていました。

時間が経つにつれ、このプロセスが崩壊し始めました。

  • フォーマットに一貫性がない: 複数のチームがさまざまな方法で情報を送信していたため、関係者は適切なコンテキストをすばやく見つけることができなくなった。

  • 会議への過剰な依存: 2 週間ごとの会議の参加者数が 50~60 人にまで膨れ上がった一方で、その中には参加する必要のないメンバーが数多く含まれていた。

  • 説明責任が不十分: 承認リクエストがスライド資料やメールスレッドに埋もれていたため、監査証跡が不明確であった。

「メンバーは好きなようにスライドの形式を変更したり、ページを追加したりしていました」と Lachlan 氏は以前のプロセスについて言います。「必ずしも一貫性がなかったわけではありませんが、情報がさまざまな形で承認者の元に送られていたのは確かです。」

Woolworths では、店舗の規模に合わせて機能する、よりスマートな承認プロセスの管理方法を必要としていました。

Woolworths が AI スタジオを使って承認プロセスを自動化した方法

Lachlan 氏とチームは、Asana 導入を主導した PMO チームの Martyne Obrien 氏と協力し合い、AI スタジオで新しいワークフローを構築し、SCG の承認プロセスを標準化しました。

その仕組みをご紹介します。

ステップ 1: 標準化されたフォームで正しい情報を収集する

最初のステップとして、共有スライドデッキを構造化された受け付けフォームに置き換えました。そうすることで、チームはスライドデッキの使用で発生していたフォーマットやバージョン管理の問題を省き、一貫した情報を事前に収集できるようになりました。

この新しいフォームを使用して、メンバーは、イニシアチブの内容、それが重要な理由、該当するビジネスの部分などの重要な情報をサポート文書やメディアと併せて入力しています。このようにフォームを標準化することで、すべてのフォームに適切なコンテキストが含まれるため、関係者は何が要求されているかをすばやく理解し、不必要なやり取りなしで適切な情報に基づいた意思決定を行うことができます。

ステップ 2: AI が関連性の高い承認者を提案する

次に、チームは手動によるトリアージや厳格なルールに頼らずに、適切な承認者を明確にする手段を必要としていました。AI スタジオでは、チームは指示内容をアップロードし、ドキュメントや PDF などの参照資料を提供することで、AI による意思決定を導くことができます。AI に対して仕事の具体的なコンテキストを提供したり、ワークフロー内での意思決定や操作の仕方に関する指示と境界を明確にしたりすることで、チームは AI が適切なタイミングで適切な決定を下していると確信できます。

Woolworths のチームは、承認を行う必要がある部門を AI が特定できるように、参考資料として以前提出された SCG の承認リクエストを PDF としてアップロードしました。そして、新しいリクエストを過去のコンテキストに照らし合わせながら評価し、情報を共有する関係者を特定し、提案内容に基づいて適切なレビュー担当者にリクエストを自動的にルーティングする、という指示を AI に出しました。

食品の調理に関連するイニシアチブであれば、システムによって食品安全チームに割り当てられます。新しい壁のタイプであれば、建設チームのみに通知が送られます。無関係な部門を関与させる必要はありません。

ステップ 3: 承認リクエストが自動的に割り当てられる

AI は自らの判断を基に、各承認者に対してサブタスクを作成します。タスクには、元のフォームに入力された期日とコンテキストが含まれ、事前に構成された承認プロジェクトに自動的に追加されます。このプロジェクト 1 か所で、関係者は、割り当てられたタスク、保留中のタスク、レビューの準備ができているタスクをすべて確認できます。

ステップ 4: イニシアチブが承認されたら、レビューのスケジュールを立てる

必要なサブタスクがすべて完了すると、AI はそのイニチアチブを隔週の SCG 会議の議題に追加します。各セッションでは、レビュー担当者がデューデリジェンスを行うのに十分な時間を確保するために、取り上げる項目の数を最大 10 個に制限しています。

次の会議の議題が上限に達している場合、AI は自動的にそのイニチアチブを議題のスペースが空いている次の会議に追加します。タイムスタンプやオーナーシップなど、すべてが Asana で追跡されるため、承認プロセスの明確な記録が作成されます。

「Asana のおかげで、仕事の流れが変わりました」と Lachlan 氏は言います。「関係者に対して承認に必要な情報を提供することで、詳細確認のやり取りが不要になりました。」

初期のメリット: 管理業務が減り、透明性が向上

Woolworths のチームは、早くもテスト段階でそのインパクトを目の当たりにしました。以下のようなメリットが期待されていました。

  • より小規模で、焦点を絞った会議: 出席者をリクエストの提出者、主な承認者グループ、PMO に限定することで、不要な会話を減らし、内容の濃いディスカッションをする時間を増やせる。

  • より明確なコミュニケーション: 入力情報が標準化されることで、やり取りが減り、関係者はリクエストをすばやく評価できるようになる。

  • 説明責任の向上: すべての承認リクエストにタイムスタンプが付与され、追跡可能になるため、誰が何をいつ承認したのかを簡単に確認できるようになる。

「まだまだやることはありますよ、でもそれは会話をすることや店舗への導入準備という意味であって、書類の作成や処理が必要ということではありません」と Lachlan 氏はこの変革について言います。

次のステップ: これまでの勢いを活かす

チームは、部門全体でワークフローを拡大する準備を進めており、社内のイノベーション資金を含む、他の承認ワークフローに同様のモデルを適用する方法を模索しています。

Woolworths は、AI スタジオを使用してチームと AI の間で展開するワークフローを調整することで、承認プロセスを合理化し、説明責任を向上させ、従業員が本当に重要なこと、つまり、適切なアップデート、機器、アイデアをより迅速に店舗に届けることに集中できるようにしています。

AI スタジオを試してみませんか?

AI スタジオは、Starter、Advanced、Enterprise、Enterprise+ プランでご利用いただけます。

Asana の考え方: 人間 + AI

AI の基本原則で共有し、AI スタジオの発表でも強調したように、Asana は、人間が介在するアプローチが AI と協働するうえでの基本であると確信しています。この考え方は、現時点での AI の限界を補うと同時に、正確性を確保することを目的としています。

AI は非常に有用ですが、完璧ではありません。AI の仕事を人間がチェックすることは、単にミスを特定するためだけなく、すべてが順調に進んでいることを確認するためでもあります。チームは、AI が生成した内容をすばやく確認し、調整できます。すべての作業を一から始める必要はありません。その結果、AI なしでの作業に比べて、より多くのプロジェクトに取り組み、より多くのデータを分析し、より多くのタスクを完了できるようになります。

関連リソース

記事

顧客調査を変革する 3 つの AI ワークフロー